• 朝食抜きや夕食後の間食、食行動の「数」が抑うつと関連

     抑うつにはさまざまな因子が関係するが、不健康な食行動が多いこともその一つと言えそうだ。朝食を抜く、夕食後に間食をするといった不健康な食行動について、その「数」に着目した研究が新たに行われた。その結果、これらの食行動の数が多い人ほど、抑うつのリスクが高かったという。福岡女子大学国際文理学部食・健康学科の南里明子氏らによる研究結果であり、詳細は「European Journal of Clinical Nutrition」に12月22日掲載された。

     朝食を抜くことと抑うつリスクとの関連については、著者らの先行研究を含め、これまでにもいくつか報告されている。しかし例えば、夕食後の間食が朝食抜きに影響を及ぼす可能性などもあることから、食行動のそれぞれではなく、その積み重ねと抑うつとの関連を検討する方が現実に即している。ただ、この観点での研究はほとんど行われていなかった。そこで、これらの点を踏まえて今回、食行動の数による影響が詳細に検討された。

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     著者らは、栄養疫学調査に参加した製造業の従業員を対象とし、ベースライン時(2012年4月と2013年5月)と3年間の追跡期間後(2015年4月と2016年5月)に調査を実施した。抑うつ症状は自己評価尺度(CES-D)を用いて評価した。不健康な食行動は、朝食抜き、夕食後の間食、就寝前の夕食の3つについて、週に3回以上行っている行動の数を調査。その他、生活習慣や労働環境、栄養摂取の状態なども調査した。

     解析対象者は19~68歳の914人(男性816人、女性98人)だった。不健康な食行動の数で分類すると、1つもない人は429人(平均43.0歳、男性87.4%)、1つの人は364人(同41.4歳、89.8%)、2~3つの人は121人(同39.6歳、94.2%)だった。不健康な食行動の数が多い人ほど、若年齢、男性・交代勤務・喫煙者の割合が高い、残業時間が長い、仕事・家事・通勤中の身体活動が多いという傾向があった。また、仕事のストレスが大きく、一人暮らしの傾向があり、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、マグネシウム、亜鉛の摂取量が少なかった。

     3年間の追跡期間中、抑うつ症状(CES-D≧16)を発症したのは155人(17.0%)だった。対象者の背景因子や職業・生活習慣因子の違いによる影響を調整して解析した結果、不健康な食行動が2~3つの人は、1つもない人と比べて、抑うつのリスクが有意に高かった(調整オッズ比1.87、95%信頼区間1.10~3.21)。しかし、栄養因子による影響を加えて調整すると、抑うつリスクの差は有意ではなくなった(同1.67、0.96~2.90)。一方、重度の抑うつ症状(CES-D≧23)については、全ての因子を調整しても、不健康な食行動が2~3つの人の方がリスクは有意に高かった。

     著者らは、これまでの研究との違いに関して、「抑うつの予防効果が示唆されている、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、n-3系多価不飽和脂肪酸、マグネシウム、亜鉛の摂取量」による影響を含めて検討したと説明している。その上で、「朝食抜き、夕食後の間食、就寝前の夕食という不健康な食行動の数が抑うつのリスク上昇と関連していた」と結論付け、「この関連は、気分を改善する効果のある栄養素の摂取量が少ないことにより、部分的に説明できるかもしれない」と述べている。

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    HealthDay News 2024年1月29日
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  • 一人暮らしでペットを飼っている人は、うつ病リスクが高い?

     ペットを飼っている独居者には、うつ症状のある人が多いことを示すデータが報告された。ペットのいない独居者よりも、そのような人の割合が高い可能性があるという。国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学・予防研究部の三宅遥氏らの研究結果であり、詳細は「BMC Public Health」に9月11日掲載された。

