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月経困難症の関連情報(基本情報、治験、患者会や参考サイトなど)

毎月やってくる月経の痛みに悩まされていませんか?近年では月経前に不調が起きる“pms(月経前症候群)”や月経の期間に体調が悪くなる“月経困難症”に苦しむ女性が増えています。不調があっても「生理痛で苦しんでいるのは自分だけではないし、病気ではないから」と、病院での診察を受けない人も多いでしょう。

しかしその痛みは、もしかしたら体からの重要なサインかもしれません。なかにはその症状から子宮筋腫や子宮内膜症の発見につながるケースもあるのです。

体が発信しているサインを見過ごしてしまわないためにも、月経困難症に関する知識を身に付けておきましょう。
  1. 月経困難症の症状と定義
  2. 2つに分けられている月経困難症
  3. 月経困難症の診断基準
  4. どんな治療薬がある?漢方の特徴
  5. どういう痛みだと危険?月経困難症のチェックポイント
  6. 手術で治す方法と、妊娠への影響
  7. 月経困難症対策に役立つ団体やサイト
  8. まとめ
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月経困難症の症状と定義

「生理が苦しい」というと、お腹の痛みを想像する人が多いのではないでしょうか。
しかし、実際には腹痛だけでなく体のあちこちに不調が生じます。具体的に月経困難症の症状とされているものを挙げてみます。

  • 腹痛
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 貧血・めまい
  • 背中や腰の痛み
  • 倦怠感

この通り、月経困難症がもたらす不調は多岐に渡ります。これらの症状が重くなり、日常生活に支障が出るレベルのものが“月経困難症”と呼ばれます。

2つに分けられている月経困難症

月経困難症は2つに分けて考えられています。それぞれの特徴は下記の通りです。

機能性(原発性)月経困難症
月経困難症のなかで割合が高い。プロスタグランジンの過剰分泌が原因だと考えられている。病気といえるものが無い状態で症状が起きているケース。

器質性(続発性)月経困難症
月経困難症のなかで割合は低い。子宮筋腫や子宮内膜症により症状が出ているケース。

月経による不調に悩まされているのであれば病院で検査をして、まずはこの2つのうちどちらであるのか診断を受けることが必要です。

月経困難症の診断基準

では、月経困難症を診断するにはどのような検査を行うのでしょうか。
  • 問診
  • 内診
  • 尿検査
  • 血液検査
  • 血圧測定
  • 超音波検査
  • MRI検査
  • CT検査

これらの検査のうち、①の問診においては月経に関する数ヵ月間の情報があると有効です。月経にかかった日数や、そのうち何日くらい痛みが続いたか、あらかじめ記録しておくと医師が診断する材料になります。

どんな治療薬がある?漢方の特徴

2つに分けられている月経困難症のうち、病気に直結しない「機能性(原発性)月経困難症」は多くの場合で鎮痛剤を処方されます。そのほか、体内で生成されるプロスタグランジンを抑制する薬を服用する場合もあります。

そのほか近年では月経困難症の治療にピルを服用する人も増えています。もともとピルは避妊のための薬として知られていましたが、治療のために使われることもあるのです。ピルに関しは、高血圧の人だと服用ができない場合もあるので、その場合は必ず医師に相談しましょう。

漢方の場合、月経困難症は基本的に「血行不良」および「血液の不足」に原因があると考えられています。そのため、血液に関する異常を改善していくことを目的に治療が進められていきます。

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どういう痛みだと危険?月経困難症のチェックポイント

月経による不調に悩まされていても、なかなか病院へ行くことをためらってしまう人も多いはずです。では実際には月経の時にどのような不調だと危険信号なのか、自己診断をしてみましょう。
月経困難症のチェックポイントをご紹介します。

★年々、月経のたびに痛みが強くなっている。
★月経過多である。
★月経中に痛みが長く続く。
★20代後半から30代前半くらいから症状が起きている。
☆月経前から痛みが始まる。
☆月経の初日と翌日くらいまでで痛みがおさまる。

こちらに挙げた5つの項目のうち、「★」で示した4つの症状に該当する場合は要注意です。何故なら、「★」の4つは、病気につながる症状である「器質性(続発性)月経困難症」の特徴的な症状だからです。

一方、「☆」で挙げた症状は20代の女性に多く見らえます。こちらの場合は機能性(原発性)月経困難症とされ、病気へつながる割合は高くありません。とはいえ、自己診断だけで判断ができるものではないので、症状が重い場合には医師に相談した方が良いでしょう。

手術で治す方法と、妊娠への影響

では、月経困難症を手術で治すことは可能なのでしょうか?2つに分けた月経困難症のうち「機能性(原発性)月経困難症」においては、手術により痛みを軽減するという方法があります。

月経の時、体の中で「仙骨子宮靭帯(せんこつしきゅうじんたい)」という部分が痛みを感じています。これは、仙骨子宮靭帯に知覚神経があることが理由です。そこで、この部分を手術することにより、月経の痛みを感じにくくする方法があるのです。

