• 黄砂が飛ぶ日は血圧が上がる――京都での検討

     黄砂が飛来する日は血圧が高くなりやすいことが分かった。京都大学大学院医学研究科社会健康医学系の石井正将氏(現在の所属は宮崎県立延岡病院循環器内科)、川上浩司氏らが、10年間にわたる黄砂の飛来状況と健診での血圧測定値との関連を、後方視的に解析して明らかにした。結果の詳細は、「Scientific Reports」に10月19日掲載された。

     大気汚染が高血圧や心血管疾患のリスクを高めることや、黄砂飛来と喘息発作や急性心筋梗塞の発症との間に相関が見られることは知られている。ただし黄砂飛来の血圧への影響はこれまで不明だった。石井氏らは、2005年4月~2015年3月に京都市内の武田病院関連施設で行われた健診データを用いて、黄砂への短期曝露と血圧との関係を検討した。

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     検討対象は、同期間の健診受診者32万5,017人から、降圧薬服用者および未成年者を除外した30万952人分のデータ。気象庁が公開している黄砂情報によると、この期間中の黄砂飛来日は61日であり、その飛来日に受診した人が3,897人、非飛来日に受診した人が29万7,055人だった。

     血圧に影響を与える既知の因子(年齢、性別、平均気温、湿度など)を傾向スコアマッチングで調整し、黄砂非飛来日に受診した群から飛来日受診群と同数の3,897人を抽出、両群の血圧や脈拍を比較した。なお、傾向スコアマッチング後も、受診日の湿度(飛来日54.8±10.3%、非飛来日56.1±11.2%)と、浮遊粒子状物質濃度(49.1±30.4µg/cm3、20.1±10.4µg/cm3)には差があった。

     黄砂飛来日には、血圧と脈拍が上昇するという有意な関連が認められた。具体的には、収縮期血圧はβ=1.85(95%信頼区間1.35~2.35)、拡張期血圧はβ=2.24(同1.88~2.61)、脈拍はβ=0.52(同0.14~0.91)だった。また、収縮期血圧120mmHg以上〔調整相対リスク(RR)1.13(同1.06~1.20)〕や、ステージ1高血圧〔RR1.22(同1.14~1.30)〕、ステージ2高血圧〔RR1.31(同1.15~1.49)〕のリスク上昇と関連していた。なお、ステージ1は130/80mmHg以上、ステージ2は140/90mmHg以上の高血圧。

     黄砂飛来による高血圧患者数への影響(人口寄与割合。PAF)は、収縮期血圧120mmHg以上に関しては11.5%(95%信頼区間5.7~16.7)、ステージ1高血圧に関しては18.0%(同12.3~23.1)、ステージ2高血圧に関しては23.7%(同13.0~32.9)と計算された。この結果は、黄砂飛来日に健診を受けて高血圧と判定された人の約4人に1人は、仮に黄砂が飛来していない日に健診を受けていれば、高血圧と判定されなかった可能性があることを意味する。

     サブグループ解析からは、BMIと年齢により黄砂による血圧への影響が異なることが分かった。BMIに関しては、25以上の肥満群では黄砂飛来日でも血圧が上昇せず、BMI25未満の群との有意な交互作用が認められた。年齢に関しては、41~50歳を底値として、それより若くても高齢でも、黄砂飛来による血圧上昇の影響が大きくなる傾向が見られた。また、非喫煙者は喫煙者よりも黄砂飛来による血圧上昇幅が大きかったが、群間の交互作用は非有意だった。性別や糖尿病の有無では、黄砂飛来による血圧の影響に有意な交互作用はなかった。

     著者らは、「黄砂飛来に起因する高血圧のPAFは比較的高い。よって、黄砂への曝露を避けることは、健康な成人の高血圧発症の予防に有用な可能性がある」と述べている。

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    HealthDay News 2020年11月16日
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  • 減塩効果のない高血圧には腸内細菌叢が関係――金沢大

     高血圧の予防や治療には減塩が重要だが、減塩しても血圧管理上のメリットを得られない人の存在が知られている。そのようなケースに、腸内細菌叢のパターンが影響を及ぼしている可能性が報告された。金沢大学大学院医薬保健学総合研究科の長瀬賢史氏、同医薬保健研究域保健学系の岡本成史氏、同融合研究域融合科学系の米田隆氏らのグループの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Medicine」に9月2日掲載された。

