• 特定保健指導の効果は限定的?

     2008年にスタートした特定健診(メタボ健診)における特定保健指導の効果が限定的であるという研究結果が報告された。男性を対象とする検討からは、腹囲やBMIの減少には短期的効果があるものの、心血管疾患危険因子への有意な抑制効果は認められなかったという。京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻の福間真悟氏らの研究によるもので、「JAMA Internal Medicine」10月5日オンライン版に論文掲載された。

     特定健診・保健指導は、動脈硬化が進展するメカニズムの基盤に位置するとされる内臓脂肪の蓄積を重視した保健システム。40歳以上75歳未満の国民全員を対象に、腹囲計測で内臓脂肪型肥満をスクリーニングし、血液検査などの結果とあわせてリスクレベルを評価。そのリスクレベルに応じて、内臓脂肪減少を目的とする、介入強度にめりはりのある保健指導が行われている。福間氏らは今回、建築関連企業保険組合の被保険者データを解析し、特定健診・保健指導の効果を検討した。

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     解析対象としたのは、2013~2018年に特定健診を受けた人のうち、データに欠落のない男性7万4,693人。女性は被保険者数や保健指導対象者数が少ないため、主な解析の対象から除外した。特定健診受診者のうち腹囲基準(男性は85cm)を超えていたのは53.1%だった。

     対象者の平均年齢は52.1±7.8歳、腹囲は86.3±9.0cm、BMI24.5±3.4。評価項目は、特定健診受診後の肥満関連指標(腹囲、体重、BMI)と心血管危険因子(血圧、HbA1c、LDL-コレステロール)の変化とした。なお、特定保健指導の実施状況については2017~2018年のデータのみ利用可能であり、2017年は対象者の15.9%が指導を受けていた。

     要指導判定を受けた人の1年後の肥満関連指標は、体重が-0.29kg(95%信頼区間-0.50~-0.08、P=0.005)、BMIが-0.10(同-0.17~-0.03、P=0.008)、腹囲が-0.34cm(同-0.59~-0.04、P=0.02)と、いずれも有意な減少が認められた。ただし2年後は、体重が-0.33kg(同-0.61~-0.55、P=0.02)、BMIが-0.10(同-0.20~-0.01、P=0.03)であり、この2項目は引き続き有意な減少が認められたものの、腹囲は-0.33 cm(同-0.64~0.04、P=0.09)であり有意性が消失していた。さらに4年後には全ての肥満関連指標が、特定健診受診前と有意差がなくなっていた。

     一方の心血管疾患危険因子については、特定健診受診から1年後の時点で、収縮期血圧+0.28mmHg(同-0.53~1.47、P=0.36)、拡張期血圧-0.54mmHg(同-1.33~0.04、P=0.07)、HbA1c-0.01%(同-0.04~0.03、P=0.74)、LDL-コレステロール+0.42mg/dL(同-1.38~2.33、P=0.62)であり、いずれも有意な変化は認められなかった。また、2年目以降にも有意な変化が認められた項目はなかった。

     これらの結果を福間氏らは、「特定健診・保健指導による介入は、継続的な体重減少につながらず、また臨床的に意味のある心血管危険因子の抑制を検出できなかった」とまとめている。また、本研究では特定保健指導がどのように実施されたかが評価できていないことなどの限界点を挙げつつ、「特定健診・保健指導の効果を改善するために、改善方法の詳細な検討と前向きな議論が必要である」と提言している。

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    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

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    HealthDay News 2020年10月26日
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  • メタボ解消のポイントは「休日の座位時間」を減らすこと

     メタボリックシンドローム(MetS)を防ぐには、身体活動を増やすことが大切だが、特に休日の座位時間(座っている時間)を減らすことが重要である可能性が報告された。労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所の蘇リナ氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」5月30日オンライン版に掲載された。

     身体活動量が少ないことがMetSのリスクと関連することを示した報告は多いが、それらの多くはテレビやインターネットの視聴時間など、日常生活の一部分のみに焦点を当てており、生活のリズム全体を考慮した研究は少ない。そこで蘇氏らは、平日の仕事中の座位時間、平日の仕事以外の座位時間、および休日の座位時間と、三つの場面に細分化し、MetSリスクとの関連を検討した。

