• 交通事故の3割にドライバーの意識レベル低下が関与か――日本医大

     救急治療を要する負傷者が発生した交通事故の約3割に、運転中のドライバーの意識レベル低下が関与していた可能性が報告された。日本医科大学千葉北総病院ショック・外傷センターの小田有哉氏(現在の所属は神栖済生会病院)らの研究によるもので、詳細は「Acute Medicine and Surgery」に5月1日掲載された。意識レベル低下と関連する因子としては、過去の単独事故の履歴や高血圧などが有意である一方、年齢や性別は有意でないという。

     自動車運転中の意識レベル低下は、重大な交通事故につながりかねない。商用車に関してはドライバーの健康上の問題による事故が年間300件程度発生しているとの報告があるが、自家用車の事故とドライバーの健康問題の関連はあまり研究されておらず、運転中の意識レベル低下の事故への影響はほとんど分かっていない。そこで小田氏らは、交通事故による外傷のため同センターへ救急搬送されたドライバーを対象に以下の検討を行った。

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     2018年1年間の同センターの受け入れ患者2,721人のうち、自分が運転中の交通事故で搬送された患者の中から、死亡者や事故の詳細が不明の患者を除外し、193人を解析対象とした。ドライブレコーダーの画像、本人や同乗者または目撃者へのインタビューをもとに、58件が運転中の意識レベル低下が関与した事故と判定された。なお、同センターの受療歴があり、意識レベル低下の既往が複数の医師によって確認されている場合もこれに含めた。

     意識レベル低下が関与した事故と関与していない事故とでドライバーを比較すると、年齢や性別、重症度などには有意差がなかった。また、既往症のうち、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患の有病率、および透析患者の割合は群間に有意差がなかった。糖尿病については、意識レベル低下が関与した可能性のある事故のドライバーで有病率がやや高かったが、群間差は統計的有意レベル未満だった(P=0.055)。

     一方、過去の単独事故や、てんかん、高血圧、および精神障害の有病率は、意識レベル低下が関与した可能性のある事故のドライバーの方が有意に高かった。ロジスティック回帰分析の結果、過去の単独事故〔オッズ比(OR)3.59、95%信頼区間1.76~7.34、P<0.001〕、高血圧(OR2.64、同1.13~6.15、P=0.0248)、精神障害(OR3.49、同1.08~11.3、P=0.0370)が有意な因子として抽出された。てんかんについては有意性が消失した。

     なお、ドライバー本人や目撃者の情報および検査所見から意識レベル低下の原因を推測すると、32.8%が居眠り、19.0%が急性アルコール中毒、13.8%が不明で、疾患関連では不整脈10.3%、感染症8.6%、てんかん6.9%などが上位を占めた。

     以上の結果について著者らは、「交通事故の前にドライバーの30.1%が意識レベルの低下を来していた。単独事故の履歴および高血圧と精神障害は、事故につながる意識レベルの低下に関連する因子だった」とまとめている。なお、高血圧と意識レベル低下との関連の背景について、高血圧患者は睡眠時無呼吸を併存していることが多く、その影響が考えられるとしている。また精神障害については、抗精神病薬の副作用の関与の可能性を指摘している。

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    HealthDay News 2021年6月7日
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  • 健康的な食事・運動習慣は人を幸せにする――川崎医大

     健康的な食事・運動習慣を実践している人は幸福感が高いという調査結果が報告された。川崎医科大学健康管理学教室の高尾俊弘氏らが、特定健診受診者を対象に幸福感の調査を実施して明らかになったもので、研究の詳細は「Bio Psycho Social Medicine」に4月1日掲載された。

     食事・運動習慣が、身体的健康の予後と強く相関していることはよく知られている。しかし幸福感との関連についての研究は世界的にも少ない。特に日本国内の非高齢一般住民における、それらの生活習慣と幸福感の関係はほとんど分かっていない。高尾氏らの研究は、この点を明らかにする目的で行われた。

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     研究の対象は、2017年に同大学附属病院で健診を受診した人から、結果に影響を及ぼし得る因子(脳・心血管疾患、慢性腎臓病の既往、高血圧・糖尿病・脂質異常症の薬物療法)が該当する人を除外した2,295人(平均年齢49.3±8.4歳、女性が54.3%)。