     減塩による血圧管理上のメリットを得られない場合の原因として、遺伝的な影響、腎疾患の存在、食事摂取量が多いことなどが指摘されているが、十分には明らかになっていない。一方、近年、腸内細菌叢のパターンの違いが、多くの疾患の発症や経過に影響を及ぼすことが報告されており、血圧へも影響を及ぼし得ることが動物実験の結果として報告されている。ただし、ヒトを対象とした研究報告は限られている。

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     今回発表された研究では、石川県志賀町で行われている生活習慣病に関する住民対象研究「志賀研究」のデータが用いられた。検討対象者は、志賀研究の参加者のうち便サンプルが採取されている人から、抗菌薬やステロイド薬が処方されていた人を除く239人。平均年齢は63±10歳、女性52.3%、BMI23.3±3.1、収縮期血圧136±17mmHg、拡張期血圧80±11mmHgで、44.8%が高血圧に該当した。また、食塩摂取量は9.4±1.9g/日(中央値は9.6g/日)だった。

     マイクロバイオーム解析結果の主成分分析により、腸内細菌叢のパターン(エンテロタイプ)を、タイプ1とタイプ2の2群に分類。かつ、食塩摂取量が中央値以下の群と中央値を超えている群の2群に分類。合計4つのグループに分け、臨床的背景を比較検討した。

     各群の高血圧有病率は、食塩摂取量が多い群のエンテロタイプ1では49.4%、エンテロタイプ2では46.7%であり、有意差はなかった(P=0.83)。一方、食塩摂取量が少ない群では、エンテロタイプ1が47.0%、エンテロタイプ2では27.0%であり、群間に有意差が認められた(P=0.04)。

     年齢、性別、BMI、エンテロタイプを説明変数とする多変量解析からは、食塩摂取量が少ない群ではエンテロタイプの相違が、高血圧と有意に関連する因子として抽出された〔タイプ2のタイプ1に対するオッズ比0.39(95%信頼区間0.15~0.99)〕。その一方で、食塩摂取量が多い群では、有意な因子は特定されなかった。

     次に、食塩摂取量と血圧との関連をエンテロタイプ別に見ると、タイプ2はタイプ1よりも両者の間に、より強い関連が認められた(近似直線の傾きが、収縮期血圧はタイプ1が1.23、タイプ2が2.00、拡張期血圧は同順に1.18、1.30)。

     これらの結果から、腸内細菌叢のパターンがエンテロタイプ1に該当する場合、減塩による血圧管理上のメリットが減弱する可能性が明らかになった。なお、エンテロタイプ1はタイプ2に比べて、Blautia、Bifidobacterium、Escherichia-Shigella、Lachnoclostridium、Clostridium sensuという6種類の微生物の割合が低いという有意差が存在した。

     以上の検討の結論として研究グループでは、「高血圧の予防や治療において減塩の効果のない人もいる。新しい介入法として、腸内細菌叢へのアプローチが期待され、両者の関連とメカニズムの詳細を探る今後の研究が求められる」と述べている。

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    HealthDay News 2020年10月19日
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  • 全粒穀物をたくさん食べる人ほど高血圧になりにくい

     玄米など、糠を除去していない全粒穀物の摂取頻度が高いほど高血圧になりにくいことが、日本人対象の研究から明らかになった。国立国際医療研究センター疫学・予防研究部の樫野いく子氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」3月26日オンライン版に掲載された。

     全粒穀物は白米などの精製された穀物よりも健康上の利点が多く、全粒穀物摂取量が高血圧リスクを低下させるとの海外からの報告もある。しかし、日本人は高血圧の頻度が高いにも関わらず全粒穀物の摂取量が世界で最も少ないレベルで、また日本人の全粒穀物摂取量と高血圧リスクを検討した研究データは少ない。

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     こうした中、樫野氏らは企業勤務者を対象に行われている古河栄養健康研究(代表者は同研究センターの溝上哲也氏)の一環として、全粒穀物摂取と高血圧リスクの関係を探る前向き縦断研究を行った。

     調査への参加に同意した人から、既に高血圧と診断されている人などを除いた1,483人を研究に登録し3年間追跡した。3年後に追跡が可能だったのは952人(年齢39.9±8.6歳、女性11.7%、BMI22.5±2.9kg/m2)で、血圧のデータに不備があった8人を除く944人を解析対象とした。

