疫学データ

月経困難症の疫学データについて

月経困難症 疫学データ発熱・診断書に関連する基本情報。チェックシート。働く女性の増加に伴い、病気との付き合い方、イライラの仕組みなどさまざまなデータをご紹介しています。
  1. はじめに
  2. 増加傾向にある月経困難症の患者数
  3. 月経困難症の自己診断
  4. 月経でイライラしてしまうのは何故?
  5. 働く女性の増加と月経困難症
  6. まとめ
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はじめに

月経に伴う体調不良やお腹の痛みに悩む女性が増えています。思い当たる症状があれば、月経困難症である可能性を疑いましょう。毎月悩まされているものの、産婦人科や婦人科で診察を受けることを先延ばしにしていませんか?

なかなか休みが取れず病院へ行く時間が作れなかったり、鎮痛剤で痛みを抑えたりして、気が付けば何年も経過しているケースが少なくないようです。

月経困難症の診断を先延ばしにすると場合、体にはどのようなリスクがあるのでしょうか。月経困難症の診断を受けた場合にはどのような治療方法があるのか、さらには妊娠への影響も気になるところですよね。

病院での診察が重要であることは言うまでもありません。チェックシートで自己診断を行い、自分の体と向き合ってみましょう。

増加傾向にある月経困難症の患者数

日本人女性のうち、月経困難症に悩んでいる人はどのくらいいるのでしょうか?

子宮内膜症啓発会議(JECIE)の調査をもとに見ていきましょう。まずは2004年に行われた「働く女性の健康に関する実態調査(女性労働協会調査)」にさかのぼります。
その当時は月経痛を抱える女性のうち、月経困難症と思われる人はおよそ37.7パーセントの割合でした。具体的には、2079万人に対して783万人という人数です。
その後10年の間に月経困難症の患者は増加して800万人を超え、その割合は38.4パーセントになりました。
この10年で日本は、女性の社会進出が大きく拡大しました。月経困難症の患者が増加したことに、女性の社会進出が大きく関わっていると考えられています。

病院の診断において、月経困難症は2つに分けて分類されます。

そのひとつが「機能性月経困難症」、もうひとつが「器質性月経困難症」です。2つのうち、「機能性月経困難症」との診断を受ける人の割合の方が高いといわれています。

機能性月経困難症とは、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気がもとで不調が起きているケースです。この場合は、病気を根本から治療する必要があります。

月経困難症の自己診断

では、チェックシートを使って自己診断を行ってみましょう。

★月経困難症チェックシート★

  • 月経痛の時は鎮痛剤が必ず必要である。
  • 過去に比べて月経痛が増している。
  • 月経の期間でなくても腹痛や腰痛がある。
  • 月経の時に発熱することが多い。
  • 市販の鎮痛剤を飲んでも月経痛がおさまらないことが多い。
  • 月経中は吐き気がする。

月経の症状で上記の項目に当てはまるものはいくつありましたか?

実は、これらの項目のうち1つでも該当するものがあれば医療機関での診察を受けた方が良いとされています。

例えば、月経の時に発熱をする人は、子宮内膜症やクラミジア感染症の可能性が考えられます。なかには月経の時に血行が悪くなることで発熱をするケースもあります。どちらであれ、改善させるためには早期に診断を受けて医師からの指示に従いましょう。

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月経でイライラしてしまうのは何故?

月経の時に落ち込んだり、イライラしてしまったり、なんとなく気持ちが不安定になった経験はありませんか?実は、このことはすでに原因が特定されていて、脳にある“セロトニン”という成分によるものだといわれています。セロトニンは気持ちを安定的に保つはたらきを持っています。人にとっては月経の時期になるとセロトニンが減少し、自律神経が乱れてしまうのです。

月経の時期に気持ちが不安定になりやすい人のなかには、自分を責めてしまうこともあったかもしれませんね。感情的になってしまったとしても、それは脳内伝達物質がさせているのだということを理解しましょう。

そして、自分に限らずほかの女性もそのような症状に悩まされています。セロトニンの減少は偏頭痛や腰痛を引き起こすこともあるので、そういう時には無理をしないように気を付けましょう。

働く女性の増加と月経困難症

仕事などで多忙な女性は、月経の激しい痛みや不調があっても鎮痛剤で抑えてごまかしてしまう人が少なくないようです。月経に関する治療は産婦人科や婦人科で行われています。とはいえ、風邪をひいた時に通う内科などとは違い、それらの診療科での診察に不安を感じる人も多いでしょう。そのため、近年では定期健康診断の項目に婦人科の内容を加えるところも出てきています。

総務省統計局が2012年に、月経困難症の患者に関する調査を行いました。推定800万人の患者のうち医療機関で診察を受けている人の割合はわずか10パーセントという結果が出ています。この数字から、多くの女性が診察を受けないまま月経困難症を抱えていることが分かります。

月経は女性だけに起こるものなので、男性からの理解を得づらいという特徴があります。貧血や腹痛の症状があっても、上司や同僚の男性には伝えることを戸惑う人も多いでしょう。労働基準法においては、月経時期に勤務が困難なときには休んで良いことになっています。

とはいえ、診断書の提出が必要となった場合、月経による不調であることを職場に伝える必要が出てきますね。働く女性がそれらのことに戸惑いやきまずさを感じるからこそ、我慢したり放置したりする人が多いのでしょう。

月経に苦しむ女性を増やさないため、月経による不調を悪化させないためには、職場や社会の理解を今以上に高めていく必要があります。

まとめ

女性の社会進出が拡大するにつれて、月経困難症の増加が深刻になっています。厚生労働省は財団法人女性労働協会への委託事業において「働く女性の身体と心を考える委員会」を設置しました。

この組織のもとで「女性の健康に関する実態調査」が定期的に行われています。月経困難症に限らず、病気の治療は早い時期に行うことが改善への近道です。

将来の自分が健康であるために、診断や治療を受けるタイミングを先延ばしにしないようにしましょう。そして、自分自身の体を守ることももちろん、周りの女性や社会のためにも、これらの病気に関して理解を深めておくことが重要なのです。

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