疫学データ

子宮筋腫の確率の平均、疫学データに関する基本情報

子宮筋腫の確率の平均、疫学データに関する基本情報。海外での子宮筋腫の表現の方法。悪性への変異の確率。発症する頻度のデータ、合併症のリスクなどの情報をまとめています。

子宮筋腫という病気は、現代医学をもってしても未だ解明されていない部分も多いです。少しでも子宮筋腫という病気について知るためには、さまざまなデータを調べることも必要になります。今回は、子宮筋腫の疫学データに関する情報について解説します。

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子宮筋腫の基本情報<

まず最初に、子宮筋腫に関するデータについて解説します。

発症率は生殖年齢女性の約20%

子宮筋腫は、名称で分かる通り子宮に生じる病気です。つまり、発症するのは女性に限定されます。では、女性であれば誰もが発症する病気かと言えばそうではありません。生殖年齢の女性の内、約20%の割合で発症すると言われています。

  • 悪性化するのは1%にも満たない

さて、「筋腫」という文字に危険なイメージをお持ちの方も少なくないと思います。どうしても「悪性腫瘍」つまり「がん」のイメージを持ってしまうため、命に関わるのではないかという危機意識をもってしまうのも無理もありません。

しかし、子宮筋腫は基本的に良性腫瘍、つまり「がんではありません」。もちろん、子宮やその周囲の臓器に関連したさまざまな症状を呈する可能性はありますが、即座に手術しないと前身に転移して命を脅かすということはありません。

子宮筋腫が悪性化する可能性は、全体の約0.5%程度(学会発表でも説が異なるが総合的数値の平均)であると言われています。悪性腫瘍である「子宮肉腫」との鑑別は重要ですが、良性腫瘍である子宮筋腫であると診断された場合は積極的な治療を行わず、経過観察に留めるケースも多いです。

合併症のリスクは?

子宮筋腫という病気は、女性ホルモンに深く関係しているとされています。その関係上、「子宮内膜症」や「子宮腺筋症」などの合併症を起こす可能性があります。なお、子宮内膜症の合併は約20%ほどであると言われています。

子宮筋腫の好発年齢

子宮筋腫は、30代~40代の女性に好発するとされています。なお、さらに高齢で50代前後で子宮内膜症であると診断された場合は、閉経が近いため、閉経前で閉経が近い年齢である場合は薬物療法で閉経までの時間稼ぎをすることが多いです。

子宮筋腫の発生部位

子宮筋腫という病気は、発生部位によって細かな名称が異なります。加えて、発生部位ごとに症状などについても大きく異なる可能性があります。

筋層内筋腫

子宮筋腫の、実に6割~7割に及ぶと言われているのが、「筋層内筋腫」です。子宮壁内に筋腫が発生するタイプの病気で、筋層内で成長します。

筋層内で成長した筋腫は、筋層を膨れ上がらせることで月経時の出血量を増加させたり、月経困難症の原因になることもあります。発生した部位が卵管の近くである場合には、不妊の原因になることもあります。

漿膜下筋腫

漿膜下筋腫は、子宮の外側を覆う部位(漿膜)に筋腫が生じる病気です。子宮筋腫全体から見ると、2割~3割ほどがこれに該当します。このタイプの場合、筋層内筋腫のようにその場で成長するのではなく、子宮の外側に向かって成長するという性質があります。

成長方向が子宮の外側であるため、子宮そのものに影響を及ぼすことは少ないです。しかし、自覚症状が他のタイプと比べて少ないため、定期的に検査を受けていないと発見が遅れてしまうというリスクを抱えています。また、卵管近くに発生した場合は不妊の原因になる可能性があります。

粘膜下筋腫

子宮筋腫の中では、特に発症リスクの少ないタイプの子宮筋腫です。漿膜下筋腫とは逆に、子宮の内側に向かって成長するという性質を持っています。その性質上、他の子宮筋腫と比べて筋腫が小さくても自覚症状が出やすく、不妊の原因になりやすいという性質を持ちます。

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海外で子宮筋腫について説明する時

海外旅行中に、子宮筋腫の病歴などを説明しなければならないこともあるかもしれません。そんな時に、子宮筋腫を英語でどのように表現するべきなのでしょうか?

英語では子宮筋腫を何と言うか?

多くの場合は「uterine fibroids」と表現するようです。ただし、単一ではなく複数の表現が可能な余地がありますので、英語圏内でもuterine fibroidsでは通用しない可能性もあります。

  • その他の表現

それ以外には「uterine myoma」「uterine leiomyoma」「hysteromyoma」などでも表現できます。もしくは、単に子宮筋腫という名称を表現するのではなく、「I have a tumor in my uterus(私は子宮に腫瘍があります)」と説明することもできる可能性があります。

  • ミオーム(myoma)とは?

ミオーム(myoma、ミオーマとも)は、直訳すると「筋腫」のことです。婦人科では、これを子宮筋腫の略語・医療用語として使用する可能性があります。

  • 子宮筋層内筋腫を英語で

「interstitial myoma of uterus」「intramural myoma of uterus」などがあります。

  • 漿膜下筋腫を英語で

「subserous myoma」などがあります。

  • 粘膜下筋腫を英語で

「uterine submucous myoma」「submucous uterine myoma」などがあります。

  • 子宮内膜症を英語で

「endometriosis」などがあります。

まとめ

いかがでしょうか。未解明の部分も多いとは言え、子宮筋腫に関する研究はそれなりに進んでいます。数値データを見れば、多くの女性がそのリスクを抱えながらも、命に関わる可能性は極めて少ないことがわかります。

しかし、子宮筋腫に限らず、病気に関する知識を理由として子宮筋腫を甘く見ることはお勧めできません。子宮筋腫は「子宮肉腫(悪性腫瘍)」との鑑別が難しいですし、筋腫が成長すればさまざまな症状に悩まされることになります。定期的に検査を受けて、筋腫が小さいうちに発見できれば、経過観察と、最良のタイミングでの治療を施すことが可能になりますので、発見しても放置するということだけは気を付けなければなりません。

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