高齢者の脆弱性骨折、部位によって介護ニーズやフレイルの程度に違い

 高齢者では、転倒などの軽微な外力でも骨折する脆弱性骨折が起こりやすく、骨折後の身体機能や生活の質の低下につながることがある。今回、日本の高齢者における脆弱性骨折約14万6,000件を調べた研究から、骨折部位によって介護ニーズやフレイルの程度が異なることが示された。研究は静岡社会健康医学大学院大学と名古屋市立大学大学院医学研究科整形外科学分野の研究グループによるもので、柴田隆太郎氏、佐藤洋子氏、田中仁啓氏らが実施した。詳細は、8月19日付で「Age and Ageing」に掲載された。

 脆弱性骨折は高齢者に多く、骨折部位によって患者の身体機能やフレイルの程度が異なる可能性が指摘されている。しかし、その実態は十分に明らかになっていない。このような背景から、著者らは日本の大規模データベースを用い、骨折部位と介護ニーズやフレイルの程度との関連を解析した。

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 本研究は、日本の静岡県国保データベース(SKDB)を用いて、人口ベースの後ろ向きコホート研究として行われた。SKDBは静岡県の230万人超の住民をカバーし、健康保険・介護保険のレセプトや健診データなどを統合している。対象は、2012年4月1日~2022年9月30日のデータから、65歳以上で初回の単一部位の脆弱性骨折を起こした患者とした。骨折部位は橈骨遠位端(手首)、上腕骨近位部(肩)、脊椎、骨盤、大腿骨近位部、大腿骨遠位部(膝)の6部位に分類した。フレイルは、介護保険の認定レベルと電子フレイル指数(eFI)を用いて評価した。eFIは、ICD-10コードに基づいて定義した35項目の慢性疾患・健康上の問題がどの程度蓄積しているかをもとに算出し、健常、軽度フレイル、中等度フレイル、重度フレイルの4群に分類した。フレイルの程度別に骨折部位の分布を比較し、骨折部位ごとに「要介護認定なし」を基準としたロジスティック回帰分析を用いて粗オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。また、年齢・性別で調整した解析も行った。

 解析対象となった脆弱性骨折は14万6,052件で、患者の平均年齢は81.5歳、女性が78.2%を占めた。骨折部位は脊椎骨折が8万184件と最も多く、次いで大腿骨近位部が3万1,521件、橈骨遠位端が1万9,504件だった。骨折部位によって年齢にも違いがみられ、橈骨遠位端骨折の平均年齢は77.8歳だったのに対し、大腿骨近位部骨折は84.9歳、骨盤骨折は82.6歳だった。

 介護保険の認定状況をみると、橈骨遠位端骨折患者の86%は要介護認定を受けていなかった。その一方、大腿骨近位部骨折と大腿骨遠位部骨折では要介護認定を受けていない患者の割合がそれぞれ47%と49%にとどまっていた。要介護認定を受けていない人を基準とした解析では、重度の介護ニーズがある人で橈骨遠位端骨折のオッズは低く(OR 0.50、95%CI 0.46~0.55)、大腿骨近位部骨折(OR 8.06、95%CI 7.82~8.31)や大腿骨遠位部骨折(OR 10.55、95%CI 9.61~11.57)、骨盤骨折(OR 2.52、95%CI 2.32~2.72)のオッズは高かった。年齢・性別で調整すると関連は弱まったものの、重度の介護ニーズと橈骨遠位端、大腿骨近位部、大腿骨遠位部の骨折との有意な関連は認められた。eFIによる解析でも同様の傾向が認められた。

 著者らは、橈骨遠位端骨折は比較的生活機能が保たれた高齢者に多く、将来の骨折を防ぐための骨粗鬆症の評価・治療につなげる機会となり得ると指摘している。一方、骨盤や大腿骨遠位部の骨折はフレイルが進行した高齢者に多く、施設内の転倒予防や介助方法の見直しなど、フレイルの程度に応じた対策が重要だとしている。こうした骨折部位ごとの特徴を踏まえることが、高齢化が進む日本での骨折・介護予防や医療・介護資源の適切な配分にもつながる可能性があるとしている。

 なお、本研究の限界点として、行政データを用いたため身体機能を直接評価できなかったこと、年齢・性別以外の交絡因子を十分に調整していないこと、静岡県のデータに基づくため一般化に限界があることが挙げられる。

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HealthDay News 2026年10月5日
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