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     調査手法として、インターネットによる回答者の自記式アンケートを用いた。2018年1~7月に寄せられた1万件の回答から、内容に不備があるものなどを除いた5,530人分を解析対象とした。座位時間は、「労働者生活行動時間調査票」を用い、就寝、起床、外出、職場への到着、帰宅などの時刻の詳細な記述に基づいて、できるだけ正確に把握した。対象者の平均年齢は44.4±11.1歳、男性が70.0%を占め、MetS該当者数は432人(7.8%)だった。

     座位時間を三分位で3群に分類し、年齢、性別、喫煙・飲酒習慣、勤務形態(シフト勤務か否か)で調整後に、MetSリスクとの関連を検討。すると、休日の座位時間の第3三分位群(最も座位時間が長い群)でMetSリスクが有意に上昇し〔オッズ比(OR)1.43、95%信頼区間1.12~1.83〕、休日の座位時間が長いほどMetSリスクが高いことが明らかになった(傾向性P<0.001)。一方、平日の仕事中の座位時間(傾向性P=0.969)や、平日の仕事以外の座位時間(傾向性P=0.259)とMetSリスクには有意な関連がなかった。

     また、日常的な運動習慣のある人(厚生労働省の定義による、1回30分以上の運動を週2回以上行い1年以上継続している人)に比べ、そうでない人はMetSリスクが有意に高かった(OR1.44、1.15~1.80)。

     日常的な運動習慣があり、休日の座位時間の第1三分位群(最も座位時間が短い群)を基準として、他の群のMetSリスクを検討すると、運動習慣のない人では休日の座位時間第3三分位群(OR1.84、1.30~2.59)だけでなく、第2三分位群(座位時間が中程度)でも、有意なリスク上昇(OR1.49、1.03~2.14)が認められた。平日の仕事中の座位時間や仕事以外の座位時間は、運動習慣の有無にかかわらず、MetSリスクとの有意な関連は認められなかった。

     これらの結果を基に研究グループでは、「特に休日の座位時間の長さがMetSのリスクを増大させる可能性がある」とまとめるとともに、保健指導などに際しては総座位時間のみで評価すると、MetSとの関連が明瞭でなくなることに留意を促している。

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    HealthDay News 2020年7月27日
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  • 尿酸値の高さはメタボと関連するが、糖尿病では別――兵庫医大

    尿酸値が高い人ほどメタボリックシンドロームに該当する確率が高いが、糖尿病を併発している場合、その関連は見られないことがわかった。兵庫医科大学環境予防医学講座の若林一郎氏が「Diabetology & Metabolic Syndrome」3月10日オンライン版に発表した。

     糖尿病患者の尿酸値は一般集団に比べて低いとの報告が多い。その一方で、耐糖能異常(糖尿病予備群)では尿酸値とHbA1cが正相関するという矛盾する報告も見られる。そこで若林氏は、糖尿病患者も含まれる健診結果の大規模データを用いて、尿酸値と血糖レベルおよびメタボの関連を検討した。

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     解析対象は、29~70歳の日本人男性1万2,528人。年齢は47.1±9.4歳、BMI23.5±3.3で、糖尿病患者が6.4%、メタボ該当者が11.0%含まれていた。尿酸値で四分位に分けると、第1四分位群から順に0.3~5.1mg/dL、5.2~5.9mg/dL、6.0~6.7mg/dL、6.8~12.9mg/dLとなった。

     年齢、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、高血圧・脂質異常症・糖尿病治療歴で調整後のHbA1cの平均値は、第1四分位群から順に5.52%、5.44%、5.42%、5.41%となり、尿酸値が高いほどHbA1cが低く、第2~4四分位群は第1四分位群との差が有意だった(いずれもP<0.01)。

     一方、メタボ該当者の割合は、尿酸値第1四分位群から順に8.4%、8.9%、10.7%、16.1%であり、第3~4四分位群は第1四分位群に比し有意に高く(P<0.01)、HbA1cとは逆に尿酸値が高い群でその頻度が高率だった。第1四分位群を基準とするオッズ比(OR)で比較すると、第2四分位群から順に1.16、1.51、2.37となった(第3~4四分位群はP<0.01)。

