• 生まれた順番が子どものメンタルヘルスに関連――足立区の小学校での調査

     生まれた順番(出生順位)と子どものメンタルヘルス状態との間に有意な関連があるとするデータが報告された。東京都足立区の全公立小学校の4年生を対象とした調査の結果であり、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男氏らによる論文が4月14日、「Frontiers in Psychiatry」に掲載された。

     出生順位とメンタルヘルスとの関連について欧米からは、末っ子(末子)はうつや不安傾向が強く自殺リスクが高いといった報告がなされているが、国内ではデータが少なく、特に思春期前の子どもに関する研究はほとんど行われていない。藤原氏らは、足立区で行われた「子どもの健康・生活実態調査(A-CHILD)」のデータを横断的に解析し、この点を検討した。

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     A-CHILDは、足立区内の全ての公立小学校(69校)の子どもを対象とする調査。本研究ではそのうち2018年に行った、4年生(9~10歳)5,311人とその保護者に対するアンケートの結果を用いた。片親の子どもや親と同居していない子どもなどを除外し、3,744人(男児が51.0%)の回答を解析。出生順位で分けると、年下のきょうだいのみがいる第1子が34.1%、年上と年下のきょうだいがいる中間子が12.5%、年上のきょうだいのみがいる末子が36.2%で、一人っ子が17.2%だった。

     メンタルヘルスについては、「子どもの強さと困難さ質問票(SDQ)」のほかに、自尊心やレジリエンス(強靭さ)、幸福感などを評価した。また、保護者からはさらに、世帯収入、母親の年齢・教育歴・精神疾患の既往・心理的苦痛、祖父母と同居か否か、子どもが疾患や怪我のために長期間学校を欠席したことがあるか、などの情報を得た。

     結果について、まずSDQの合計スコア(40点満点で、高得点ほど困難さが強いと判定される)を見ると、全体の平均が9.26点、第1子が9.58点、中間子が8.92点、末子が8.74点、一人っ子は9.98点であり、末子は第1子や一人っ子に比較してスコアが有意に低く、問題行動が少ないことが分かった。

     また末子はSDQの下位尺度のうち、「行為の問題」や「多動/不注意」のスコアが、ほかのきょうだいよりも低く、「向社会的な行動」のスコアは高かった。反対に、一人っ子はSDQ合計スコアが高く、下位尺度の「仲間関係の問題」のスコアも高かった。「行為の問題」のスコアが最も高いのは、第一子だった。

     レジリエンスは末子が最も高く、以下、第一子、中間子、一人っ子の順であり、幸福感は一人っ子が最も高く、末子、第一子、中間子の順だった。なお、自尊心に関しては、出生順位による有意差は認められなかった。

     次に、子どもの性別のほか、母親の年齢や世帯収入などの前記の共変量を調整し、一人っ子を基準として他の出生順位の子どものメンタルヘルス状態を検討した結果、以下について有意差が見られた。まず、第一子はSDQの「仲間関係の問題」のスコアが低かった。中間子は、SDQ合計スコア、および「情緒の問題」「仲間関係の問題」と、幸福感のスコアが低かった。末子は、SDQ合計スコアと「仲間関係の問題」のスコアが低かった。

     著者らはこれらの結果を総括して、「日本人の9~10歳の子どもたちにおいて、出生順位はメンタルヘルスのポジティブな面とネガティブな面に関連していた。子どもたちのメンタルヘルス関連の問題を防ぐために、これらの関連のメカニズムの解明と、ライフステージ全体への影響を探る縦断研究が求められる」と述べている。

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  • 手作り料理が少ない家庭の子どもは血圧が高い――足立区の中学生での検討

     家庭で手作り料理を食べる頻度と、子どもの心血管疾患リスク因子との関連が明らかになった。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学の谷友香子氏、藤原武男氏らの研究によるもの。手作り料理の回数が少ない家庭の子どもは、拡張期血圧が高く、善玉コレステロールが低いという。詳細は「Nutrients」に12月16日掲載された。

     先進国を中心に、女性の就業率の上昇を背景として家庭内で料理を手作りする機会が減っている。例えば米国では1960年から2000年の間に、摂取エネルギー量に占める手作り料理の割合が約25%低下し、日本では1993年から2015年の間に、調理済み食品の支出が26%増加したと報じられている。このような変化が成人の健康状態に影響を及ぼしている可能性は既に報告されているが、子どもへの影響は明らかでない。

