中性脂肪値の年次変化が頸動脈IMTと関連――国内CKD患者での検討

 中等度以上に進行した慢性腎臓病(CKD)患者では、LDL-コレステロールに加え、一定期間での中性脂肪(TG)の上昇が、動脈硬化を促す可能性が報告された。自治医科大学附属さいたま医療センター腎臓内科の平井啓之氏らが、CKD患者の頸動脈最大IMTの推移を後方視的に解析した結果、明らかになった。研究の詳細は、「Diabetes, Metabolic Syndrome and Obesity : Targets and Therapy」に10月12日掲載された。

 動脈硬化進行レベルの指標として、頸動脈の血管内膜中膜肥厚(IMT)計測の有用性が確立している。一方、CKD患者の多くが動脈硬化を併発しているが、動脈硬化進行に未知のリスク因子の関与も考えられる。そこで平井氏らは、CKD患者の頸動脈最大IMT(内膜中膜が最も厚くなった部分の厚み。max-IMT)の変化を継続的に観察し、CKD患者の動脈硬化進展因子を検討した。

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 研究の対象は、同医療センターの外来CKD患者のうち、20歳以上で推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73cm2未満(CKDステージG3以上)で、頸動脈IMTを1年以上の間隔で2回施行した患者。なお、透析患者は除外した。

 対象となった130人は、平均年齢67.6±11.0歳、男性が91人(70%)で、ベースライン時のeGFRは31.3±12.6mL/分/1.73m2。CKDステージはG3aが18%、G3bが32%、G4が40%、G5が10%。併発疾患は、糖尿病38%、脂質異常症84%、高血圧95%であり、また既往歴として冠動脈疾患が13%、虚血性脳卒中が14%、末梢動脈疾患が11%に見られた。max-IMTの平均は2.2±1.0mmだった。

 平均観察期間2.9±1.6年で、この間のmax-IMTの年次変化は0.06±0.22mm/年だった。単変量解析では、HDL-コレステロールの年次変化(β=-0.209)、TGの年次変化(β=0.173)、および、ベースライン時のeGFR(β=0.182)とmax-IMT(β=-0.201)が、観察期間中のmax-IMTの変化と関連していた。多変量解析の結果、max-IMTの変化と関連する因子として、ベースライン時のLDL-コレステロール(β=0.173)と、TGの年次変化(β=0.175)の2項目が抽出された。

 LDL-コレステロールは、非CKD患者における動脈硬化のリスク因子として既に周知されているが、本研究により、中等度以上に進行したCKD患者においてもLDL-コレステロールがリスク因子であることが明確になった。さらに、ある一定期間にTGが上昇することも、動脈硬化の進展を加速させる可能性が示された。

 著者らは本研究を、「中等度以上に進行したCKD患者における頸動脈max-IMTの変化に関連する因子を縦断的に解析した、初めての研究」と位置付けている。後方視的研究であること、解析対象者数が十分でなく女性が少ないことなど、解釈上の留意点はあるが、結論として「LDL-コレステロールの値とTGの上昇幅は、中等度以上のCKD患者における頸動脈max-IMTの進行速度と関連している」と述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2020年12月14日
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