• 慢性腎臓病の早期発見に有用な「D-アミノ酸」を発見 血中および尿中のD-セリン同時測定が有効

    いまや国民病ともいわれる慢性腎臓病(CKD)の早期診断には、血中に微量に存在するD-アミノ酸の一つ、「D-セリン」の測定が有用な可能性があることを、医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府)難治性疾患研究開発・支援センター長の木村友則氏らの研究グループが突き止めた。血中および尿中のD-セリンを同時測定するとCKDの早期診断に最も有効であったという。研究の詳細は「Scientific Reports」3月25日オンライン版に掲載された。

     CKD患者は日本国内では1300万人、世界では8.5億人に上ると推計されている。自覚症状なく進行する腎臓病は、気づいたときには透析導入を余儀なくされる患者も多く、早期発見、早期治療が課題とされている。しかし、今のところ腎機能を予測するのに有用なバイオマーカーは確立されていない。

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     木村氏らはこれまで、体内にはL-アミノ酸だけでなく微量のD-アミノ酸が存在し、これが腎臓病の予後と関連することを見出していた。今回、同氏らは、CKD患者と健康な成人を対象に、血中および尿中のアミノ酸を一斉に測定するメタボローム解析を用いて、D-アミノ酸がCKDの早期発見に有用なバイオマーカーになり得るか否かを検討した。

     研究では、D-アミノ酸を正確かつ高感度に測定できる2次元HPLC(high performance liquid chromatography;高速液体クロマトグラフィー)システムを搭載したメタボローム解析装置を用いて、CKD患者11人と健康な成人ボランティア15人の血中および尿中のD-アミノ酸を測定した。

     その結果、D-アミノ酸のうちD-セリン値が腎機能(糸球体濾過量)自体と強く相関し、これらの関連は従来の腎臓病マーカーと同程度かそれ以上であることが分かった。一方、尿中のD-セリンは糸球体濾過量以外の腎機能を反映しており、血中と尿中のD-セリンを組み合わせると腎臓病を診断できる確率が向上することも明らかになった。

     これらの結果から、木村氏らは「CKDの早期診断には、体中に微量にしか存在しないD-アミノ酸であるD-セリンが有効であることが分かった」と結論。「このような診断技術を活用してCKDの早期診断、早期治療が進むことで、透析導入患者の抑制や腎臓病の個別化医療の実現、病態解明などにつながることが期待される」としている。

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    HealthDay News 2019年7月8日
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  • 日本腎臓学会と日本糖尿病学会が専門医間の紹介基準を公表

    日本腎臓学会と日本糖尿病学会はこのほど、専門医間の紹介基準を作成し、それぞれの学会ホームページで公表した。両学会は2018年2月に、かかりつけ医から専門医、専門医療機関への紹介基準を発表している。両学会は合同で「STOP-CKD宣言」を採択し、同基準を活用して専門医間の連携を密にすることで、糖尿病性腎臓病への対策を強化していくとしている。

    腎臓専門医から糖尿病専門医への紹介基準は、「糖尿病治療の大幅な変更等が望まれる場合」と「糖尿病専門医による糖尿病の継続管理が望ましいと考えられる場合」に大きく分けて記している。前者では、(1)血糖コントロール不良が一定期間持続する場合(HbA1c 8.0%以上、高齢者ではHbA1c 8.5%以上が3カ月以上持続することが目安)、(2)糖尿病治療の見直しを要する場合(腎機能低下に伴う薬剤効果増強による低血糖を予防する場合など)、(3)糖尿病急性増悪の場合もしくは急性合併症-といった5項目が挙げられている。糖尿病専門医に紹介後は、診断結果に応じて併診あるいは腎臓専門医での治療を継続する。

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    また、後者では、1型糖尿病や低血糖を頻回に繰り返すなど、内因性インスリン分泌が高度に枯渇している可能性がある場合とし、紹介後は両専門医による継続的な併診加療を含めて検討するとしている。

    一方、糖尿病専門医から腎臓専門医への紹介基準は、「腎臓専門医による腎疾患の鑑別を目的とした場合」と「腎臓専門医による継続管理を目的とした場合」に大別。前者では、糖尿病網膜症を伴わない0.5g/gCr以上の尿蛋白、顕性蛋白尿を伴わない腎機能低下、3カ月以内に推算糸球体濾過量(eGFR)が30%以上低下する急速な腎機能低下など5項目を挙げ、紹介後は、診断結果に応じて併診あるいは糖尿病専門医での治療を継続する。