     幸福感は世界保健機関による指標(WHO-5)で評価した。これは主観的な幸福感を25点満点でスコア化するもの。本研究では第3四分位数である16点以上を「幸福感が高い」と判定した。食事・運動習慣については、特定健診の問診データを解析に用いた。

     年齢、性別、BMI、睡眠の質の影響を統計学的に調整した結果、食事・運動習慣と幸福感との間に、次のような有意な関連が認められた。

     まず、食習慣については、昼食の時間が20分超の人は10分未満の人に比較し、「幸福感が高い」に該当する割合が高かった〔オッズ比(OR)1.47(95%信頼区間1.03~2.11)〕。以下同様に、塩辛い物を好む人に比較し好まない人はOR2.10 (同1.35~3.25)、夕食を就寝2時間前以降に取る人に比べてそれ以前に取る人はOR1.32(同1.04~1.67)、夕食後の間食が週3回以上の人に比べて3回未満の人はOR1.27(同1.01~1.60)だった。食事を食べる速さや朝食欠食、野菜の摂取頻度は有意な関連がなかった。

     次に、運動習慣については、30分以上の集中的な運動を週に2回以上する人はしない人に比べてOR1.58(同1.24~2.01)、1日の歩行時間が1時間以上の人は1時間未満の人に比べてOR1.29(同1.06~1.58)だった。その他の検討項目である喫煙や飲酒習慣は、「幸福感が高い」に該当する割合との間に有意な関連がなかった。

     また、2016年の特定健診受診時にもWHO-5が評価されていた人については、2年間の食事・運動習慣の変化が幸福感に及ぼす影響も検討された。その結果、30分以上の集中的な運動を週に2回以上2年間継続していた人は、2年間行っていなかった人に比べてOR1.71(同1.24~2.36)、1日1時間以上の歩行を2年間継続していた人は、2年間行っていなかった人に比べてOR1.46(同1.12~1.91)と、「幸福感が高い」に該当する割合が有意に高かった。

     なお、食習慣に関しては、調整因子から睡眠の質を除外し、年齢、性別、BMIで調整した場合、夕食を就寝2時間前に‘取る’から‘取らない’に改善した人は、「幸福感が高い」に該当する割合が有意に高かった。また、2年間ともに就寝2時間前以降に夕食を取らなかった人や、2年間ともに夕食後の間食を週3回以上取らなかった人も、「幸福感が高い」に該当する割合が有意に高かった。

     これらの結果を著者らは、「日本人の非高齢一般住民において、良好な食事および運動習慣の実践が幸福感と関連している実態が明らかになった。特に身体活動に関しては、良好な習慣を継続することが、高い幸福感の維持につながる可能性が示された」とまとめている。

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    HealthDay News 2021年5月24日
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  • 病気による長期休業者の復職と退職の実態は?――J-ECOHスタディ

     国内の大手企業に勤める従業員が病気によって長期休業した後の復職率が明らかになった。国立国際医療研究センターが国内十数社の企業と共同で行っている「職域多施設研究(J-ECOHスタディ)」のデータを解析した結果であり、東京ガス(株)安全健康・福利室の産業医、西浦千尋氏らによる論文が、「Journal of Epidemiology」に3月13日掲載された。

     病気治療のために長期間休業した従業員は、最終的に復職、退職、死亡のいずれかに至るが、その割合や復職・退職までの期間は病気により異なる可能性がある。しかし、国内企業従業員の長期休業者の実態は、これまで詳しく分かっていなかった。西浦氏らは、J-ECOHスタディのデータを用いてこの点を検討した。

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     J-ECOHスタディにはさまざまな業種の大手企業12社が参加し、ヘルスケア関連データが登録されている。今回の検討はこのうち11社に勤務する55歳以下の約8万人の従業員のうち、2012年4月~2014年3月に病気のため連続30日以上休業した1,209人を解析対象とした。なお、妊娠関連疾患の休業者は解析に含まれていない。また休業中に定年に達する可能性がある人を除くため、年齢の上限を55歳とした。調査対象企業群の制度上の上限休業期間は2.5~3.9年(中央値3年)と長期であり、発生した休業を転帰確定まで追跡した。

