最悪の場合、重症化するケースもある梅毒とは

梅毒について

梅毒とは、性感染症のひとつですが、近年ではあまりその名を聞くことがありません。 しかしながらその患者数はここ最近増加傾向にあり、いまだに注意すべき病気であることには変わりがないのです。 今回はそんな梅毒の原因、症状、治療法について、詳しく見ていきましょう。
  1. 1.はじめに
  2. 2.梅毒とは
  3. 3.梅毒の原因は
  4. 4.梅毒と考えられる症状は?
  5. 5.梅毒が原因でかかる病気や疾患は?
  6. 6.梅毒の治療方法
  7. 7.梅毒にならないためには
  8. 8.おわりに

はじめに

梅毒とは、性感染症のひとつですが、近年ではあまりその名を聞くことがありません。
しかしながらその患者数はここ最近増加傾向にあり、いまだに注意すべき病気であることには変わりがないのです。

今回はそんな梅毒について、詳しく見ていきましょう。

梅毒とは

梅毒とは、梅毒トレポネーマという病原体によって発生する性感染症で、かつては不治の病と呼ばれて恐れられていました。

現代では治療薬の発達により治療することが可能であり、患者数もそれほど多くはありませんが、近年再び増加傾向にあり、放置すれば重症化する可能性もあるなど、依然として注意が必要な病気となっています。

梅毒の原因は

先ほども述べた通り、梅毒は梅毒トレポネーマという病原体に感染することによって引き起こされます。

あまり強い病原体ではなく、低酸素状態でなければ長く生きていることができないため、性行為など、粘膜同士が触れる行為によって感染することがほとんどとされています。

まれに傷口からの感染や輸血による感染も起こりうるといわれていますが、現在ではほとんど報告されていません。

そのほかに、妊娠中の女性が梅毒に感染していた場合では胎盤を通じておなかの中の赤ちゃんに感染してしまう事もあり、この場合は先天性梅毒と呼ばれることになります。

梅毒に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
お近くの治験情報を全国から検索できます。

梅毒と考えられる症状は?

梅毒にかかると、時期によってさまざまな症状があらわれる事が知られています。
これらは大きく四つのステージに分けられ、それぞれ第一期、第二期(まとめて早期顕症梅毒)、第三期、第四期(まとめて晩期顕症梅毒)とよばれます。

第一期では、感染後約三週間後に、感染部分で小さなしこりや皮膚表面のただれなどがみられます。
また、痛みを伴わないリンパ節の腫れが見られることもありますが、どの症状も数週間後にはなくなってしまいます。

第二期では、第一期での症状がなくなってからさらに一か月から二か月ほどたったころに全身の皮膚で湿疹がみられ、やがて皮膚が盛り上がったようなぶつぶつができるようになります。
これらは梅毒性バラ疹、梅毒性丘疹とよばれ、梅毒の代表的な症状となります。
他にも発熱、倦怠感、脱毛など様々な症状が現れますが、第一期と同様数週間ほどで症状は消えてしまいます。

第二期の後は、数年間何も症状がない時期が続き、この期間を潜伏期間と呼びます。
この期間は症状こそないものの、病原体はしっかりと体内で身を潜めている状態ですので、治ったというわけではなく、他人にうつしてしまう可能性も十分にあるので注意が必要です。

第三期では、第二期の後に数年間の潜伏期間を経て、皮膚にしこりができるようになります。
このしこりは次第に表面が崩れてただれた状態となり、結節性梅毒疹と呼ばれるようになります。
また、全身にゴム状のかたまりが発生して、体の組織を破壊していく梅毒性ゴム腫という症状も現れます。
ここまでくると完全な治療は行えなくなり、病気の進行を止めることが目的となってきます。

第四期は梅毒の最後のステージで、脳や神経などが梅毒に侵された状態になります。
脳が侵された場合、性格が変わってしまったり、言葉がもつれたりなどの麻痺症状が進行していき、最終的には認知症になってしまう事が知られています。
また、神経が侵された場合は足などに刃物で刺されるような痛みの発作が起きるようになり、歩くことすらままならなくなってしまうのです。

現在は第二期までに治療されることがほとんどであるため、晩期顕症梅毒まで進行することはほとんどないといえますが、放置しているとこのような深刻な症状が現れることは十分に知っておかなければなりません。

ちなみに、妊婦からおなかの中の子供への感染によっておこる先天性梅毒では、症状がまた異なってきます。

先天性梅毒の場合、生まれて間もなく水ぶくれ、発疹などの皮膚の症状に加え、鼻づまり、肝臓や脾臓の肥大、骨軟骨炎(骨や軟骨の炎症)などの症状が見られます。
また、生まれてすぐには症状が出ず、小学校低学年頃になって角膜炎や難聴などを引き起こす場合もあります。

梅毒が原因でかかる病気や疾患は?

梅毒が原因となってかかる病気はほとんどありませんが、第二期以降に目の病気があらわれる事があることが知られています。
代表的なものとして、結膜炎、角膜炎、強膜炎、網膜炎、視神経炎などがあります。

また、ほかに考えうるものとして、HIV関連梅毒というものがあります。
これは、梅毒とHIVに同時に感染していることによって、梅毒が普通とは違う経過をたどることがあるというもので、梅毒単体に比べて症状が早く進行したり、症状がよりひどく現れたりしてしまうのです。

例えば、梅毒第二期ではバラ疹が現れるのが主な症状ですが、同時にHIVに感染していることで、これに加えて晩期顕症梅毒のような神経症状が現れたり、バラ疹自体がひどくただれるような状態になる可能性が高くなるようです。

梅毒に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
お近くの治験情報を全国から検索できます。

梅毒の治療方法

梅毒の治療はペニシリンという薬によって行います。梅毒と診断されると、ペニシリンの経口薬を一か月から二か月ほど飲むことで治療することができますが、このとき症状が途中でなくなっても飲むのをやめてはいけません。
病原体がまだ体内に息をひそめている可能性が高いからです。最後まで薬を飲み切って病原体を根絶して、初めて完治といえるのです。

妊婦が梅毒と診断された場合も同じ治療が行われます。ペニシリンは胎盤を通じておなかの中の赤ちゃんにも届くため、母子ともに治療を行うことが可能です。

HIVと同時に感染していた場合でも、基本的には同じ治療が行われますが、より長い期間での治療になる可能性も考えられます。

梅毒にならないためには

梅毒を予防するには、コンドームを正しく使用することが大切です。コンドームは避妊のために有効なのはもちろんのこと、正しく使えば性感染症を防ぐことも可能です。

また、性行為の前後は体を清潔に保ち、病原体が感染する機会をなるべく少なくすることも大切となります。

他に、特定のパートナーを持つということも大切です。
複数のパートナーの性行為を繰り返すと、それだけ感染者との性行為の機会を増やすことになるため、パートナーを特定し、感染者と不用意に接触しないように努めることも梅毒の予防につながるのです。

おわりに

その性質上、公に語られることはあまりありませんが、性感染症については生活の上で知っておくべき大切な知識です。

今回の記事を通して、性感染症のひとつである梅毒について、必要な情報を知っておき、必要な時の手助けになると良いですね。

治験に関する詳しい解説はこちら

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

治験・臨床試験についての詳しい説明

SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。