     ところが、解析対象を糖尿病患者に絞って検討すると、尿酸値とメタボの関連は認められなかった。具体的には、尿酸値の第1四分位群(0.8~4.7mg/dL)のメタボ該当者の割合は50.5%、第2四分位群(4.8~5.5mg/dL)は56.9%、第3四分位群(5.6~6.4mg/dL)は53.6%、第4四分位群(6.5~12.9mg/dL)は60.2%であり有意な群間差はなかった。

     なお、糖尿病患者群における尿酸値とHbA1cの関係は、第1四分位群から順に7.90%、7.39%、7.25%、7.04%であり、全例解析と同様に尿酸値が高いほどHbA1cが低く、第2~4四分位群は第1四分位群との差が有意だった(いずれもP<0.01)。尿酸値とHbA1cの相関は、多因子調整後の全例解析で偏回帰係数-0.092(P<0.001)、糖尿病患者群で同-0.249(P<0.001)となり、糖尿病群でより強い負の相関が見られた。

     他方、血糖以外のメタボ構成因子である、血圧、中性脂肪、HDL-Cは、全例解析および糖尿病群での解析のいずれでも、尿酸値が高いほど悪化傾向を示すという正の関連があった。

     尿酸値と血糖レベルの関連が他のメタボ構成因子と異なる理由について若林氏は、血糖上昇に伴う尿量増加による尿酸排泄増加という機序のほか、糖尿病予備群においては、高インスリン血症に伴い尿細管での尿酸再吸収がインスリン作用により増加すること、また、尿酸値が低い場合では酸化ストレスが亢進し耐糖能が低下する可能性などを考察している。

     同氏は本研究の限界として、女性での検討を行っていない点や尿酸クリアランスに影響を及ぼすインスリン値を評価していない点などを挙げた上で、「血糖レベルは一般集団と糖尿病患者群の双方で尿酸値と逆相関する。血糖レベルを除く全てのメタボ構成因子は尿酸値と正の関連がある(HDL-Cは低値になる)が、糖尿病がある場合は尿酸値とメタボの関連が認められない」と結論をまとめている。

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    HealthDay News 2020年4月6日
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  • 子どもの頃に宿題をため込んだホワイトカラー男性はメタボになりやすい?

    子どもの頃に学校から出された宿題などを、期限のぎりぎりまでやらなかったホワイトカラー労働の男性は、成人後に体重が増加し、メタボリックシンドロームになるリスクが高いことを示す報告が「BMJ Open」11月18日オンライン版に掲載された。ただし、この関係はブルーカラー労働者には当てはまらないという。愛知医科大学産業保健科学センターの成定明彦氏らの研究。

     目の前の小さな誘惑に負けて、将来の大きな利益を失ってしまうことは少なくない。このような特性の健康面の影響として、将来のために体重に気を付けるより、今の満足のためについ食べ過ぎてしまい肥満になるということが指摘されている。

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     座っている時間が長く就業中にある程度は自分の裁量で菓子などを口にできるホワイトカラー労働者では、このような特性の肥満への影響が助長される可能性がある。成定氏らは、このような特性と職種、体重管理の関連を調べるために、子どもの頃に学校から出された宿題をいつ行っていたかという本人の特性の一端を表すと考えられる行動と、成人後のメタボのリスクを職種別に検討した。

     研究の対象者は電子機器メーカー(2事業所)に勤務する男性従業員795人(平均年齢46.9±8.1歳)。ホワイトカラー(515人)とブルーカラー(280人)の2群に分けて分析した。

     子どもの頃の行動については、「休み前に出された宿題をどのタイミングでやり終えたか」という質問で判定。1.すぐに終わらせた、2.なるべく早めに終わらせた、3.均等のペースで終わらせた、4.期間の最後の方に終わらせた、5.期限ぎりぎりになって終わらせた、という五択のうち1~3を課題の先延ばしをしない群(270人)、4を中等度の先延ばし傾向がある群(323人)、5を先延ばし傾向が強い群(202人)として全体を3群に分類した。