     調査対象となった長期休業者の平均年齢は40.5歳で、男性が多い企業群で調査したことを反映して男性が82.6%を占めていた。疾患の内訳は、精神疾患が最多で57.5%(うつ病34.6%、適応障害8.9%など)、がん9.3%、外傷8.5%、筋骨格系疾患6.9%、循環器疾患5.3%などだった。

     長期休業者のうち、83.9%は復職し、13.8%は退職、2.2%が死亡していた(追跡打ち切りは1名のみ)。

     全休業者の休業期間の中央値は98日だった。全休業者の74.9%は1年以内に復職しており(復職までの中央値90日)、最終的に復職した人に対する1年以内の復職者の割合はほぼ9割(89.3%)だった。一方、全休業者の8.7%は1年以内に退職しており(退職までの中央値249日)、最終的に退職した人に対する1年以内の退職者の割合は62.9%だった。

     疾患別に転帰を比較すると、復職率は循環器疾患(95.3%)や外傷(92.2%)で相対的に高く、精神疾患(82.1%)やがん(80.5%)では相対的に低かった。休業者のうち、精神疾患では17.4%、筋骨格疾患では13.3%、外傷では7.8%の人が最終的に退職していた。

     最多の休業理由であった精神疾患についてより詳細に分析すると、統合失調症では復職率が相対的に低かった(66.7%)。また退職率は、統合失調症、適応障害、不安障害で20%を超えていた。なお、長期休業者の死亡は、その原因の大半をがんが占めていた。

     以上より著者らは、「病気により長期休業となった場合、復職の時期は休業から1年以内が多いことから、少なくとも1年間の給与を補償する疾病休業制度があると、大半の長期休業者の復職をサポートできると言えるのではないか」とまとめている。また、長期休業中の死亡の大半はがんによるもので、がんによる長期休業者では死亡しなければ大半が復職していたことから、「がんの早期発見による死亡率低下は、がんによる長期休業者の就業継続性の向上に役立つだろう」と付け加えている。

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    HealthDay News 2021年4月26日
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  • 子ども手当は子どもを幸せにしているか?――医科歯科大

     子どもの貧困は世界各国で深刻化しており、わが国でも約7人に1人に当たる13.5%の子どもが貧困に該当し、その割合はOECD加盟国の平均より高いことが指摘されている。そのような格差を縮小することを目的に、養育世帯への児童手当(子ども手当)が社会的サポートの一つとして運用されている。しかし、子ども手当が実際に子どもの健康や保護者の行動にプラスになっているかどうかは、これまで明らかになっていなかった。この点にスポットを当てた東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男氏、研究室所属大学院生の小山佑奈氏らの研究結果が、「BMC Public Health」に10月6日掲載された。

     小山氏らはこの研究に、2016年に高知県で実施された「高知県子どもの生活実態調査」のデータを用いた。同調査は、高知県内の通信教育学校と特別支援学校1校を除く全ての公立・私立の小学1年生、5年生、中学2年生の生徒と保護者を対象に、子どもたちの生活環境と健康状態を把握するために実施された横断調査。

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     保護者には、子ども手当受給の有無、子どもの強さと困難さアンケート(Strengths and Difficulties Questionnaire;SDQ)、子どもの体重と身長(BMI)、子どもに対する投資に関する質問などに回答してもらった。抑うつ症状(Depression Self-Rating Scale;DSRS)と主観的健康観(Self-rated health;SRH)は、子ども自らに評価してもらった。

     全調査対象8,207組の親子のうち、子ども手当を受給していないのは219組(2.7%)だった。子ども手当を受給していない世帯は受給世帯に比べて、県都(高知市)に居住している割合が高く、世帯収入や学校以外にかける教育費が高いという有意差が見られた。また、両親ともに高齢で教育歴が長く、喫煙率や精神的苦痛レベルは低いという点にも有意差が認められた。

     保護者の年齢や世帯人員・収入、居住地域、労働時間、心理的苦痛(K6スコア)、および子どもの性別や学年などの潜在的な交絡因子を傾向スコアマッチングにより調整して、背景因子の一致した各群217組を抽出。子ども手当受給の有無と、子どもの健康状態や問題行動のレベルとを比較した。