     うつ病は各国で増加しており、世界的な公衆衛生上の問題となっている。抗うつ薬で寛解に至るのは患者の3分の1程度にとどまるため、うつ病の発症を予防する因子の特定は喫緊の課題である。これまでに行われた複数の研究からは、独居がうつ病のリスク因子の一つであることが示唆されている。一方で、家族の一員としても捉えられることもあるペットを飼育することが、独居によるうつ病リスクを押し下げるかどうかについて、詳細な検討はされていない。三宅氏らは、一人暮らしの人はうつ病リスクが高いとしても、ペットを飼育している場合は、その関連が減弱されるのではないかとの仮説を立て、同居家族やペットの有無別に、うつ症状のある人の割合を比較検討した。

     この研究は、同センターが中心となり国内の複数の企業が参加して行われている職域多施設研究(J-ECOHスタディ)の一環として、2018~2021年に実施された。大手企業5社の従業員のうち健診を受診した1万7,078人の中で、1万2,847人が本研究のためのアンケート調査に回答した。解析に必要なデータが不足している人を除外し、1万2,763人(平均年齢42.5±12.4歳、女性12.1%)を解析対象とした。

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     アンケートにより、同居家族やペットの有無を把握し、全体を以下の4群に分類した。同居者あり/ペットなし群(54.4%)、独居/ペットなし群(27.9%)、同居者あり/ペットあり群(16.5%)、独居/ペットあり群(1.2%)。また、うつ病のリスクは「うつ病自己評価尺度(CES-D)」で評価し、33点中9点以上の場合をうつ症状ありと判定した。

     まず、独居か否かで二分して比較すると、同居者あり群(9,050人)では27.1%がうつ症状ありと判定され、独居群(3,713人)でのその割合は39.9%だった。うつ病リスクに影響を及ぼし得る交絡因子(年齢、性別、喫煙・飲酒習慣、婚姻状況、教育歴、職位など)を調整後、同居者あり群を基準とした場合、独居群でのうつ症状ありの有病割合比(prevalence ratios;PR)は1.17(95%信頼区間1.09~1.26)と有意に高く、独居がうつ病のリスク因子であることが示唆された。

     次に、前記の4群ごとに、うつ症状ありと判定された人の割合を見ると、同居者あり/ペットなし群は26.9%、独居/ペットなし群は39.7%、同居者あり/ペットあり群は27.9%、独居/ペットあり群は44.2%だった。同居者あり/ペットなし群を基準として、前記同様の交絡因子を調整すると、独居/ペットなし群はPR1.17(1.08~1.26)と、うつ症状のある人が17%多く、さらに独居/ペットあり群はPR1.42(同1.18~1.69)であって42%多いという結果になった。なお、同居者あり/ペットあり群はPR1.03(同0.95~1.11)で、同居者あり/ペットなし群と統計学的に有意な差が認められなかった。

     これらの結果に基づき著者らは、「一人暮らしでのペットの飼育は、うつ症状を有する割合の高さと有意に関連しており、研究仮説は否定された」と結論付けている。また、ペットの飼育がメンタルヘルスに対してマイナスに働いてしまうメカニズムについて、先行研究を基に、「夜間のペットの行動によって睡眠が妨げられることなどが関係しているのではないか」との考察を加えている。

     なお、本研究の限界点として著者らは、横断的解析であるため因果関係は不明なこと、解析対象者に占める女性の割合が低いこと、ペットの種類や対象者本人が世話に関わる程度を評価していないことなどを挙げている。特に一番目の点については、うつ症状のある独居者が孤独感を紛らわすためにペットを飼っているという、因果の逆転を見ている可能性もあるとし、「独居者のうつ病リスクを抑制する介入手段の探索のため、さらなる研究が必要である」と述べている。

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    HealthDay News 2023年10月30日
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  • メンタルヘルスケアアプリ利用で産後うつリスクが低下する可能性

     メンタルヘルスケアのために開発された、スマートフォンなどで利用可能なアプリケーションが、産後うつのリスクを抑制する可能性のあることが報告された。浜松佐藤町診療所(静岡県)の三浦弓佳氏らが行った、システマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「BMC Pregnancy and Childbirth」に6月14日掲載された。

