肥満の女性は子宮体がんになりやすい可能性 5万人を超える日本人女性を解析、JPHC研究


肥満は、特にエストロゲン依存性タイプの子宮体がんの罹患リスクを高めた一方で、エストロゲン非依存性タイプでは肥満度(BMI)との関連はみられないことも明らかになった。
詳細は「European Journal of Cancer Prevention」4月18日オンライン版に掲載された。
これまで欧米を中心とした研究でBMIが高いほど子宮体がんの発症リスクが上昇する可能性が報告されているが、アジア人を対象としたエビデンスは限られている。
また、身長と子宮体がんの罹患リスクとの関連は明らかにされてない。研究グループは今回、JPHC研究に参加した40~69歳の女性を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、BMIや身長が子宮体がん全体および病理学的なサブタイプ別(エストロゲン依存性のⅠ型またはエストロゲン非依存性のⅡ型)の罹患リスクに及ぼす影響について調べた。

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研究では、ベースライン時(1990年および1993年)に全国10地域に在住し、がんを発症していなかった40~69歳の女性5万3,651人を対象に、2012年まで追跡を行い、ベースライン時のBMIおよび身長とその後の子宮体がん罹患との関連を調べた。
平均18.6年の追跡期間中に180人が新たに子宮体がんと診断され、そのうちⅠ型は119人、Ⅱ型は21人であった。
対象とした女性を調査開始時のBMIで7つの群(BMI 19.0未満、19.0~20.9、21.0~22.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0~29.9、30.0kg/m2以上)に分けて、その後の子宮体がんの罹患率を比較したところ、BMI 23.0~24.9の群と比べて27.0以上の2つの群ではそれぞれ子宮体がん全体の罹患リスクが有意に上昇していた(ハザード比はそれぞれ1.93、2.37)。
また、子宮体がんのサブタイプ別に解析した結果、BMIと罹患リスクの関連はⅠ型子宮体がんのみで認められた。
さらに、対象女性を身長で5つの群(148cm未満、148~151cm、152~155cm、156~159cm、160cm以上)に分けて、その後の子宮体がんの罹患率を比較したところ、身長148cm未満の群と比べていずれの群でも子宮体がんの罹患率に上昇はみられなかった。
以上の結果から、研究グループは「女性の成人期のBMIは子宮体がん全体とⅠ型子宮体がんの罹患リスク増加と関連する可能性がある」と結論づけている。
欧米の研究で報告されているⅡ型子宮体がんと肥満の関連が今回認められなかった点については、「日本人女性ではBMIが30を超える肥満はまれであることと、Ⅱ型子宮体がんに罹患した女性の数が少なかったことが影響した可能性がある」との見解を示し、さらなる検討の必要性を指摘している。

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