    また、後者では、保存期腎不全(eGFR 30mL/分/1.73m2未満)、ネフローゼ症候群など6項目を挙げ、紹介後は腎臓専門医での継続管理あるいは糖尿病専門医との併診加療を含めて検討するとしている。

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    糖尿病の3大合併症として知られる、『糖尿病性腎症』。この病気は現在、透析治療を受けている患者さんの原因疾患・第一位でもあり、治療せずに悪化すると腎不全などのリスクも。この記事では糖尿病性腎病を早期発見・早期治療するための手段として、簡易的なセルフチェックや体の症状について紹介していきます。

    糖尿病性腎症リスクを体の症状からセルフチェック!

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    HealthDay News 2019年3月4日
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  • 保存期の慢性腎臓病患者にも肥満パラドックスの可能性 東京医歯大の研究グループ

    透析導入に至っていない保存期の慢性腎臓病(CKD)患者は、BMIが高値なほど短期的な予後が良好となる可能性があることが、東京医科歯科大学腎臓内科の菊池寛昭氏と同大学茨城県腎臓疾患地域医療学寄附講座教授の頼建光氏らの研究グループの検討で分かった。透析患者だけでなく、保存期CKD患者においても十分なカロリーを摂取し、体重を維持することが重視される可能性があるという。詳細は「PLOS ONE」2018年11月29日オンライン版に掲載された。

     これまでの研究で、血液透析患者はBMI値が高いほど寿命が延びる「肥満パラドックス」が報告されている。一方、保存期のCKD患者については、肥満度と予後との関連は不明な点が多かった。そこで、研究グループは今回、保存期CKD患者を対象に、感染症や糖尿病の有無で層別化した上で、BMIと院内死亡率の関連について調べる研究を実施した。

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     研究では、全国1,700以上の病院が参加する大規模診療データベースであるDPC(Diagnosis Procedure Combination)データを用いて、緊急入院となった透析導入に至っていない保存期CKD患者2万6,103人のデータを抽出。対象患者をまず、BMI値で4つの群に分けた上で、感染症の合併の有無で分けて、入院後100日以内の院内死亡との関係を調べた。

     その結果、感染症の合併の有無にかかわらず、BMIが低値であると院内死亡率が高いことが分かった〔感染症合併なし+BMIが適正(24~26)群に比べて、感染症合併+BMI低値(20未満)群では1.82倍、感染症合併なし+BMI低値群では1.39倍〕。また、BMIが高値であるほど入院中の予後は良好となる傾向がみられた。

     さらに、対象患者を糖尿病の合併の有無に分けて解析したところ、BMI低値は予後不良と関連したが、感染症を合併していない群では、糖尿病を合併すると肥満度と予後良好との関連は減弱することが明らかになった。一方、糖尿病を合併していない群では、感染症の有無にかかわらず、BMIが高値なほど短期的な予後は良好となる傾向がみられた。

     以上の結果から、頼氏らは「緊急入院を要する保存期CKD患者では、感染症がある場合には、糖尿病の有無にかかわらず、BMIが高値だと予後は良好であった。一方、感染症を合併していない患者では、BMI高値と予後良好との関連は、糖尿病の有無に影響されることも明らかになった」と結論。この結果は、「保存期CKD患者においては、BMI高値が生命予後の改善に有利となる可能性を示唆しており、CKD患者における十分なカロリー摂取と体重維持の重要性を示した点で臨床的な意義がある」と述べている。

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    HealthDay News 2019年1月15日
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  • 睡眠障害は慢性腎臓病進行のリスク因子か 睡眠の質と睡眠時間がCKD進行と関連

    日本人の慢性腎臓病(CKD)患者では、睡眠の質が悪く、睡眠時間が適切でないとCKDが進行し、透析導入に至るリスクが高い可能性があることが、大阪大学キャンパスライフ健康支援センター講師の山本陵平氏らの研究で明らかになった。日本では透析患者は増加の一途をたどり、医療費増大の一因になっている。同氏らは「CKD進行のリスク因子として睡眠障害の可能性にも注目すべきだ。睡眠障害を含む生活習慣の是正により、透析導入に至るCKD患者の抑制につながる可能性がある」と述べている。詳細は「Clinical Journal of American Society of Nephrology」12月号に掲載された。

