「スマホ1日5時間以上」で中高生の自殺リスク上昇か

米国でスマートフォン(スマホ)が一気に普及した2012年を境に、米国の中高生で抑うつ症状や自殺念慮の経験者、自殺者が急増したことが、米サンディエゴ州立大学心理学教授のJean Twenge氏らによる研究で明らかになった。

スマホやパソコンなどの1日当たりの使用時間が平均で5時間以上の中高生では自殺念慮や自殺企図などのリスクが上昇することも分かったという。
同氏らは「中高生でスマホなどの端末の使用時間が増えていることが、自殺者の増加につながっている可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
詳細は「Clinical Psychological Science」11月14日オンライン版に掲載された。

Twenge氏らは今回、米国の中学2年生~高校3年生の男女計50万人超を対象に、抑うつ症状や自殺念慮の経験、インターネットでのソーシャルメディアの使用状況を含む生活や行動について尋ねた2件の調査データと、13~18歳の男女の自殺に関する米疾病対策センター(CDC)の統計データを分析した。

その結果、2010年から2015年までに中高生の自殺率は31%上昇しており、特に女子では65%上昇したことが分かった。
また、抑うつ症状を経験したことがある中高生の割合も、女子では2010年の16.7%から2015年には26.4%へと58%上昇していたほか、自殺念慮や自殺企図といった自殺につながりうる経験(自殺関連アウトカムの経験)がある女子中高生の割合も同期間に12%上昇していた。

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さらに、自殺関連アウトカムの経験者の割合は、スマホやパソコンなどの端末を使用する時間が1日当たり1時間未満の中高生では29%だったが、2時間の者では33%、5時間以上の者では48%を占めていた。
また、端末の使用時間が1日1時間未満の中高生と比べて5時間以上の中高生では自殺関連アウトカムのリスクが66%上昇することが示された。
抑うつ症状の経験者の割合も端末の使用時間が長くなるほど高まることが明らかになった。

Twenge氏は「今回、2012年を境に13~18歳の中高生、特に女子中高生で抑うつ症状や自殺関連アウトカム、自殺による死亡が急増したことが分かった。これはスマホが普及した時期とちょうど一致する」と説明している。

また、端末の使用時間の長さによる抑うつ症状や自殺関連アウトカムへの影響は特に女子で強くみられたが、同氏はこの点について「これまでの研究からソーシャルメディアの使用時間が長いと精神面に悪影響があることが分かっているが、男子はソーシャルメディアよりもゲームに費やす時間が長いため、影響が弱まっているのかもしれない」との見方を示している。

なお、今回の研究では端末の使用時間が1日2時間未満の子どもでは精神的な問題のリスクは上昇しないことが示されたため、Twenge氏は「親は子どもにスマホの使用を1日2時間まで制限し、寝室にはスマホを持ち込ませないといった対策を取るべき」とアドバイスしている。

今回の報告を受け、専門家は「さほど驚くべきものではない」と口をそろえる。米ミシガン大学のScott Campbell氏は「食べ物やアルコール、セックス、買い物などと同様に、インターネットの使用も過剰になると有害だ」と指摘。
一方、米ワシント­­ン大学のAnne Glowinski氏は「インターネットの長時間使用は特に夜間に多くみられるが、それによって睡眠の質が低下し、抑うつ症状や自殺のリスクを高める可能性がある。
さらに対面での人との交流や家族と過ごす時間も奪い、精神的な問題を引き起こしうる」と説明し、親は子どもにスマホを与える前に十分話し合い、明確に使い方のルールを決めるべきだと助言している。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年11月14日
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