     その結果、保護者が報告した子どもの問題行動(SDQの総合的困難さスコア)は、子ども手当受給世帯の方が有意に少なく、その差は1.29点(95%信頼区間−2.32~−0.25)だった。また、過体重(BMIが+1標準偏差以上)の割合は、オッズ比0.51(95%信頼区間0.29~0.91)で受給世帯の子どもの方が低かった。

     その他、低体重の割合、SDQの向社会的な行動スコア、抑うつ症状のスコア、主観的健康観には、有意差が見られなかった。学校以外にかける教育費や、家族行事の有無、親子の関わりも、傾向スコアマッチング後は有意差が見られなかった。

     これらの結果から著者らは、「子ども手当は、子どもの問題行動や肥満のリスクを減らす可能性があることが示唆された。今後、縦断調査などにより子ども手当の影響を詳細に検討し、子どもの健康との関係のメカニズムを明らかにする必要がある」とまとめている。

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    HealthDay News 2020年11月2日
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  • ネット検索キーワードから見た一般市民と医療者の情報格差

     患者や一般市民が情報収集する際にネット検索する言葉と、医療者が常用する医学用語との差異を明らかにした研究結果が、「Journal of Medical Internet Research」4月13日オンライン版に掲載された。

     医学・医療情報の入手にインターネットはもはや不可欠。専門家が医療情報をかみ砕いて解説した一般向けサイトも多数存在する。それにも関わらず、一般市民が求める情報と医療専門家が重視する情報の差異について、十分には検討されていない。そこで京都大学大学院医学系研究科人間健康科の平和也氏(研究時点の所属は滋賀医科大学公衆衛生看護学講座)らは、インターネット検索サイトで用いられる単語を解析し、そのギャップを把握することを試みた。

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     平氏らの研究は、一般市民が情報収集に用いる検索サイト「Yahoo!検索」および質問サイト「Yahoo!知恵袋」で多用される語句と、医療関係者の臨床報告検索ログに頻出する語句、それぞれ上位100語を選び、その使用頻度の関連を検討するというもの。加えて、医療者はあまり用いないがネットで検索されることが多い語句についての質的検討を行った。

     まず、一般市民が「Yahoo!検索」で検索する語句と医療者の使用頻度が高い語句の関連を見ると、弱い有意な相関が認められた(r=0.290、P=0.003)。質的検討からは、糖尿病、高血圧、頭痛、貧血、腹痛、心不全、脳梗塞など、生活習慣病や日本人の死因の上位に入る疾患名は、両者で高頻度に使われていた。その一方、一般市民の検索件数が多く医療者の使用頻度が低い語句として、甲状腺機能異常、潰瘍性大腸炎、黄疸、心房細動、多発性骨髄腫、腎不全などが抽出された。

     一般市民が「Yahoo!知恵袋」で調べる語句と医療者の使用頻度が高い語句の関連も、弱い有意な相関が認められた(r=0.337、P=0.001)。質的検討で、頭痛、腹痛、下痢、嘔吐、貧血、糖尿病、発熱など、主に症状に関連する語句が、両者で高頻度に使われていた。一方、痛み、しびれ、微熱、潰瘍性大腸炎、腎不全などは一般市民が調べる頻度は高いものの、医療者の使用頻度は低かった。

     一般市民の「Yahoo!検索」の検索語句と「Yahoo!知恵袋」で使用される語句の間には、中等度の有意な相関が認められた(r=0.569、P<0.001)。頭痛、腰痛、下痢、腹痛、貧血、糖尿病などの語句は両者でよく使用されていた。検索される頻度は高いが質問サイトで使用される頻度は低い語句として、DIC(播種性血管内凝固症候群)、SLE(全身性エリテマトーデス)などが、検索頻度は低いが質問サイトで多用される語句として、痛み、しびれ、徘徊などが抽出された。

     一般市民の平均年齢は34.5歳で、女性が54.6%だった。検索ワードを年齢層別に見ると、40~50代では高血圧や異常陰影、60代では胃がん、肺がん、心房細動、間質性肺炎、肺炎球菌などが多く検索されていた。