     山本氏らは、2011年には同大学の職員約6,800人の健診データを用いた分析で、5時間以下の短時間睡眠が蛋白尿のリスク因子であることを報告している。その後、国内外の研究で、短時間睡眠などの睡眠障害はCKDのリスク因子であることが示されたが、保存期CKDの患者ではこれらの関連は明らかになっていなかった。そこで、山本氏らは、腎機能が低下しているCKD患者を対象に睡眠に関するアンケートを実施し、CKD進行と睡眠障害との関連を検討した。

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     対象は、国内多施設の外来CKD患者約3,000人を追跡しているCKD-JAC(Chronic Kidney Disease Japan Cohort)研究に参加し、研究開始時にピッツバーグ睡眠質問票に回答し、睡眠の質と睡眠時間を評価し得た患者1,601人。約4年間の追跡期間中の透析導入リスクを評価した。

     その結果、睡眠の質が正常な患者に比べて、質が低い患者は透析を導入するリスクが約1.3倍であることが分かった。また、睡眠時間が約7時間の患者と比べて、5時間以下の短時間睡眠の患者と、8時間を超える長時間睡眠の患者はそれぞれ、透析導入となるリスクが約2.1倍および約1.5倍であることも明らかになった。

     これらの結果を踏まえ、山本氏らは「睡眠の質が低いCKD患者と睡眠時間が適切でないCKD患者は、透析に至るリスクが高いことが明らかになった。睡眠障害の原因を特定し、適切な治療を行うことがCKD進行の抑制につながると期待できる」と結論づけている。また、諸外国と比較して日本人の睡眠時間は短いとされていることから、同氏らは「日本人の健康を増進し、医療費を削減するには、日常生活で十分な睡眠時間を確保することが重要だ」と述べている。

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    HealthDay News 2019年1月7日
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  • 活性型ビタミンDで透析患者の心血管疾患リスク低減せず 大阪市立大によるRCTで判明

    ビタミンD欠乏とさまざまな疾病が関連するため、ビタミンD補充による疾病予防効果の有無が注目されている。血液透析患者は、腎不全に伴うカルシウムやリン代謝異常から生じる骨病変を減らすため「活性型ビタミンD製剤」を服用することが多く、骨ミネラル代謝以外への効果もあると考えられていた。しかし、血液透析患者が活性型ビタミンD製剤を服用しても心血管疾患の発症リスクは低下しないことが、大阪市立大学大学院血管病態制御学研究教授の庄司哲雄氏らの研究グループの検討で明らかになった。日本人の透析患者を対象としたランダム化比較試験であるJ-DAVID試験の結果で、詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」12月11日オンライン版に掲載された。

     透析患者では、腎臓でビタミンDを活性化する機能が失われ、骨ミネラル代謝異常を生じ、心血管疾患リスクが高まることが知られている。観察研究では、透析患者が活性型ビタミンD製剤を服用すると、服用しない場合に比べて全死亡率や心血管疾患による死亡率、心血管疾患の発症率が低いとする報告が相次いでいる。そこで、庄司氏らは今回、日本の透析患者を対象に、活性型ビタミンD製剤の心血管疾患リスク低減効果を検討するため、ランダム化比較試験を実施した。

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     対象は、全国108施設から2008~2011年に登録した20歳代~80歳代の血液透析患者976人。二次性副甲状腺機能亢進症を有する患者は対象から除外し、副甲状腺ホルモン(PTH)が180pg/mL以下を呈する血液透析患者とした。対象患者を、活性型ビタミンD製剤(経口アルファカルシドール0.5μg/日;495人)服用群または同剤を服用しない従来治療を受ける対照群(481人)にオープンラベルでランダムに割り付けて、中央値で4年間追跡した。

     その結果、心筋梗塞、うっ血性心不全による入院、脳卒中、冠動脈血行再建術などの複合心血管イベントの発生率は、活性型ビタミンD製剤服用群の21.1%に対し、対照群では17.9%と両群間に有意差はみられず、むしろ服用群で高い傾向にあることが分かった。また、全死亡率についても両群間で有意な差は認められないことも明らかになった(18.2%対16.8%)。

