肺がんの医療費助成制度について
肺がんの治療にかぎらず、がんの治療は医療費が高額になることもあり、金銭的面でも負担が大きくなります。こうした負担を減らしてくれるのが医療費助成制度です。年齢や所得に応じて給付される金額は異なりますが、自己負担額を減らすことができるので上手に利用していきましょう。また、肺がんの原因がアスベスト(石綿)の場合に限り医療費助成を受けることができる制度もあります。
- 肺がんで利用できる医療費助成制度とは?
- 肺がんの治療、高額療養費制度を使った場合の自己負担額
- 肺がんの原因がアスベストの場合、石綿(アスベスト)健康被害給付とは?
- 肺がんの治療に健康保険は適用される?
- まとめ
肺がんで利用できる医療費助成制度とは?
医療費助成制度とは、特定の疾患や医療費が高額になった場合、または家庭の事情で支払いが困難な場合などにおいて条件を満たしていれば、国からの支援を受けて医療機関に支払う金額を免除してもらえる制度のことです。
肺がんの場合は、以下のような医療費助成制度を利用できる可能性があります。
- 高額療養費制度
- 石綿(アスベスト)健康被害給付
- 医療費控除
- ひとり親家庭医療費助成制度
また、医療費助成制度以外にも肺がんによって就業が困難になった場合などに生活を保護するための制度もあります。
- 傷病手当金
- 障害年金
- 障害手当金
- 生活保護
傷病手当金や障害年金、障害手当金は、就労している人が働けなくなったり、一定期間の年金を納めているなどの条件があります。傷病手当金と高額療養費制度などは、同時に受給することも可能なため、肺がんによって医療費の支払いだけではなく労働も困難になった場合は、住んでいる地域の自治体窓口で相談してみましょう。
肺がんの治療、高額療養費制度を使った場合の自己負担額
高額療養費制度を使った場合の給付金は、受給する人の年齢や所得によって異なります。これによって、自己負担限度額が異なるので事前に把握しておくことも重要です。
70歳未満の自己負担限度額と所得区分
- 年収1,160万円以上:25万2,600円~
- 年収約770万~年収1,160万円:16万7,400円~
- 年収370万~年収770万円:5万7,600円~
- 年収0~約370万円:3万5,400円~
70歳以上の自己負担限度額と所得区分
- 現役並みの所得:外来4万4,000円、入院8万100円+(医療費の総額‐26万7,000円)×1%
- 市町村住民税非課税者(被保険者およびその被扶養者全員が市町村民税非課税者、かつ所得・年金収入が80万円以下):外来8,000円、入院1万5,000円
- 市町村住民税非課税者(被保険者が市町村民税非課税者):外来8,000円、入院2万4,600円
高額医療費制度の給付対象とならないもの
- 食費
- 居住費
- 差額ベッド代
- 先進医療にかかる費用
高額医療費制度の給付対象は、主に治療に関わるものです。ただし、先進医療に対しては対象外となっています。
肺がんの原因がアスベストの場合、石綿(アスベスト)健康被害給付とは?
生活環境や就労環境によって、アスベスト(石綿)が原因の肺がんを発症してしまった場合、健康被害を受けたということで国から医療費などの救済給付が受けられる制度です。
平成18年3月に法律が施行されてから平成20年12月と平成22年に法律改正があり、「石綿を吸入することによる労働者災害補償法」で補償が受けられない肺がんに対しても救済給付が受けられるようになりました。
給付の対象となる肺がん
- アスベスト(石綿)を吸入したことが原因で発症した肺がん
※医学的判定結果に基づき、環境大臣が認定した肺がんのみが対象
認定基準(基本
- 原発性肺がんであること
- 石綿(アスベスト)ばく量が、肺がん発症のリスクを2倍以上高めたとみなされる肺がん
- 肺がんの原因が石綿(アスベスト)だと判定されたもの
認定検査基準
- 胸部X線検査または胸部CT検査で、胸膜プラークを認める。かつ胸部X線検査、胸部CT検査で肺繊維化所見がある肺がん
- 胸部正面X線画像で明らかな胸膜プラークの陰影があるもの。かつ胸部CT画像においても胸膜プラークが認められるもの
など
石綿(アスベスト)が原因で肺がんを発症した場合、「石綿(アスベスト)健康被害給付」を受けるには、このほかにも細かく検査基準が設けられているため、まずは地方環境事務所や保健所、独立京税法人環境再生保全機構などに相談してみましょう。
肺がんの治療に健康保険は適用される?
がんの治療というと、肺がん治療に限らず高額になるというイメージがり、特に先進医療を使った場合は実際の自己負担額が高額になることも珍しくありません。
しかし、近年は健康保険が適用される肺がんの治療薬や先進医療もあります。まずは、治療を受ける前に健康保険が使えるのか?自己負担額はどのくらいになるのか?などを医師や家族と相談することが大切です。
まとめ
肺がんの治療を受けた場合、自己負担額が高額になった場合はる医療費助成制度を使って、支払額の一部を払い戻ししてもらうことができます。ただ、所得額や年齢によって給付額はことなるのでしっかりと確認しておきましょう。
また、肺がん発症の原因がアスベスト(石綿)にあると認定された場合は、石綿(アスベスト)健康被害給付も受けることができます。給付を受けるためには申請が必要なので、自治体などに相談しましょう。
このほか、肺がんを発症したことに限らず病気や怪我で就労が困難になり、金銭面で通常の日常生活をおくることが難しくなった場合に、生活を保護するための制度もあります。肺がんの治療における医療費控除制度だけではなく、このような制度も上手に利用して肺がんの治療をしていきましょう。
がんの中で肺がんは死亡率トップとなっています。そのため、肺がんと診断を受けると絶望感に襲われてしまう人は多くいます。ここでは、肺がんと上手に付き合っていくにはどんなことに気を付ければいいのか?家族が診断されたときはどうサポートしていくべきなのか?を紹介していきます。