• 使用する電子メディアによって子どものメンタルに及ぼす影響は異なる?

     小中学生では、使用する電子メディアによってメンタルヘルスに及ぼす影響は異なり、特に長時間のSNS利用が最もリスクを高める可能性が報告された。日本体育大学の城所哲宏氏、野井真吾氏らの研究グループが東京都世田谷区の小中学生を対象とした調査データを解析した結果であり、詳細は「Frontiers in Pediatrics」に1月24日掲載された。

     スマホやオンラインゲーム、テレビの視聴などのスクリーンデバイス使用と、子どものうつリスクの関係については、多くの研究が行われている。ただし結果に一貫性がなく、利用するメディアのタイプ、利用時間、調査対象年齢などにより影響が異なるのではないかと考えられている。一方、運動や睡眠がうつリスクを抑制することが知られているが、それらと子どものスクリーンデバイス使用との相互の関連性を検討した研究は少ない。これらの点を明らかにするため、研究グループでは、東京都世田谷区の小中学生を対象とした大規模な悉皆調査を実施した。

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     調査対象は、東京都世田谷区内にある公立小中学校の8~15歳の全生徒3万4,643人。アンケート調査は2019年3月に実施された。回答に不備のあるものなどを除外し、2万3,573人(小学生1万5,726人、中学生7,847人)のデータを解析した。

     スクリーンデバイス使用については、1週間当たりのテレビ、ビデオ、DVDの視聴時間、オンライン動画のプレー時間、SNSの利用時間を把握した(SNSは中学生のみで調査)。運動時間は、学校外でスポーツや運動をする時間を質問し、中央値で2群に分けて比較した。睡眠時間は、国際的なガイドラインに則して、13歳以下は9~11時間、14歳以上は8~10時間を至適範囲と定義した。

     うつレベルは、米国精神医学会の質問票を基に日本学校保健会が作成した日本語版を用いて評価。小学生男子の3.3%、同女子2.7%、中学生男子9.5%、同女子8.8%がうつ状態と判定された。

     ロジスティック回帰分析により交絡因子を調整し、スクリーンデバイス使用時間とうつ状態に該当することとの関連を検討。その結果、SNSの1週間の利用時間が2時間以上の場合、中学生の男子・女子ともにうつリスクが有意に高いことが明らかになった。それに対してテレビの視聴は、小学生の女子を除いて、うつリスクが低いことと有意に関連していた。オンラインゲームについては、1週間に2時間以上プレーする中学生女子でのみ、うつリスクが高いことと有意に関連していた。オンライン動画については、中学生男子ではうつリスクの低さと有意に関連していた一方、1週間に2時間以上視聴する小学生男子、1週間に30~60分視聴する小学生女子で、うつリスクの高さと有意な関連が見られた。

     次に、運動時間の長短で2分した上で、利用しているスクリーンデバイスのタイプごとにうつレベルを比較すると、交絡因子調整後も運動時間の長い群の方がうつレベルが低い傾向が認められた。例えば、オンライン動画を視聴している小学生男子のうつレベルのスコアは、運動時間が長い群の方が有意に低かった。中学生女子では、利用スクリーンデバイスのタイプにかかわらず、運動時間が長い群のうつレベルが有意に低かった。中学生男子でもほぼ同様の結果であり、小学生女子でのみ、運動時間によるうつレベルへの有意な影響が見られなかった。

     続いて、睡眠時間がガイドラインの推奨を満たすか否かで二分して検討すると、小学生の男子のみ、睡眠時間が十分であることがうつレベルの低さと有意に関連していたが、その他のカテゴリーでは有意な関連がなかった。

     まとめると、スクリーンデバイスの利用と子どものうつとの関連は、デバイスのタイプや年齢・性別、利用時間によって異なることが明らかになった。全体的に、SNSなどの新しいタイプのデバイスの使用はうつレベルの高さと関連しており、一方でテレビの視聴はうつレベルの低さと関連していた。

     著者らは、「子どもたちが利用するスクリーンデバイスはますます多様化しながら、生活の一部として定着してきている。子どものメンタルヘルスへの影響の理解には、それらのタイプや属性の違いを考慮することが不可欠と考えられる」と述べている。

