ビタミンD不足で不妊治療の成功率が低下する可能性


英バーミンガム大学産婦人科講師のJustin Chu氏らがこれまでに発表された11件の研究データを解析した結果、血中ビタミンD濃度が充足している女性と比べ、不足あるいは欠乏している女性では妊娠率や生児獲得率が低いことが示されたという。
Chu氏らは今回、体外受精や凍結胚移植、顕微授精といった生殖補助医療(ART)による不妊治療中の女性の血中ビタミンD濃度と治療アウトカムとの関連について検討したコホート研究11件(計2,700人)のデータを用いてメタ解析を実施した。
その結果、血中のビタミンD濃度が充足している女性では、不足または欠乏している女性と比べて生児を獲得できる可能性が1.33倍であることが示された。
さらに、臨床的に妊娠が確認される可能性も、ビタミンD濃度が充足している女性では、不足または欠乏している女性と比べて1.46倍であることが分かった。ただし、ビタミンD濃度と流産リスクとの間に関連は認められなかった。

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なお、ビタミンD濃度が充足していたのは解析対象となった女性の26%のみだったという。
ビタミンD濃度の基準値は統一されていないが、米国の内分泌学会は血中25(OH)D濃度で30ng/mL超を「充足」、21 ~29 ng/mLを「不足」、20 ng/mL未満を「欠乏」と定義している。
今回の研究結果について、Chu氏らは「関連性が示されたに過ぎず、ビタミンDサプリメントを使用することでART後の生児獲得率が高まることが証明されたわけではない」と説明。
「妊娠を希望している女性は、ビタミンD濃度を高める介入の効果が臨床試験で示されるまでは、ビタミンDサプリメントの購入を急ぐべきではない。
ビタミンDの過剰摂取によって体内にカルシウムが蓄積し、骨が脆弱になるほか心臓や腎臓に悪影響がもたらされる可能性がある」と話し、慎重な解釈を求めている。

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