     ベースライン時のアンケート調査で、全粒穀類の摂取頻度について「玄米・胚芽米を食べたり、ご飯に麦や雑穀を混ぜて食べるか」と質問。その回答から全粒穀物の摂取頻度を3群に分けると、「時々またはいつも摂取する」群が193人、「まれに摂取する」群が221人、「全く摂取しない」群が530人だった。3群間に年齢や男女比の有意差はなかった。

     3年間の追跡で89人(9.4%)が高血圧を発症した。全粒穀物を「全く摂取しない」群を基準とし、高血圧発症リスクを多重ロジスティック回帰分析で検討すると、年齢、性別および勤務地を調整因子とするモデル1では、「時々またはいつも摂取する」群でオッズ比(OR)0.35(95%信頼区間0.16~0.77)となり、有意なリスク低下が認められた(傾向性P=0.02)。

     調整因子にBMI、喫煙・飲酒・運動習慣、勤務状況、食習慣(摂取エネルギー量や高血圧との関連が報告されている食品摂取量)を加えたモデル2でも、「時々またはいつも摂取する」群はOR0.36(同0.16~0.83)で、有意に低リスクだった(傾向性P=0.04)。なお、「まれに摂取する」群については、モデル1、2のいずれでも「全く摂取しない」群と有意な差がなかった。

     次に、ベースライン時と3年後に行ったアンケートで2回とも全粒穀物を「全く摂取しない」と答えた人(401人)と、2回とも「時々またはいつも摂取する」と答えた人(112人)とで高血圧発症リスクを比較。すると、2回とも「時々またはいつも摂取する」と答えた人のリスクは、モデル1でOR0.32(同0.11~0.92)、モデル2ではOR0.20(同0.05~0.73)であり、より大きなリスク低下が認められた。

     これらの結果について研究グループは、解析対象に占める女性の割合が低かったことなどを研究上の限界点として挙げた上で、「全粒穀物の摂取頻度が高いことが高血圧リスクの低下につながるという有意な関連が、日本人対象縦断研究でも確認された」とまとめている。

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    HealthDay News 2020年4月27日
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  • 全身持久力を高く保つと高血圧になりにくい? 約6千人の日本人男性で検討、東北大

    全身持久力を測定した約6,000人の日本人成人男性を23年間追跡した結果、厚生労働省が推奨する全身持久力の基準を継続的に達成すると高血圧になりにくい可能性があることが、東北大学大学院運動学分野講師の門間陽樹氏らの研究グループの検討で分かった。6年間に全身持久力の基準を3回以上達成すると、高血圧を発症するリスクが最大で38%低下することが示されたという。詳細は「Journal of Hypertension」9月17日オンライン版に掲載された。

    全身持久力を高く保つと高血圧の発症リスクが低減すると考えられているが、どのレベルの全身持久力を、どのくらいの期間保つ必要があるのかについては明らかになっていない。そこで、門間氏らは今回、全身持久力を測定した男性を長期にわたり追跡し、厚労省が推奨する全身持久力の基準の達成状況と高血圧の発症リスクとの関連を検討する研究を実施した。

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    対象は、1986年の研究開始時またはそれ以前に全身持久力を測定した高血圧のない男性6,653人。対象者を最大で23年間追跡し、1980~1986年に測定された全身持久力の値に基づいて、厚労省が公表している「健康づくりのための身体活動基準2013」で定められている基準を達成した回数を評価し、1986~2009年の高血圧発症との関連を検討した。

    追跡期間中に3,630人が高血圧を発症した。解析の結果、研究開始時に全身持久力の基準に達していた群では、達していなかった群に比べて高血圧リスクが21%低いことが分かった(調整後ハザード比0.79、95%信頼区間0.74~0.85)。また、追跡開始以前の6年間における全身持久力の基準の達成回数が多いほど、高血圧リスクは低下した。さらに、この基準の達成回数が1~2回だった場合には、達成の有無で高血圧リスクに差はみられなかったが、基準を3回以上達成すると高血圧リスクは顕著に低い値を示すことも明らかになった(調整後ハザード比は基準達成回数が3回の場合は0.72、7回の場合は0.62)。

    以上の結果を踏まえ、門間氏らは「厚労省が推奨する全身持久力の基準を継続的に達成すると高血圧の予防につながる可能性がある」と結論づけている。また、同氏らは、この結果は、厚労省の身体活動基準による全身持久力の基準は高血圧予防において妥当であることを支持するもので、運動指導や保健指導の現場で活用する根拠にもなるとしている。

