アルツハイマー型認知症の医療・介護にかかる社会的費用は月平均22.5万円/人

アルツハイマー型認知症の医療・介護にかかる社会的費用は、当事者1人当たり月に平均約22万5,000円であることが、国内のデータを用いた検討から明らかになった。費用の6割近くは介護者の労働損失など、直接的な医療・介護費以外(インフォーマルケア費用)が占めるという。観察研究「GERAS-J」のデータを解析した結果であり、東京都医学総合研究所の中西三春氏らが「Journal of Alzheimer’s Disease」1月19日オンライン版に報告した。

 GERAS-Jは、国内13カ所の大学病院を含む30施設で行われた多施設共同前向き観察研究で、日本イーライリリー株式会社の資金提供により実施された。外来治療を受けているアルツハイマー型認知症の当事者とその家族介護者を18カ月追跡した。今回の研究はGERAS-J調査開始時のデータを用いて、社会的費用を算出したもの。

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 解析対象となったアルツハイマー型認知症の当事者は553人で、平均年齢80.3±7.3歳、女性72.7%。重症度は認知機能テスト(MMSE)で判定し、軽度(21~26点)が28.3%、中等度(15~20点)が37.8%、重度(14点以下)が34.0%だった。全体の70.9%が要介護認定を受けており、57.9%が介護サービスを利用していた。最も利用率が高い介護サービスはデイケアで、49.4%が利用していた。

 一方、介護者側は、平均年齢62.1±12.5歳、女性70.7%。当事者の子が49.0%、配偶者が37.1%を占め、78.8%が当事者と同居し、39.2%は1人で介護を担っており、47.7%は介護に加え就労もしていた。

 医療・介護にかかる費用は以下の3つに分けて積算し、月平均費用を算出した。1.当事者の医療費(外来、入院医療費と薬剤費)、2.当事者の社会的介護費用(介護サービス費、家屋の改築、消耗品など)、3.介護者のインフォーマルケア費用(介護に要する時間や欠勤などによる労働損失を含む)。なお、費用算出の基礎データとしては、国内の医療・介護サービスおよび労働賃金、労働時間などの全国平均値と、介護者へのアンケートから得られた情報を利用した。

 結果についてまず介護者が費やした時間を見ると、月平均130.2時間費やしていることがわかった。当事者の重症度が高いほど多くの時間を要しており、軽度で97.2時間、中等度で118.2時間、重度では171.3時間だった。

 次に社会的費用は、月平均22万4,584円かかっていることが分かった。このうち、前記の分類1の当事者の医療費は2万6,744円、分類2の当事者の社会的介護費用は6万9,179円だった。残り6割近い12万8,661円は分類3の介護者のインフォーマルケア費用が占めていた。重症度別に見ると、軽度で15万8,454円、中等度で21万1,301円、重度では29万4,224円だった。

 医療・介護の社会的費用を目的変数とする多変量解析の結果、当事者が独居でないことや日常生活機能(ADL)が高いこと、介護者が複数いることなどが、費用の低下と有意に相関していた。反対に費用の増大と有意に相関する因子として、要介護認定を受けていること、アルツハイマー型認知症診断からの経過期間が長いこと、介護者負担尺度(ZBI)のスコアが高いことが抽出された。

 これらの結果のまとめとして著者らは「アルツハイマー型認知症の社会的平均費用が当事者の重症度とともに増加することがわかった。また介護者のインフォーマルケア費用が最も大きなウエイトを占めていた。従来の統計上は社会的費用として反映されない介護者の負担を減らすために、新たな介入が求められる」と述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2020年2月25日
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