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  • 小児精神科初診患者の幻聴体験は自殺の行動化と関連――国内横断研究

     小児精神科を受診する初診患者が幻聴体験を有する場合、受診時点での自殺行動との関連性が高いことを示すデータが報告された。横浜市立大学大学院医学研究科精神医学科の藤田純一氏らの研究によるもので、詳細は「Child and Adolescent Mental Health」に8月25日掲載された。

     これまでの研究から、若年の精神科患者においては幻覚や妄想をはじめとする精神病体験が自殺リスクと関連することが示唆されている。ただしその関連性は、評価基準(希死念慮、自殺企図、自殺未遂など)により異なる可能性があり、さらにさまざまな精神病体験の中で多数を占める幻聴体験と幻視体験を分けて検討した研究はわずかしかなく、不明点が多く残されている。そこで藤田氏らは、小児精神科患者の自殺の前段階としての自殺計画と、実行した結果の自殺企図との関連性を、幻聴体験や幻視体験の有無別に比較検討する横断研究を行った。

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     研究参加者は、2015年4月~2018年3月に神奈川県内の3カ所の小児精神科外来を受診した10~15歳の初診患者のうち、知的障害がなく研究参加の同意が得られた1,248人(平均年齢は12.6歳、男児51.6%)。自記式質問票を用いて、受診前2週間での精神病体験(幻聴体験もしくは幻視体験)の有無、自殺行動(自殺企図、自殺計画)の有無を把握し、また「こころとからだの質問票(PHQ-9)」により抑うつ状態のレベルを判定した。

     179人(14.3%)は精神病体験に関する質問に回答せず、精神病体験の有無を把握できたのは1,069人。そのうち230人(21.5%)は何らかの精神病体験があると回答し、その内訳は幻聴体験が158人(14.8%)、幻視体験が157人(14.7%)、幻聴体験と幻視体験の両方が85人(8.0%)だった。またPHQ-9が27点中14点以上を「大うつ病エピソード」と定義すると、全体の27.0%がこれに該当した。精神病体験を有する患者はそうでない患者よりも、大うつ病エピソードの有病率が有意に高かった。

     自殺企図の認められる患者の割合を精神病体験の有無で比較すると、幻聴体験ありでは31%、なしで11%、幻視体験ありでは35%、なしで11%、両者の体験ありでは45%、両者なしで12%であり、いずれも有意差が認められた(全てP<0.01)。同様に、自殺の計画についても、幻聴体験ありでは15%、なしで3%、幻視体験ありでは14%、なしで3%、両者の体験ありでは21%、両者なしで3%であり、やはりいずれも有意差が認められた(全てP<0.01)。

     年齢と性別、および、大うつ病エピソードで調整後、幻聴体験もしくは幻視体験いずれかの精神病体験がない群を基準に比較すると、自殺の計画は幻視体験のある群、自殺企図は幻聴体験のある群で、以下のようにオッズ比(OR)の有意な上昇が認められた。自殺の計画については、幻視体験ありの場合にOR2.5(95%信頼区間1.5~4.1)で有意、幻聴体験ありの場合はOR1.4(同0.8~2.4)で非有意だった。自殺企図については、幻聴体験ありの場合にOR2.8(同1.3~6.1)で有意、幻視ありの場合はOR1.8(同0.9~3.8)で非有意だった。なお、それぞれの自殺行動と幻視体験および幻聴体験の関連に、有意な交互作用効果は認められなかった。

     著者らは本研究により、「小児精神科外来初診患者の5人に1人が精神病体験を有すること、幻聴は自殺企図と関連し、幻視は自殺の計画と関連していることが明らかになった」とまとめ、「精神病体験の中でも特に幻聴が認められる場合は自殺の行動化と関連性が高い可能性があることに、臨床医は注意する必要がある」と述べている。

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    HealthDay News 2021年10月11日
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  • 子どもへの読み聞かせの影響力は母親と他人では異なる

     本の読み聞かせによる子どもの脳活動への影響は、誰が読み聞かせても一律というわけではないことが分かった。福井大学医学部精神医学教室/魚津神経サナトリウムの髙橋哲也氏らが、子ども用に開発された脳活動測定機器を用いた研究により明らかにしたもので、詳細は「NeuroImage」に7月13日掲載された。自分の母親に読み聞かせてもらっている時は、ほかの大人が読み聞かせている時よりも脳内ネットワークの強度が高まるという。

