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クローン病の関連情報、治験に関する最近の動きなど

わが国ではかなり稀な病気とされていたクローン病ですが、年々増加の一途をたどっています。今後も患者数は増え続けると予想されており、一日でも早くこの病気解明され、治療法が確立されることが課題となっています。

近年の医学の発展により、クローン病や潰瘍性大腸炎が該当する炎症性腸疾患についてわかってきたことも増えました。そして、効果的な治療薬や治療法も出てきました。

そこで今回は、クローン病にとってより効果的な治療薬・治療法を見つけるために欠かせない治験のこと、そして治験の最近の動きについてまとめました。
  1. 治験とはどのようなもの
  2. 治験は第1相から第3相までの3段階
  3. クローン病の治験
  4. クローン病について知りたいときには
  5. クローン病の患者会に参加して情報を共有する
  6. まとめ
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治験とはどのようなもの

世の中に存在する生き物(植物や動物、菌など)には、病気の治療に役立つ物質が含まれていることがあります。また、薬のもとになりそうな物質を人工的に合成し薬になりそうかどうか研究することもあります。

もし、薬として人の病気に使えそうなものが見つかった場合、さらに研究を重ね、それから動物に対する効果と安全性を確かめます。最終的には人に対する効果と安全性を調査・確認し、国の承認を得られた場合には新薬として世の中に出てくることになります。

治験を行う医療機関は、治験の内容を国に届けなければなりません。治験の内容を調査するのは厚生労働省です。そして、治験審査委員会で治験についての審査が行われます。
治験は、以下の内容についての説明ですべて同意を得られた患者さんだけに行うことができます。

  • 治験の目的
  • 治験の方法
  • どのような効果が期待されるか
  • 考えられる副作用
  • 治験に参加しない場合に受けられる治療

治験は第1相から第3相までの3段階

治験は第1相から第3相と3つに分かれています。どのように行われていくのかみていきましょう。

第1相
対象者は健康な人です。薬の安全性、体内における薬の変化と排泄されるまでについて調べます。

第2相
対象者は患者さんです。少数の患者さんに治験をお願いし、効果と安全性に関する試験と薬の使用量を決めるための試験をします。

第3相
対象者を多数の患者さんにまで広げ、効果と安全性を比較します。似たような薬との比較を、もしくはプラセボといって試験中の薬と全く同じ様子にしながらも薬の成分をまったく含んでいないものと比較します。

クローン病の治験

クローン病の治験については、2017年9月に兵庫以下大学病院と北海道大学病院が世界で初めての治験を行うとして、厚生労働省に治験届けを出しています。
その治験は「羊膜間葉系幹細胞によるクローン病及び急性移植性対宿主病に対する第1/第2相医師主導治験」というもので、胎児と羊水を包んでいる羊膜の免疫調整作用に注目したものです。製薬会社

急性移植性対宿主病(GVHD)というのは、血液の悪性疾患の治療法で行う造血幹細胞移植で起こる副作用です。GVHDに対しては骨髄間葉系幹細胞由来のものはすでに実用化されています。しかし、間葉系幹細胞を骨髄から採取するよりも羊膜から採取した方がより多くのメリットがあることがわかっています。

羊膜間葉系幹細胞を選択するメリットは、拒絶反応が少ないこと、医療廃棄物となる羊膜を利用することでドナーの安全性が高くコストも抑えられること、培養しやすいことなどです。

この治験はクローン病だけでなくGVHDも対象です。治療は点滴で静脈内投与となります。2017年11月に開始し2019年度で終了です。その後は次の段階の治験を行い、製造販売の承認取得を目指すとのことです。

クローン病の治験の対象条件は以下の2つを満たすこととなります。

  • 今までの治療効果が不十分でない方
  • 中等症かつ活動期であること
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クローン病について知りたいときには

クローン病について知りたいことがあるときには、通院先の医師や看護師に聞いて見るのが一番ですが、限られた時間の中ではなかなか難しいこともありますよね。

最近はいろいろなメディアからたくさん情報が出ているので、たとえばここでご覧になってくださっているように、あらかじめインターネットサイトなどで病気に関して知っておくこともできます。
役立つサイトとしては、難病情報センターのサイトやNPO法人 日本炎症性腸疾患協会のサイトがあります。ネットにはあらゆる情報があふれており、中には信頼性に欠けるものもあります。クローン病は、病気にかかってからの期間や症状の様子と程度など人それぞれ異なっています。ですから、情報全てが自分に当てはまるとは限らないことを覚えておきましょう。

クローン病の患者会に参加して情報を共有する

クローン病や潰瘍性大腸炎の方々が交流する炎症性腸疾患(IBD)患者会があります。患者会は、患者さん自身が立ち上げたものもあれば、医療機関が患者さん同士で交流できるようにと発足させたものもあります。

クローン病は一生付き合っている病気ですし、比較的若い年代で発症するため、病気や治療のことだけでなく、病気に向き合いながら学業や仕事との両立、結婚や子どもを持つことなどについて悩んでいる人も多くいます。クローン病の患者に参加すれば、いろいろな方から情報を得ながら、病気との付き合い方についてヒントをもらえることでしょう。

クローン病の患者会について知りたいときには、受診している医療機関で聞いてみるのもいいですし、NPO法人IBDネットワークのサイトから知ることもできます。

まとめ

医学は日々進歩しています。現在は完治できる治療法がないクローン病ですが、効果的な薬も出てきたことで治療の選択肢が増え、病気のコントロールも以前よりできるようになってきました。

病気についての情報も得られやすくなり、病気のことをよく知ることができるようになっています。

治験については、受けることで最新の治療を受けることができます。また、治験中は医療従事者や製薬会社の担当者などから手厚いサポートを受けることができるなど、いろいろなメリットがあります。しかし、承認前の薬という不安もありますし、プラセボ群であった場合には効果が得られません(プラセボになるかどうかは選べません)。

もし治験に興味がある場合には、治験コーディネーターから納得行くまで説明を聞き、ご家族とよく相談して決めることをお勧めします。

クローン病の基本情報についての詳しい解説はこちら

クローン病は、現在はまだ原因がはっきり解明されておらず、完治できる治療法もありませんので、国から難病として指定されています。クローン病とはどのような病気なのか、症状や治療法などについてクローン病の基本情報を詳しくご紹介します。

クローン病に関する基本情報

参考文献・サイト:
参考サイト1参考サイト2参考サイト3参考サイト4参考サイト5
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