     これまでの観察研究に基づいて、透析患者では、活性型ビタミンD製剤の服用により心血管疾患リスクは低減すると考えられてきた。そのため、庄司氏は「今回の結果は意外だった」と述べつつ、「PTH値の高い患者を対象から除外しているため、PTH高値の患者に対する活性型ビタミンD製剤投与の有用性を否定するものではない点に注意が必要だ」と指摘している。今後は活性型ビタミンD製剤の投与により心血管リスクが低下する患者と低下しない患者を事前に見分ける方法などについて、検討を進めたいとしている。

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    HealthDay News 2018年12月25日
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  • HbA1c高値は慢性腎臓病のリスク因子 糖尿病がない日本人データを分析

    糖尿病がない日本人の成人男女では、空腹時血糖(FPG)値よりもHbA1c値の上昇の方が慢性腎臓病(CKD)の予測因子として優れる可能性があることが、相澤病院(長野県)糖尿病センターの越智通氏らの研究グループの検討で分かった。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」11月1日オンライン版に掲載された。

     これまでの研究で、前糖尿病はCKD発症のリスク因子であることが報告されている。前糖尿病はHbA1c値またはFPG値で定義されるが、HbA1c上昇およびFPG上昇が単独でCKDのリスク因子であるか否かは明らかになっていない。そこで、研究グループは今回、米国糖尿病学会(ADA)ガイドライン(FPG値100~125mg/dLおよび/またはHbA1c値5.7~6.4%)と世界保健機関(WHO)基準(FPG値110~125mg/dLおよび/またはHbA1c値6.0~6.4%)を用いて診断した前糖尿病とCKD発症の関連について検討した。

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     対象は、2005~2016年に同病院で健診を受け、ベースライン時に糖尿病とCKDがなかった成人男女2万5,109人。対象者を平均で5.3年間追跡し、後ろ向きに解析した。

     観察期間中に対象者のうち2,483人がCKDを発症した。年齢や性、インスリン抵抗性、収縮期血圧などで調整して解析した結果、HbA1c高値はCKDの独立したリスク因子であったが、FPG高値にはこうした関連は認められないことが分かった。HbA1c値が1%上昇するごとにCKDリスクは1.91倍(調整後ハザード比、95%信頼区間1.70~2.16)に上昇したが、FPG値の上昇はCKDリスク上昇を全く伴っていなかった(同0.85、0.60~1.20)。

     また、ADA、WHOいずれの基準を用いても、前糖尿病の範疇に入っていることはCKD発症のリスク因子であることが明らかになった(調整後ハザード比はそれぞれ1.21、1.31)。さらに、どちらの基準でもFPG値によらずHbA1c値のみに基づき診断した前糖尿病はCKDのリスク因子であったが、逆にFPG値のみに基づく前糖尿病はCKDのリスク因子ではないことが示された。

     以上の結果から、研究グループは「糖尿病のない日本人集団では、FPG高値ではなく、HbA1c高値はCKDの独立したリスク因子であることが分かった。ただし、これらの因果関係は明らかになっておらず、今後さらなる検討が必要とされる」と述べ、HbA1c高値の前糖尿病と診断された人への介入はCKD予防につながる可能性があることから、今回の結果は今後のCKD対策にとって重要であるとしている。

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    HealthDay News 2018年11月26日
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  • 簡単なサルコペニア検査で慢性腎臓病患者の心血管リスクを予測 熊本大

    年齢と握力、下腿(ふくらはぎ)の太さの3つの指標を用いた簡単なサルコペニアのスクリーニング検査で、慢性腎臓病(CKD)患者が将来、心血管疾患を発症するリスクを予測できる可能性のあることが、熊本大学大学院循環器内科の花谷信介氏(現・天草地域医療センター循環器内科副部長)と同科講師の泉家康宏氏(現・大阪市立大学大学院循環器内科学准教授)らの研究グループの検討で分かった。

    このスクリーニング法は簡便でどこの医療機関でも実施できることから、研究グループは日常臨床で広く有効活用されることに期待を示している。
    詳細は「International Journal of Cardiology」4月9日オンライン版に掲載された。