     本の読み聞かせは、子どもの言語能力や認知能力、社会性の発達を促すとされ、米国小児科学会も生後のできるだけ早い時期から読み聞かせを行うことを推奨している。ただし脳画像研究の面からのエビデンスは十分とは言えず、読み聞かせている時に、視覚・聴覚情報処理やストーリーの理解・共感などの高次処理がどのように行われているのかは明らかでない。近年はそれらの脳活動を評価するためのさまざまなツールが開発されているが、子どもにも使用できるツールは限られている。

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     今回の研究では、新たに開発された子ども用の脳磁計を用いた。脳磁計は、脳活動に伴い発生する微弱な磁場を捉える装置で、MRIなどのように狭い空間に入る必要がないために、ふだんの生活の場面で生じている脳活動を評価可能。また時間分解能に優れていてミリ秒単位の変化を把握でき、脳機能の新たな評価法として期待されている。さらに放射線を用いないため被曝の懸念がない。現在、子どもに使用可能な脳磁計は世界に4台あり、国内には本研究に用いられた1台のみという。

     研究の対象は、4~10歳の発達障害のない子ども15人(平均月齢89.60±19.82月、女児が4人)。自分の母親に本を読み聞かせてもらう時(母親条件)と、見知らぬ女性に読み聞かせてもらう時(他人条件)の2つの条件で、脳磁計を用いて脳活動を計測した。また、行動面の反応を評価するために、ビデオカメラで子どもの表情を撮影した。

     その結果、母親条件では他人条件に比べて、アルファ帯域の脳内ネットワークの強度が脳全域で有意に強くなることが明らかになった。また母親条件では、効率的な脳内ネットワークが形成された状態を表す「スモールワールド性」が向上することも示された。スモールワールド性の高さは、脳の発達や精神疾患リスクの低さと関連することがこれまでの研究で示唆されている。

     行動面の反応については、母親条件では他人条件に比べて、子どもの集中度が高く、ポジティブな表情(例えば笑顔)を見せる頻度が高いことも分かった。また、それら行動面の評価結果は母親条件でのみ、脳磁計で把握された脳内ネットワーク強度、およびスモールワールド性と有意に相関していた。

     以上の検討により著者らは、「子どもと親密な関係にある人が絵本を読み聞かせることで、子どもが快適でリラックスできる状況を作り出すことができるようだ」と総括。また、「これまでの脳研究は主として特定の脳機能に焦点を絞った精緻な実験課題のもとで行われてきたが、脳磁計を用いることで、本の読み聞かせという自然な状態での脳活動を評価できた」と研究の意義をまとめている。さらに今後の展開について、「父親や保育士、教員などの読み聞かせ効果を検証し、子どもの言語能力、認知能力、社会性を高めるための効果的な読み聞かせの方法を探っていきたい」と述べている。

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    HealthDay News 2021年8月30日
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  • 生まれた順番が子どものメンタルヘルスに関連――足立区の小学校での調査

     生まれた順番(出生順位)と子どものメンタルヘルス状態との間に有意な関連があるとするデータが報告された。東京都足立区の全公立小学校の4年生を対象とした調査の結果であり、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男氏らによる論文が4月14日、「Frontiers in Psychiatry」に掲載された。

     出生順位とメンタルヘルスとの関連について欧米からは、末っ子(末子)はうつや不安傾向が強く自殺リスクが高いといった報告がなされているが、国内ではデータが少なく、特に思春期前の子どもに関する研究はほとんど行われていない。藤原氏らは、足立区で行われた「子どもの健康・生活実態調査(A-CHILD)」のデータを横断的に解析し、この点を検討した。

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     A-CHILDは、足立区内の全ての公立小学校(69校)の子どもを対象とする調査。本研究ではそのうち2018年に行った、4年生(9~10歳)5,311人とその保護者に対するアンケートの結果を用いた。片親の子どもや親と同居していない子どもなどを除外し、3,744人(男児が51.0%)の回答を解析。出生順位で分けると、年下のきょうだいのみがいる第1子が34.1%、年上と年下のきょうだいがいる中間子が12.5%、年上のきょうだいのみがいる末子が36.2%で、一人っ子が17.2%だった。

