陰毛の処理に起因する負傷は想像以上に多い

陰毛の処理に起因する負傷は想像以上に多いことが、「JAMA Dermatology」8月16日オンライン版に掲載の研究で明らかになった。陰毛の処理をする人の4分の1以上は、切り傷、熱傷、発疹などを経験していた。研究を率いた米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)准教授のBenjamin Breyer氏によると、泌尿器の負傷で救急受診を要した成人患者のうち3%は、陰毛の処理に起因する負傷例が占めていたとする別の研究結果もあるという。

今回の研究では、米国の成人男女7,570人を対象にオンライン調査を実施。その結果、男性の67%、女性の85%は陰毛の処理をした経験があると回答した。経験者の26%は処理の際に負傷したことがあり、その比率は男性(24%)よりも女性(27%)で高かった。

 1%強(79例)の負傷は医師による治療を必要としたが、ほとんどの負傷は軽度なものだった。ただ、「開いた傷口があると性感染症のリスクが高まることは、陰毛の処理に伴う重大な危険の1つだ」とBreyer氏は付け加えている。

 負傷の種類は、切り傷(61%)が最も多く、熱傷(23%)、発疹(12%)が続いた。負傷の部位は、男性では陰嚢(67%)、陰茎(35%)、恥骨部(29%)が多く、女性では恥骨部(51%)、大腿の内側(45%)、腟(43%)、会陰部(13%)が多かった。「恥骨部は他の部位に比べれば皮膚が厚いものの、形状が複雑であるため、かみそりやはさみ、毛抜き、ワックスなどで傷がつきやすい。除毛剤を使用した場合は化学熱傷が起こる可能性もある」と同氏は話し、負傷により感染症や埋没毛につながることもあると指摘している。

 また、11回以上にわたり陰毛を全て除去している男女は、年齢や処理の頻度、毛深さなどの要因を考慮しても、一部のみを除去している人に比べて負傷を経験するリスクが約2倍になり、繰り返し負傷するリスクも高かった。女性では、かみそりの使用に比べて、ワックスを使用すれば負傷のリスクが低くなることも分かった。

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 この研究の限界として、陰毛の処理はデリケートな話題であるため、一部の回答者は調査に対して正直に回答していない可能性があると、研究グループは付け加えている。

 陰毛の処理をする人が増えている理由は不明だが、「ポルノグラフィでは陰毛の処理をしている人が多く登場する。人気の理由は性行為に関連しているのではないか」と同氏は推測する。「American Journal of Men’s Health」に昨年掲載された研究によると、男性では陰毛の処理は性行為のために行われることが多く、特にオーラルセックスに関連することが明らかにされている。一方、女性の間では、ワックスで陰毛を除去する「ブラジリアン」脱毛が人気になりつつある。

 米レノックス・ヒル病院の皮膚科医であるMichele Green氏は、「陰毛を除去するために、自分自身でワックスによる除毛を試みたり、ピンセットで毛を引き抜いたりしようとした患者を数多く診察してきた。それが原因で感染症を発症した患者も少なくない」と話し、陰毛を全て除去したい患者にはレーザー処理を勧めるとコメント。「特に男性は気が進まないかもしれないが、本当に陰毛を除去したいのならば専門家に相談すべきだ」と助言している。

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HealthDay News 2017年8月21日
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