     国内の妊産婦の死亡原因のトップは自殺であり、これには産後うつの影響が少なくないと考えられている。産後うつによる自殺を防ぐためには、産後うつ状態の早期診断と適切なケアが重要だが、産後には育児などのために時間的な制約が生じることや、偏見などのために、うつリスクがあるにもかかわらず受療行動を起こさない女性が少なくない。このような状況に対応して、モバイルテクノロジーを用いたメンタルヘルスケアアプリが開発されてきた。ただ、それらのアプリの有用性の検証がまだ十分でなく、特に産後うつの「治療」ではなく「予防」という視点でのエビデンスはより不足している。そこで三浦氏らは、システマティックレビューとメタ解析による検討を行った。

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     主要アウトカムを産後うつの発症、副次的アウトカムをうつ状態の評価スケール〔エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)など〕のスコアとして、システマティックレビューとメタ解析のための優先的報告項目(PRISMA)に基づき、MEDLINE、Scopus、PsycINFO、CINAHLなどの文献データベースや国際臨床試験登録プラットフォーム(ICTRP)を用いて、無作為化比較試験の報告やレビュー論文の参考文献を2020年3月26日に検索。2023年3月17日に新たに追加された文献の有無を確認した。解析対象は、用いられたアプリ自体に自動化された心理社会的介入が含まれている研究報告とし、通話やチャットなどの通信のみを提供するアプリによる研究は除外した。また、研究参加者に精神疾患の既往者が含まれている研究も除外した。

     計2,515件がヒットし、タイトルと要約に基づくスクリーニング、全文精査を経て、最終的に16件を解析対象として抽出した。メタ解析に必要なデータが不足している場合は、論文の著者に連絡を取り提供を依頼した。

     16件の研究は全て2015年以降に報告されたもので、中国、ポルトガル、シンガポールから各3件、米国から2件、そのほかに日本を含む数カ国から1件ずつ報告されていた。8件は出産前から介入が開始され、ほかの8件は出産後の介入だった。介入の内容は、認知行動療法に基づくものが6件、マインドフルネスに基づくものが3件であり、そのほかには心理教育的手法によるもの、愛着理論に基づくものなどが含まれていた。

     産後うつの発症への影響を検討していた研究は3件で、そのうち1件はデータが不十分であったため、2件をメタ解析の対象とした。それら2件ともに有意な影響を報告しておらず、メタ解析の結果もリスク比(RR)0.80(95%信頼区間0.62~1.04)であって非有意だった(P=0.570)。

     一方、EPDSスコアへの影響は14件の研究で検討されており、それらの中でカップルを対象とした2件の研究を除外し、母親のみに介入が行われた12件をメタ解析の対象とした。12件中4件は介入によるEPDSスコアの有意な低下を報告し、ほかの8件は非有意という結果を報告していた。メタ解析の結果は、標準化平均差(SMD)-0.96(-1.44~-0.48)であり、有意な効果が示された(P<0.001)。なお、データの不均一性が高かった(I2=82%)。

     以上の結果に基づき著者らは、「心理社会的介入が可能なアプリによる産後うつ発症リスクの有意な低下は認められなかったが、EPDSスコアは有意に抑制されることが確認された。アプリによる介入が産後うつの発症を予防する可能性もあると言えるのではないか」と述べている。また、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、産後うつの増加が報告されていること、および、妊娠中から産褥期の感染リスク抑制のために介入可能な機会が減っていることから、「スマホやタブレットを用いた介入が今後、より注目されるようになると考えられる」と付け加えている。

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    HealthDay News 2023年8月21日
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  • 主要な精神疾患に伴う抑うつ症状に主観的な不眠が関与

     精神疾患の患者に高頻度で見られる抑うつ症状に、不眠が影響を及ぼしていることを表すデータが報告された。大うつ病性障害だけでなく、統合失調症や不安症などの主要な精神疾患の抑うつ症状が不眠と関連しており、そのことが疾患の重症度に影響を及ぼしている可能性も考えられるという。日本大学医学部精神医学系の中島英氏、金子宜之氏、鈴木正泰氏らの研究によるもので、「Frontiers in Psychiatry」に4月24日掲載された。

