• 簡単なサルコペニア検査で慢性腎臓病患者の心血管リスクを予測 熊本大

    年齢と握力、下腿(ふくらはぎ)の太さの3つの指標を用いた簡単なサルコペニアのスクリーニング検査で、慢性腎臓病(CKD)患者が将来、心血管疾患を発症するリスクを予測できる可能性のあることが、熊本大学大学院循環器内科の花谷信介氏(現・天草地域医療センター循環器内科副部長)と同科講師の泉家康宏氏(現・大阪市立大学大学院循環器内科学准教授)らの研究グループの検討で分かった。

    このスクリーニング法は簡便でどこの医療機関でも実施できることから、研究グループは日常臨床で広く有効活用されることに期待を示している。
    詳細は「International Journal of Cardiology」4月9日オンライン版に掲載された。

    がんや心臓病、CKDの患者では、加齢に伴って骨格筋量が減り、筋力が低下するサルコペニアの合併率が高く、これが死亡率を上げる要因の一つとなることが知られている。
    サルコペニアの診断には従来、CT検査やMRI検査による筋肉量の測定が必要とされているが、2014年には東京大学大学院老年病科の石井伸弥氏らが、年齢と握力、ふくらはぎの周囲径からサルコペニアスコアを算出する非侵襲的なサルコペニアのスクリーニング法を開発し(Geriatrics & Gerontology International 2014; 14 Suppl 1: 93-101)、日常診療での活用が広がっている。

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    研究グループは既に心不全患者を対象に、このスクリーニングの応用で心不全の重症度と心不全が悪化するリスクを予測できることを報告している(International Journal of Cardiology 2016; 215: 301-306)。

    研究グループは今回、心血管疾患の発症リスクが高いCKD患者に着目し、CKD患者においてもこの非侵襲的なサルコペニアのスクリーニング法が臨床応用できるかどうかを調べる研究を行った。

    対象は、熊本大学病院に心血管疾患の評価や治療目的で入院したCKD患者265人。
    退院前に測定した握力やふくらはぎの周囲径のデータを用いてサルコペニアスコアを算出し、約650日間にわたる追跡期間中に実施した血液検査や心臓超音波検査の結果や臨床転帰との関連を調べた。

    その結果、対象患者をサルコペニアスコアで高値群(166人)と低値群(99人)に分けて比較したところ、高値群では低値群と比べて心不全の重症度を表す脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の血中濃度が有意に高く(P<0.0001)、腎臓の働きを表すクレアチニン値も高いことが分かった。

    また、プロペンシティスコアで患者背景を調整した解析でも、サルコペニアスコア高値群では低値群と比べて、全死亡率や心不全、心筋梗塞、脳卒中といった心血管イベントの発症率が有意に高かった(P<0.0001)。

    さらに、多変量Coxハザード解析を実施した結果、サルコペニアスコア高値は心血管疾患による入院や全死亡による複合エンドポイントの独立した予測因子であった(ハザード比3.04、95%信頼区間1.45~6.38、P=0.003)。その他、サルコペニアスコア高値と血中BNP値を組み合わせると、心血管イベントリスクが高い患者の予測能が向上することも明らかになった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「簡単なサルコペニアのスクリーニング検査を活用することで、CKD患者の心血管疾患リスクを予測できる可能性が示された。
    このスクリーニング法を用いたリスク評価は今後、心臓血管病の領域にとどまらず幅広い分野で活用が広がっていくことが期待される」と述べている。

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    HealthDay News 2018年4月23日
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  • 保存期CKD患者のサルコペニアにループ利尿薬が関連か 日本人患者260人のデータを解析、東京医歯大

    透析導入前の日本人の保存期慢性腎臓病(CKD)患者では4人に1人にサルコペニアの合併がみられ、こうした合併リスクにはCKD患者でよく用いられる利尿薬、特にループ利尿薬の使用が関連している可能性のあることが、東京医科歯科大学医学部附属病院腎臓内科の内藤省太郎氏らの研究グループの検討で分かった。

    これまで基礎研究でループ利尿薬はマウスの骨格筋の分化と肥大を抑制する可能性が示唆されていたが、CKD患者集団を対象とした臨床研究でこれらの関連が示されたのは初めてだという。
    詳細は「PLOS ONE」2月15日オンライン版に掲載された。

    加齢とともに骨格筋量と筋力が低下するサルコペニアは転倒、糖尿病や脂肪肝などの代謝性疾患、CKD、多剤併用による有害事象などとの関連が報告されている。
    研究グループは今回、降圧薬や利尿薬、経口血糖降下薬、尿酸降下薬など多くの薬剤を併用する場合が多い保存期のCKD患者を対象に、これらの薬剤によるサルコペニアへの影響に焦点を当てつつ、サルコペニアの有病率やリスク因子について調べる横断研究を行った。

    対象は、2016年6月~2017年3月に登録された同大学病院の保存期CKD患者〔推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m3未満、65歳以上〕260人。
    サルコペニアに関連すると考えられる因子(性、年齢、CKD原疾患、内服歴、合併症)のデータを抽出した。
    なお、サルコペニアはAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)の診断基準を用いて診断を行った。

