ワルファリンにがん予防効果?

心筋梗塞や脳卒中、肺塞栓症などを予防するために広く使用されている抗凝固薬のワルファリン(商品名ワーファリン)に、がんを予防する作用もあることを示唆する研究結果が「JAMA Internal Medicine」11月6日オンライン版に掲載された。

この研究は観察研究であるため因果関係が証明されたわけではないが、ワルファリンの使用者は世界で数百万人に上ることから、研究を実施したベルゲン大学(ノルウェー)のJames Lorens氏らは「抗凝固薬の選択に影響しうる重要な結果」としている。

ワルファリンは心筋梗塞後や心臓人工弁置換術後の患者、心房細動患者などに対して処方されることの多い抗凝固薬の一つで、ビタミンK拮抗薬に分類される。
欧米では成人の5~10%がワルファリン使用者だという。

Lorens氏らによると、以前からワルファリンががんリスクを低減する可能性を示唆した研究結果が報告されていた。
このうちがんモデル動物を用いた研究では、抗凝固作用を発揮する用量よりも低用量のワルファリンがAXL受容体チロシンキナーゼを介した腫瘍の形成を阻害することが明らかにされていたほか、一部の疫学研究でワルファリンの使用者で特定のがんリスクが低下することが示されていた。

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そこで同氏らは今回、ノルウェー国民登録およびがん登録、処方記録のデータベースを用い、1924~1954年に出生したノルウェー人125万6,725人を対象に2004~2012年のワルファリン処方と2006~2012年のがん発症との関連について検討した。
このうち7.4%(9万2,942人)がワルファリン使用者で、10.6%(13万2,687人)ががんを発症していた。平均年齢はワルファリン使用者が70.2歳、非使用者が63.9歳だった。

年齢や性で調整して解析した結果、ワルファリン使用者では非使用者と比べてがんの発症率比(IRR)が0.84と有意に低かった。
また、がん種別のIRRは肺がんが0.80、前立腺がんが0.69、乳がんが0.90でそれぞれ有意に低かったが、大腸がんは0.99で有意な低下は認められなかった。
さらに、ワルファリン使用とがん発症率の低下との関連は、特に心房細動患者で強く認められた。

ワルファリンは近年登場したリバーロキサバン(商品名イグザレルト)やアピキサバン(同エリキュース)などの新しい抗凝固薬(第Xa因子阻害薬)と比べると安価だが、患者ごとに適量が異なるため定期的に血液検査で抗凝固指標(INR)を測定する必要がある。

このため、最近はワルファリンの代わりに新しい抗凝固薬に切り替える例が増えている。

しかし、「新薬は作用機序が異なるため、ワルファリンのようながん予防効果は期待できない」とLorens氏は指摘する。

一方、米国がん協会(ACS)のLen Lichtenfeld氏は「この研究からワルファリンにはがんリスクを低減させる何らかの作用があることが示唆された。
ただし、がん予防の目的でワルファリンを処方すべきではない。
ワルファリンを使用するよりも健康的な食事や運動を心掛けることの方ががん予防には重要だ」と強調している。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年11月6日
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