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    HealthDay News 2018年10月15日
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  • 尿酸値が高い男性は高血圧に注意? 約2千人の会社員を対象に解析、九州大

    日本人の男性会社員は、血清尿酸値が高いほど高血圧を発症しやすい可能性のあることが、九州大学大学院病態機能内科の寒水康雄氏らの研究グループの調べで分かった。

    特に45歳以下で糖尿病がなく、HDL-コレステロール(HDL-C)値が40mg/dL以上の男性は気をつける必要があることも示された。
    詳細は「Journal of Hypertension」5月8日オンライン版に掲載された。

    高尿酸血症は高血圧患者で合併する頻度が高く、その有病率は25%から50%に上るとの報告もみられる。
    また、高尿酸血症を合併した高血圧患者では肥満やメタボリック症候群のリスクも高いとされる。

    しかし、特に若年期から中年期の日本人において、血清尿酸値が高血圧の発症にどのような影響を及ぼすのかは明らかにされていない。
    研究グループは今回、男性会社員を対象に、血清尿酸値が高血圧の発症リスクに及ぼす影響を調べる観察研究を実施した。

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    対象は、某バス・鉄道会社に勤務する18~64歳の男性会社員のうち、2009年のベースライン時に高血圧が認められなかった2,335人。
    2015年まで6年間追跡し、血清尿酸値と高血圧の発症の有無を調べた。

    その結果、追跡期間中に380人が新たに高血圧を発症した。
    対象者を血清尿酸値で4群(5.1mg/dL以下、5.2~5.8mg/dL群、5.9~6.6mg/dL群、6.7mg/dL以上)に分けて高血圧の発症リスクを比較したところ、年齢やBMI、収縮期血圧値などで調整した解析でも、血清尿酸値が高いほど高血圧リスクは上昇することが分かった(5.1mg/dL以下群と比べて、それぞれ1.34倍、1.42倍、1.65倍)。
    血清尿酸値が1mg/dL高いごとに高血圧リスクは13%上昇したという。

    また、こうした関連は、糖尿病がなく、HDL-C値が40mg/dL以上を示す40歳以下の若年男性で強いことも明らかになった。

    これらの結果を踏まえて、研究グループは「血清尿酸値が高い人は将来、高血圧を発症するリスクが高い可能性があることが分かった。
    高血圧を予防するためには、若いうちから尿酸値が上がらないように気をつける必要があるだろう」と述べている。

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    HealthDay News 2018年6月4日
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  • 肥満と睡眠呼吸障害で高血圧と糖尿病の頻度が増加 短時間睡眠との関連みられず、京都大

    肥満と睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing;SDB)は高血圧や糖尿病と関連し、その関連の程度には性差や閉経前後で差がみられることが、京都大学大学院呼吸器内科学の松本建氏と同大学院呼吸管理睡眠制御学特定教授の陳和夫氏らの研究グループの調べで分かった。

    7千人を超える対象者で客観的な睡眠時間とSDB〔ほとんどは閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)と考えられる〕を同時に測定し、肥満や高血圧、糖尿病との関連を調べた研究は世界初のもの。
    SDBや肥満が重症化すると睡眠時間は短縮したが、短時間睡眠自体はこれらの生活習慣病の発症と関連しない可能性も示された。
    詳細は「SLEEP」5月9日オンライン版に掲載された。

    OSAは日中の過度な眠気を引き起こすだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と関連する可能性があり、最近では短時間睡眠との関連も報告されている。
    また、肥満はOSAの最大の要因であるが、近年、肥満があると睡眠時間が短くなることが報告されるようになった。
    さらに、短時間睡眠は生活習慣病の原因になるとの報告もみられるが、これらの報告の睡眠時間はほとんどが自己申告によるもので、客観的な睡眠時間ではなかった。
    このように、OSAと肥満、短時間睡眠は相互に関連する可能性があるが、これら3つの要因を同時に客観的に測定し、これらの相互の関連を調べた大規模な報告はなされていない。

    研究グループは今回、同大学と滋賀県長浜市が連携して約1万人の市民を対象に健診データの収集や解析を進めている「ながはま0次予防コホート事業」のデータを用いて、SDBの有無や程度と客観的な指標に基づく睡眠時間を測定し、SDBと短時間睡眠、肥満を同時に考慮した場合の高血圧や糖尿病との関連について検討した。

