子宮筋腫に関する基本情報
子宮筋腫とはどんな病気?
子宮筋腫は、成人女性の2~4人に1人にあるといわれている子宮の筋肉から発生する良性の腫瘍です。ご家族や友人などに経験者がいて、話を聞くことも多いのではないでしょうか。月経のある年齢層にみつかる場合がほとんどですが、ごく小さな筋腫まで調べれば、ほとんどの女性から、見かる可能性もあります。
この様に、子宮筋腫をもっていることは珍しいことではありませんが、患者さんの身になれば産婦人科特有の病気でデリケートな問題です。
また、不妊の原因になっているケースや摘出手術を受けないといけないこともあります。
子宮筋腫は産婦人科の中でもっとも多い病気の一つとも言われており、はっきりとした原因はいまだに証明されていません。母親が子宮筋腫をもっている場合、娘さんの40%は子宮筋腫をもっていると推定される遺伝説もあります。
最近では子宮を構成する筋肉細胞のうち筋腫の芽になるようなモノが、卵巣の働きが活発になると発育しはじめるという説も有力であり、大人になってから新しく筋腫の細胞ができる可能性は否定的な意見もあります。
また、子宮筋腫の細胞には正常な細胞に比べて黄体ホルモン(プロゲステロン)の受容体の数が多いことが分かっており、妊娠中に子宮筋腫が大きくなる背景には、女性ホルモン(エストロゲン)と妊娠によって大量に生産されるプロゲステロンの影響も原因として考えられています。
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多くの場合、子宮筋腫の症状は無症状ですが、筋腫が大きくなるとさまざまな症状があらわれます。
その代表的な症状は以下のものがあげられます。
- 過多月経
子宮筋腫の中で1番多い症状です。タンポンやナプキンを取り換える量が増えた。毎晩のように寝具を汚すなどの症状があれば、過多月経が疑われます。また、10日以上も出血が続く場合も過多月経を疑える症状です。
これは、筋腫のために血流が変わったことや子宮の収縮が悪くなったこと、子宮内腔を押し広げていることで起こっている可能性があります。
- 月経痛
月経時に痛みを感じることも多いといわれます。痛み具合は個人差がありますが、子宮内膜症や子宮腺筋症もある場合は腰痛や吐き気をともない、かなり強い痛みがあります。この場合は、すぐに受診することを強くおすすめします。
- おりもの
血の混じったものや茶褐色は注意が必要です。また、粘膜下筋腫の場合は、淡黄色の水溶性のものが増えます。
- 性交痛
性交時に痛み起こることがあります。挿入時に子宮全体がつるような痛みです。また、子宮内膜症や子宮腺筋症でも性交通が生じます。
- 圧迫症状
筋腫が大きくなると、下肢や骨盤内の静脈内に血栓ができることや臓器を圧迫されることによって頻尿、便秘、背部痛、腰痛、水尿管症、水腎症、腎障害を起こすこともあります。
- 貧血
過多月経になるタメ、鉄欠乏症貧血になります。
- 下腹部のしこり(腫瘤感)
下腹部を触った時に固いしこりを確認できることがあります。
- 不妊
子宮筋腫があっても妊娠・出産をしている人はたくさんいますが、筋腫やできる部位によっては、妊娠・分娩の障害になります。筋腫が子宮内腔を変形させている場合は、受精卵が着床しにくくなることや流産しやすくなることがあります。
筋腫がどの場所にできるかで3種類に分かれます。それぞれ、症状が違います。
- 粘膜下筋腫
子宮内膜のすぐ下にできる筋腫です。こぶができるタイプと根元に茎ができるタイプ(有形粘膜下筋腫)の2つがあります。貧血をともないがちで、妊娠すると筋腫が急激に成長して、早産・流産をまねくことがあります。子宮腔から筋腫が押し出された状態を筋腫分娩といいます。
- 筋層内筋腫
子宮筋層内の色々な場所にできる筋腫です。筋腫が大きくなると、月経異常のもとになります。排卵の近くの場所にできると、不妊の原因になります。
- 漿膜下筋腫
月経異常などの症状がなく、発見されにくい筋腫です。また、不妊の原因にはならないとされています。自覚症状がない場合が多いですが、筋腫が何かの拍子でねじれてしまうと強い腹痛が起こることがあります。
気になる症状があるならば、早目の受診をおすすめします。
受診当日の検査
- 問診
- 内診(膣鏡診・双合診)
- 超音波検査(経腹法・経膣法)
- 血液検査
これらの検査で筋腫の有無や大きさなどおよその診断が確定しますが、さらに情報が必要な場合には別の日にMRI(核磁気共鳴画像)検査を行います。
これにより、筋腫の数やタイプの確定診断をすることができます。
不妊症が疑われた場合には、ほかにソノヒステログラフィー、子宮卵管造営検査なども行われます。
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薬物治療
- 対処療法
メリット
過多月経、月経痛の緩和。副作用があまりない。
デメリット
効果がでないこともある。根治にはならない。
- 偽閉経療法
メリット
一時的だが、筋腫が縮小する。閉経が近い人は手術をしないですむことがある。
デメリット
副作用が強くでることがある。薬を止めると、筋腫がもとの大きさにもどる。
- 単純子宮全摘術
メリット
子宮筋腫に伴う全ての不快な症状が消え、再発の心配がない。
デメリット
妊娠が不可能になる。
- 筋腫核手術
メリット
子宮筋腫が原因で起こる不快な症状が軽減する。妊娠も可能。
デメリット
再発の可能性が残る
- 悲観血的手術
メリット
腹部に傷を残さずに子宮筋腫を収縮させられる。
デメリット
妊娠を希望する人には推奨されていない。合併症を起こすこともあり、再発の可能性がある。
単純子宮全摘術
- 開腹手術
入院期間:7~14日間
費用:20~25万円
- 腔式手術
入院期間:5~8日間
費用:20万円前後
- 腹腔鏡手術
入院期間:5~8日間
費用:20~25万円
筋腫核手術
- 開腹手術
入院期間:7~10日間
費用:15~20万円
- 腹腔鏡手術
入院期間:5~8日間
費用:20万円前後
- 子宮鏡下手術
入院期間:1~3日間
費用:8~10万円
悲観血的手術
- 子宮鏡下手術
入院期間:3~4日間
費用:20万円前後
- 集束超音波
入院期間:日帰り
費用:55~85万円(保険適用外)
子宮筋腫のタメに辛い症状がある場合は、やはり治療が必要でしょう。治療の選択肢はいくつもあります。また、不妊の原因になっている可能性が高ければ、手術のことを含めて主治医と十分に相談してください。(費用はあくまでも目安です)
子宮筋腫かも?過多月経や出血量の多さ。そして生理中に訪れる普段以上の痛み。検査や診断を受ける前に自覚症状と合わせてセルフチェックができるように情報を掲載しています。
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