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8月 19 2024 問題飲酒につながる仕事の特性――日本公務員研究
日本では近年、問題飲酒(依存・乱用などの有害な飲酒やアルコールに関連した問題)が増加している。1,500人以上の地方公務員を5年間追跡した結果、男性では職位が低い人やシフト勤務の人、女性では仕事のパフォーマンスの自己評価が低い人ほど、問題飲酒につながりやすいことが明らかとなった。また、男女とも、週に3回以上や1回に2合以上の飲酒が、問題飲酒と関連していた。富山大学学術研究部医学系の茂野敬氏らによる研究であり、「Industrial Health」に5月15日掲載された。
問題飲酒は、がんや脳血管疾患などによる死亡リスクの上昇につながる。労働損失による経済的な影響も大きいことから、労働者の問題飲酒を予防することは重要である。問題飲酒の要因に関する調査結果は報告されているものの、横断的な研究が多く、男女別にリスク要因を追跡する研究が必要とされていた。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。そこで著者らは、日本公務員研究の参加者のうち、2014年(ベースライン)の調査時に問題飲酒のあった人を除き、2019年まで5年間追跡できた1,535人を対象とする縦断的研究を行った。飲酒はCAGEというスクリーニングテストで評価し、「飲酒量を減らさなければいけないと感じたことはあるか」などの4項目のうち2項目以上に該当する場合を問題飲酒とした。また、仕事の特性、ワークライフバランス、社会活動などについても調査した。
対象者のうち男性は968人(平均年齢43.2±8.3歳)、女性は567人(同38.2±10.0歳)であり、追跡期間中の問題飲酒の累積発生率は、男性が9.6%、女性が5.8%だった。
問題飲酒と関連する要因について、ロジスティック回帰分析を用い、影響を及ぼし得る因子を統計学的に調整して解析した。その結果、週3回以上の飲酒習慣が、男性(週2回以下と比べてオッズ比2.66、95%信頼区間1.68~4.23)、女性(同3.81、1.54~9.40)ともに問題飲酒と関連していた。また、1回当たり2合以上の飲酒も、男性(1合以下と比べて同1.73、1.10~2.72)、女性(同3.36、1.50~7.51)ともに問題飲酒との関連が認められた。
仕事の特性に関しては、男性では、職位の高さ(中間管理職・管理職)と問題飲酒の間に負の関連が見られた(一般職と比べて同0.56、0.33~0.95)一方で、シフト勤務は問題飲酒との正の関連が示された(定時勤務と比べて同2.96、1.46~6.00)。女性では、主観的な仕事のパフォーマンスの悪さが問題飲酒と関連していることが明らかとなった(パフォーマンス良好と比べて同5.30、1.57~17.86)。
今回の研究結果から著者らは、「問題飲酒と関連する要因は男性と女性で異なっていることが示唆された」と述べ、問題飲酒の予防に男女差を考慮することの重要性を指摘している。また、問題飲酒が発生するまでには5年よりも長くかかる可能性があること、コロナ禍で飲酒習慣が変化したといわれていることにも言及し、「データ分析を継続していく」としている。
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