    研究では、睡眠時間は腕時計型の加速度計と睡眠日誌による客観的な指標を用いて測定し、SDBはパルオキシメーターを用いて評価した。
    2013~2016年に参加した9,850人のうち加速度計で5日間以上(平日4日以上かつ休日1日以上)測定し、パルオキシメーターで2日間以上測定し得た7,051人(71.6%)を対象に解析を行った。
    なお、中等症~重度のSDBの定義は、客観的に評価した睡眠時間で、睡眠1時間当たりの基準値に対して酸素飽和度が3%以上低下した回数が15回以上とし、肥満の定義はBMI 25kg/m2以上とした。

    その結果、睡眠時間は性や閉経前後で差はみられなかったが、治療対象となる中等症以上のSDBの頻度は男性で23.7%と高く、女性では閉経前の1.5%に対して閉経後には9.5%に上昇することが分かった。

    解析の結果、SDBや肥満が重症化すると睡眠時間は短くなることが分かった。
    また、中等症以上のSDBは男女ともに高血圧の発症頻度の上昇と関連したが(SDB正常者に対して男性3.11倍、閉経前女性3.88倍、閉経後女性1.96倍)、糖尿病に関しては、中等症以上のSDBは女性でのみ関連を示し、特に閉経前女性でその発症頻度は28.1倍と著明に上昇した(閉経後女性では3.25倍)。

    さらに、肥満は男女ともに高血圧や糖尿病と関連したが、短時間睡眠自体とこれらの生活習慣病との間には関連はみられなかった。
    なお、従来から明らかな肥満と高血圧、糖尿病の関連は約20%がSDBを間接的に媒介したものであることも分かった。

    以上の結果を踏まえ、研究グループは「今回の研究から、SDBによって睡眠時間が短縮している人がいることや、治療を要するSDBがある人は高血圧や糖尿病に注意が必要で、特に閉経前の女性では糖尿病を慎重に調べる必要がある可能性が示された。

    また、肥満と高血圧や糖尿病との関連はSDBが間接的に媒介していたことから、SDBがある肥満者の治療には減量だけでなくSDB治療を加えると有益な可能性もある。
    中でも、薬物治療の効果が不十分な高血圧や糖尿病の患者ではSDBの存在も考慮する必要がある」と結論づけている。
    調査は現在も継続中で、睡眠時間とSDBの程度やその変化が高血圧や糖尿病に与える影響を縦断的に解析する予定だという。

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    HealthDay News 2018年5月21日
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  • AIで生活習慣病リスクを高精度に予測-NTTデータら

    NTTデータとNTT(日本電信電話)は5月16日、人工知能(AI)を用いて、健診データから高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の発症リスクを予測するシステムを開発したと発表した。

    継続受診していない場合や受診が一定期間に限られる健診データでも予測精度は90%に達したという。実用化に向けた無償トライアルに参加する生命保険会社を募り、保険商品の開発や加入時の査定、加入後の健康改善などでの有効性を検証する予定だ。

    生保各社が販売する医療保険では、保険料を算定する際などに各種の疾病の発症リスクを予測することが不可欠となる。
    しかし、健診やレセプトデータを多量に入手し、分析する必要があるなどの課題があった。

    また、健診データの分析では、継続受診していない場合や受診期間が一定期間に限られるなど、データが不均質だったりサンプル数が少ないケースも多く、高精度な分析データを得るには限界があった。

    そこで、NTTらはAI関連技術(商品名:corevo)の一つとして、AIに従来の「発症」「未発症」の分類による学習ではなく、生活習慣病の発症しやすさを比較するランキング学習を行わせ、データの保有期間が短い未発症者のデータも利用できる予測システムを開発した。
    NTTが保有する10万人の最長6年分の健診データで試用したところ、数年後の2型糖尿病の発症を90%の高い精度で予測できたという。

    NTTデータらは、2018年度中に生命保険会社向けのサービス提供を開始することを目指す。
    また、生活習慣病の発症リスクの予測だけでなく、糖尿病発症後の重症化予防に関する研究も進行中であり、対象疾病も拡大していく見込みだとしている。

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    HealthDay News 2018年5月28日
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  • 若年期のBMIやや高めで中年期の高血圧リスク上昇 非肥満の多い日本人でも、順天堂大