     これらを踏まえ研究グループは、「医療者の使用頻度が高い語句と一般市民が用いる語句には弱い相関しか認められず、医療者の言葉は一般市民が使用する言葉と異なる可能性がある」としている。また一般市民の検索ワード上位に入った、潰瘍性大腸炎や甲状腺機能異常などが医療者間では使用頻度が低かったことに関連して、「これらの慢性疾患患者の情報収集ニーズは高いが、医療者側の優先度は低いようだ」と述べている。その上で「インターネットを通じて医療情報を提供する場合、このようなギャップを埋める配慮が必要」とまとめている。

     なお、検索ワードのうちアルファベットのみの語句は、同じ文字列を含む単語(例えばDICとdictionary、SLEとsleep)が検索された影響を除去しきれていないことは本研究の限界であり、解釈に注意が必要という。

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    HealthDay News 2020年5月25日
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  • 色覚の異常がある人も色から受ける印象は一般色覚者と同じ

    色覚の異常(色覚多様性)があって微妙な色の区別ができない人も、実生活においては一般色覚者(色覚正常者)とほぼ同じように、色によって表現される意味の違いを理解している。色の区別がつきにくいのになぜ意味の違いは分かるのか、その理由はこれまで不明だった。しかし、色覚に異常がある人は、過去の経験や学習した情報を基に意味を区別し判断していることを、高知工科大学情報学群の篠森敬三氏らが明らかにし、「Journal of the Optical Society of America, A」3月19日オンライン版に報告した。

    光の色が赤、緑、青という3つの原色で表せるように、ヒトの網膜には、3種類の視細胞がある。しかし、遺伝的にそのいずれかがないか機能が低下している場合、色覚が一般者と異なる。男性の20人に1人が該当し、緑を感じる視細胞がなく赤と緑の色の違いを識別できない「2型2色覚」が多い。

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    篠森氏と金沢工業大学情報フロンティア学部の根岸一平氏らの研究グループは、色覚異常がある人がどのように色の意味の違いを認識しているのかを調べるため、2型2色覚の学生と一般色覚の学生各5人に対し、以下の2つの実験を行った。

    最初の実験は、パソコンのディスプレイ上に「元気な」「重厚な」「繊細な」「さびれた」など9種類の言葉と2色の色をランダムに表示し、言葉によりマッチするのはどちらの色かを、できるだけ短時間で選択するという篠森氏が新たに開発した手法の実験。色は15種類ありその組み合わせは色の左右の違いを入れて210通りで、1人に対してそれぞれ3回(計630回)テストを行った。回答所要時間は1回あたり平均3.7~4.6秒だった。

    この実験の結果、2型2色覚の人は赤や緑などはあまり選択せず、黄色や白を選択する頻度が高いことが分かった。これは2型2色覚の場合はやはり、赤や緑を区別しにくい(見えにくい)ことを意味する。

    続いて行ったのは、最初の実験で使ったものと同じ15種類の色の中から1色をランダムに見せて、その色の印象が形容詞にどの程度あてはまるかという実験。形容詞には最初の実験に用いた9種類の言葉も含め、「壮麗な」と「貧弱な」、「デリケートな」と「がさつな」などの対義語を一対として示し、いずれにあてはまるかを-3から+3の数値で表してもらった。被験者は、答えが決まるまで提示された色を見ることができる設定とし、1色につき6~9分かけて35種類の形容詞を選択した。

    この実験の結果、2型2色覚の人と一般色覚の人とで、それぞれの形容詞の数値にほとんど差がないことが分かった。これは、2型2色覚の場合でも過去の経験や学習から、一般色覚者と同じような色の印象が形成されていることを意味する。

    一連の実験から、異なる色をじっくり見ることができる状況なら、2色覚の人へ一般色覚者と同様に色の印象を伝えることが可能であり、反対に数秒程度(今回の実験では4秒程度)で判断しなければならない状況では理解が間に合わない可能性のあることが分かった。実生活において2色覚の人は、例えば信号機のサインは色ではなく、経験と学習を基に、点灯している場所や明るさなどで判断していると考えられる。

    以上の検討を基に研究グループでは、「長時間見ることができる物の配色については全てを2色覚者向けに変更する必要はなく、より自由なデザイン提案があってよい。一方で色が重要な意味を持つ情報については、従来から提唱されているカラーユニバーサルデザインの配慮が必要」とまとめている。またこの研究の今後の方向性として、「色覚の異常がある人の持つ色の印象が、何歳ぐらいで一般色覚者と同じように形成されるのかを調べるため、年齢層別の比較実験を行うことが必要」と述べている。