     メンタルヘルスについては、「子どもの強さと困難さ質問票(SDQ)」のほかに、自尊心やレジリエンス(強靭さ)、幸福感などを評価した。また、保護者からはさらに、世帯収入、母親の年齢・教育歴・精神疾患の既往・心理的苦痛、祖父母と同居か否か、子どもが疾患や怪我のために長期間学校を欠席したことがあるか、などの情報を得た。

     結果について、まずSDQの合計スコア(40点満点で、高得点ほど困難さが強いと判定される)を見ると、全体の平均が9.26点、第1子が9.58点、中間子が8.92点、末子が8.74点、一人っ子は9.98点であり、末子は第1子や一人っ子に比較してスコアが有意に低く、問題行動が少ないことが分かった。

     また末子はSDQの下位尺度のうち、「行為の問題」や「多動/不注意」のスコアが、ほかのきょうだいよりも低く、「向社会的な行動」のスコアは高かった。反対に、一人っ子はSDQ合計スコアが高く、下位尺度の「仲間関係の問題」のスコアも高かった。「行為の問題」のスコアが最も高いのは、第一子だった。

     レジリエンスは末子が最も高く、以下、第一子、中間子、一人っ子の順であり、幸福感は一人っ子が最も高く、末子、第一子、中間子の順だった。なお、自尊心に関しては、出生順位による有意差は認められなかった。

     次に、子どもの性別のほか、母親の年齢や世帯収入などの前記の共変量を調整し、一人っ子を基準として他の出生順位の子どものメンタルヘルス状態を検討した結果、以下について有意差が見られた。まず、第一子はSDQの「仲間関係の問題」のスコアが低かった。中間子は、SDQ合計スコア、および「情緒の問題」「仲間関係の問題」と、幸福感のスコアが低かった。末子は、SDQ合計スコアと「仲間関係の問題」のスコアが低かった。

     著者らはこれらの結果を総括して、「日本人の9~10歳の子どもたちにおいて、出生順位はメンタルヘルスのポジティブな面とネガティブな面に関連していた。子どもたちのメンタルヘルス関連の問題を防ぐために、これらの関連のメカニズムの解明と、ライフステージ全体への影響を探る縦断研究が求められる」と述べている。

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    HealthDay News 2021年8月2日
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  • 手作り料理が少ない家庭の子どもは血圧が高い――足立区の中学生での検討

     家庭で手作り料理を食べる頻度と、子どもの心血管疾患リスク因子との関連が明らかになった。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学の谷友香子氏、藤原武男氏らの研究によるもの。手作り料理の回数が少ない家庭の子どもは、拡張期血圧が高く、善玉コレステロールが低いという。詳細は「Nutrients」に12月16日掲載された。

     先進国を中心に、女性の就業率の上昇を背景として家庭内で料理を手作りする機会が減っている。例えば米国では1960年から2000年の間に、摂取エネルギー量に占める手作り料理の割合が約25%低下し、日本では1993年から2015年の間に、調理済み食品の支出が26%増加したと報じられている。このような変化が成人の健康状態に影響を及ぼしている可能性は既に報告されているが、子どもへの影響は明らかでない。

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     谷氏らは、東京都足立区で行われている「足立区子どもの健康・生活実態調査(A-CHILD研究)」のデータを横断的に解析し、この関連を検討した。対象は、足立区内の公立中学校7校の中学2年生(13~14歳)676人で、そのうち583人の生徒とその保護者が、家庭での食事に関する自記式質問票に回答した。質問票では、手作り料理の頻度のほかに、野菜摂取頻度、朝食摂食頻度、世帯収入などを調査した。

     手作り料理の頻度は、6日/週以上の頻度「高」が85%、4~5日/週の頻度「中」が11%、3日/週以下の頻度「低」が3.8%だった。また、野菜摂取頻度が3回/週未満の生徒が12.7%、朝食を毎日食べない生徒が16.9%、肥満(BMIが平均+1標準偏差を超える生徒)が10.8%存在し、世帯の10.5%は低所得(年収300万円未満)に該当した。

