
クローン病の医療費助成について
慢性の病気であるクローン病は、まだ完全にわかっていない部分があるため、完治ではなく、症状を落ち着かせる寛解導入と寛解状態をできるだけ長く継続させていく寛解維持療法を行なっていきます。
クローン病は難病指定されている病気であり、治療は一生の付き合いになるため、国が医療費の助成を行なっています。助成が受けられるためには一定の基準がありますが、助成を受けられれば経済的負担は軽くなります。


クローン病の医療費助成、助成が受けられる基準
クローン病の医療費助成は、一定の診断基準を満たす方や軽症でも医療費が一定の金額よりもかかっている場合に適応となり、自治体の保健所などで申請をすることで助成金を受け取ることができます。
しかし、制度の改正によって2018年から認定の要件や入院時の食費自己負担額、毎月の自己負担上限額が変わることになっています。
クローン病では、まずクローン病の診断を受けるとともに重症度分類の中等症以上であることが医療費助成を受けられる条件となります。軽症の場合には、1年間のうちで医療費総額が33,330円を超える月が3回以上あることが条件となります。
クローン病の医療費助成、自己負担額について
クローン病の医療費助成は、市町村民税の額を6段階に分けてその段階によって自己負担の額に上限をもうけています。この上限額については、一般と18歳未満の小児で異なります。
階級区分と、階級区分の基準は以下のようになります。
- 生活保護
- 低所得Ⅰ:市町村民税が非課税(世帯)で本人(世帯)の年収が80万円まで
- 低所得Ⅱ:市町村民税が非課税(世帯)で本人(世帯)の年収が80万円以上
- 一般所得Ⅰ:市町村民税が7.1万円未満
- 一般所得Ⅱ:市町村民税が7.1万円以上25.1万円未満
- 上位所得:市町村民税が25.1万円以上
階級区分ごとの自己負担額については以下のようになります。
- 生活保護:自己負担なし
- 低所得Ⅰ:2,500円
- 低所得Ⅱ:5,000円
- 一般所得Ⅰ:10,000円
- 一般所得Ⅱ:20,000円
- 上位所得:30,000円
クローン病の治療においては、その全てが保険適応内ではなく、新しく開発された薬や一部の治療方法については保険適応外のものもあります。これらの治療では自費負担となるため、医療費が高額になります。
そこで、医療費が高額かつ長期になる患者さんにおいては、自己負担額が減額されて、自己負担額が次のようになります。高額かつ長期とは、月ごとの医療費負担総額が5万円を超える月が年間に6回以上あるということです。生活保護、低所得Ⅰ、低所得Ⅱに該当する方は変わりません。
- 一般所得Ⅰ:5,000円
- 一般所得Ⅱ:10,000円
- 上位所得:20,000円
もし入院中に人工呼吸器などを使った場合には自己負担額がさらに軽減され、どの所得階級でも1,000円になります。
入院中の食費自己負担額については、これまで食費の1/2が負担となっていましたが、2018年からは全額自己負担となります。
2017年年現在は難病の医療費助成は新制度への移行期間となっていますので、2014年までにクローン病の医療費助成の認定を受けた方の場合は、自己負担は旧制度に従います。
では、実際にクローン病で医療費の助成を申請するためには何を準備し、どのような手続きをすればよいのでしょうか。ここからは申請の流れについてお話しします。

クローン病の医療費助成、申請のしかた
必要書類
- 支給認定申請書
各都道府県のホームページよりダウンロードできます
最寄りの保健所でもらうこともできます - 臨床調査個人票
都道府県から指定を受けた難病指定医のみが記入できます - 健康保険証のコピー
- 同意書
- 世帯全員の住民票の写し
- 市民税県民税課税証明書
など
必要書類は自治体によって異なる場合がありますので、詳細については、各自治体に問い合わせるか、受診している医療機関の相談窓口でお尋ねください。
クローン病の医療費助成、申請後のながれ
クローン病の医療費助成を受けるために決められた機関に申請した場合、認定が決定するまでは2,3ヶ月程度かかります。申請から認定までの期間は自治体によって異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
認定された患者さんの元には、医療受給者証が交付されます。認定期間は原則1年ですので、医療受給者証に定められた期限内に更新の申請を行う必要があります。事情がある場合には、更新期限が1年3ヶ月まで延長可能です。
まとめ
クローン病をはじめ、難病の医療費助成を受けるためには一定の基準を満たす必要があります。自己負担額においても市町村民税の額によって異なりますのでしっかり確認しておきましょう。
申請から認定されるまでには少し時間がかかりますが、実際に認定されれば書類が提出された日までさかのぼって助成を受けることができます。
ここでは難病医療費助成制度についてお話ししましたが、クローン病の方が利用できる制度はほかにもあります。制度や社会サービスを上手に利用してクローン病とじょうずに付き合っていきましょう。

慢性疾患のクローン病は、克服できる治療法が生まれない限り、一生付き合っていかなければなりません。そこで、クローン病とうまく付き合っていくためのポイントをご紹介します。