    がんや心臓病、CKDの患者では、加齢に伴って骨格筋量が減り、筋力が低下するサルコペニアの合併率が高く、これが死亡率を上げる要因の一つとなることが知られている。
    サルコペニアの診断には従来、CT検査やMRI検査による筋肉量の測定が必要とされているが、2014年には東京大学大学院老年病科の石井伸弥氏らが、年齢と握力、ふくらはぎの周囲径からサルコペニアスコアを算出する非侵襲的なサルコペニアのスクリーニング法を開発し(Geriatrics & Gerontology International 2014; 14 Suppl 1: 93-101)、日常診療での活用が広がっている。

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    研究グループは既に心不全患者を対象に、このスクリーニングの応用で心不全の重症度と心不全が悪化するリスクを予測できることを報告している(International Journal of Cardiology 2016; 215: 301-306)。

    研究グループは今回、心血管疾患の発症リスクが高いCKD患者に着目し、CKD患者においてもこの非侵襲的なサルコペニアのスクリーニング法が臨床応用できるかどうかを調べる研究を行った。

    対象は、熊本大学病院に心血管疾患の評価や治療目的で入院したCKD患者265人。
    退院前に測定した握力やふくらはぎの周囲径のデータを用いてサルコペニアスコアを算出し、約650日間にわたる追跡期間中に実施した血液検査や心臓超音波検査の結果や臨床転帰との関連を調べた。

    その結果、対象患者をサルコペニアスコアで高値群(166人)と低値群(99人)に分けて比較したところ、高値群では低値群と比べて心不全の重症度を表す脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の血中濃度が有意に高く(P<0.0001)、腎臓の働きを表すクレアチニン値も高いことが分かった。

    また、プロペンシティスコアで患者背景を調整した解析でも、サルコペニアスコア高値群では低値群と比べて、全死亡率や心不全、心筋梗塞、脳卒中といった心血管イベントの発症率が有意に高かった(P<0.0001)。

    さらに、多変量Coxハザード解析を実施した結果、サルコペニアスコア高値は心血管疾患による入院や全死亡による複合エンドポイントの独立した予測因子であった(ハザード比3.04、95%信頼区間1.45~6.38、P=0.003)。その他、サルコペニアスコア高値と血中BNP値を組み合わせると、心血管イベントリスクが高い患者の予測能が向上することも明らかになった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「簡単なサルコペニアのスクリーニング検査を活用することで、CKD患者の心血管疾患リスクを予測できる可能性が示された。
    このスクリーニング法を用いたリスク評価は今後、心臓血管病の領域にとどまらず幅広い分野で活用が広がっていくことが期待される」と述べている。

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    HealthDay News 2018年4月23日
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  • 保存期CKD患者のサルコペニアにループ利尿薬が関連か 日本人患者260人のデータを解析、東京医歯大

    透析導入前の日本人の保存期慢性腎臓病(CKD)患者では4人に1人にサルコペニアの合併がみられ、こうした合併リスクにはCKD患者でよく用いられる利尿薬、特にループ利尿薬の使用が関連している可能性のあることが、東京医科歯科大学医学部附属病院腎臓内科の内藤省太郎氏らの研究グループの検討で分かった。

    これまで基礎研究でループ利尿薬はマウスの骨格筋の分化と肥大を抑制する可能性が示唆されていたが、CKD患者集団を対象とした臨床研究でこれらの関連が示されたのは初めてだという。
    詳細は「PLOS ONE」2月15日オンライン版に掲載された。

    加齢とともに骨格筋量と筋力が低下するサルコペニアは転倒、糖尿病や脂肪肝などの代謝性疾患、CKD、多剤併用による有害事象などとの関連が報告されている。
    研究グループは今回、降圧薬や利尿薬、経口血糖降下薬、尿酸降下薬など多くの薬剤を併用する場合が多い保存期のCKD患者を対象に、これらの薬剤によるサルコペニアへの影響に焦点を当てつつ、サルコペニアの有病率やリスク因子について調べる横断研究を行った。

    対象は、2016年6月~2017年3月に登録された同大学病院の保存期CKD患者〔推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m3未満、65歳以上〕260人。
    サルコペニアに関連すると考えられる因子(性、年齢、CKD原疾患、内服歴、合併症)のデータを抽出した。
    なお、サルコペニアはAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)の診断基準を用いて診断を行った。