     野菜摂取頻度が3回/週未満の生徒の割合を、手作り料理の頻度別に見ると、頻度「高」の家庭では9.2%であるのに対し、頻度「中」では30.2%、頻度「低」では38.1%を占めていた。また、朝食を毎日食べない生徒の割合は、同順に、13.4%、30.2%、57.2%であり、手作り料理の頻度が少ないほど、野菜摂取頻度が低く、朝食欠食頻度が高いという有意な関係が認められた。

     一方、生徒の肥満の割合は、頻度「高」の家庭が9.2%、頻度「中」が22.2%、頻度「低」が14.3%であり、U字型の関係にあった。世帯収入との関連については、低所得世帯は手作り料理の頻度が低い傾向が認められた。

     次に、性別、世帯収入などの交絡因子で調整後の線形重回帰分析により、手作り料理の頻度と学校健診の結果との関連を検討した。すると、手作り料理の頻度が低い家庭の生徒は、拡張期血圧が高く(β=3.59、95%信頼区間0.42~6.75)、HDL-C(善玉コレステロール)が低い(β=-6.15、同-11.2~-1.07)という有意な関連が明らかになった。

     また、ロジスティック回帰分析の結果、手作り料理の頻度が「高」の家庭の生徒に比べて、「中」の家庭の生徒の肥満のオッズ比が有意に高かった(OR2.67、同1.37~5.23)。手作り料理の頻度「低」の生徒の肥満リスクは、「高」の家庭と有意差がなかった。

     媒介分析の結果、拡張期血圧が高いことの12.3%は朝食の欠食により説明でき、HDL-Cが低いことの9.7%は野菜の摂取頻度が少ないこと、14.9%は朝食の欠食により説明可能であることが分かった。一方、BMIは両者の関係を媒介しないことが分かった。

     一連の結果を基に著者らは、「手作り料理の頻度が低いことは、肥満の増加とは別の経路で子どもの血圧やHDL-Cに影響を与えるようだ。調理済食品の摂取量が多くなることなどが関係しているのではないか」とまとめている。また、手作り料理の頻度が「中」の家庭の生徒には肥満が多いにも関わらず、「低」の家庭の生徒では少なかったことについて、手作り料理の頻度の低さのために栄養不良が生じている可能性を指摘している。

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  • 小児への多剤併用、4剤以上は要注意――岐阜薬大

     小児患者に4種類以上の薬を併用すると、1種類のみに比べて副作用発生のリスクが有意に高まるとのデータが報告された。岐阜薬科大学病院薬学研究室の舘知也氏、寺町ひとみ氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に12月7日掲載された。

     近年、高齢患者に対する多剤併用(ポリファーマシー)による副作用発生のリスクが注目されるようになり、処方薬を減らす取り組みも始まっている。一方、小児患者への多剤併用による副作用発生の実態は不明な点が多く、研究報告はほとんどない。今回、著者らは岐阜市民病院の医療記録を基に、小児患者における多剤併用が副作用発生のリスク因子となるかについて検討した。

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     解析対象は、2015年半年間の同院の外来・入院患者のうち、薬剤が1剤以上処方されていた1~14歳の小児1,330人。年齢中央値3歳(四分位範囲2~7歳)、男児57.1%で、外来患者が73.5%であり、処方された薬剤数の中央値は2剤(同1~4剤)であった。罹患疾患は呼吸器系が78.9%で最多であった。

     この対象のうち、46人(3.5%)が副作用と考えられる症状が原因で受診していた。うち16人は入院管理となり、これは小児の緊急入院全体の4.5%に相当した。

     薬剤と副作用の因果関係は、「確実」が11.1%、「多分」が22.2%で、「可能性あり」が66.7%であった。副作用の症状は胃腸障害(42.6%)や皮膚および皮下組織障害(16.7%)が多く、重症度のグレードは1(軽症)が57.4%、2(中等症)が24.1%、3(重症)が18.5%であり、4(生命の危険があり緊急処置が必要)や5(死亡)の該当事例はなかった。被疑薬は、全身用抗感染薬が55.6%と過半を占めていた。

     使用薬剤が1剤の場合の副作用発生率は1.56%、2~3剤では3.60%、4~5剤では4.48%、6剤以上では7.50%であった。単剤処方に比較し、4~5剤(P=0.021)や6剤以上(P=0.002)で、副作用発生率の有意な上昇が認められた。ROC解析でも、副作用発生の有無に対する多剤併用のカットオフ値は4剤と算出された。

