
潰瘍性大腸炎の予防法について
大腸の粘膜に炎症が起き、下血や腹痛などさまざまな症状が出る潰瘍性大腸炎。潰瘍性大腸炎は慢性的な病気のため、一度発症すると長く付き合っていかなければなりません。また、現在の医学ではまだ原因がはっきり解明されていませんので、潰瘍性大腸炎の予防方法として確実なものがあるわけではありません。

潰瘍性大腸炎の発症に関わる要因とは
もともと潰瘍性大腸炎は日本では珍しい病気で、1970年代頃の患者数は数千人でした。しかし、2015年の患者数は16万人を超えています。同じ炎症性腸疾患であるクローン病の患者数も増加してきていることもあり、潰瘍性大腸炎にかかる方はこれからも増えていくのではないかと予想されています。
どうして潰瘍性大腸炎にかかってしまうのか、その原因が何であるのかはまだ完全に解明されていません。ですが、近年の患者数増加などから、潰瘍性大腸炎の発症には次のものが関わっているのではないかといわれています。
- 食生活の欧米化
- 腸内環境の変化
- ストレスの多い生活
これらの生活環境に加えて遺伝的な体質も関係しているといわれています。
潰瘍性大腸炎は国から難病指定を受けている病気なので、難病に関する政策事業において調査研究班がつくられており、病気の克服に向けて日々研究が行われています。

潰瘍性大腸炎の予防方法とは
潰瘍性大腸炎は慢性疾患ですし、完全に治る治療法も現在の医学ではまだ見つかっていません。「寛解」といって、症状が治まっている時期ができるだけ長く続くように維持していく治療を行います。
まだまだ解明されていない部分がある病気なので、潰瘍性大腸炎の予防方法として現在確実なものはありません。
しかし、発症には先にご紹介したような要因があると考えられています。ですから、潰瘍性大腸炎の予防方法として期待できるものとしては、まずはご自身の生活を見直し健康管理を行っていくということです。

食生活の欧米化と腸内環境の変化
もともと日本人は菜食文化。一汁三菜といわれているように、穀物に野菜、魚介類と海藻などが中心で成り立っていました。
時代の流れとともに西洋文化が入ってきて、食生活の様子も変わってきました。
魚より肉の摂取量が増え、野菜の摂取量が減っています。また、甘味料はてんさい糖や黒糖よりも白砂糖が一般的です。
ファストフードやスナック菓子に代表されるような、高脂肪高カロリーな食べ物も増えてきました。
腸内をきれいにしてくれる食物繊維を含んだ野菜の摂取量が減り、腸内の悪玉菌を増やす脂肪の摂取量が増えている現代。このような食生活は健康維持の大きな役割を担っている善玉菌よりも悪玉菌が優勢の腸内環境になってしまうのです。
潰瘍性大腸炎は免疫機能に異常が生じて大腸に炎症が起きてしまっている病気です。腸内環境の良し悪しは免疫機能のはたらきと深い関わりがあるといわれていますから、できるだけ和食中心の食事を心がけるといいですね。

ストレスの多い生活
現代社会はストレス社会とも呼ばれています。受験や就職など環境の変化が多い時期は精神的な負担が大きくなります。それに加えて就寝時間がまちまちであったり、夜更かしで睡眠不足が続いていたりすると体にもストレスがかかります。
潰瘍性大腸炎は20代から30代に多くみられます。この年代は自分の環境が大きく変わる時期でもあります。
全く無理をしないという生活は難しいですから、運動や趣味など自分なりのリラックス方法を普段から取り入れるようにしましょう。
うまく気持ちを切り替えて、前向きな姿勢でいることも大切です。

自分の体について知っておく
体の異変にできるだけ早く気付くには、普段から自分の体のことを知っておくことが大切です。早く気付くことができれば、それだけ早く治療を開始することができます。
そのためには、定期健診を受けて普段の自分の体について知っておくことがポイント。また、何か気になる症状がある場合には自己判断でそのままにしておかないことです。
治ったと思ったらまた症状が出る、もしくはなかなか治らないというときには医療機関で相談してみましょう。
まとめ

潰瘍性大腸炎は食生活や生活リズムの乱れ、ストレスの蓄積などが発症に関わっているといわれています。かかりやすいとされる20代から30代は学業や仕事などで活躍する時期。病気によって日常生活に大きな支障が出ないよう、自分の生活スタイルを見直し健康的な生活を送ることが大切です。

潰瘍性大腸炎は、消化器の病気ですから、食事に気をつけることである程度体調管理ができるといわれています。潰瘍性大腸炎の患者さんにとって良い食事とはどのようなものなのか、詳しく解説しています。