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     谷氏らは、東京都足立区で行われている「足立区子どもの健康・生活実態調査(A-CHILD研究)」のデータを横断的に解析し、この関連を検討した。対象は、足立区内の公立中学校7校の中学2年生(13~14歳)676人で、そのうち583人の生徒とその保護者が、家庭での食事に関する自記式質問票に回答した。質問票では、手作り料理の頻度のほかに、野菜摂取頻度、朝食摂食頻度、世帯収入などを調査した。

     手作り料理の頻度は、6日/週以上の頻度「高」が85%、4~5日/週の頻度「中」が11%、3日/週以下の頻度「低」が3.8%だった。また、野菜摂取頻度が3回/週未満の生徒が12.7%、朝食を毎日食べない生徒が16.9%、肥満(BMIが平均+1標準偏差を超える生徒)が10.8%存在し、世帯の10.5%は低所得(年収300万円未満)に該当した。

     野菜摂取頻度が3回/週未満の生徒の割合を、手作り料理の頻度別に見ると、頻度「高」の家庭では9.2%であるのに対し、頻度「中」では30.2%、頻度「低」では38.1%を占めていた。また、朝食を毎日食べない生徒の割合は、同順に、13.4%、30.2%、57.2%であり、手作り料理の頻度が少ないほど、野菜摂取頻度が低く、朝食欠食頻度が高いという有意な関係が認められた。

     一方、生徒の肥満の割合は、頻度「高」の家庭が9.2%、頻度「中」が22.2%、頻度「低」が14.3%であり、U字型の関係にあった。世帯収入との関連については、低所得世帯は手作り料理の頻度が低い傾向が認められた。

     次に、性別、世帯収入などの交絡因子で調整後の線形重回帰分析により、手作り料理の頻度と学校健診の結果との関連を検討した。すると、手作り料理の頻度が低い家庭の生徒は、拡張期血圧が高く(β=3.59、95%信頼区間0.42~6.75)、HDL-C(善玉コレステロール)が低い(β=-6.15、同-11.2~-1.07)という有意な関連が明らかになった。

     また、ロジスティック回帰分析の結果、手作り料理の頻度が「高」の家庭の生徒に比べて、「中」の家庭の生徒の肥満のオッズ比が有意に高かった(OR2.67、同1.37~5.23)。手作り料理の頻度「低」の生徒の肥満リスクは、「高」の家庭と有意差がなかった。

     媒介分析の結果、拡張期血圧が高いことの12.3%は朝食の欠食により説明でき、HDL-Cが低いことの9.7%は野菜の摂取頻度が少ないこと、14.9%は朝食の欠食により説明可能であることが分かった。一方、BMIは両者の関係を媒介しないことが分かった。

     一連の結果を基に著者らは、「手作り料理の頻度が低いことは、肥満の増加とは別の経路で子どもの血圧やHDL-Cに影響を与えるようだ。調理済食品の摂取量が多くなることなどが関係しているのではないか」とまとめている。また、手作り料理の頻度が「中」の家庭の生徒には肥満が多いにも関わらず、「低」の家庭の生徒では少なかったことについて、手作り料理の頻度の低さのために栄養不良が生じている可能性を指摘している。

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    HealthDay News 2021年1月12日
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  • 小児への多剤併用、4剤以上は要注意――岐阜薬大

     小児患者に4種類以上の薬を併用すると、1種類のみに比べて副作用発生のリスクが有意に高まるとのデータが報告された。岐阜薬科大学病院薬学研究室の舘知也氏、寺町ひとみ氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に12月7日掲載された。

     近年、高齢患者に対する多剤併用(ポリファーマシー)による副作用発生のリスクが注目されるようになり、処方薬を減らす取り組みも始まっている。一方、小児患者への多剤併用による副作用発生の実態は不明な点が多く、研究報告はほとんどない。今回、著者らは岐阜市民病院の医療記録を基に、小児患者における多剤併用が副作用発生のリスク因子となるかについて検討した。

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     解析対象は、2015年半年間の同院の外来・入院患者のうち、薬剤が1剤以上処方されていた1~14歳の小児1,330人。年齢中央値3歳(四分位範囲2~7歳)、男児57.1%で、外来患者が73.5%であり、処方された薬剤数の中央値は2剤(同1~4剤)であった。罹患疾患は呼吸器系が78.9%で最多であった。

     この対象のうち、46人(3.5%)が副作用と考えられる症状が原因で受診していた。うち16人は入院管理となり、これは小児の緊急入院全体の4.5%に相当した。

     薬剤と副作用の因果関係は、「確実」が11.1%、「多分」が22.2%で、「可能性あり」が66.7%であった。副作用の症状は胃腸障害(42.6%)や皮膚および皮下組織障害(16.7%)が多く、重症度のグレードは1(軽症)が57.4%、2(中等症)が24.1%、3(重症)が18.5%であり、4(生命の危険があり緊急処置が必要)や5(死亡)の該当事例はなかった。被疑薬は、全身用抗感染薬が55.6%と過半を占めていた。

