近年の日本では月経困難症に悩む女性が増えています。その背景には、女性の社会進出が進み多忙になったり食生活が不規則になったりする人が増えていることが挙げられます。栄養が偏り血行が悪くなると、体が月経をうまくコントロールできなくなると考えられています。
忙しくて休む時間が無いと、月経困難症の可能性を感じても診察の機会を逃してしまします。
とはいえ、月経とはどの女性にとっても非常にデリケートなテーマです。月経について悩みがあったとしても、人に打ち明けるには少なからず抵抗を感じませんか?
pmsとは?気になる診断基準やその症状
生理前に感じる不調のことを、近年ではpmsと呼ぶようになりました。pmsとは“月経前症候群”や“月経前困難症”とも呼ばれる、月経が始まる前の期間に起こる体調不良です。
月経の期間がしんどいうえに、月経前まで体調不良が起きてしまっては、ますます憂鬱になってしまいます。しかもゼリア新薬株式会社が提供している情報によれば、pmsが女性の体にもたらす不調は200種類にも及ぶといわれています。
- イライラする。
- 集中できない。
- 四六時中、眠気がおさまらない。
- 体が疲れていても眠れなくなってしまう。
- 乳房が張ったり、痛んだりする。
- 頭痛が起きる。
- 肌が荒れる。
- ニキビができる。
これだけ症状が幅広いと、pmsの診断基準は病院でどう判断されるのかが気になりますね。ポイントとなるのは、これらの症状が現れる時期がいつか、ということです。pmsであれば、平均的に月経が始まる14日前から不調が始まるといわれています。そして、月経の開始と同時にその不調がおさまるのです。
pmsかどうかの診察を受けるために病院へ行くのであれば、あらかじめ自分に体調不良が起こるリズムを記録しておくと良いでしょう。医師に相談をするうえでそのようなデータがあれば、スムーズに治療の道筋を立てることに役立つはずです。そして、症状を改善させる薬を処方してもらうためにも有効な材料になります。
月経痛を抑える効果のある、避妊器具ミレーナ
ミレーナとは、2007年から日本で使用されるようになった子宮内避妊器具です。その名前の通り、もともとは妊娠を希望しない女性のために使われていました。“リング”とも呼ばれていて、2014年からは保険適用となっています。何故その年に保険適用へ変わったのかというと、ミレーナには過多月経と月経困難症への効果が認められたからです。ミレーナを体内に挿入すると子宮内膜を薄くし、そのことにより月経痛を抑えることが出来るのです。
器具を体に挿入してから、最長で5年ほど効果が続くと言われています。低用量ピルのように、毎日薬を飲むことを面倒だと感じる人には向いているかもしれません。
一方で、「体に器具を入れる」ということに、抵抗を感じる人も少なくないでしょう。不正出血や下腹部痛、腰痛などの副作用が出る場合もあるので、そのこともあらかじめ理解しておく必要があります。
さらに、ミレーナの使用には事前にさまざまな検査を行う必要があります。
万が一、子宮や卵巣に病気がある場合には挿入できない可能性があるからです。具体的には、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が無いかをチェックしていきます。検査の種類は、子宮頸がん検診、エコー、性感染症の検査など複数あり、念入りに行われます。検査ももちろん、医師との間で慎重に相談を進めていくことが重要です。
まとめ
pmsについても、ミレーナについても、まだまだ広く認知されていない情報が多くあります。女性同士の会話でも、なかなかこのようなテーマは出てこないのではないでしょうか。月経についてはデリケートなテーマであることは言うまでもありません。女性のみに起こることですから、男性の理解を得ることも非常にむずかしいですね。
とはいえ、月経は基本的に月1度のペースでやってきます。pmsの症状もあれば、1ヵ月のうち半分以上は体調の悪いまま過ごすことになってしまいます。日々を憂鬱な気持ちのまま過ごしていたくはないですよね。女性の体に関する正しい知識を持ち、時には医師のちからを借りることが重要です。
そして、月経前も月経中も、少しでも快適に過ごせるよう自分の体と向き合っていきましょう。
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