1型糖尿病でも“座り過ぎ”は血糖管理不良に関連――日本人対象の横断研究

 1型糖尿病であっても“座り過ぎ”は血糖管理不良につながる可能性が、日本人患者を対象とする研究で示された。藍野大学医療保健学部理学療法学科の本田寛人氏らが、「Healthcare」4月22日オンライン版に報告した。

 生活習慣が発症や進行に大きく影響する2型糖尿病では、血糖管理に運動療法が重要であり、そのエビデンスも豊富に存在する。しかし、発症機序に生活習慣が関与していない1型糖尿病の血糖管理における運動療法のエビデンスは限られている。これを背景に本田氏らは1型糖尿病患者を対象とする、自記式質問紙により把握した座位時間、運動の行動変容モデル(TTM)ステージと、HbA1cおよびBMIとの関連を検討した。

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 研究の対象は、神戸大学医学部附属病院と公立豊岡病院日高医療センターの外来受療中の成人1型糖尿病患者42人。全員が空腹時血清Cペプチド0.2nmol/L未満で、その他の主な患者背景は、男性33.3%、年齢44.0歳、罹病期間11.0年、BMI22.1、HbA1c7.2%、座位時間6.0時間/日で、TTMステージは前熟考期42.9%、熟考期7.1%、準備期14.3%、実行期2.4%、維持期33.3%だった。血管合併症や運動機能障害のある患者は除外した。

 まず、HbA1cと有意な関連のある因子を検討。その結果、HbA1cは座位時間が長いほど高く(r=0.60、P<0.01)、高齢であるほど高い(r=0.35、P=0.02)という正の相関が認められた。またBMIは、罹病期間が長いほど高く(r=0.39、P=0.01)、一方、TTMステージとは逆相関した(r=-0.40、P<0.01)。

 次に、HbA1cが7%以下の群(16人)と7%を超える群(26人)の2群に分け、群間差を検討。すると、座位時間(4.0対7.3時間/日、P<0.01)とTTM(P=0.04)の2項目に有意差が認められ、年齢や罹病期間、BMIなどの群間差は有意でなかった。HbA1cレベル(7%以下または7%超)を目的変数、BMI、座位時間、TTMを説明変数とするロジスティック回帰分析(年齢および性別で調整)の結果、座位時間のみが有意な因子として抽出された(オッズ比3.53、P<0.01)。

 続いて座位時間を基に四分位に分けHbA1cを比較したところ、第1四分位群(座位時間4.6時間/日未満)は第4四分位群(同8.0時間/日以上)に比べHbA1cが15%、有意に低値だった(P<0.01)。

 著者らは本研究を「日本人成人1型糖尿病患者を対象とした、座位時間、TTMと血糖管理状態の関連を調査した初めての研究」とし、対象患者数が少ないという限界点を挙げた上で、「1日の座位時間が4.6時間未満であることは、1型糖尿病患者の良好な血糖管理に関連している可能性がある」と結論をまとめている。なお、先行研究から、日本人の平均座位時間は7.0時間/日であり、世界で最も座位時間が長い国の一つと言われている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2020年5月25日
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