    たとえ適正体重の範囲内であっても、20歳までに体格指数(BMI)がわずかでも高まると中年期以降に高血圧になりやすい可能性があると、順天堂大学大学院スポートロジーセンターの染谷由希氏らの研究グループが「PLOS ONE」1月11日オンライン版に発表した。

    BMIが23~24の適正範囲内(日本国内ではBMI 25以上を肥満と定義)でも、BMIが20未満の人と比べて中年期に高血圧を発症するリスクは約3倍に高まることが分かった。

    欧米人では20歳までに過体重や肥満になると中年期以降の高血圧発症リスクが上昇することが知られている。
    一方で、日本人を含むアジア人は欧米人と比べて若年期の肥満率は低いが、中年期以降では適正体重でも高血圧発症率が高いことが明らかとなっている。
    日本人では中年期以降のBMI上昇が高血圧のリスク因子と考えられているが、若年期のBMIの違いによる高血圧リスクへの影響は明らかにされていない。
    染谷氏らは今回、同大学の学生を約27年間追跡したコホートデータを用いて、若年期のBMIと中年期以降の高血圧発症リスクとの関連について調査を行った。

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    対象は、同大学体育学部(現スポーツ健康科学部)の卒業生で、順天堂大学同窓生研究(Juntendo University Alumni Study)に参加した男性636人。
    在学中のBMIの記録があり、2007~2011年の追跡調査で回答した者とした。
    対象者を在学中のBMIで6つの群(20未満群、20以上21未満群、21以上22未満群、22以上23未満群、23以上24未満群、24以上群)に分けて追跡調査時の高血圧発症率との関連を調べた。
    なお、高血圧の有無は2007~2011年に行った自記式調査の結果から判定した。

    追跡期間は27年間に及んだ(17万59人年)。
    年齢中央値は在学時が22歳、追跡終了時が49歳であった。追跡期間中に120人が高血圧を発症した。

    解析の結果、BMI区分別(20未満群、20以上21未満群、21以上22未満群、22以上23未満群、23以上24未満群、24以上群)の高血圧発症率はそれぞれ9.4%、14.6%、16.1%、17.5%、30.3%、29.3%であった(傾向P<0.001)。BMI 20未満群を基準値とした各BMI群の高血圧発症ハザード比はそれぞれ1.00(基準値)、1.80(95%信頼区間0.65~4.94)、2.17(同0.83~5.64)、2.29(同0.89~5.92)、3.60(同1.37~9.47)、4.72(同1.78~12.48)であり(傾向P<0.001)、BMIが20未満の群と比べて23以上24未満群、24以上群で高血圧リスクは3~4倍に上った。
    年齢や卒業年、喫煙歴、中年期の運動習慣や食習慣を調整した解析でも同様の結果が得られた。

    若年期に適正体重でもわずかにBMIが高いと中年期に高血圧になりやすい機序について、染谷氏らは、欧米人と比べて日本人の成人はBMIが同じでも体脂肪、特に内臓脂肪量が多いことや、研究グループではこれまで、日本人は太っていなくても筋肉の効きが悪くなるインスリン抵抗性になりやすく、生活習慣病を引き起こしやすい可能性を報告していること(J Clin Endocrinol Metab 2016; 101: 3676-3684)を指摘。

    これらの結果を踏まえて、同氏らは「若年期にたとえ適正体重の範囲内であってもBMIがやや高めの人は、中年期以降の高血圧に気をつける必要がある」と述べている。

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    HealthDay News 2018年1月29日
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  • 高血圧の診断基準を130/80mmHgに引き下げ―米学会

    米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は11月13日、新たな高血圧診療ガイドラインを公表した。

    これまで高血圧の診断基準は「収縮期血圧(SBP)140mmHg以上または拡張期血圧(DBP)90mmHg以上」だったが、新ガイドラインでは「SBP130mmHg以上またはDBP80mmHg以上」に引き下げられた。
    これによって米国の成人のほぼ半数が高血圧の基準を満たすことになるという。

    新ガイドラインの血圧分類ではSBP130~139mmHgまたはDBP80~89 mmHgを「ステージ1」、血圧値がこれらを上回る場合を「ステージ2」の高血圧と定義。
    SBP120~129mmHgかつDBP80mmHg未満も「血圧上昇(elevated blood pressure)」と定義し、生活習慣の是正や3~6カ月ごとの血圧測定を含む再評価が望ましい状態としている。
    したがって、正常血圧は「SBP120mmHg未満かつDBP80mmHg未満」となる。