     精神疾患で現れやすい抑うつ症状は、生活の質(QOL)や服薬アドヒアランスの低下、飲酒行動などにつながるだけでなく、自殺リスクの上昇との関連も示唆されている。一方、精神疾患に不眠が併存することが多く、大うつ病性障害(MDD)患者では不眠への介入によって抑うつ症状も改善することが報告されている。ただし、MDD以外の精神疾患での抑うつ症状と不眠の関連はよく分かっていない。MDDと同様にほかの精神疾患でも抑うつ症状と不眠が関連しているのであれば、不眠への介入によって抑うつ症状が改善し、予後に良好な影響が生じる可能性も考えられる。鈴木氏らはこの仮説に基づき、以下の検討を行った。

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     この研究は、うつ病の客観的評価法を確立するために行われた研究の患者データを用いて行われた。解析対象は、日本大学医学部附属板橋病院と滋賀医科大学医学部附属病院の2017年度の精神科外来・入院患者のうち、研究参加に同意し解析に必要なデータがそろっている144人。疾患の内訳は、MDDが71人、統合失調症25人、双極性障害22人、不安症26人。

     不眠は、アテネ不眠尺度(AISスコア)を用いた主観的な評価(24点中6点以上を臨床的に有意な不眠と定義)、および睡眠脳波検査による客観的な評価によって判定した。抑うつ症状の評価には、ベック抑うつ質問票を用い、研究目的から睡眠に関する項目を除外したスコア(mBDIスコア)で評価した。mBDIスコアは高値であるほど抑うつ症状が強いと判定される。このほか、各疾患の症状評価に一般的に用いられているスケールによって重症度を評価した。

     AISスコアで評価した臨床的に有意な主観的不眠は全体の66.4%であり、疾患別に見るとMDDでは77.1%、統合失調症で36.0%、双極性障害で63.6%、不安症で69.2%だった。不眠の有無でmBDIスコアを比較すると、以下のように4疾患のいずれも、不眠のある群の方が有意に高値だった。MDDでは25.6±10.7対12.1±6.9(P<0.001)、統合失調症では22.8±8.6対11.1±7.0(P=0.001)、双極性障害では28.6±9.5対14.5±7.4(P=0.009)、不安症では23.9±10.4対12.5±8.8(P=0.012)。

     一方、睡眠脳波検査から客観的に不眠と判定された割合は78.0%だった。疾患別に客観的不眠の有無でmBDIスコアを比較した結果、統合失調症でのみ有意差が認められた(18.1±9.3対9.9±7.1、P=0.047)。

     次に、抑うつ症状と各精神疾患の重症度の関連を検討した。すると、mBDIスコアと統合失調症の重症度(PANSSスコア)との間に、正の相関が認められた(r=0.52、P=0.011)。これは、抑うつ症状が重度であるほど、統合失調症の症状も重いことを意味する。同様に、mBDIスコアと不安症の状態不安(一過性の不安を評価するSTAI-Iスコア)との関係はr=0.63(P=0.001)、特性不安(不安を抱きやすい傾向を評価するSTAI-IIスコア)との関係はr=0.81(P=<0.001)であり、いずれも有意な正の相関が認められた。

     著者らは以上の結果を、「MDDだけでなく主要な精神疾患の全てで、主観的な不眠と抑うつ症状との関連が認められた」とまとめるとともに、「不眠に焦点を当てた介入によって、精神疾患の予後を改善できる可能性があり、今後の研究が求められる。例えば、各精神疾患の治療において、鎮静作用を有する薬剤を選択することが予後改善につながるかもしれない」と述べている。

     なお、不眠の客観的な評価よりも主観的な評価の方が、より多くの精神疾患の抑うつ症状に有意差が観察されたことに関連し、「病状に対する悲観的な認識が睡眠状態の過小評価につながった可能性が考えられるが、抑うつ症状に関連した睡眠障害を検出するという目的では、主観的評価の方が適しているのではないか」との考察を加えている。

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    HealthDay News 2023年7月31日
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  • ICU患者の握力が退院後の精神症状と関連