     次に、単変量解析にて副作用の発生とP値0.25未満で関連が認められた因子を説明変数、副作用の発生の有無を目的変数とする多変量解析を施行した。解析にあたり使用薬剤数については、前記の検討で最適なカットオフ値として示された「4剤以上」と、小児の多剤併用の定義に用いられることの多い「2剤以上」の2通りの条件で行った。

     その結果、使用薬剤数(2剤以上、4剤以上のいずれも)が、独立して副作用発生のリスクを有意に高めることが分かった。

     著者らは本研究の限界点として、単一施設での後方視的デザインであることなどを挙げた上で、「小児患者においても多剤併用が副作用発生リスクの上昇につながることが明らかになった。高齢患者と同様に、薬剤処方に際しての慎重なリスク/ベネフィットの検討が求められる」と述べている。また、「副作用発生のリスクの点から、小児に対する多剤併用を4剤以上と定義するのが現実的である」と付け加えている。

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  • 母乳の味を変えれば野菜好きの子に育つ?

    幼い子どもに野菜好きになってほしければ、母親が授乳中に野菜を食べておくとよいかもしれない。「American Journal of Clinical Nutrition」7月号に掲載された研究で、母親が授乳前に野菜ジュースを飲むと母乳が野菜の風味になり、その母乳を飲んだ子どもは後に同じ味のする食べ物を嫌がる可能性が低くなることが示された。

     今回の研究では、母乳育児中の母子97組を5つのグループにランダムに割り付け、第1~第4グループの母親には授乳前に野菜ジュース(ニンジン、セロリ、ビートなど)を半カップ飲んでもらうことにした。その時期は、第1~第3グループではそれぞれ子どもの生後2週間目、1.5カ月目、2.5カ月目から1カ月間とし、第4グループでは生後2週間目から3カ月間とした。第5グループは水を飲む対照群とした。

     子どもの離乳後(生後8カ月頃)、母親が子どもに対してプレーンまたはニンジン風味、ブロッコリー風味の離乳食用シリアルを与える様子をビデオ撮影し、子どもの嫌がるサイン(鼻にしわを寄せる、唇を尖らせる、顔をしかめる、スプーンを強く拒絶するなど)を観察した。

     その結果、野菜風味の母乳を飲んだ子どもはプレーンなシリアルや不慣れなブロッコリー風味のシリアルよりも、ニンジン風味のシリアルを好むことが分かった。また、生後2週間目から1カ月間、野菜風味の母乳を飲んだ子どもは、他のグループの子どもに比べてニンジン風味のシリアルをより多く、より勢いよく食べていた。この結果について研究では「生後数週間は授乳の頻度が高いためか、もしくは味覚の形成に影響を及ぼしやすい時期であるためだろう」と推測している。

     なお、母親の野菜摂取量は研究期間中を通して変化しておらず、8割が推奨量を満たしていなかったが、母親は次第に野菜ジュースの味を好むようになっていた。そのため、その後も子どもに健康的な食べ物を与え続ける可能性が高まっているかもしれないという。

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     研究を率いた米Monell Chemical Senses CenterのJulie Mennella氏は「乳児の感覚的経験はそれぞれの児に固有のものだが、味覚の経験は子宮内にいるうちから始まり、母親が食べたものによる影響を受ける。母親から与えられる母乳は精密医療の極致といえるだろう」と述べている。母親が野菜を食べると、その風味が羊水や母乳に移行し、子どもに伝わる。それにより子どもが早期から野菜の味を学べば、固形食を取り始めたときに嫌がりにくくなる可能性があるという。

     米国栄養・食事療法学会(AND)スポークスパーソンのJennifer McDaniel氏は「他にも複数の研究で、母乳育児により食べ物の好き嫌いを少なくできる可能性が示されている。しかし、母乳育児をできない母親は自分を責めなくてよい。健康的で多様性に富む食事を与えれば、子どもは異なる味や食感を経験して受け入れていき、選り好みしない健康的な食事パターンを身につけられる可能性が高い」とアドバイスしている。

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    HealthDay News 2017年8月4日
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