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12月 05 2023 パンデミック中の自損行為による救急搬送の実態――大阪府でのデータ解析
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中の自損行為による大阪府での救急搬送の実態が報告された。年齢別の解析で、20歳代では2020年の自損行為による搬送数がパンデミック前よりも有意に増加していたという。大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターの中尾俊一郎氏らの研究結果であり、詳細は「BMJ Open」に9月12日掲載された。
パンデミック下で行われた外出自粛や会食の制限などは、感染拡大抑止には一定の効果があったと考えられるが、一方で人々のメンタルヘルスに負の影響を与えた可能性が指摘されている。また、パンデミック中に発生した非正規雇用者の解雇なども、同じような影響を及ぼしたと考えられる。加えて海外からは、パンデミック中に自損行為の発生率が上昇したとする研究結果が報告されている。これらを背景として中尾氏らは、国内でもパンデミックの発生後に自損行為による救急搬送件数が増加していた可能性を想定し、大阪府全域の救急搬送に関する情報を集約している「大阪府救急搬送支援・情報収集・集計分析システム(ORION)」のデータを用いた検討を行った。
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救急搬送患者の全体的な傾向として、年齢層は20代が25.0%を占め最も多く、救急要請場所は自宅が82.6%と大半を占めており、時間帯別では18~24時が32.3%と最多だった。また、月別では7月(9.4%)や9月(9.3%)が多く、反対に2月(7.1%)や4月(7.2%)は少なかった。なお、年齢中央値の年次推移を見ると、2018年から順に40歳、39歳、38歳、36歳と、若年化する傾向が認められた(傾向性P=0.002)。
10万人年当たりの搬送件数は30.7であり、この年次推移を見ると2018年から順に29.4、30.5、31.8、31.2と経時的に上昇する傾向が認められた(傾向性P=0.013)。しかし、交絡因子(年齢層、性別、発生月)を調整すると、自損行為による救急搬送の発生率比はいずれの年も統計学的な有意差を認めなかった。
次に、この結果を2018年を基準として年齢層別に解析。すると20代ではパンデミック初年に当たる2020年に、交絡因子を調整後の発生率比(aIRR)が有意に上昇していたことが明らかになった〔aIRR1.117(同1.002~1.245)〕。なお、20代でもパンデミック前の2019年や2021年はaIRRの有意な変化がなく、また20代以外の年齢層ではいずれの年も有意な変化がなかった。
医療機関に搬送後の経過は、入院治療が4,766人(44.0%)、入院を要さずに帰宅が4,907人(45.3%)であり、1,170人(10.8%)は搬送後に死亡が確認されていた。入院を要した4,766人の21日後転帰は、退院が3,785人(79.4%)、入院中が405人(8.5%)で、576人(12.1%)が死亡だった。副次的評価項目として設定していた21日以内の死亡は、搬送後に死亡確認された患者を加えて1,746人であり、死亡率〔搬送者数に対する全死亡(あらゆる原因による死亡)者の割合〕は16.1%だった。この死亡率の年次推移に関しては、交絡因子の調整の有無にかかわらず、2018年から有意な変化が認められなかった。
以上を基に著者らは、「2020年には、自損行為による救急搬送患者の最多年齢層である20代の搬送が有意に増加していた。パンデミック自体とそれに伴う社会環境の変化が、若年者のメンタルヘルスに負の影響を及ぼしていた可能性がある」と総括。また、「本研究の結果は、若年世代への精神的サポートを強化する施策立案に有用な知見となり得るのではないか」と付け加えている。
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12月 05 2023 食後に椅子に座らなければエネルギー消費が1割増える