     集中治療室(ICU)で治療を受けた患者に見られる集中治療後症候群(PICS)の精神症状が、退院時の握力と関連している可能性を示唆するデータが報告された。特に不安レベルと強く逆相関しているという。国内多施設共同観察研究の結果であり、日立総合病院救命救急センターの中村謙介氏らによる論文が「BMJ Open」に5月5日掲載された。

     PICSはICU入室中から退室後に生じる身体や精神の症状のことで、退院後にも数カ月以上続くことがある。一般的には時間の経過とともに軽快するが、精神症状は時に悪化していくことがあり、PICSリスクの高い患者を早期に特定し予防的に対処する戦略の確立が求められている。他方、高齢者や慢性疾患のある患者では、握力の低いことが精神症状のリスクの高さと関連していることが報告されている。これを背景に中村氏らは、ICU患者の握力がPICS精神症状の関連因子の一つではないかとの仮説を立て、ICU患者対象の国内多施設共同研究「EMPICS研究」のデータを事後解析し検討した。

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     2019年6~12月に国内9カ所のICUに入室した、滞在期間が48時間以上の患者1,041人から、18歳未満、中枢神経疾患患者、精神疾患の既往者、入院前から歩行に介助を要していた患者、および末期症状の見られる患者を除外し、退院3カ月後のアンケート調査に回答した98人を解析対象とした。アンケートには調査項目の一つとして、不安や抑うつの強さを評価する「HADS」が含まれていた。本研究では、HADS-A(不安レベルの指標)、HADS-D(抑うつレベルの指標)が、それぞれ21点満点中8点以上の場合に、不安や抑うつ症状が強いと判定した。

     解析対象者の主な特徴は、平均年齢70.5歳、男性63%、BMI23で、ICU滞在期間は4.7日、入院期間は23.5日。ICU入室時点で、重症度の指標であるAPACHE IIスコアが18点、SOFAスコアは7点。ICU退室時点で、筋力の指標であるMRCスコアは58点。退院3カ月後の調査で、不安レベルが高いと判定された人が26人(26.5%)、抑うつレベルが高いと判定された人が16人(16.3%)だった。

     単変量解析の結果、退院時の握力が低いほど3カ月後の不安や抑うつ症状が強いという有意な逆相関が認められた(HADS-Aはr=-0.37、P<0.001、HADS-Dはr=-0.30、P=0.0026)。握力以外にも、MRCスコア(r=-0.25、P=0.014)、および日常生活動作(ADL)の指標であるバーゼル指数(r=-0.22、P=0.029)も、HADSの総合スコアとの有意な逆相関が認められた。ただし、MRCスコアやバーゼル指数は、多くの患者が満点近くに分布するという偏りがあったのに対して、握力は正規分布していた。

     ROC解析から、退院時の握力による3カ月後のHADS-A 8点以上の予測能(AUC)は0.71であり、MRCスコア(0.61)やバーゼル指数(0.60)より予測能が高かった。一方、HADS-D 8点以上の予測能は、バーゼル指数0.58、握力0.56、MRCスコア0.44であり、いずれも高くなかった。

     年齢、性別、BMI、退院時握力、APACHE IIを説明変数とする多変量解析の結果、握力は3カ月後のHADS-Aと独立した有意な関連が認められ(P=0.025)、その他の因子は非有意だった。HADS-Dに関しては、独立した関連のある因子が抽出されなかった。

     このほか、ADL低下の有無で二分して(バーゼル指数が100点の群と100点未満の群)、退院時握力とHADSの関連を検討した結果から、ADLが維持されている場合は握力とHADS-Aが有意に逆相関し(r=-0.40、P=0.0035)、HADS-Dとは有意な関連がなく、一方でADLが低下している場合はHADS-Dと有意に逆相関し(r=-0.41、P=0.0043)、HADS-Aとは有意な関連がないことが分かった。

     以上より著者らは、「ICUに48時間以上滞在した患者では、退院時の握力が退院3カ月後の不安や抑うつ症状の強さと関連がある。あらゆる施設で簡便に評価できる握力が、退院後の精神症状のリスク評価に利用できるのではないか」と結論付けている。

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    HealthDay News 2023年6月26日
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  • 医師によるうつ病の重症度評価と患者本人の苦痛の乖離に、幼少期の逆境体験などが関与

