観測用眼鏡なしで皆既日食を見た女性の網膜に穴

2017年8月21日、米国では国民の多くが皆既日食を見るために空を見上げた。その際、繰り返し注意が呼び掛けられていたにもかかわらず、観測用眼鏡を使用せずに日食を観測したために網膜の一部が焼け、穴が開いてしまった20歳代の女性がいる。

この女性は8月21日、肉眼で約6秒間にわたって太陽を見た後、観測用眼鏡をかけた上で15~20秒間、日食を観測した。
その4時間後、両眼ともに物がぼんやりと歪んで見えるようになり、黒以外の色が見えなくなってしまったという。
3日後にNYEEの医師らが診察したところ、女性の眼の網膜には熱傷による穴が認められ、日光網膜症および光化学性の熱傷と診断された。
なお、診断に際しては、補償光学(AO)と呼ばれる技術を利用して、細胞レベルの眼の損傷を確認することができたという。

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今回の論文の共著者であるNYEEのAvnish Deobhakta氏は、「このような症例に遭遇することは極めてまれであるため、つい最近までこうした先進技術によって日光網膜症の状態を調べることはできなかった。
われわれも、これまでに日食による網膜の損傷を細胞レベルで確認した経験がなかった」と話している。
現在、日光網膜症に対する治療法はないが、同氏らは「今回の症例をきっかけにこの疾患の解明が進み、治療法を見つけられる可能性がある」としている。
なお、米国では次に皆既日食を観測できるのは2024年だが、Wu氏は「観測用眼鏡なしで太陽を直視することによるリスクの周知を徹底する必要がある」と指摘。
今回の症例を教訓として2024年の観測に備えてほしいと呼び掛けている。

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