
慢性便秘症の症状・治療方法に関連する基本情報
どのような病気であれ、治療法がわかっているのであれば治療を受けるべきです。しかし、治療を受ける側としては「どんな治療を必要とするのか?」ということが気になります。


慢性便秘症の検査方法
まずは、慢性便秘症の「検査方法」について解説します。
慢性便秘症の検査
慢性便秘症とは、本来、体外に排出すべきである糞便を、十分かつ快適な状況において排出できない状態となる病気です。
通常、排便の回数が少なく、糞便の量も少ないことから、便が腸の中に滞るといった慢性便秘症のタイプと、風便の量や回数には特に大きな問題はないものの、便がを快適に排出することができず、身体の中に残便感が残る慢性便秘症のタイプがあります。便秘の原因は多様化していると言われています。
慢性便秘症の検査は、以下の方法で行います。
慢性便秘症の症状チェック
まずは、以下の症状をチェックしてください。
該当する項目が多い場合は慢性便秘症が疑われますので、早めに消化器内科や便秘外来で検査を受けてください。
- お腹が張る
- おならが出る
- ゲップが出る
- 胸やけや胃の不快感を感じる
- 口臭が強くなる
- 疲れやすく頭が重く感じる
- 肩こりがひどくなる
- 気分が悪くなる
- ニキビや吹き出物などができ肌荒れがひどくなる
- じんましんが出る
- 食欲が低下する
- お腹が痛くなる
慢性便秘症は人によって症状が異なります。
思い当たる症状が少ないからと言って慢性便秘症ではないと考えるのは避けて下さい。
慢性便秘症の検査では、まず問診により患者さんの排便状態について問診記入を行い、毎日の排便状態を確認することから始めます。慢性便秘に検査は必須とされていませんが、他の病気が原因となって発症している可能性があるか否かを確認するためにも、下記のような検査を実施しています。
糞便検査
便秘の原因となる病気などを探すため、検査が必要となることがあります。
腹部X線検査
便秘により腸が張っているかを確認します。
腹部超音波検査
腸の中にガスや便が大量に溜まっていないかを確認します。
尿検査
尿路感染症などの便秘に伴い合併症が疑われる場合に検査を行います。
大腸内視鏡検査
便秘により大腸に腫瘍が隠れていないかを確認します。
注腸造影検査
直腸から全結腸、回盲部までの病変を確認することができます。
腹部CT、MRIなど
肝臓、胆道、膵臓がんなどの悪性腫瘍の有無転移を検査することができます。
慢性便秘症の治療方法
慢性便秘症の治療法は、主に「薬物療法」により行われます。治療効果については、医療機関できちんと説明を受けて、自分に合った治療法を理解することが重要です。
下剤の使用と生活習慣の改善
慢性便秘症を治療するためには、下剤や浣腸などを使用し、直腸に溜まった糞便を排便させる治療を行うのが一般的です。
また、便を柔らかくする投薬治療を行い、スムーズな排便を起こさせます。その他、腸管の動きが悪い場合は、腸の働きを良くする薬を服用します。
慢性便秘症は、生活習慣の改善を行い、排便を習慣化させることが最も効果的であると言われていることから、毎日の生活を規則正しく行うようにしましょう。こまめに水分摂取を行い、繊維質の多い食物を積極的に摂取することが大切です。
そして、毎日適度な運動を行い、腸の動きを活発化させるように取り組むと効果的です。
新生児の場合は綿棒浣腸を行うと効果的です。
また、母乳よりもミルクを与えることで便秘になりやすく、離乳食が始まる頃には便が硬くなる一方であることから、できるだけ早い段階から排便習慣を付けるようにしましょう。
薬物療法
慢性便秘症の治療法に、「薬物療法」が挙げられます。
「塩類下剤」による治療
塩類下剤は、便の水分バランスを改善し、排便を促す為の治療薬です。
塩類下剤は腸内で便に水分を含ませて、糞便を膨大・軟化させ、排便を促す作用を起こさせます。
「パントテン酸製剤」による治療
体内にパントテン酸を補充することにより、脂質異常症や湿疹、便秘を改善させる治療薬です。パントテン酸は水溶性ビビタミンであることから、エネルギー代謝に使用されます。
その為、コレステロール低下や血小板数を改善する作用があります。
刺激性下剤
刺激性下剤は、小腸や大腸を刺激することで排便を促す治療薬です。
便秘は何らかの原因により、腸の働きが弱まることで排便がスムーズに行われない状態となり、これを刺激性下剤を使用することにより、便意を促す作用を現わすことができます。
慢性便秘症の治療法としては、一般的に「薬物療法」が挙げられます。しかし治療法と言っても慢性化している場合は、治療を中断することで再び慢性便秘症の症状が現れることになります。
治療の費用は?
慢性便秘症の治療にかかる費用については、治療薬の種類や検査内容によって異なります。
ほとんどのケースが保険適用内の治療である為、高額治療費が掛かるといったことはありません。しかし、慢性便秘症が他の病気が原因で発症している場合はこの限りではありません。

慢性便秘症は自然治癒する?
治療には、多少なり費用がかかります。自然治癒でなおるものと思い、治療にかかる費用がもったいないと考える方も多いものです。しかし、慢性便秘症の自然治癒は期待しないほうが良いでしょう。
慢性便秘症は、その期間が長期に渡るほど症状を重くし、危険な症状に陥ります。
自然治癒にまかせるのではなく、医療機関できちんと相談し適切な治療を受け早期解決をするほうが体への負担がかからずに済みます。
まとめ
慢性便秘症は、未だに未解明の部分も少なくありません。しかし、薬物治療により適切な治療法が開発されているため、我慢しなければならない病気というわけではありません。
患者さんの希望次第で適切な治療法も異なりますので、まずは消化器内科や便秘外来のある病院で検査を受けて、適切な治療法について相談してください。

慢性便秘症の医療費助成制度に関連する基本情報。いざ病気になってしまったときに負担は大きいものです。大人だけでなく小児でも起こりうるそんなときに特定疾患の対象や訪問看護のサポートなど専門の機関に頼り負担を減らせる可能性もあります。