肥満でなくても総コレステロール高値に注意 50歳以上の日本人男女を分析、滋賀医大

50歳以上の日本人男女では、30年前に比べて総コレステロール(TC)高値に対する肥満の影響が弱まっている可能性のあることが、滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門教授の三浦克之氏が研究代表を務めるNIPPON DATA研究グループの調査で明らかになった。

論文の筆頭著者で浜松医科大学健康社会医学講座の柴田陽介氏によると、30年前は肥満の人ほどTC高値になりやすく、痩せている人ほどなりにくかったが、近年では適正体重であっても、また女性では痩せている人でもTC高値になる人が増えていることが分かったという。
詳細は「Journal of Epidemiology」7月21日オンライン版に掲載された。

研究グループは今回、厚生労働省が1980年、1990年、2000年および2010年に実施した国民健康・栄養調査と旧循環器疾患基礎調査に参加した全国の50歳以上の男女(それぞれ5,014人、4,673人、5,059人および2,105人)を対象に、肥満度とTC高値との関連を調べる研究を実施した。

なお、調査は全国300地区の一般住民を対象に行われた。研究では、TC高値は220mg/dL以上とし、肥満、痩せ、適正体重はそれぞれBMIが25.0kg/m2以上、18.5kg/m2未満、18.5kg/m2以上25.0kg/m2未満と定義した。

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その結果、30年間で肥満の人の割合は男性では16.3%、21.6%、28.2%、34.1%と上昇したが、女性ではほぼ横ばいで推移していた(26.2%、29.0%、27.1%、27.0%)。
また、痩せている人の割合は男女とも低下傾向にあった。
TC高値の人の割合は男性(14.3%、26.4%、24.7%、27.4%)、女性(28.9%、47.2%、44.2%、42.3%)ともに1990年まで増加し、その後はほぼ横ばいであった。

また、肥満や痩せの人が適正体重の人に比べてTC高値にどのくらいなりやすいのかを、年齢や喫煙、飲酒、運動習慣の有無などで調整して解析した結果、男性では1980年には肥満の人は2.4倍だったが、2010年には0.9倍へと低下していた。
痩せている人は0.3倍から0.4倍になった。
さらに、女性では、肥満の人は1980年の1.4倍から2010年には0.9倍まで低下し、痩せている人は0.4倍から1.0倍へと増加した。

以上の結果を踏まえ、三浦氏らは「日本人を対象とした大規模調査で、50歳以上の男女ではこの30年の間に肥満とTC高値との関連が弱まっていることが分かった。
近年では、体型にかかわらず脂肪(特に飽和脂肪、食事性コレステロール)が多い食事を取る人が増えており、このことで肥満や痩せとTC高値との関連が弱くなった可能性が考えられる。
脂質異常症を予防するには肥満対策だけでなく、肥満度にかかわらず食事中の脂肪分を減らすなどの対策も必要だ」と話している。

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HealthDay News 2018年9月10日
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