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    HealthDay News 2020年4月20日
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  • COVID-19で逼迫する医療フロントライン、低年齢患者への対応も急務

    1月中旬に国内初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が確認されてから、3カ月近く過ぎようとしている。3月後半からは、連日三桁を超える新規患者が報告され、著名人の死亡という衝撃的なニュースも駆け巡った。

    生活や経済が大きなダメージを受けつつあり、また今月1日には日本医師会が「医療危機的状況宣言」を発するなど、最も過酷な状況にある医療現場での逼迫度は増している。そのような状況においても、患者の救命につながる可能性のある情報提供が、臨床の第一線を担う医療者から公に発信されている。

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    日本感染症学会はホームページに、症例報告を随時紹介するコーナーを設けた。新しいものでは、3月31日に公開された船橋中央病院での「ファビピラビル(商品名アビガン)を早期投与し軽快した80代後半のCOVID-19肺炎の1例」など、有効と考えられる治療の報告が増えている。なお同学会は、これらの論文を「緊急報告」として扱い、査読は行うがあくまでも緊急性、重要性を鑑み公開するものと位置付けている。

    また、著名人の治療に用いられたことで一般にもその名称が知られるようになった「ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation.体外式膜型人工肺)」についても、国内でのCOVID-19に対する治療実績とアウトカムに関する報告が蓄積されつつある。COVID-19対策ECMOnetは、日本集中治療医学会・日本救急医学会・日本呼吸療法医学会などが立ち上げた、ECMOを中心とした重症患者管理の助言を行う電話相談窓口。関係する学会のサイトなどを通じ、ECMOの基本的注意事項や人工呼吸管理について情報を掲示している。

    その3月30日の報告では、これまでに40例のCOVID-19患者にECMOが用いられ、ECMOから離脱し回復した患者が19人、治療継続中が15人、6人が死亡したことが伝えられた。また3月22日の報告では、COVID-19に対しECMOを適切に使用した場合の治療効果は通常のECMO使用例とほぼ同等であるが、76歳以上、LDH(乳酸脱水素酵素)636IU/L以上は予後不良因子の可能性があるという。

    乳幼児や若年層での重症化も報告されている。日本小児科学会は3月13日、「小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の臨床的な特徴」と題し情報を掲示。それによると、主な症状は発熱と咳嗽で、上気道症状や消化器症状は特徴的ではなく、血液検査ではLDH軽度上昇を約3分の1に認めるという。3月30日には「新型コロナウイルス感染症の論文の紹介」とし、新型コロナウイルス感染妊婦が出産した新生児が、生後2時間の血液検査でSARS-CoV-2特異的IgM陽性を認めたとの中国からの報告など、海外の最新論文を複数紹介している。

    医療現場を支えるべく、日系メーカーも関連製品の生産・増産を急いでいる。ECMOの国内最大手のテルモは4月1日、生産を倍増することを発表。トヨタは北米で医療用フェイスガードなどを、スズキはインドで現地メーカーと人工呼吸器などを生産する。資生堂はフランスで、サントリーは米国子会社を通じ、アルコール消毒液の生産を開始している。

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    参考情報:日本医師会日本感染症学会日本救急医学会日本集中治療医学会日本呼吸療法医学会日本小児科学会
    HealthDay News 2020年4月6日
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  • 幼少期の被虐体験が高齢期の医療費増加の一因――東京医科歯科大学

    幼少期に虐待を受けた人は高齢になってからの医療費が1年当たり11万円以上高いとする推算結果が、「JAMA Network Open」1月8日オンライン版に掲載された。日本全体では、年総額約3,330億円の医療費負担につながっているという。

     東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の伊角彩氏らは、日本老年学的評価研究(JAGES)のデータと健診および診療報酬請求データを用いて、高齢者の医療費を幼少期の被虐体験の有無で比較検討した。研究対象はJAGESに参加しているある政令指定都市の要介護認定を受けていない65~75歳の住民のうち、幼少期の被虐体験に関する質問に回答した978人(平均年齢70.6±2.9歳、うち男性が43.6%)。