     対象者全体でのメタボの割合は15.5%だった。これを前記のカテゴリー別に比較すると、ホワイトカラーにおいて先延ばし傾向が強い群の23.1%がメタボであり、先延ばししない群に比べ有意に多かった(P=0.024)。その一方、ブルーカラーでは先延ばし傾向とメタボの間に有意な関係は見られなかった。

     次に、年齢、教育レベル、長時間労働の頻度、喫煙・飲酒・身体活動習慣で調整し検討すると、ホワイトカラーでは先延ばし傾向に応じてメタボリスクが高くなるという有意な関係が認められた(傾向性P=0.013)。先延ばししない群を基準とすると先延ばし傾向が強い群のオッズ比は2.29であり、2倍以上メタボリスクが高いことがわかった。一方、ブルーカラーでは有意な関係は見られなかったが、先延ばし傾向が強い群のオッズ比は0.40であり、むしろリスクが低下する傾向にあった。

     これらの結果から成定氏らは「先延ばし傾向は男性のホワイトカラー労働者のメタボリスク上昇と関連しており、メタボ関連疾患の予防には、先延ばし傾向の強い男性により注意を払う必要がある」と結論をまとめている。

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    HealthDay News 2019年12月2日
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  • 特定健診結果からみた被保険者の健康状態――健保連調査

    健康保険組合連合会(健保連)は9月18日、平成29年度の特定健診受診者のデータを解析した調査結果を公開した。特定健診受診者の健康状態を、年齢層、肥満の有無などの背景別に考察している。

     解析の対象となったのは464組合の特定健診受診者(40~74歳)で、計401万3,265人。このうち、特定健診における肥満の判定基準(内臓脂肪面積100cm2以上、BMI25以上、腹囲:男性85cm以上・女性90cm以上のいずれか)に該当したのは37.3%で、どの年齢層でも3~4割を占めていた。

     血圧は基準範囲内(収縮期血圧130mmHg未満、かつ拡張期血圧85mmHg未満)が66.7%、保健指導判定値(収縮期血圧130mmHg以上140mmHg未満、または拡張期血圧85mmHg以上90mmHg未満)が16.0%、受診勧奨判定値(収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上)が17.4%だった。なお、受診勧奨判定値の該当者の中には、収縮期血圧160mmHg以上または拡張期血圧100mmHg以上の者が4.2%存在した。

     血清脂質は基準範囲内(LDL-C120mg/dL未満、かつTG150mg/dL未満、かつHDL-C40mg/dL以上)が39.3%、保健指導判定値(LDL-C120mg/dL以上140mg/dL未満、またはTG150mg/dL以上300mg/dL未満、またはHDL-C35mg/dL以上40mg/dL未満)が29.9%、受診勧奨判定値(LDL-C140mg/dL以上、またはTG300mg/dL以上、またはHDL-C35mg/dL未満)が30.8%だった。なお、受診勧奨判定値の該当者の中には、LDL-C180mg/dL以上またはTG1,000mg/dL以上の者が4.4%存在した。

     血糖は基準範囲内(空腹時血糖100mg/dL未満、非空腹時採血ではHbA1c5.6%未満)が68.7%、保健指導判定値(空腹時血糖100 mg/dL以上126mg/dL未満、HbA1c5.6%以上6.5%未満)が26.3%、受診勧奨判定値(空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c6.5%以上)が5.1%だった。なお、保健指導判定値の該当者の中には、空腹時血糖110mg/dL以上126mg/dL未満(HbA1c6.0%以上6.5%未満)であり、境界域と考えられる者が7.4%存在した。

     肝機能は基準範囲内(AST31U/L未満、かつALT31U/L未満、かつγ-GT51U/L未満)が68.9%、保健指導判定値(AST31U/L以上51U/L未満、またはALT31U/L以上51U/L未満、またはγ-GT51U/L以上101U/L未満)が20.3%、受診勧奨判定値(AST51U/L以上、またはALT51U/L以上、またはγ-GT101U/L以上)が10.8%だった。

     対象を肥満の有無で分けると、肥満者の77.9%が保健指導判定値以上のリスクを1つ以上保有していた。保有しているリスクの数で分けると、リスク1つのみが36.8%、リスク2つが30.3%、リスク3つが10.9%だった。一方、非肥満者でリスクを有する者の割合は44.2%で、リスク1つが31.0%、リスク2つが11.3%、リスク3つが1.9%だった。

