米国のがん死亡率は引き続き低下、ただし課題も

米国がん学会(AACR)は9月13日、最新データに基づき米国のがんの概況をまとめた報告書「CancerProgressReport」を発表し、米国では1991年から2014年にかけてがんによる死亡率が小児で35%、成人では25%低下したことを明らかにした。

しかし、人口の高齢化に伴い今後、新たにがんを発症する患者は大幅に増加することが予測されているなど、多くの課題が残ることも示された。

報告書によると、米国では近年、がんによる死亡率は大幅に低下し、1991年から2014年までに210万件のがんによる死亡が回避されたと推定されている。

一方、がんの新規発症数は今年の170万件弱から2030年には230万件まで増加すると予測されているほか、今年1年間にがんで死亡する人は60万人を超える見通しだという。

AACR会長のMichaelCaligiuri氏によると、今後、新規発症数が増加するのは米国民の高齢化が進むと予測されているためだ。米国で診断されるがんの53%は65歳以上で発症しているが、65歳以上の人口は2016年の約4900万人から2030年には7400万人超に増加すると推定されている。

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また、報告書ではがん死亡率の低下に加えて前進がみられたポイントとして、2016年8月から2017年7月までに米食品医薬品局(FDA)ががんの新薬9種類を承認し、既存の治療薬8種類についても新たながんへの適応を承認したこと、新薬のうち2種類は複数のがん種で生存率とQOLを向上させることが期待されている免疫チェックポイント阻害薬で、残る7種類は特定のがん分子を標的とする薬剤であることを挙げている。

さらに、脳腫瘍のより正確な検出や切除の助けとなる新たな造影剤が承認されたこと、予防面では、肺がんの主要な原因である喫煙の対策によって2000年から2015年までに喫煙率が39%低下したことなども、注目すべきポイントとして紹介している。

一方、HPVワクチンの接種も将来的にほぼ全ての子宮頸がん、多くの口腔がんおよび肛門がんを予防できる対策として期待されているが、2015年のワクチン接種率は女子で63%、男子で50%未満にとどまっていたという。

米ハーバード大学医学部教授のAnthonyD’Amico氏は、「がん生存率の向上には治療の進歩と検診による早期発見が寄与したのではないか」との見方を示し、「われわれがすべきことは山積しているが、新たな発見を目指した取り組みや、生物学的な理解を深めるための研究および検診などの領域では正しい方向に進んでいるといえる」と話している。

今回の報告書によると、米国で頻度の高いがん種である乳がんや大腸がん、肺がん、前立腺がんの死亡率はこの10年以上にわたって低下傾向にあるが、脳腫瘍や肝がん、子宮がんなどの死亡率は上昇しているという。

また、人種や保険加入状況などによる治療格差が継続して認められていることも、課題として挙げられている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年9月14日
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