     医師が臨床的に評価した重症度よりも強い苦痛を感じているうつ病患者には、幼少期の逆境体験や自閉症傾向などが多く見られるとする、国立精神・神経医療研究センターの山田理沙氏、功刀浩氏(現在の所属は帝京大学医学部精神神経科学講座)らの研究結果が、「Clinical Psychopharmacology and Neuroscience」に5月30日掲載された。著者らは、「うつ病の重症度評価において、患者の主観的な苦痛の強さを把握することが、より重要なケースが存在する」と述べている。

     近年、患者中心の医療の重要性が認識されるようになり、精神科医療でも治療計画の決定などに患者本人の関与が推奨されるようになってきた。これに伴い、うつ病の重症度についても、医師が評価スケールなどを用いて判定した結果と、患者への質問票による評価結果が一致しないケースのあることが分かってきた。ただ、そのような評価の不一致に関連する因子はまだ明らかにされていない。

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     研究の対象は、2017年10月~2020年2月に国立精神・神経医療研究センター病院気分障害センターの外来を受診した、17歳以上の大うつ病性障害(MDD)患者60人および双極性障害(BD)患者40人、計100人〔年齢中央値33歳(四分位範囲24~46)、男性52%〕。診断は、米国精神医学会の診断基準の第4版(DSM-4)に即して行われた。

     医師によるうつ病の重症度評価には「ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)」、患者自身の主観的評価には「ベック抑うつ質問票(BDI)」を用いた。両者の評価結果の関連を検討したところ、有意な正相関(r=0.624、P<0.001)が認められた。

     次に、HAMD-17とBDIの回帰直線からBDIスコアまでの乖離の程度の四分位数で、全体を以下の3群に分類。BDIスコアが回帰直線より高値であり、その乖離幅の大きい25%の群を、医師の評価よりも主観的な苦痛の大きい群(BO群)とした。反対に、BDIスコアが回帰直線より低値であり、その乖離幅の大きい25%の群を、医師の評価よりも主観的な苦痛が少ない群(BU群)とし、残りの50%は両者の評価が一致している群(BC群)とした。これら3群間に、年齢、性別や疾患(MMD、BD)の分布、自殺未遂の既往、治療薬、教育歴、およびHAMD-17などに有意差はなかった。

     医師の重症度評価と患者の主観的評価に関連する可能性のある因子としては、幼少期の逆境体験(CTQ-6)、成人用対人応答性尺度(SRS-A)、問題への対処行動の傾向(WCCL)を評価した。それらの評価結果をBO群、BU群、BC群で比較すると、一部のスコアに有意な群間差が認められた。

     例えばCTQ-6については、合計スコア、および精神的虐待を表す下位尺度が、BU群よりBO群の方が高値だった。下位尺度のうち身体的虐待および情緒的ネグレクトについては、3群間に有意差がなかった。また、SRS-Aについては、合計スコアと自閉症傾向を表す下位尺度などが、BC群やBU群よりBO群の方が高値だった。WCCLに関しては、自責スコアはBC群やBU群よりBO群が高く、希望的観測と回逃・避避のスコアはBC群よりBU群の方が低かった。

     著者らは本研究の限界点として、サンプル数が十分でなく比較的若年の患者が多いこと、大半の患者が既に薬物療法が開始された状態で検討していること、BD患者の躁症状については主観的評価を行っていないことなどを挙げている。その上で、「幼少期の逆境体験や自閉症傾向、問題に対して自責の念を抱きやすい傾向などを有するうつ病患者は、臨床医が客観的に評価するよりも大きな苦痛を感じている可能性がある」と結論付け、「そのような懸念のある患者では、主観的評価を積極的に行うべきではないか」と提言している。

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  • リチウムは自殺行動を減らし、アラキドン酸は自傷行為を増やす可能性

     薬剤としてではなく、水道水やふだんの食事などを介して血清リチウムレベルが微量ながらも高い状態にある人は、自殺リスクが低い可能性を示唆するデータが報告された。また、EPA(エイコサペンタエン酸)は自傷行為のリスクを減らし、一方、AA(アラキドン酸)はそのリスクを高める可能性があるという。大分大学医学部精神神経医学講座の泉寿彦氏、寺尾岳氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Psychiatry」に12月16日掲載された。