     使用薬剤が1剤の場合の副作用発生率は1.56%、2~3剤では3.60%、4~5剤では4.48%、6剤以上では7.50%であった。単剤処方に比較し、4~5剤(P=0.021)や6剤以上(P=0.002)で、副作用発生率の有意な上昇が認められた。ROC解析でも、副作用発生の有無に対する多剤併用のカットオフ値は4剤と算出された。

     次に、単変量解析にて副作用の発生とP値0.25未満で関連が認められた因子を説明変数、副作用の発生の有無を目的変数とする多変量解析を施行した。解析にあたり使用薬剤数については、前記の検討で最適なカットオフ値として示された「4剤以上」と、小児の多剤併用の定義に用いられることの多い「2剤以上」の2通りの条件で行った。

     その結果、使用薬剤数(2剤以上、4剤以上のいずれも)が、独立して副作用発生のリスクを有意に高めることが分かった。

     著者らは本研究の限界点として、単一施設での後方視的デザインであることなどを挙げた上で、「小児患者においても多剤併用が副作用発生リスクの上昇につながることが明らかになった。高齢患者と同様に、薬剤処方に際しての慎重なリスク/ベネフィットの検討が求められる」と述べている。また、「副作用発生のリスクの点から、小児に対する多剤併用を4剤以上と定義するのが現実的である」と付け加えている。

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  • 母乳の味を変えれば野菜好きの子に育つ?

    幼い子どもに野菜好きになってほしければ、母親が授乳中に野菜を食べておくとよいかもしれない。「American Journal of Clinical Nutrition」7月号に掲載された研究で、母親が授乳前に野菜ジュースを飲むと母乳が野菜の風味になり、その母乳を飲んだ子どもは後に同じ味のする食べ物を嫌がる可能性が低くなることが示された。

     今回の研究では、母乳育児中の母子97組を5つのグループにランダムに割り付け、第1~第4グループの母親には授乳前に野菜ジュース(ニンジン、セロリ、ビートなど)を半カップ飲んでもらうことにした。その時期は、第1~第3グループではそれぞれ子どもの生後2週間目、1.5カ月目、2.5カ月目から1カ月間とし、第4グループでは生後2週間目から3カ月間とした。第5グループは水を飲む対照群とした。

     子どもの離乳後(生後8カ月頃)、母親が子どもに対してプレーンまたはニンジン風味、ブロッコリー風味の離乳食用シリアルを与える様子をビデオ撮影し、子どもの嫌がるサイン(鼻にしわを寄せる、唇を尖らせる、顔をしかめる、スプーンを強く拒絶するなど)を観察した。

     その結果、野菜風味の母乳を飲んだ子どもはプレーンなシリアルや不慣れなブロッコリー風味のシリアルよりも、ニンジン風味のシリアルを好むことが分かった。また、生後2週間目から1カ月間、野菜風味の母乳を飲んだ子どもは、他のグループの子どもに比べてニンジン風味のシリアルをより多く、より勢いよく食べていた。この結果について研究では「生後数週間は授乳の頻度が高いためか、もしくは味覚の形成に影響を及ぼしやすい時期であるためだろう」と推測している。

     なお、母親の野菜摂取量は研究期間中を通して変化しておらず、8割が推奨量を満たしていなかったが、母親は次第に野菜ジュースの味を好むようになっていた。そのため、その後も子どもに健康的な食べ物を与え続ける可能性が高まっているかもしれないという。

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     研究を率いた米Monell Chemical Senses CenterのJulie Mennella氏は「乳児の感覚的経験はそれぞれの児に固有のものだが、味覚の経験は子宮内にいるうちから始まり、母親が食べたものによる影響を受ける。母親から与えられる母乳は精密医療の極致といえるだろう」と述べている。母親が野菜を食べると、その風味が羊水や母乳に移行し、子どもに伝わる。それにより子どもが早期から野菜の味を学べば、固形食を取り始めたときに嫌がりにくくなる可能性があるという。

     米国栄養・食事療法学会(AND)スポークスパーソンのJennifer McDaniel氏は「他にも複数の研究で、母乳育児により食べ物の好き嫌いを少なくできる可能性が示されている。しかし、母乳育児をできない母親は自分を責めなくてよい。健康的で多様性に富む食事を与えれば、子どもは異なる味や食感を経験して受け入れていき、選り好みしない健康的な食事パターンを身につけられる可能性が高い」とアドバイスしている。

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    HealthDay News 2017年8月4日
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