食後に立っているだけで、座って過ごすよりもエネルギー消費が1割増えるというデータが報告された。ただし、糖尿病でない人を対象に行われたこの研究では、食後の血糖値には有意差が認められなかったことから、代謝性疾患の予防という点では単に立っているだけでなく、軽い運動を加えた方が良い可能性があるという。岐阜大学教育学部保健体育講座の河野寛也氏、上田真也氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」に10月17日掲載された。
エネルギー収支がプラスの状態が続いていると、肥満やそれに伴う糖尿病、心血管疾患などのリスクが上昇する。最近の肥満や糖尿病の増加の一因として、人々の生活の中の座位行動が増えてエネルギー消費が減り、収支がプラスになりやすくなっていることとの関係が指摘されている。特に本研究で対象とした大学生は座学での講義が多いために、一般人口以上に座位行動が長いという報告がある。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。一方、エネルギー消費を増やす方法として以前からスポーツや運動が推奨されているが、近年では座位行動を減らすだけでも健康上のメリットを得られることが分かってきた。ただし、食後の座位を立位に変えることの代謝への影響は、十分検討されていない。上田氏らは、食後に立位で過ごすことでエネルギー消費が増え、血糖上昇が抑制されるとの仮説の下、大学生を対象に以下の検討を行った。
研究参加者は15人の男子大学生(平均年齢21.6±1.1歳)で全て非喫煙者であり、代謝性疾患などの既往歴のある学生や何らかの薬剤が処方されている学生は除外されている。試験デザインはクロスオーバー法で、全員に対して食事摂取後に通常の椅子に座るか、身長に合わせて高さを調整したスタンディングデスクを使うという2条件を試行。試行順序は無作為化し、7日間のウォッシュアウト期間を設けて行った。
テスト前日からアルコールやカフェインの摂取と中強度以上の運動を禁止し、夕食は21時までに済ませて、それ以降は翌日の朝食以外、水以外の飲食を禁止した。テスト当日は8時までに、2条件共通の食事を取った上で、12時から300gの白米を食べてもらうという食事負荷テストを実施。食前から食後120分まで、間接熱量測定法に基づくエネルギー消費量、心拍数、血糖値、呼吸交換比(RER)、外因性グルコース代謝率などの推移を把握した。
その結果、食後30~120分のエネルギー消費量は、両条件ともに食前に比べて有意に増大し、食事誘発性熱産生が確認された。ただし、立位条件のエネルギー消費量の方がより高値で推移し、30分おきに測定した全てのポイントで有意差が認められた。条件間の差は1分当たり0.16±0.08kcalであり、立位条件では120分間でのエネルギー消費が10.7±4.6%多かった。
10分おきに測定された心拍数に関しては、食前は有意差がなかったものが、食後は10~120分の全てのポイントで立位の方が有意に高値だった。血糖値は30分おきに測定され、両条件ともに食後30分のみ食前より有意に高値となり、その他のポイントは食前値と有意差がなく、また全ポイントで条件間の有意差は見られなかった。
RERや外因性グルコース代謝率の推移にも、条件間の有意差は観察されなかった。なお、両条件ともに食後60~120分にかけて外因性グルコース代謝率が食前値より高値となり、糖質の酸化が同程度に亢進していたことが確認された。このことから、立位条件でのエネルギー消費の増大は、主として脂質酸化の亢進によるものと考えられた。
著者らは以上の総括として、「食後に立位で過ごすことで、糖代謝への影響は生じないが、エネルギー消費は有意に増大することが確認された」と結論付けている。なお、立位によりエネルギー消費が10.7±4.6%増えるという結果を基に、1日に4時間の座位を立位に置き換えた場合の影響を試算すると、エネルギー収支が38.4kcalマイナスになり、これを毎日続ければ1年間で体脂肪量1.6kg減という効果が予測されるという。
一方、血糖変動には有意差がなかったことに関連して、「食後の血糖上昇は非糖尿病者でも酸化ストレス亢進や血管内皮機能の低下などをもたらし得る。疾患予防のためには、例えば食後に座位と立位を繰り返すなどの運動を加えて糖質の酸化を刺激することが必要ではないか」との考察を付け加えている。
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肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。