病気の予防法

クローン病の予防方法

下痢や腹痛を主症状とし、全身にさまざまな合併症を生じることのあるクローン病は、まだ完治できる治療法がありません。ですから、クローン病を発症すると、長期的に治療を続けていくことになります。

では、クローン病は予防することができるのでしょうか。

ここでは、クローン病の予防方法について、クローン病の発症に関わっているといわれている因子に注目しながらご紹介します。
  1. クローン病の予防方法はあるの?
  2. クローン病の発症に関わる因子について
  3. クローン病と遺伝子の関係
  4. 普段から自分の体に興味を持つ
  5. まとめ
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クローン病の予防方法はあるの?

クローン病はまだ完全に解明されていない病気です。国の研究機関が中心となって、日々研究が続けられています。原因もまだはっきりわかっていません。そのため、クローン病の予防方法として確立されたものはまだありません。

しかし、クローン病はその発症にさまざまな因子が関わっているということがわかってきています。

クローン病の発症に関わる因子について

食生活の変化
クローン病は潰瘍性大腸炎と同じく、日本では珍しい病気でした。しかし、1990年ころから年々増加し、2014年末には患者さんの数は4万人を超えるほどになっています。クローン病の患者さんは潰瘍性大腸炎と同じく、今後も増加していくのではないかといわれています。

では、なぜクローン病の患者数がここまで増加してきているのでしょうか。その背景に、食生活の欧米化が挙げられています。クローン病を発症する要因の1つとして、食事のタンパク質や一部の脂肪に対し、腸管の免疫機能が過剰に反応するためと考えられています。

日本は本来、主食を米とし、タンパク質は肉より魚という生活でした。しかし、欧米の食文化が浸透したことで、現代の日本人は油や肉、糖分の摂取量が増加し、野菜の摂取量が減少しています。それが、クローン病の患者数増加につながっている可能性があるといわれています。実際のところ、クローン病は日本よりも欧米に患者数が多いという特徴があります。

クローン病の治療の一環である成分栄養療法では、タンパク質と脂質を含まない成分栄養剤を摂るようにします。ですから、クローン病の予防方法として油やタンパク質を摂りすぎないようにする食生活はおすすめです。何より、高カロリーな食事が続くのは腸に負担をかけるだけでなく、あらゆる病気の発症につながってしまいます。栄養バランスは偏りのないようにし、お酒の飲み過ぎにも注意しましょう。

腸内環境の変化
腸内環境は先にお話した食生活に大きく関係しています。私たちの腸の中には、1,000種類に近い細菌が100兆個もいるといわれています。クローン病の患者さんでは、腸内細菌の様子が健康な人と異なる様子になっていることが分かっています。そのため、乳酸菌を含む食材や、乳酸菌をはじめ善玉菌のえさとなるオリゴ糖を食生活に取り入れるのも、クローン病の予防の一環として行ってみるのもいいですね。

衛生仮説
衛生仮説、という言葉は馴染みがないかと思います。この衛生仮説とは、「衛生環境が良くなりすぎること」がクローン病の増加に関係しているのではないか、という説です。
人は、胎児の間はまだ体内に細菌を持っていません。生まれてすぐあらゆる細菌のある環境の中で生活するようになると、いろいろな細菌が人の体で共存するようになっていきます。

しかし、現代のように「除菌・殺菌」が行きすぎてしまうと、幼いうちに良い腸内環境が作れない、作りにくいとされているのです。腸は大切な免疫器官ですし、クローン病は最終的に異常な免疫反応が起こることで発症します。ですから、過剰に衛生環境を求める生活をしないということも大切、と考えることができるのです。

ストレスの多い生活
クローン病を発症する人は10代から30代前半の若い世代に多くみられます。この時期は学業や就職、仕事、そして結婚など、その人の人生において環境が大きく変わります。ストレスには良いストレスと悪いストレスがありますが、生活していく中で悪いストレスにうまく対処できないと、心身共に負担がかかってしまいます。ストレスの多い生活と、それによる心身の負担は、ゆくゆく免疫機能に影響を与えてしまう可能性があるのです。

ストレスのない生活というのは非現実的。ですから、普段から気分転換を図ったりリフレッシュできる自分なりの対処法を見つけておいたりすることが大切です。

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クローン病と遺伝子の関係

クローン病を発症する要因として、遺伝子の関わりも指摘されています。クローン病では、さまざまな遺伝子がその働きに異常を生じるという報告があります。
また、クローン病の方と血縁関係にある人では、クローン病にかかる確率が上がると考えられています。

しかし、クローン病は一定の「かかりやすい体質」を持っていて、そこにさまざまな要因が絡んでくることで免疫異常を起こし、発症すると考えられてきています。ですから、遺伝病というわけではありません。

普段から自分の体に興味を持つ

クローン病はさまざまな因子が関わって発症する病気です。もちろんそれらの因子を避けることも大切ですが、普段から自分の体をよく知っておかないと、何かしら体調の変化が現れても、なかなか気づくことができません。

クローン病は早期に治療を開始することが重要です。普段から体調管理を意識して、健康的な生活を送ること、そして自分の体をよく知っておくことがクローン病を遠ざける、クローン病の予防方法の1つにもなり得るでしょう。

まとめ

クローン病の予防方法はまだ確立されていません。しかし、クローン病の発症に関与しているとされる因子はいくつかわかってきています。クローン病の予防方法として期待できるものは、食生活や腸内環境、衛生環境、そしてストレス対処への工夫です。普段から自分の体をよく知っておくことも大切です。

クローン病に良い食事に関する詳しい解説はこちら

炎症性腸疾患のクローン病は、活動期に入ると栄養状態が悪くなってしまう傾向があります。クローン病は長く付き合っていくことになる病気です。クローン病の良い食事とはどのようなものなのか、制限が必要なポイント、病気の状態によって気をつけたいことを中心にご紹介します。

クローン病の良い食事について

参考文献・サイト:
羊土社 日比紀文監修 チーム医療につなげる!IBD診療ビジュアルテキスト
参考サイト1参考サイト2参考サイト3
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