そのほか、「器質性(続発性)月経困難症」の場合は子宮筋腫や子宮内膜症が原因であると考えられています。その場合は、それらの病気に対して手術を行うことがあります。

次に、妊娠への影響について確認していきましょう。

月経の痛みが強い人は「もしかしたら妊娠しにくい体質かも?」と不安に思うかもしれませんね。しかし実際に、痛みが強い人ほど妊娠しづらいことはないようです。

しかし、その痛みの原因が子宮筋腫、子宮腺筋症、骨盤内腹膜炎だった場合は、それらの病気が不妊症につながる可能性が出てきます。痛みが強い場合は放置せず、原因をつきとめて早期に治療を進めていきましょう。

月経困難症対策に役立つ団体やサイト

最後に、月経困難症に悩んでいる人に知ってもらいたい月経困難症関連の団体やサイトについて紹介します。

◯月経困難症対策関連の団体

月経困難症に関係する団体には、次のようなものが挙げられます。

日本子宮内膜症啓発会議 略称:JECIE(ジェシー)
2012年に設立された団体です。団体名に入っている病名は“子宮内膜症”ですが、団体の目標は「月経困難症・子宮内膜症の産婦人科受診者数を3年で2倍にすること」を掲げています。
具体的な目標のなかには、「受診しやすい産婦人科の環境づくり」があります。それが実現すれば、現在よりも婦人科系の疾患を早期発見できるようになるでしょう。
http://www.jecie.jp/jecie/

NPO法人 女性医療ネットワーク
「女性が心身ともに健康に、美しく生きていくために」というテーマのもとで運営している団体です。
2003年に女性外来で勤務していた医師たちによって設立されました。
産婦人科以外にも、内科、外科、泌尿器科、皮膚科などで女性を対象に診察を行っている医師も参加しています。現在では会員数が500名を超え、女性の健康について考える勉強会が定期的に行われています。
http://www.cnet.gr.jp/

◯月経困難症に関するサイト

月経困難症の症状に悩んでいる時に訪問して欲しいサイトとしては、次のようなものが挙げられます。

漢方のツムラ
婦人科系の疾患に関しては、“治療”というよりも“体質改善”という視点で改善を目指す人も少なくありません。そこで注目されるのが漢方薬の服用です。漢方のツムラでは、西洋医学の考え方と比較しながら病気の改善に向けた提案を行っています。
http://www.tsumura.co.jp/kampo/nayami/gekkeikonnan01.html

クリニック・ミズ・ソフィア
こちらは静岡県浜松市にある医療機関のホームページです。この医療機関で受診する人以外にも、参考になる月経困難症の情報が多く掲載されています。月経困難症について調べたい人にとっては、過多月経やpmsに関する情報もこちらから得ておくと良いでしょう。

子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍のページではそれぞれの特徴や、薬物療法・手術療法について提案されています。
http://www.ms-sophia.net/support/trouble/metrorrhagia.html

◯新薬の開発は行われているの?

月経痛の軽減を目的として、低用量ピルを服用する女性が増えてきました。この薬を服用することにより月経の量が減り、月経痛を軽減させることが出来ます。製薬会社である日本新薬では2013年から月経困難症治療剤として「ルベナル配合錠ULD」の販売を開始しました。ノーベルファーマ株式会社が開発した低用量ピルです。

この薬よりも前に「ルベナル配合錠LD」が販売されていましたが、それよりも副作用の軽減が実現しました。具体的には、動脈血栓ができにくくなったこと、吐き気や頭痛が起きにくくなったことが認められています。

海外に比べると日本では“避妊薬”として見られるピルに対する抵抗が強いようです。とはいえ、月経困難症の軽減には必要な薬です。今回ご紹介した新薬の「ルベナル配合錠ULD」は従来の薬に比べて副作用が少ないものの、不正出血があるという副作用の報告が出ています。

今後も月経困難症に効果をもつ新薬の開発が進み、より副作用の少ない薬が誕生することが期待されます。

まとめ

痛みが強かったとしても、月経の症状をほかの人と比べるのはむずかしいですよね。だからこそ、市販の鎮痛剤で痛みを抑えて病院での診察を受けずにいてしまう女性が多いのではないでしょうか。

しかし実際には妊娠に影響を及ぼすほどの病気が隠れている可能性があるのです。自覚症状があるにも関わらず、病院での診察を躊躇したり、先延ばしにしたりすることにはリスクがあります。将来の自分が健康であるために、月経の時はきちんと体調と向き合って自己管理をしていきましょう。

月経困難症の基本情報についての詳しい解説はこちら

月経困難症とは?月経痛や生理痛に関する基本情報。ホルモンによる原因、子宮筋腫などによる起因の症状など。月経困難症・月経前症候群(PMS)のメカニズムを詳しく解説しています。

月経困難症に関する基本情報

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