• 「尿中糖鎖」が2型糖尿病患者の腎予後予測に有用か 岡山大など

    尿中の糖鎖排泄量が、2型糖尿病患者の腎機能低下を予測する指標として有用な可能性があることを、岡山大学大学院腎・免疫・内分泌代謝内科学教授の和田淳氏と三瀬広記氏らの研究グループが突き止めた。

    糖尿病患者の腎機能の悪化に、尿中の糖鎖が関係することを報告した研究は世界で初めて。
    和田氏らは「たった1滴の尿を用いるだけで、従来よりも正確に2型糖尿病患者の腎機能悪化を予測できれば、腎不全への進展や透析を導入する患者を減らせる可能性がある」と話している。
    詳細は「Diabetes Care」6月21日オンライン版に掲載された。

    糖鎖とは細胞の表面にある糖が鎖状につながった生体高分子のことで、近年はアレルギー疾患やがん、関節リウマチ、認知症などのさまざまな疾患への関与が報告されつつある。
    しかし、糖鎖の構造は複雑で測定が難しく、糖尿病や腎臓病における糖鎖の研究は進んでいなかった。

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    研究グループは今回、共同研究者の株式会社グライコテクニカが開発した「レクチンアレイ」と呼ばれる糖鎖解析技術を採用。1滴の尿(20μL)を用いるだけで尿中の複数の糖鎖量を短期間で測定できるようになった。
    レクチンアレイは、45種類のレクチンが固定されたチップの上にラベル処理した尿をかけると、尿中糖鎖がそれぞれに対応したレクチンに結合することで、尿中糖鎖を測定できる仕組みだという。

    そこで、研究グループは、岡山県内8施設の2型糖尿病患者675人を対象に、レクチンアレイを用いて尿中の糖鎖排泄量を測定する前向きコホート研究を実施。
    評価項目はベースライン時からの推算糸球体濾過量(eGFR)が30%以上低下、または末期腎不全による透析導入と定義した。
    対象患者の平均年齢は63歳、男性61%、平均eGFR値は71.4±17.1mL/分/1.73m2、尿中アルブミン排泄量の中央値は17.3mg/gCr(四分位7.8~71.1)であった。
    中央値で4.0年の追跡期間中に63人の患者が評価項目を発症した。

    単変量だけでなく、ベースライン時のアルブミン尿やeGFRで調整した多変量Cox回帰モデルにおいても、SNA、RCA120、DBA、ABA、Jacalin、ACAの6種類のレクチンが認識する糖鎖の尿中排泄量は評価項目の発症と有意に関連することが分かった。
    SNA、RCA120、DBAに結合する特異的糖鎖はそれぞれSiaα2-6Gal/GalNAc、Galβ1-4GlcNAc、GalNAcα1-3GalNAcであり、ABA、Jacalin、ACAに共通する特異的結合糖鎖はGalβ1-3GalNAcであった。

    また、これら6種類の尿中の糖鎖排泄量を、ベースライン時のアルブミン尿やeGFRなどで構成したモデルに加えると評価項目の予測能は有意に向上することも明らかになった。

    以上の結果から、研究グループは「2型糖尿病患者の腎予後の予測には、尿中糖鎖の測定が有用な可能性が示された。
    尿中の糖鎖排泄量は腎組織における糖鎖や糖鎖修飾の違いを反映している可能性があり、糖尿病腎症の進展における新しいメカニズムになり得る。
    そのため、尿中糖鎖のさらなる研究が糖尿病腎症における新たな治療標的になると期待される」と結論づけている。

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    HealthDay News 2018年7月9日
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  • 「傍尿細管基底膜滲出性病変」は糖尿病腎症の有用な腎予後因子 – 日本人2型糖尿病患者で検討 –

    傍尿細管基底膜滲出性病変(paratubular basement membrane insudative lesions;PTBMIL)は腎生検で糖尿病腎症と診断された2型糖尿病患者における有用な腎予後因子である可能性のあることが、岡山大学大学院腎・免疫・内分泌代謝内科学の三瀬広記氏と山口病理組織研究所の山口裕氏、虎の門病院腎センター内科部長の乳原善文氏らの研究グループの検討で分かった。詳細は「PLOS ONE」8月15日オンライン版に掲載された。

    Capsular dropやfibrin capに代表される糸球体の滲出性病変は、糖尿病腎症の特徴的な病理学的所見として知られている。腎生検を用いたこれまでの研究で、糸球体や細動脈の滲出性病変は糖尿病腎症の腎予後と関連することが報告されているが、間質の線維化・尿細管萎縮(IFTA)や結節性病変ほどの強い関連は認められていない。そこで今回、研究グループは滲出性病変の中でも、糸球体尿細管極から近位尿細管を進展していくPTBMILに着目。腎生検により糖尿病腎症と確定診断された2型糖尿病患者を対象に、同病変の広がりと腎予後との関連を調べた。

