
肺がんの治療方法について
肺がんの治療は主に、外科手術、放射線療法、薬物療法(抗がん剤、化学療法)などが行われています。肺がんの進行度や肺がんの種類、がん細胞の大きさや転移の有無によって、実際に行われる治療方法は変わってきます。また、治療を受ける患者さんが、治療法に耐えられる体力があるかどうかも重要になってくるため、治療前には肺がんの検査だけではなく、ほかにも全身の機能などのチェックが必要です。

肺がんの治療‐外科治療(手術)
肺がんの中でも非小細胞肺がんでは、一般的に治療方法として外科治療が(手術)選択されます。胸の皮膚を切開する開胸手術が行われますが、以前は15~20cmほど切開する必要があったのに対し、最近では10cm以下の切開でも手術が可能となっています。

◇外科治療(手術)の副作用・合併症
- 肺炎
- 肺瘻
- 声のかすれ
- 気管支断端瘻
- 傷の痛み
- 痰の増加
- 息切れ
肺がんの治療‐放射線療法
放射線療法とは、がん細胞を死滅させる目的で放射線を体に照射させる治療方法です。肺がんの完治を目的として行われるほか、転移による症状の緩和や、手術ができない場合の治療法としても用いられています。
◇放射線療法の副作用
- かゆみ
- 発疹
- 痛み
- 皮がむける
- 炎症
- 胸やけ
- 痰や咳の増加
- 発熱
- 息切れ

肺がんの治療‐薬物療法(抗がん剤、化学療法)
肺がんにおける薬物療法では、点滴と内服による治療法があります。外科手術でがん細胞を全て取り除くことができない場合や手術前にがん細胞を抑えるために使われます。また、再発の予防としてももちいられており、主にはがん細胞の増殖を抑制するという目的で行われる治療法です。
抗がん剤(化学療法)
抗がん剤(化学療法)は、がん細胞を増殖させるDNA細胞に働きかけてがん細胞が増えるのを抑制させるお薬です。主に小細胞肺がんの場合に用いられる治療法で、外科手術前の非小細胞肺がんや、手術ができない非小細胞肺がんに対しても行われています。
◇抗がん剤(化学療法)の副作用
- 脱毛
- 下痢
- 口内炎
- 吐き気
- 手足のしびれ
- 間隔定価
- 筋肉痛
- 関節痛
- 倦怠感
- 肝機能異常
- 白血球数、血小板数の減少
分子標的薬
がん細胞にくっついているタンパク質だけを狙って攻撃し、細胞の働きを弱めるお薬です。抗がん剤が、がん細胞以外の細胞も攻撃してしまうのに対し、分子標的薬では、特定の細胞のみを狙うことができるため抗がん剤治療よりも副作用が少ないというのが特徴です。
◇分子標的薬の副作用
- 下痢
- 高血圧
- タンパク尿
- 倦怠感
- 出血
- 皮膚や爪の変化
免疫チェックポイント阻害剤
抗がん剤(化学療法)や分子標的薬が、がん細胞を攻撃する薬物なのに対し、免疫チェックポイント阻害剤は、自分が持っている免疫細胞の働きを活性化させる働きがあります。
現在はまだ研究が進められている段階であり、現段階では治療が有効だと認められている場合にのみ使用が可能です。そのため免疫チェックポイント阻害剤の治療を受けるためには、施設要件と医師要件が満たされている医療機関でないといけません。
◇副作用
- 疲労
- 発熱
- 食欲不振
- 皮膚障害
- 肺障害
- 内臓障害(肝臓、胆嚢、膵臓、胃腸、腎臓など)
- 眼障害

肺がん治療の予後(生存率)
肺がんは、早い段階で治療を始めることが大切です。がんのステージが進むほど生存率は高くなるため、肺がんのリスクとなる喫煙習慣をやめて禁煙することが大切です。
肺がん治療における5年生存率
肺がん治療の種類に限らず、すべての治療方法(外科手術、放射線治療、薬物療法ほか)を対象とした時の肺がんステージ別5年生存率は以下のようになっています。
- I期:83.8%
- Ⅱ期:50.1%
- Ⅲ期:22.4%
- Ⅳ期:4.8%
※2017年度集計:全国がん(成人病)センター協議会による調査
まとめ
肺がんの治療は、肺がんのステージや種類によって治療方法が異なります。また、治療を受ける人の体力によっても手術が難しくなったりすることもあります。早い段階で治療に踏み切ることが予後を長くすることに繋がりますが、治療方針については担当の医師としっかり相談して決めましょう。
また、副作用については個人差が大きいものです。治療を受ける前には、副作用についてもしっかりと説明を受け、あらかじめどんな副作用があるかを知っておくことも大切です。
肺がん予防として禁煙することはもちろんですが、肺がんと診断された後でも禁煙することは重要です。特に外科手術を受ける前は禁煙が必要になってくるため少しでも早く喫煙習慣をやめるように心がけましょう。

肺がんの治療にかぎらず、がんの治療は医療費が高額になることもあり、金銭的面でも負担が大きくなります。こうした負担を減らしてくれるのが医療費助成制度です。年齢や所得に応じて給付される金額は異なりますが、自己負担額を減らすことができるので上手に利用していきましょう。