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    その結果、対象患者の4人に1人にサルコペニアが認められた。
    影響を及ぼす可能性がある因子で調整した多変量解析の結果、利尿薬の使用(種類を問わない)およびループ利尿薬の使用はサルコペニアの有意なリスク因子である可能性が示された(それぞれの調整済みオッズ比;3.08、95%信頼区間1.31~7.23、P<0.010、同4.59、1.81~11.61、P<0.001)。高齢と男性、BMI低値、糖尿病の合併もサルコペニアのリスク上昇と関連する可能性が示されたが、eGFR値とその他の内服薬(RAS阻害薬、スタチンなど)の使用との有意な関連は認められなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「保存期CKD患者においてループ利尿薬の使用はサルコペニアの合併リスクと関連している可能性がある。
    ループ利尿薬はCKD患者の体液量のコントロールに欠かせない薬剤で汎用されており、今回の結果はこうした患者ではサルコペニアのリスクを考慮しつつ、ループ利尿薬を適切に使用することの重要性を示唆している」と述べている。

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  • 進行したCKD合併高血圧患者の予後がARBベースの降圧治療で改善 ATTEMPT-CVD研究の事後解析

    進行した慢性腎臓病(CKD)を合併した高血圧患者では、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)をベースとした降圧治療により心血管疾患や腎機能の悪化が抑制され、予後が改善する可能性のあることが熊本大学大学院生体機能薬理学教授の光山勝慶氏らの研究グループの分析で分かった。

    CKDが進行すると心筋梗塞や脳卒中などの心血管病の発症リスクが高まるほか、末期腎不全に至ると透析導入を余儀なくされることから重症化予防が喫緊の課題とされている。
    研究グループは、ARBを適切に用いればこうした患者の予後改善が期待できるとしている。
    詳細は「Scientific Reports」2月16日オンライン版に掲載された。

    研究グループは今回、2型糖尿病や心血管疾患などの心血管リスク因子を一つ以上有する高リスク高血圧患者を対象に、ARBをベースとした降圧治療と通常降圧治療による各種バイオマーカーと心血管・腎イベント発症への影響を無作為化2群比較オープン試験(PROBE法)にて比較検討したATTEMPT-CVD(A Trial of Telmisartan Prevention of Cardiovascular Disease)研究の事後解析を行った。
    同研究に登録した外来高血圧患者1,222人のうち、推算糸球体濾過量(eGFR)値が45mL/分/1.73m3未満あるいは尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が300mg/gクレアチニン以上のどちらかまたは両方を呈する進行CKDを合併した患者187人をARB投与の有無で分けて、心血管イベントや腎イベントの発症率と各種バイオマーカーへの影響を比較検討した。

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    対象とした進行CKD合併患者群では、ARB投与群と非投与群の間でベースライン時の患者背景に有意な差はみられず、両群とも3年間の追跡期間を通して血圧は良好にコントロールされていた。

    解析の結果、心血管イベントおよび腎イベントの複合エンドポイントの発症率は、ARB非投与群と比べてARB投与群で有意に低かった〔ハザード比0.465、95%信頼区間(CI)0.224~0.965、P=0.040〕。
    また、追跡期間中のUACRはARB非投与群と比べてARB投与群で有意に低かったが(P=0.0003)、eGFR値および血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値、血圧値には両群間で差はみられなかった。

    一方で、進行CKDの合併がない患者群(1,035人)の解析では、ARB投与の有無で心血管イベントおよび腎イベントの複合イベント発症率に有意な差はみられなかった(ハザード比0.913、95%CI 0.538~1.551、P=0.737)。

    さらに、心血管および腎の複合イベントの発症に関連する予後因子について多変量Cox回帰分析を行ったところ、進行CKD合併患者においてARBの服用(P=0.0268)と糖尿病の既往(P=0.0126)はこれらの発症の独立した予測因子であることが分かった。
    一方で、進行CKDの合併がない患者群ではARB投与はこれらの発症とは関連していなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「進行したCKDを合併した高血圧患者において、ARBをベースとした降圧治療により心血管疾患や腎機能の悪化を抑制できる可能性のあることが分かった。
    ARB治療によるこうしたベネフィットは血圧やeGFR値ではなくアルブミン尿の有意な低下と関連している可能性が考えられる」と述べている。