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    HealthDay News 2019年9月24日
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  • 数学理論を活用、メタボを未病段階で科学的に検出 先制医療をさらに一歩前進

    メタボリックシンドロームの発症前状態(未病)を数学理論に基づく手法で定量的に検出可能なことを、富山大学和漢医薬学総合研究所の小泉桂一氏と東京大学生産技術研究所の合原一幸氏らのグループが報告した。研究の詳細は「Scientific Reports」6月24日オンライン版に掲載された。

    疾患の発症前にその兆候をとらえ予防的に介入することで効率的な医療を達成できることから、社会的にも「未病」段階へのアプローチの重要性が注目されている。しかし未病の状態は疾患ではないことから診断基準が存在しない。よって現状において、個人にみられる何らかの変化がその後、疾患の発症につながるのか否かは経験的に判断するしかない。

    小泉氏らは、合原氏らが開発した生体信号の「揺らぎ」に着目した数学理論である「動的ネットワークバイオマーカー(Dynamic Network Biomarkers:DNB)理論」を活用。DNB理論に基づくと、健康な状態から病気の状態へ移行する直前に発生する生体信号の揺らぎの大幅な増加を、数理解析によって予測可能とされる。DNB理論の応用はこれまでのところ、健康な状態と病的な状態との差異が大きい急性疾患の超早期診断という観点から研究されてきた。一方、メタボリックシンドロームのような長い時間をかけ緩徐に発症・進行する病態にこの理論が適用できるかは明らかでなかった。

    今回発表された研究は、まずメタボリックシンドロームを自然発症するTSODマウスを飼育。その飼育期間中の3~7週齢にかけて、1週間ごとに脂肪組織における遺伝子の発現量を網羅的に測定した。次にDNB理論によるデータ解析を行い、遺伝子発現の揺らぎが増加したポイントを調べた。すると、メタボリックシンドロームを発症する前の5週齢の時点で、147個の遺伝子発現量の揺らぎが顕著に増大していることが確認された。

    小泉氏は「メタボリックシンドロームのような多くの慢性疾患は、発症時に突然、不連続な変化が生じるわけではなく、健康状態は連続的に悪化していくように思われる。しかし遺伝子発現のプロファイルには、一時的に急激な変化が生じている可能性がある」と述べている。メタボリックシンドロームのみならず、緩やかな経過をたどる認知症やサルコペニア、フレイルなどの予防・先制医療にも、本法の応用が期待される。

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    HealthDay News 2019年8月19日
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  • 若年成人のメタボリック症候群の発症率を男女別に調査 獨協医大グループ

    日本人の若年成人におけるメタボリックシンドローム(MS)の発症率は、40歳代の中年期に比べて低いが、相当な割合を占めていたとする研究結果を、獨協医科大学公衆衛生学准教授の春山康夫氏らが「Journal of Epidemiology」5月11日オンライン版(先行公開)に発表した。一方、若年期でも、加齢に加えて不健康な生活習慣はMSのリスク因子であることも分かった。同氏らは「中年期だけでなく若年期のうちから生活習慣への早期介入を行うことがMS予防に肝要だ」と述べている。

     これまで20歳代から30歳代の若年成人を対象に、日本の診断基準(「内臓脂肪の蓄積」に加えて、「血圧」、「血糖」、「脂質」のうち2項目以上が当てはまる場合)によるMSの発症率を検討した大規模研究はほとんど行われていなかった。春山氏らの研究グループは、2008年に開始された特定健診の対象とされていない若年層ではMSの新規発症例が増加しているのではとの仮説を立て、40歳未満の男女を対象に前向きコホート研究を実施した。

     対象は、鶯谷健診センター(東京都)で2010年に健康診断を受けた20~49歳の勤労者5万8,901人。研究では、女性1万7,665人(平均年齢は37.3歳)と男性4万1,236人(同37.4歳)に分けた上で、20歳代、30歳代、40歳代別のMS新規発症率を比較検討した。

     6年間の追跡期間中に7,828人(女性496人、男性7,332人)が新たにMSを発症した。女性における1,000人年当たりのMS発症率は、20歳代では2.2、30歳代では5.5、40歳代では10.2であった。生活習慣因子を調整後の解析で、MS発症ハザード比は、40歳代と比べて20歳代では81%、30歳代では50%低いことが分かった。