     オメガ3脂肪酸であるEPAやDHA(ドコサヘキサエン酸)が、うつ病リスクを抑制するという研究結果が報告されている。しかし、DHAよりもEPAがうつ病に効果的であるという報告があり、さらに、いずれの効果も否定する最近の報告もある。一方、リチウムについては既に気分安定薬として使用されており、自殺リスクを抑制するというデータがある。薬剤としてではなく、食品や水から摂取する微量のリチウムが、自殺関連行動のリスクを抑制するという報告があるものの、それを否定する報告もある。このほか、オメガ6脂肪酸であるAAレベルの高さが、自殺関連行動のリスクの高さと相関するといった報告もある。

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     寺尾氏らは以前から、自殺関連行動とリチウムやEPA、DHA、AAレベルとの関連についての研究を続けており、今回の論文はその研究の解析対象症例を追加して新たに解析した結果の報告。サンプル数が増えたことを生かして、各評価項目の多重共線性(相互の影響)に留意した検討も行っている。

     解析対象は、同大学病院や大分県立病院精神医療センターで救命救急治療を受けた患者234人。初診時に採血を行い、患者が回復後に研究参加の同意を得たのち、リチウムレベルなどの測定を行った。234人中、自殺企図患者が39人、自傷行為による患者が29人含まれており、その他の166人を比較対照群とした。統合失調症患者、リチウム製剤が処方されていた患者、オメガ3脂肪酸サプリメントなどを使用していた患者は除外されている。なお、自傷行為と自殺企図の違いは、前者には自殺する意図がなく、後者にはあるということ。

     まず、3群の特徴を比較すると、自傷行為群は対照群より有意に若く(P=0.018)、女性患者の割合が高かった(P=0.011)。リチウムレベルの対数変換値は対照群より自殺企図群が有意に低く(P=0.007)、EPAレベルの対数変換値は対照群より自傷行為群で有意に低かった(P=0.004)。DHAレベルやAAレベルの対数変換値は有意な群間差がなかった。

     次に、調整因子として、年齢と性別のほか、リチウムレベルとEPAレベルを加えるモデル(モデル1)、リチウムレベルとDHAレベルを加えるモデル(モデル2)、リチウムレベルとAAレベルを加えるモデル(モデル3)という3通りの多重ロジスティック回帰分析を施行した。その結果、自殺関連行動とリチウムやEPA、AAレベルとの間に、以下のような有意な関連が認められた。

     モデル1では、リチウムの対数変換値が1高いごとに(以下同様に、EPA、AAについても対数変換値1当たりの差を示す)、自殺企図のオッズ比が68%低く〔OR0.32(95%信頼区間0.12~0.86)〕、EPAレベルが高いと自傷行為のオッズ比が82%低かった〔OR0.18(同0.032~0.98)〕。モデル2では、リチウムレベルの高さが、自殺企図〔OR0.29(0.11~0.77)〕と自傷行為〔OR0.31(0.10~0.96)〕双方のオッズ比の低さと関連していた。

     モデル3でも、リチウムレベルの高さは、自殺企図〔OR0.30(0.11~0.81)〕と自傷行為〔OR0.32(0.10~0.98)〕双方のオッズ比の低さと関連していた。また、AAの対数変換値が1高いごとに、自傷行為のオッズ比が45倍以上高まるという関連があった〔OR45.3(1.22~1681.2)〕。このほか、女性は自傷行為のオッズ比が、全てのモデルで有意に高かった(OR3.12~3.34)。

     まとめると、水道水や食事などから吸収されたリチウムは、自殺企図や自傷行動のリスクを下げ、EPAは自傷行為のリスクを抑制し、一方でAAはそのリスクを高める可能性が示唆された。なお、EPAによる自殺リスク抑制の可能性が認められなかったことに関して著者らは、「既報研究で報告されているEPAの自殺リスク抑制作用は、おそらくDHAやAAとの多重共線性に起因するものではないか」と考察している。