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     幼少期の被虐体験は、家庭内暴力の目撃、身体的虐待、心理的ネグレクト、心理的虐待の4項目を評価した。例えば「父親が母親に対して暴力を振るっていた」という質問に「はい」と回答した場合は「家庭内暴力の目撃経験あり」、「親から愛されていると感じていた」に「いいえ」と回答した場合は「心理的ネグレクトの経験あり」と判定した。

     対象者978人のうち、4.5%が家庭内暴力の目撃、1.9%が身体的虐待、10.6%が心理的ネグレクト、5.7%が心理的虐待を経験していて、18.0%は何かしらの被虐体験があった。幼少期の被虐体験がある人はない人に比べ、教育歴が短く、主観的健康感が低く、腎疾患や筋骨格疾患などの有病率が有意に高かった。

     幼少期の被虐体験の有無別に年間医療費(歯科医療費を除く)を試算すると、被虐体験がない場合は41万3,013円、被虐体験ありでは54万9,468円で、その差額は13万6,456円に上り、有意差が認められた。年齢と性別で調整すると差額は11万6,098円に縮小したものの引き続き有意だった。

     虐待の種別に見ると、身体的虐待については経験なしで43万1,106円、経験ありで72万6,254円、差額29万5,148円、心理的ネグレクトは経験なしで41万2,082円、経験ありで57万3,481円、差額16万1,400円で、これらの差はいずれも有意だった(年齢と性別で調整後は非有意)。家庭内暴力の目撃の有無や心理的虐待の有無では有意差は認められなかった。

     前述の11万6,098円という差額を基に、国内の前期高齢者医療コスト全体への影響を計算すると、歯科医療費を除いて年間約3,330億円の医療費が幼少期の被虐体験により発生していると推計された。

     これらの結果を踏まえ研究グループでは、「幼少期に虐待を受けることが高齢期の医療費にまで影響する可能性が示された。児童虐待を未然に防ぐことや、早期に発見・介入することが重要だと考えられる。さらに、虐待を減らす取り組みは個人だけでなく社会全体の負担軽減にもつながるのではないか」とまとめている。

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    HealthDay News 2020年2月10日
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  • 納豆やみその摂取量と死亡率が逆相関――JPHC研究

    発酵性大豆食品を多く食べる人ほど死亡率が低いというデータが報告された。ただし、非発酵性の大豆食品も含めた解析では、関連が有意でないという。国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究グループの研究によるもので、詳細は「BMJ」1月29日オンライン版に掲載された。

    今回の研究の対象は、1990年と1993年に全国11カ所の保健所管轄区域に住んでいた40~69歳の成人のうち、がんや循環器疾患の既往がない9万2,915人(うち男性4万2,750人)。大豆製品の摂取量で全体を五分位に分け、2012年まで平均14.8年間追跡した。

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    研究開始から5年後に行った食事調査アンケートの回答から、総大豆食品、発酵性大豆食品(納豆とみそ)、非発酵性大豆食品、および豆腐の摂取量を計算し、総死亡(全死因による死亡)、がん死亡、循環器疾患死亡などとの関連を性別に検討した。解析に際しては、年齢、地域、肥満度、喫煙・飲酒・身体活動習慣、糖尿病・高血圧、健診受診状況、女性の月経の有無・ホルモン剤の使用、食品摂取状況、総エネルギー摂取量を統計的に調整し、影響を取り除いた。

    その結果、総大豆食品摂取量と総死亡リスクの関連については、有意な関連が認められなかった。一方、発酵性大豆食品の摂取量との関連は、男性(傾向性P値0.05)、女性(同0.01)ともに摂取量が多いほど総死亡リスクが低下するという関連が認められた。

    大豆食品の細分類別の検討では、女性において、納豆(同0.001)、および、みそ(同0.03)の摂取量が多いほど総死亡リスクが低い傾向があった。しかし男性では有意な傾向が見られなかった。豆腐に関しては男性、女性ともに有意な傾向が見られなかった。

    次に、死亡原因との関連を見ると、がん死亡リスクに関しては男性、女性ともに大豆製品摂取量と有意な関連が見られなかった。その一方で循環器疾患死亡との関連は、男性において、発酵性大豆食品(納豆とみそ)の摂取量および納豆の摂取量、女性においては納豆の摂取量と有意な関連が認められた。