     一方、男性における1,000人年当たりのMS発症率は、それぞれ26.3、40.5、57.4であり、そのハザード比は40歳代と比べて20歳代では54%、30歳代では30%低かった。また、ベースライン時にMSを構成する因子(高血圧、高血糖、脂質異常症)が一つもみられない健康な若年男女では、MSの発症率はさらに低かったという。

     さらに、MSの発症には、加齢に加えて不健康な生活習慣も関連することが示された。MSのリスク因子として、女性では20歳代および30歳代の喫煙習慣、30歳代の食べる速度が、男性では20歳代および30歳代の身体活動と食べる速度、飲酒、30歳代の喫煙習慣が挙げられた。

     春山氏らによれば、これまでの先行研究で若年期のMS発症は、中年期と同様に全死亡率の増加と関連することが報告されているという。今回の結果を受け、同氏らは「日本人の男女では、20歳代から30歳代のMSの発症率は低かった。しかし、女性では40歳代のMS発症の20~50%を、男性では50~70%を占めると考えられたことから、若年期のうちからMS予防を目指した生活習慣への早期介入が重要になるだろう」と結論づけている。

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    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

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    HealthDay News 2019年6月3日
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  • 「ウエスト/身長比」はメタボリックシンドロームの予測因子か 地域在住の高齢者を対象に分析、愛媛大

    日本人の高齢者では、ウエスト/身長比は肥満度(BMI)およびウエスト/ヒップ比と同様に、メタボリックシンドロームの優れた予測因子である可能性があることが、愛媛大学大学院地域医療学講座教授の川本龍一氏らの研究で明らかになった。男女ともに、メタボリックシンドロームのスクリーニングツールとして、ウエスト/身長比のカットオフ値はBMIやウエスト/ヒップ比よりも優れることが分かったという。研究の詳細は「PLOS ONE」4月29日オンライン版に掲載された。

     これまでの疫学研究では、メタボリックシンドロームを予測する身体計測指標として、BMIやウエスト/身長比、ウエスト/ヒップ比といった内臓肥満の指標が用いられている。しかし、これらの測定値のプロトコールに関するコンセンサスは得られていない。川本氏らは今回、地域在住の高齢者を対象とした前向きコホートデータを用いて、ベースライン時の内臓肥満指標と年齢、喫煙や飲酒の習慣、運動習慣、心血管疾患の併存といったリスク因子とメタボリックシンドローム罹患との関連について調べた。

     川本氏らは、2014年に愛媛県の某保健福祉センターで健康診断を受けた55~95歳の高齢者1,639人(男性720人、平均年齢71±8歳および女性919人、同71±7歳)を対象とした横断研究と、ベースライン時にメタボリックシンドロームを有さなかった377人を対象として、2017年まで前向きに追跡したコホート研究を行った。研究では、BMIとウエスト/身長比、ウエスト/ヒップ比などの身体計測指標とNCEP-ATP III(National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III)の診断基準に基づくメタボリックシンドロームとの関連について調べた。

     横断研究の結果、ウエスト/身長比は、BMIおよびウエスト/ヒップ比と同様に、男女ともにメタボリックシンドロームの予測に最も優れた指標であることが分かった。コホート研究でも同様の結果が得られ、メタボリックシンドロームの予測能は、男性ではウエスト/身長比が最も高く、女性ではBMIが最も高かった。

     横断研究で示されたウエスト/身長比の感度と特異度は、男性ではそれぞれ71.0%、77.9%(至適カットオフ値は0.52)であり、女性ではそれぞれ79.8%および75.7%(同0.53)であった。一方、コホート研究によるウエスト/身長比の感度と特異度は、男性ではそれぞれ60.7%、73.2%(同0.50)だったのに対し、女性ではそれぞれ75.0%、56.1%(同0.50)であった。さらに、男女ともに、ウエスト/身長比が大きいほどメタボリックシンドロームの有病率は有意に高く、この指標は独立した因子であることも示された。

     これらの結果を踏まえ、川本氏らは「地域在住の日本人高齢者において、ウエスト/身長比はメタボリックシンドロームの有用なスクリーニング指標である可能性が示唆された」と結論づけている。これらを関連づけるメカニズムは明らかになっていないが、同氏らは「年齢や運動習慣、喫煙や飲酒の習慣、心血管疾患の併存などの他のリスク因子とは独立したものである可能性が示唆された」とし、今後、前向きな大規模研究で検証する必要があるとしている。

    肥満症のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

    肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
    今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。

    肥満症の危険度をセルフチェック!一般的な肥満との違いは?

