「ネットで自傷行為」、中高生の新たな問題に

ティーンエイジャーのネットいじめが問題となっているが、他者ではなく自分自身を傷つける内容をネットに投稿するなどの「ネット自傷行為(digital self-harm)」が米国の中高生の間で新たな問題となりつつあるようだ。

米国の中高生5,593人を対象に実施された調査から、20人中1人にネット自傷行為の経験があることが分かったという。
詳細は「Journal of Adolescent Health」9月18日オンライン版に掲載された。

この研究を実施したのは米フロリダ・アトランティック大学ネットいじめ研究センターのSameer Hinduja氏ら。
同氏らはネット自傷行為を「ソーシャルメディアやゲーム、ウェブフォーラム、メールなどあらゆるネット上の環境で、自虐的な内容を匿名で投稿したり送信したりすること」と定義し、2016年に全米を代表する12~17歳の中高生5,593人を対象にネット自傷行為の経験について調査した。

その結果、約6%にネット自傷行為の経験があり、経験率は女子(5.3%)よりも男子(7.1%)の方が高いことが明らかになった。
ネット自傷行為に及んだ回数は、「1回のみ」とした経験者が51.3%を占めていたが、35.5%が「2~3回」、13.2%が「何度も」経験したと回答した。

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また、人種や年齢による経験率の違いは認められなかったが、同性愛者の中高生ではネット自傷行為に及ぶリスクが異性愛者と比べて約3倍だった。
さらに、ネットいじめを受けたことがある中高生はネット自傷行為のリスクも約12倍に達していたほか、学校でいじめにあった経験や薬物乱用、抑うつ症状、オフラインでの自傷行為(自身の身体を傷つける行為)の経験もオンライン自傷行為リスクに関連していた。

調査では自傷行為に及んだ理由についても尋ね、自傷行為の経験者の約半数から回答が得られた。
このうち多かった理由は「自己嫌悪のため」、「注目されたい」、「気持ちが落ち込んでいるため」、「自殺したい」、「周囲から面白がってほしい」、「退屈しのぎ」などだった。

この結果を踏まえ、Hinduja氏らは身体を傷つける自傷行為と同様、ネット自傷行為も自殺の前触れである可能性があることに懸念を示し、このような行為に及ぶ背景や、オフラインでの自傷行為および自殺行動との関連などについて、さらなる研究を行う必要があると結論づけている。

Hinduja氏によると、ネット自傷行為が注目されるようになったのは2013年のHannah Smithさん(当時14歳)の自殺がきっかけだった。
Smithさんは、自殺する数週間前にソーシャルメディアに匿名で自虐的な内容のメッセージを投稿していたという。

今回、ネット自傷行為に関する初の調査を実施した同氏は「これまで15年にわたってネットいじめについて研究してきたが、ネット自傷行為がこれほどまでに広がっているとは予測していなかった」と話す。

同氏は「一部の青少年がこのような問題を抱えているという現実を、親や教育者はしっかりと認識しておくべきだ」と指摘。
また、親や教育者に対し「否定や批判をすることなく、ただ子どもの話に耳を傾ける存在となれることを子どもたちに伝えてほしい」としている。

米南メソジスト大学ファミリーカウンセリングセンターのSarah Feuerbacher氏は「自傷行為は他者や自分が置かれた環境に対して自分の無力さを感じることに起因していることが多い。
その苦しみを吐き出せる相手がいないとき、インターネットがそのはけ口となる」と説明。

親は子どものオンラインでの言動に注意を払うとともに、互いを尊重しながら親子の気持ちを包み隠さず分かち合うことを勧めている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年11月8日
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