    具体的には、男性において発酵性大豆食品の摂取量が最も少ない第1五分位群(13.4g/日未満)に比べ、摂取量が最も多い第5五分位群(50.2g/日以上)の循環器疾患死亡のハザード比は0.82で18%リスクが低かった。同様に、納豆を摂取しない群に比べ、摂取量が最も多い群(26.2g/日以上)のハザード比は0.76で24%リスクが低かった。女性では、納豆を摂取しない群に比べ、摂取量が最も多い群のハザード比は0.79だった。

    総大豆食品摂取量は死亡リスクとの関連が見られず、発酵性大豆食品の摂取量との関連は有意という結果について、研究グループでは「発酵性大豆食品は加工の過程で、大豆に含まれている成分の消失が少ないことが理由の1つではないか」と考察している。

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    治験・臨床試験についての詳しい説明

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    HealthDay News 2020年2月3日
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  • 酸化ストレスの新規バイオマーカー「酸化メチオニン」――北里大

    必須アミノ酸の1つ「メチオニン」が、全身の酸化ストレスや血糖変動の指標になる可能性が報告された。酸化ストレスを定量的に評価でき、かつ、連続血糖測定(CGM)で把握された血糖変動性と有意に相関するという。北里大学医学部内分泌代謝内科学の七里眞義氏らの研究によるもので、「Scientific Reports」1月14日オンライン版に掲載された。

    酸化ストレスは体の防御機構以上の活性酸素が産生されている状態をさし、老化現象に加え糖尿病やがんなどの発症・進行に関係することが、これまでの研究で示されている。しかし酸化ストレスの強さを測定する、定量的かつ再現性の高い手法は確立されていない。七里氏らは、血中アルブミンの分子構造の147番目に位置しているメチオニン残基(Met147)が、酸化ストレスに対し素早く反応することに着目し研究を続けている。

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    今回の研究ではまず、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)という手法を用いて、Met147に占める酸化されたメチオニン残基(酸化Met147)の割合を定量的に測定、その再現性を検討した。検体の希釈度を変えたり、保存状態を変えたりするなど、さまざまな条件設定で繰り返し測定。その結果から、LC/MSによるメチオニン残基の酸化レベル測定の信頼性は、同氏らが以前に開発した方法に比べはるかに高精度で、再現性が高く実用的なレベルであることが確認された。

    次にこの手法を用いて、糖尿病患者124人(年齢54.3±13.9歳、1型糖尿病54人、BMI25.9±6.4、HbA1c9.0±2.4%)と、健康なボランティア40人(53.2±16.4歳、BMI22.5±2.8)の酸化Met147を測定した。すると糖尿病群は対照群に比べて酸化Met147が有意に高く、酸化ストレスが亢進していることがわかった。

    糖尿病群において酸化Met147と相関する因子として、多変量解析により、eGFR、総ビリルビン、HDL-C、およびグリコアルブミン(GA)とHbA1cの比(GA/HbA1c比)が抽出された。なお、平均血糖値を反映するHbA1cやGAは、それぞれ単独では単変量解析においても酸化Met147との相関が認められなかった。

    GA/HbA1c比の高さは血糖変動を反映することから、前記の対象者中の35人(糖尿病患者28人、健常者7人)にCGMを施行し、血糖変動と酸化Met147の関連を検討。すると、酸化Met147は、血糖値の標準偏差、変動係数、血糖値70mg/dL未満の時間が占める割合、140mg/dL以上の時間が占める割合と、それぞれ有意に正相関した。また血糖値が70~140mg/dL内の時間が占める割合とは有意な負の相関がみられた。その一方で、血糖値の平均値とは相関がなかった。

    続いて血糖変動を抑制する作用のあるSGLT2阻害薬の影響を、2型糖尿病患者18人を対象に検討したところ、同薬投与前に比べ投与開始28日後の酸化Met147は有意に低下していた。

    これらの結果から研究グループでは、「LC/MSによって定量的に測定した血清アルブミンMet147に占める酸化Met147の割合は、ヒトの血管内の酸化ストレスの影響を評価する上で十分な信頼性があり、かつ感度も優れている」と述べている。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

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    HealthDay News 2020年1月27日
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