疾患のセルフチェック法

クローン病のセルフチェック方法

クローン病はお腹の痛みや下痢などを主症状とする病気です。慢性の病気であり、クローン病のタイプや合併症の有無などによって体のさまざまな部分に症状が現れます。

お腹の症状が中心となる病気にはいろいろなものがありますが、その中でも「自分はクローン病なのでは」と心配される方もいるでしょう。クローン病は現れる症状やその程度により、診断までに時間がかかることもあります。クローン病にかかると、長期にわたって病気と付き合っていかなければなりません。

クローン病の特徴や自覚症状について触れながら、クローン病のセルフチェック方法についてみていきます。
  1. クローン病の症状
  2. クローン病の特徴
  3. クローン病になりやすい要因
  4. クローン病に似ている病気は数多くある
  5. クローン病かもしれないと思ったら
  6. クローン病と診断されたら
  7. まとめ
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クローン病の症状

下痢や腹痛を主症状とした病気は数多く、一般の方がそれらを区別するのは難しいところです。しかし、どのような病気でも「もしかしたら?」と思ったら自分で症状から病気を調べたり周りの方に聞いたりするものですよね。

では、クローン病かどうかをセルフチェックするにはどのようなところに注目したら良いのでしょうか。チェックする内容についてご紹介しましょう。

  • 下痢が続いている
  • 時々お腹が痛くなる、お腹が張る感じがある
  • だるい、体が重い
  • 貧血ではないかと感じることがある
  • 痔がある(きれ痔や痔瘻、肛門周囲膿瘍など)
  • 微熱が続いている
  • ダイエットしていないのに体重が落ちてきた

クローン病は症状が出たりおさまったりを繰り返します。体調不良が続いている、胃腸炎と思って薬を飲んでいるけど良くならない、という方はそのままにしておかずに医療機関を受診することをおすすめします。

クローン病の特徴

クローン病のセルフチェックをするうえでは、クローン病特徴についてもある程度知っておくことが大切です。

クローン病はまだはっきりとした原因がわかっていません。症状は人によって現れ方がさまざまで、軽症である場合には症状がほとんど出ないこともあります。慢性疾患であるので、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

クローン病には小腸型、小腸・大腸型、大腸型という3つの分類がありますが、小腸型は自覚症状に乏しいという特徴があります。小腸型では、炎症による狭窄(腸管が狭くなってしまうこと)などで症状が出たことをきっかけにわかることがあります。

この病気は比較的若い方に多い傾向があります。医療受給者証の交付を受けている方でみていきますと、クローン病を発症する年代の多くは10代後半から20代となっています。患者数は女性よりも男性の方が多い傾向にあります。

クローン病になりやすい要因

クローン病はまだ完全に治せる病気ではなく、現在の医学では解明されていない部分があります。原因も明らかになっていませんが、クローン病の発症には以下のようにいくつかの要因が関わっているということがわかっています。クローン病のセルフチェックをする際には参考にしてみてください。

  • 免疫の過剰な反応
  • 腸内環境の悪化
  • 食生活(動物性脂肪や高タンパクな食事)
  • ストレス(学業や仕事、環境の変化)
  • 遺伝子レベルでの異常
  • 身内に炎症性腸疾患の方がいる

また、経口避妊薬やホルモン補充療法などで発症のリスクが1.51倍増加するという意見もあります。喫煙は発症のリスクが上がるとされています。

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クローン病に似ている病気は数多くある

クローン病とよく似た症状や特徴が現れる病気はたくさんあります。ですから、さまざまな検査を行いながら鑑別していき、最終的な診断を行なっています。
代表的なものは同じ炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎ですが、ほかには

  • 虚血性腸炎
  • 腸管ベーチェット
  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)起因性腸炎
  • 腸結核、アメーバ性大腸炎、サイトメガロウイルス腸炎などの感染性腸炎

などがあります。

クローン病かもしれないと思ったら

体調不良が続き、ここでご紹介しているような症状がいくつも当てはまるような場合には、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。消化器内科を専門とする医療機関であれば大丈夫です。クローン病は難病指定されている病気であるため、クローン病が強く疑われる場合には専門医のいる医療機関へ紹介となります。そして、そこでさらに詳しい検査を行いながら診断を進めていきます。

クローン病と診断されたら

クローン病は、炎症が長く続き、繰り返されることでほかの障害も出てきてしまいます。合併症のリスクもありますので、できるだけ早く治療を開始することが大切です。

クローン病と診断されたら、まずは寛解状態にするための治療を行います。そして、寛解状態になったらそれをできるだけ長く保たせるように寛解維持療法を行なっていきます。

クローン病は難病指定の病気ですので、保健所など自治体によって定められた機関でクローン病患者として申請を行います。一定以上の重症度である場合や、軽症でも高額な治療を行っている場合には医療費の助成を受けることができます。

まとめ

クローン病は腹痛や下痢、発熱といった症状がよくみられる炎症性腸疾患です。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返します。クローン病のセルフチェックを行うときには、症状と病気の要因を参考にしてみてください。

ただし、クローン病には似たような病気が数多くあり、自己判断は禁物です。ここでご紹介した内容と合うからといってクローン病とは限りません。

気になる症状がある、しばらく体調が悪いなどといった場合には医療機関で相談することをおすすめします。

クローン病の診断プロセスに関する詳しい解説はこちら

お腹の症状を主訴として来院される方が多いクローン病は、原因がまだ完全に解明されていません。ここでは、原因がまだはっきりしていないクローン病の診断プロセス・検査について、あわせて解説します。

クローン病の診断プロセス・検査について

参考文献・サイト:
診断と治療社 消化器研修ノートp372〜374
医学書院 medicina2015年9月号 p1718〜1721
羊土社 日々紀文監修 チーム医療につなげる!IBD診療ビジュアルテキスト
参考サイト1参考サイト2
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