月経困難症とは?
まず、月経困難症とは何かということですが、簡単に言えば「生理痛」のことです。生理の時に、さまざま症状を呈するものであり、女性ごとに発症する症状とその度合が異なります。
2種類の月経困難症
月経困難症には、大きく分けると「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2つの分類があります。
機能性月経困難症
機能性月経困難症は、原因が明確ではない月経困難症です。未知の病気というわけではなく、病気を原因としていない月経困難症のことを機能性月経困難症と言います。月経困難症の大半はこれに分類されます。
子宮を収縮させる「プロスタグランジン」が過剰に分泌されることで、子宮収縮に伴う下腹部痛やそれに付随するさまざまな症状を呈します。この分泌の程度が女性ごとに異なるので、生理痛に軽い重いの差が生じるのです。
器質性月経困難症
器質性月経困難症は、その症状の原因が何らかの病気である場合に分類されます。月経困難症全体から見ればまれなケースではありますが、子宮筋腫や子宮内膜症などの身近な病気を原因としています。原因疾患を治療しない限り、月経困難症の症状も改善しないことが多いです。
月経困難症の症状
下腹部痛
ひどい下腹部痛は、月経困難症の代表的な症状です。これは、プロスタグランジンが子宮を収縮することによる内蔵痛です。
吐き気・下痢
また、プロスタグランジンは胃や腸を収縮させる働きをします。これにより、胃の収縮で腹痛や吐き気、腸の収縮で下痢の症状を呈することがあります。
腰痛
生理の時には、「骨盤」が最大まで開いている状態になります。これによって腰痛が発生します。また、骨盤に歪みがあると、骨盤が開く際に痛みが生じることがあります。
頭痛
下腹部痛がメインとなる月経困難症ではイメージが難しい症状ですが、月経困難症では頭痛に悩まされる事があります。これは、女性ホルモンが急激に変化することで脳内の血管が収縮と拡張を起こし、頭痛を起こすものです。
発熱
月経困難症では、発熱を起こすことがあります。これは、血行が悪くなることで生じるパターンと、器質性月経困難症における基礎疾患により引き起こされるパターンがあります。
その他、さまざまな症状が考えられる
上記で挙げた以外にも、月経困難症の際にはさまざまな症状が発生すると考えられます。プロスタグランジンの分泌量やそもそもの体質の問題など、月経困難症を取り巻くさまざまな条件により発生する症状とその程度が女性ごとに異なります。
月経困難症の対処法は?
対処が必要なほどの月経困難症は以下をチェック
前述の通り、生理痛自体は全ての女性に関わる内容です。しかし、対処が必要な月経困難症は日常生活に重大な悪影響を及ぼし、事故などで命に関わる可能性も否定できません。以下の内容をチェックし、当てはまる項目が多ければ病院で診てもらう必要があります。
月経困難症セルフチェック
- 生理の時に生活に支障が出るほどの痛みなどの症状がある
- 痛みなどの症状で起き上がれないことがある
- 痛みは、痛み止めが欠かせないほどである
- 痛み止めが十分に効果を発揮しないことがある
- 生理痛の症状が徐々に重くなっている
- 排便痛がある
- 性行為時に原因不明の痛みがある
- 頭痛や吐き気があり、食欲が低下する
- 生理の時以外でも症状がある
- 生理出血が多い
- 生理の期間が長いと感じる
婦人科を受診
まず第一に考えることは、婦人科を受診することです。月経困難症は対処可能な症状であり、生理痛という多くの女性が経験する症状とは言え、放置することは得策ではありません。きちんと対処して症状を改善しましょう。
また、診断の結果、何らかの病気が見つかることがあります。月経困難症の診断基準は、問診や内診、尿や血液の検査、超音波検査などを経て、結果として器質性月経困難症が疑われる場合にはCT検査などを用いて疾患を発見します。
月経困難症の治療
月経困難症であると診断された場合、治療法は以下のとおりです。
鎮痛薬による対症療法
機能性月経困難症の場合で症状が軽度の場合、痛みに対する対症療法として鎮痛薬を使用することが多いです。根本的な治療法とはなりませんが、生活態度を見直すなどして対応し、改善するまでの間は鎮痛薬で対処します。
漢方薬
月経困難症に対しては、漢方薬が有効な場合があります。個人の体質により使い分けられ、その選択肢としては「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」「加味逍遥散」などの漢方が使用されます。
重度の場合はピルを使用
月経困難症が重度の場合、鎮痛薬や漢方では対処できないことがあります。その場合、ピルを使用することで月経量が減り、月経困難症の症状が緩和することが多いです。また、一部の器質性月経困難症に対しても有効です。
器質性月経困難症の場合は原因疾患の治療を
器質性月経困難症の場合、子宮内膜症や子宮筋腫などの原因疾患を治療しないと症状が改善せず、原因疾患の進行により月経困難症の症状も重くなることが多いです。手術を必要とすることもあります。
PMSとは?
最後に、「PMS」について解説します。PMSは「月経前症候群」という症状であり、文字通り月経の前の段階で現れる症状の総称です。
PMSの症状
PMSもまた、女性によって発生する症状とその程度は異なります。心身の症状合わせると、実に200以上の症状が考えられます。
まとめ
月経困難症は、女性の体質によってその症状の現れ方は大きく異なります。年齢とともに体質が変化し、今まで月経困難症に悩んだことのない女性でも急に月経困難症の症状に苦しめられることもあります。
生理痛という、どの女性でも通る道ではありますが、対処できないというわけではありません。むしろお薬などの力で簡単に対処できることもあり、ちょっと医療機関を受診するだけで劇的に改善できることもあります。まずはお近くの婦人科や医療機関を受診し、月経困難症の治療を開始してください。
月経困難症 症状別のセルフチェックに関する基本情報を掲載しています。症状の重さやどういったことが診断の基準レベルになるのか。生理・生理前アプリや内膜症に関連する病気。まとめた情報を紹介しています。
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女性には、男性には見られない特有の病気・症状が数多く存在します。「月経困難症」という症状もその一つですが、世の中の多くの女性がこれに悩まされています。
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