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    HealthDay News 2023年2月13日
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  • 好中球とリンパ球の比が男性のうつ症状と関連

     一般的な健康診断の測定項目に含まれている白血球の分画である好中球とリンパ球の比(NLR)の値が、男性のうつ症状と独立して関連しているとする研究結果が報告された。弘前大学大学院医学研究科麻酔科学講座の木下裕貴氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に6月3日掲載された。同氏らは、NLRが男性のうつ状態の簡便なマーカーになり得るのではないかと述べている。

     うつ病の原因については不明点が多く残されているが、神経の炎症が関与しているケースがあることが知られている。その傍証として、うつ病患者ではインターロイキン-6(IL-6)や腫瘍壊死因子-α(TNF-α)などの炎症性サイトカインが高値であるとする報告がある。ただし、IL-6やTNF-αの測定にはコストがかかり、多くの人を対象とするスクリーニング目的で行える検査ではない。

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     一方、一般的な健診の結果から簡単に計算可能なNLRや、血小板とリンパ球の比(PLR)が、IL-6やTNF-αと正相関することが知られており、NLRやPLRも神経炎症が関連する疾患のマーカーと成り得る可能性がある。実際、NLRやPLRと、統合失調症やてんかんなどとの間に有意な関連があることも報告されている。ただし、うつ病との関連はまだ十分検討されていない。木下氏らはこの点について、国内の地域住民を対象とする研究を行った。

     研究には、弘前大学が中心となって行っている「岩木健康増進プロジェクト」のデータを用いた。同プロジェクトに登録された弘前市岩木地区住民1,073人のうち、うつ病と診断されている人および解析に必要なデータのない人を除外した1,051人(男性41%)を解析対象とした。

     うつ状態の評価に用いられているCES-Dという指標で60点中16点以上の場合を「うつ症状あり」と定義すると、19.7%が該当した。性別の有病率は、男性19.1%、女性20.4%だった。

     男性・女性ごとにうつ症状の有無で2群に分けて比較すると、男性の習慣的飲酒者がうつ症状のない群で有意に多く、また男性・女性ともにうつ症状のある群でCES-Dスコアが有意に高かった。しかし、年齢、BMI、現喫煙者の割合、高血圧・糖尿病・脂質異常症・冠動脈疾患・脳卒中の有病率、肝機能・腎機能・糖代謝指標などに有意差はなかった。

     男性のNLRは、うつ症状のない群が中央値1.54、うつ症状のある群が同1.76であり、後者の方が有意に高かった(P=0.005)。またPLRも同順に123.7、136.8であり、後者の方が有意に高かった(P=0.047)。一方、女性のNLRやPLRは、うつ症状の有無で有意差がなかった。

     次に、うつ症状ありを目的変数とし、うつ病との関連が報告されている、年齢、BMI、高血圧・糖尿病・脂質異常症・冠動脈疾患・脳卒中の既往、およびNLRとPLRなどを説明変数として、ロジスティック回帰分析を施行。その結果、男性のうつ症状ありに独立して関連する因子として、NLRが抽出された〔1増加するごとの調整オッズ比(aOR)1.570(95%信頼区間1.120~2.220)〕。NLR以外では、習慣的飲酒が負の関連因子〔aOR0.548(同0.322~0.930)〕として認められた以外、年齢やBMI、併存疾患、およびPLRは有意な関連が見られなかった。また、女性に関しては、NLRも含めて検討した項目の全てが非有意だった。

     以上より著者らは、「男性ではNLRの高さがうつ症状に関連している可能性が示された」と結論付けた上で、「男性のうつ状態のスクリーニングにNLRを使用可能かの確認のため、大規模なコホート研究が求められる。また両者の因果関係の解明には、前向き縦断研究が必要」と述べている。なお、女性では結果が非有意だった点については、「NLRに影響を与えるエストロゲンのレベルが閉経前後で大きく変わるためではないか」との考察を加えている。実際に本研究でも、女性の年齢とNLRとの間に弱いながら有意な負の相関が認められたという。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2022年9月12日
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