     対象は、1998年1月~2011年6月に虎の門病院で腎生検を施行され、糖尿病腎症と診断された2型糖尿病患者136人。腎生検時に推算糸球体濾過量(eGFR)が10mL/分/1.73m3未満だった患者は解析から除外した。患者背景は、平均年齢は61歳、男性が80%で、ベースライン時の平均eGFR値は43.9±22.8mL/分/1.73m3であり、対象患者の92%(125人)は顕性蛋白尿を呈していた。

     対象患者をPTBMILの広がりの程度により軽度群(PTBMILスコア0~2、34人)と中等度群(同3および4、50人)、重度群(同5および6、52人)の3群に分けた。主要評価項目は、eGFRのベースライン時から40%以上の低下、あるいは末期腎不全による透析導入とし、Cox回帰分析によって主要評価項目とPTBMILの程度との関連を調べた。

     中央値で1.8年の追跡の結果、対象患者のうち104人に主要評価項目が認められた。腎生存率には3群間で有意差がみられ、PTBMILの広がりが高度な群ほど腎生存率は有意に低下した。

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     また、糖尿病の罹病期間や糖尿病網膜症、収縮期血圧、eGFR、蛋白尿量(いずれも腎生検時)といった腎予後因子で調整したCox回帰分析において、主要評価項目(eGFRの40%以上の低下または透析導入)に対するリスクはPTBMILの広がりが軽度の群に比べて、中等度群では2.32倍(ハザード比、95%信頼区間1.20~4.51)、重度群では3.12倍(同、1.48~6.58)と有意に高かった。さらに、これらの代表的な腎予後因子による多変量Cox回帰モデルに、PTBMILスコアまたは群(上記の3群)といった因子を加えると腎予後の予測能が有意に向上することも分かった。

     以上の結果から、3氏らは「今回検討した進行期の糖尿病腎症患者において、PTBMILは尿細管の萎縮を伴いながら多様に広がっていることが確認できたため、IFTAの原因となり得る」と指摘しつつ、「PTBMILはこれまで知られている予後因子とは独立して腎予後と強く関連し、腎予後因子として有用な可能性が考えられる」と結論。今後、早期糖尿病腎症患者においても検証が必要だと付け加えている。

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    Abstract:リンク先
    HealthDay News 2017年9月4日
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  • 拡散テンソル画像MRIで腎臓線維化の画像化に成功 – 糖尿病腎症モデルラットで、阪大の研究グループ

    大阪大学大学院先端移植基盤医療学准教授の貝森淳哉氏と先端移植基盤医療学教授の高原史郎氏らの研究グループは、拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging;DTI)と呼ばれる拡散MRIの一手法を用いて、糖尿病腎症モデルラットの腎臓の線維化を画像化することに成功したと発表した。腎臓の組織障害を非侵襲的に正しく評価できるようになれば、糖尿病腎症や慢性腎臓病(CKD)の予防のほか、透析患者数の減少にも寄与するものと期待されるという。詳細は「Scientific Reports」7月18日オンライン版に掲載された。

     腎疾患の進行度を評価するには腎臓の線維化が重要な指標とされるが、その評価には腎生検が必要とされ、非侵襲的なMRIやエコー検査では評価は難しいとされている。これまでの報告で、拡散MRIにより腎臓の線維化を評価できる可能性が示唆されているが、評価法の確立には至っていない。特に、日本国内の透析導入原因の第1位に位置づけられる糖尿病腎症に関しては、浮腫の影響もあり、腎臓組織の線維化の評価は困難とされている。

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     そこで今回、研究グループは、拡散MRIを多方向から撮影する「拡散テンソル画像MRI」という撮影法に着目。より感度が高い撮影方法であるスピンエコー法と組み合わせた新しい撮影方法を開発し、糖尿病モデルラットを用いて腎臓の線維化の撮影を試みたところ、その画像化に成功した。

     また、従来のMRIでは3時間ほどの撮影中、腎臓を静止させる必要があったが、研究グループは、腎臓の血流と温度を長時間変えることなく腎臓を静止させることができる特殊な器具を開発したとしている。今回の結果を踏まえ、研究グループは今後、生体で腎臓を固定する方法や撮影方法を改良し、糖尿病による腎障害の進行度を非侵襲的かつ正確に評価する手法の実用化につなげたいとしている。

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    HealthDay News 2017年7月31日
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