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    HealthDay News 2018年2月26日
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  • 尿蛋白正常の慢性腎臓病は腎障害が進行しにくい可能性 東京医歯大グループ

    尿試験紙検査で尿蛋白が正常の慢性腎臓病(CKD)患者は腎障害が進行しにくい可能性があると、東京医科歯科大学腎臓内科の飯盛聡一郎氏らが「PLOS ONE」1月17日オンライン版に発表した。

    尿蛋白正常のCKD患者は、CKD病期が進行しても腎機能の低下速度は速まらず、心血管イベントの発生リスクや全死亡率にも病期間で有意な差は認められなかった。
    そのため、腎臓内科専門医の治療下にある病期が進行したCKD患者であっても、その進行は顕在化しない可能性もあるという。

    40歳以上の男女を対象とした特定健診(メタボ健診)などの一般健診では尿試験紙検査が行われているが、血清クレアチニン値は必須項目ではない。
    しかし、20歳以上の一般成人集団約57万人を対象とした調査から、尿試験紙検査で蛋白尿が正常でも推算糸球体濾過量(eGFR)値が60mL/分/1.73m2未満に低下しているCKD患者は約1割存在するとの報告もある(Clin Exp Nephrol 2009; 13: 621-630)。

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    飯盛氏らは、eGFRの低下と尿蛋白排泄量の増加は死亡リスクの上昇と腎アウトカムの悪化の指標とされているが、尿蛋白正常のCKD患者については一般健診ではCKDの進行が見過ごされている可能性に着目。
    こうしたCKD患者を尿蛋白が正常か異常で分けてCKDの進行や予後を比較検討する前向きコホート研究を行った。

    保存期CKD患者を対象とした治療法や予後に関する観察研究(Chronic Kidney Disease Research of Outcomes in Treatment and Epidemiology;CKD-ROUTE研究)に参加し、2010年10月~2011年12月に腎臓内科専門医の外来を初めて受診した病期G2~G5の20歳以上のCKD患者1,138人(eGFR 60mL/分/1.73m2未満で尿蛋白正常の患者は32.5%)のうち、6カ月間を超えて追跡し得た患者927人を解析対象とした。平均年齢は67歳、約7割が男性であった。
    対象患者を尿試験紙検査の結果が(-)または(±)の尿蛋白正常群(352人)と(1+以上)だった尿蛋白異常群(575人)に分けて、CKDの進行(eGFRが50%以上低下あるいは透析導入)や心血管イベントの発生、全死亡を比較検討した。

    中央値で35カ月の追跡期間中、全対象患者のうち223人にCKDの進行、110人に心血管イベントの発生、55人に全死亡が認められた。
    多変量Cox比例ハザード解析の結果、尿蛋白正常群と比べて異常群ではCKDの進行リスクは有意に低かった(ハザード比0.20、95%信頼区間0.10~0.38)。

    また、尿蛋白正常群ではCKDの原因として腎硬化症(59.7%)の頻度が最も高かった。
    中央値で36カ月の追跡期間中、尿蛋白正常群では10人にCKDの進行、28人に心血管イベントの発生、18人に全死亡が認められた。
    カプランマイヤー法を用いた解析の結果、CKDの病期でCKDの進行リスクや心血管イベントの発生リスクには有意な差は認められなかったが、全死亡リスクは病期が進行するほど高まった。
    しかし、多変量Cox比例ハザード解析によると、これら3つのエンドポイントの発生率にCKD病期で有意な差はみられなかった。

    以上の結果から、飯盛氏らは「尿試験紙検査で尿蛋白が正常だったCKD患者を約3年間追跡した結果、こうした患者ではCKD病期が進行した患者でも腎機能の低下速度は速まらず、CKD病期で心血管イベントの発生率や死亡率に有意な差は認められなかった」と説明している。
    さらに、「この結果は、一般健診では尿蛋白が正常でもCKDが進行した患者が見逃されやすいこと、また、腎臓内科専門医の外来を初めて受診した尿蛋白正常のCKD患者では、病期が進行していても腎障害は進行しにくい可能性があることを示唆している」と結論づけている。

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    HealthDay News 2018年2月5日
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