肺がんに関する基本情報
肺がんとはどんな病気?
肺は、右肺(上葉・中葉・下葉)、左肺(上葉・下葉)と左右に1つずつあり、呼吸器系統をつかさどっている器官です。さらに、肺は気管、気管支、肺胞といった組織から成り立っており、これらの臓器または細胞の一部ががん化すると肺がんになります。
がんは、日本人の死亡原因の中で最も高い原因となっていますが、がんの中でも最も罹患率が高いのが肺がんです。厚生労働省が発表したデータによると、2015年の肺がん死亡率は370,346人で、男性ではがんによる死亡率の第1位でした。女性は大腸がんに次いで肺がんの死亡率は2位となっていますが、男女を合わせた全体では肺がんの死亡率が1位であり、日本人にとっては非常に身近な病気といえます。
肺がんの原因
肺がんの原因として喫煙が代表的ですが、根本的な原因は肺細胞の中の遺伝子変異(遺伝子に傷がつくこと)です。タバコを吸うと、肺はタバコに含まれている有害物質から臓器を守るために、活性酸素を大量に発生させることが分かっています。しかし、活性酸素は大量に発生すると遺伝子細胞を切断して損傷を与えるため、喫煙習慣のある人は、肺がんになるリスクが高くなるのです。
肺がんの種類
肺がんは、がん細胞の細胞型によって小細胞肺がんと、それ以外の非小細胞がんの2つに分類されています。
小細胞肺がん
小細胞肺がんは、ほかのがん細胞に比べて比較的細胞が小さいために小細胞肺がんという名前がつけられています。肺がん細胞自体は小さいですが、進行や移転が早く、肺がんの中でも悪性度が高くなっています。
非細胞肺がん
非細胞肺がんは、肺がん組織によってさらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの3つに分類されています。
肺がんでみられる症状
肺がんは、初期段階では症状がほとんどありません。肺がんが進行していくと、咳や息切れ、呼吸困難(息苦しさ)など呼吸系に症状があらわれます。また、体がだるい、食欲不振、発熱、背中の痛み、胸痛、血痰など呼吸器以外の症状もみられるようになります。
肺がんの検査
肺がんの検査は、肺がんが疑われた時に行う一般的な検査と、肺がん診断前の確定検査の2つがあります。さらに、肺がんと診断された後は、治療方針を決めるためにも検査が行われます。
一般的な検査
1)胸部X線検査(胸部レントゲン検査)
健康診断などでも行われており、肺に影がないかを検査します。
2)胸部CT検査
胸部X線検査よりも詳しく検査が可能で、肺がんの疑いがないかを検査します。
3)喀痰細胞診
痰を検査することで、肺がん細胞が混ざっていないかどうかを検査します。
4)腫瘍マーカー(血液検査)
がん細胞から発生する特殊な物質を検査します。肺がんの腫瘍マーカーでは、CEA、SCC、NSE、proGRP、Cyfra21-1を調べます。
確定検査
1)気管支鏡検査
鼻または口から内視鏡を挿入して、気管・気管支の状態を直接確認する検査です。みるだけではなく、細胞の採取も行われます。
2)胸腔鏡検査
麻酔を使って行われる外科的な検査で、数センチの皮膚切開を行って細胞組織の採取を行います。
3)経皮肺生検
肺がんが疑われる箇所に針を刺して、切開せずに細胞を採取する検査です。
肺がん診断後の検査
1)遺伝子検査
採取した肺がん細胞を使って、遺伝子変異を調べる検査です。
2)MRI検査
画像診断で、主に肺がんの転移状態を調べる検査です。磁気を用いるため、ペースメーカーを使用している人など、特定の条件では検査が禁忌となっています。
3)骨シンチグラフィー
肺がん細胞の骨への転移や転移部分を調べる検査です。
4)PET
放射性物質をつかった画像検査で、薬剤を注射した後に画像をみることで全身の転移などを調べる検査です。
肺がんの治療
肺がんの治療には、外科手術、放射線療法、薬物療法があります。肺がんの種類や大きさ、転移の有無など肺がんの進行度によって治療方針が決められます。
外科手術
がん組織の摘出を行う治療で、非小細胞肺がんの治療において中心となっている方法です。
放射線療法
放射線を体に照射することで、がん細胞を死滅させる方法です。このほか、手術が難しい場合の第二選択としての治療や、転移による症状緩和の目的でも行われています。
薬物療法(抗がん剤治療)
主に、がん細胞の増殖を抑制する目的で行われます。外科手術や放射線療法でがんを取り除くことができない場合や、手術前の治療としても使われています。
肺がんの予防
肺がんの一次予防として、厚生労働省からは定期的な肺がん検診(問診、胸部X線検査、喀痰細胞診)を受けることと、喫煙習慣を辞めることの2つが推奨されています。特に、喫煙と肺がんの関係は深い関わりがあり、喫煙習慣によって肺がんの罹患率が高くなることが分かっているため、禁煙による肺がん予防効果は高いといわれています。また、禁煙だけではなく、防煙・分煙などのタバコ対策も肺がん予防につながります。
まとめ
肺がんは、全体のがんの中でも死亡率が高く、肺がんになる前の予防も重要です。特に肺がんは初期症状があらわれにくく、症状が出始めた時には病状が進行していることが多いため、定期的な検診や禁煙による対策が重要となっています。
命にかかわる病気であるため、肺がんを疑う症状がある場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
肺がんは初期の自覚症状が少ないからこそ、セルフチェックで早めにリスクを確かめておくことが大切です。セルフチェックリストを使って、肺がんにかかりやすい環境や生活習慣のチェック、症状のチェックをしていきましょう。
あなたの体験談を他の患者さんが必要としています。
肺は、右肺(上葉・中葉・下葉)、左肺(上葉・下葉)と左右に1つずつあり、呼吸器系統をつかさどっている器官です。さらに、肺は気管、気管支、肺胞といった組織から成り立っており、これらの臓器または細胞の一部ががん化すると肺がんになります。
SearchMyTrialでは、疾患啓発の活動を通じてより多くの方に疾患の理解を深めて頂く事を目指しています。是非、ご協力ください。