    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2019年5月20日
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  • 甘いものを食べるのを日中に限るとメタボ予防に有効か 名古屋大の研究チームがラット実験で確認

    甘いものを食べるのを日中の時間帯に限ると、メタボリック症候群の予防につながる可能性のあることを、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の小田裕昭氏らの研究グループがラットを用いた実験で突き止めた。

    時間帯に関係なく砂糖(ショ糖)を摂取するのに比べて、日中の活動時間帯に限ると脂肪肝や脂質異常症になりにくいことが分かったという。
    詳細は「PLOS ONE」8月15日オンライン版に掲載された。

    砂糖の取り過ぎは、食べ過ぎや運動不足と同様にメタボリック症候群のリスク因子だとされている。
    世界保健機関(WHO)は砂糖の摂取量を1日約24g、小さじ6杯分程度に抑えることを推奨している。
    中でも、砂糖や異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)を加えた加糖飲料はメタボリック症候群の原因になるとして、WHOは加糖飲料への課税などで消費量を減らすよう各国に呼び掛けている。

    研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役割を果たすという時間栄養学に着目した実験から、昼夜を問わず食事を取ると高コレステロール血症が引き起こされることを既に報告している。
    研究グループは今回、砂糖の摂取時間を活動時間帯に制限すれば過剰摂取による脂質代謝異常を改善できるとする仮説を立てた。
    そこで、与えられた餌の約80%を活動期に食べる夜行性ラットを用いて、活動時間帯のみに砂糖の餌を与える実験を行った。

    実験では、ラットにでんぷんまたは砂糖の餌を与え、それぞれを自由な時間帯に食べられるグループと活動時間帯に限って食べられるグループに分け、摂取開始から4週間後の肝臓内や血中に蓄積した脂肪量を調べた。
    その結果、餌の摂取量は同じであったが、砂糖を自由な時間に摂取できたグループに比べて、活動時間帯に限って摂取したグループでは肝臓内や血中の脂肪量が少ないことが分かった。

    こうした結果を踏まえ、研究グループは「甘いものの摂取には一種の習慣性がある。
    砂糖の取り過ぎは身体に悪いと理解していても実際に食べる量を減らすのは難しいが、今回の結果から、甘いものを食べるのを日中に限ることで取り過ぎによる悪影響を避けられる可能性が考えられる」と話している。

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    治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

    治験・臨床試験についての詳しい説明

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    HealthDay News 2018年8月27日
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  • メタボ検診実施率、2016年度も目標遠く――厚労省

    厚生労働省はこのほど、40~74歳を対象とした特定健康診査(メタボ検診)の実施率が、2016年度には前年度から1.3ポイント上昇し51.4%であったと発表した。

    2008年度の開始当初(38.9%)から実施率は年々上昇しているが、依然として70%という国が掲げる目標には遠く及ばない状況が続いている。

    発表によると、2016年度の特定健診対象者数は約5360万で、このうち約2756万人が受診した。
    実施率は男女ともに60歳以降になると低下し、女性では男性に比べて全体的に低い傾向が続いていた。

    また、企業に勤める会社員とその家族が加入する健康保険組合(75.2%)と公務員などが加入する共済組合(76.7%)は目標を達成していたが、全国健康保険協会(協会けんぽ;47.4%)、市町村国民健康保険(36.6%)などは依然として実施率は低かった。

    なお、特定健診を受診し、メタボリック症候群やそのリスクが高いと判定され、特定保健指導が必要とされたのは約469万人だった。
    特定保健指導の実施率についても18.8%と前年度に比べて1.3ポイント上昇したものの、国が掲げる目標(45%)には届かなかった。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2018年8月30日
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