    さらに、降圧目標値は一律に「SBP130mmHg/DBP80mmHg未満」に設定した上で積極的に治療を行うことを推奨している。
    ただし、血圧値にかかわらず生活習慣の是正の重要性が強調されており、ガイドラインには「推奨に従うことで降圧薬の処方が急増することにはならない」との見解が示されている。

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    以前は高血圧の前段階である「高血圧前症(prehypertension)」と定義されていた「SBP130~139mmHgまたはDBP80~89mmHg」が高血圧に分類された背景について、ガイドラインの作成委員で米オレゴン健康科学大学(OHSU)のJoaquin Cigarroa氏は「血圧値がこの範囲でも、より低値の場合と比べて心筋梗塞や脳卒中、心不全、腎不全などのリスクが約2倍であるとの最新エビデンスがある」と説明している。

    ただし、ガイドラインの作成委員長で米テュレーン大学教授のPaul Whelton氏は「SBP130~139mmHgまたはDBP80~89 mmHgでも薬物療法が必要なのは既に心疾患があるか、リスク評価で10年以内に心疾患や脳卒中を発症するリスクが高いと判定された人のみ。
    この層で実際に薬物療法の対象となるのは30%程度だろう」としている。

    今回の診断基準の変更によって米国の成人における高血圧患者の割合は32%から46%に増加すると推定されている。
    特に大きな影響を受けるのは45歳未満で、高血圧患者の割合は同年齢層の男性で約3倍に、また女性では約2倍に増えるとの予測も示されている。

    生活習慣を是正するための具体策として推奨されているのは、減量や健康的な食事、減塩、カリウムが豊富な食品の摂取、運動、適度な飲酒など。
    また、血圧値を正確に測定するために少なくとも2回以上の異なる機会に2~3回測定し、平均値を求めるよう勧めている。
    また、診察室で測定すると血圧が上昇してしまう「白衣高血圧」を避けるため、家庭血圧の測定も重要であることが強調されている。

    ガイドラインの概要はAHAの年次集会(AHA 2017、11月11~15日、米アナハイム)で発表されたほか、全文が「Hypertension」と「Journal of the American College of Cardiology」の11月13日オンライン版に掲載された。

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    HealthDay News 2017年11月13日
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  • 辛い物好きは食塩の摂取量が少ない?

    辛い物を好む人は好まない人と比べて1日当たりの食塩摂取量が少なく、血圧も低いことが中国人を対象とした研究で明らかになった。

    研究を実施した中国人民解放軍第三軍医大学大坪医院高血圧・代謝疾患センター(中国)のZhiming Zhu氏らは「減塩や血圧を低下させるための介入として、辛い物の摂取を促進することが有効である可能性がある」としている。
    研究の詳細は「Hypertension」12月号に掲載された。

    食塩の摂取過多は高血圧のリスク因子であり、心血管イベントのリスクを高めることは良く知られている。
    このため、有効な減塩方法を明らかにするために数多くの研究が実施されてきた。

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    その中に、唐辛子に含まれている辛み成分であるカプサイシンに塩味を強く感じやすくさせる作用があることを示した研究があった。
    Zhu氏らはこの研究報告に着目し、辛い物を食べることで食塩の摂取量が減少するのかどうかを検証するために中国人の成人606人を対象とした研究を実施した。

    対象者の辛味に対する好みのレベルを「好む」「普通」「好まない」の三段階に分けて解析した結果、辛い物を好まない群と比べて好む群では収縮期血圧が8mmHg、拡張期血圧が5mmHg低く、1日当たりの食塩摂取量も2.5g少なかった。

    また、対象者にカプサイシンを投与して脳画像検査を実施したところ、食塩を摂取した時に活性化する領域と同じ領域〔島皮質および眼窩前頭皮質(OFC)〕の活性化が認められた。
    このことから、Zhu氏らは「辛い物を食べることで塩味への欲求が減弱するのではないか」との見方を示している。

    一方、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)循環器病予防医学のGregg Fonarow氏は「辛い食べ物をたくさん食べることが健康に良い影響を及ぼすのかどうかを見極めるためには、さらなる研究が必要だ」と慎重な見方を示している。

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    HealthDay News 2017年10月31日
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