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    その結果、対象患者の4人に1人にサルコペニアが認められた。
    影響を及ぼす可能性がある因子で調整した多変量解析の結果、利尿薬の使用(種類を問わない)およびループ利尿薬の使用はサルコペニアの有意なリスク因子である可能性が示された(それぞれの調整済みオッズ比;3.08、95%信頼区間1.31~7.23、P<0.010、同4.59、1.81~11.61、P<0.001)。高齢と男性、BMI低値、糖尿病の合併もサルコペニアのリスク上昇と関連する可能性が示されたが、eGFR値とその他の内服薬(RAS阻害薬、スタチンなど)の使用との有意な関連は認められなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「保存期CKD患者においてループ利尿薬の使用はサルコペニアの合併リスクと関連している可能性がある。
    ループ利尿薬はCKD患者の体液量のコントロールに欠かせない薬剤で汎用されており、今回の結果はこうした患者ではサルコペニアのリスクを考慮しつつ、ループ利尿薬を適切に使用することの重要性を示唆している」と述べている。

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    HealthDay News 2018年3月12日
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  • 進行したCKD合併高血圧患者の予後がARBベースの降圧治療で改善 ATTEMPT-CVD研究の事後解析

    進行した慢性腎臓病(CKD)を合併した高血圧患者では、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)をベースとした降圧治療により心血管疾患や腎機能の悪化が抑制され、予後が改善する可能性のあることが熊本大学大学院生体機能薬理学教授の光山勝慶氏らの研究グループの分析で分かった。

    CKDが進行すると心筋梗塞や脳卒中などの心血管病の発症リスクが高まるほか、末期腎不全に至ると透析導入を余儀なくされることから重症化予防が喫緊の課題とされている。
    研究グループは、ARBを適切に用いればこうした患者の予後改善が期待できるとしている。
    詳細は「Scientific Reports」2月16日オンライン版に掲載された。

    研究グループは今回、2型糖尿病や心血管疾患などの心血管リスク因子を一つ以上有する高リスク高血圧患者を対象に、ARBをベースとした降圧治療と通常降圧治療による各種バイオマーカーと心血管・腎イベント発症への影響を無作為化2群比較オープン試験(PROBE法)にて比較検討したATTEMPT-CVD(A Trial of Telmisartan Prevention of Cardiovascular Disease)研究の事後解析を行った。
    同研究に登録した外来高血圧患者1,222人のうち、推算糸球体濾過量(eGFR)値が45mL/分/1.73m3未満あるいは尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が300mg/gクレアチニン以上のどちらかまたは両方を呈する進行CKDを合併した患者187人をARB投与の有無で分けて、心血管イベントや腎イベントの発症率と各種バイオマーカーへの影響を比較検討した。

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    対象とした進行CKD合併患者群では、ARB投与群と非投与群の間でベースライン時の患者背景に有意な差はみられず、両群とも3年間の追跡期間を通して血圧は良好にコントロールされていた。

    解析の結果、心血管イベントおよび腎イベントの複合エンドポイントの発症率は、ARB非投与群と比べてARB投与群で有意に低かった〔ハザード比0.465、95%信頼区間(CI)0.224~0.965、P=0.040〕。
    また、追跡期間中のUACRはARB非投与群と比べてARB投与群で有意に低かったが(P=0.0003)、eGFR値および血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値、血圧値には両群間で差はみられなかった。

    一方で、進行CKDの合併がない患者群(1,035人)の解析では、ARB投与の有無で心血管イベントおよび腎イベントの複合イベント発症率に有意な差はみられなかった(ハザード比0.913、95%CI 0.538~1.551、P=0.737)。

    さらに、心血管および腎の複合イベントの発症に関連する予後因子について多変量Cox回帰分析を行ったところ、進行CKD合併患者においてARBの服用(P=0.0268)と糖尿病の既往(P=0.0126)はこれらの発症の独立した予測因子であることが分かった。
    一方で、進行CKDの合併がない患者群ではARB投与はこれらの発症とは関連していなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「進行したCKDを合併した高血圧患者において、ARBをベースとした降圧治療により心血管疾患や腎機能の悪化を抑制できる可能性のあることが分かった。
    ARB治療によるこうしたベネフィットは血圧やeGFR値ではなくアルブミン尿の有意な低下と関連している可能性が考えられる」と述べている。

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    HealthDay News 2018年2月26日
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  • 尿蛋白正常の慢性腎臓病は腎障害が進行しにくい可能性 東京医歯大グループ

    尿試験紙検査で尿蛋白が正常の慢性腎臓病(CKD)患者は腎障害が進行しにくい可能性があると、東京医科歯科大学腎臓内科の飯盛聡一郎氏らが「PLOS ONE」1月17日オンライン版に発表した。

    尿蛋白正常のCKD患者は、CKD病期が進行しても腎機能の低下速度は速まらず、心血管イベントの発生リスクや全死亡率にも病期間で有意な差は認められなかった。
    そのため、腎臓内科専門医の治療下にある病期が進行したCKD患者であっても、その進行は顕在化しない可能性もあるという。

    40歳以上の男女を対象とした特定健診(メタボ健診)などの一般健診では尿試験紙検査が行われているが、血清クレアチニン値は必須項目ではない。
    しかし、20歳以上の一般成人集団約57万人を対象とした調査から、尿試験紙検査で蛋白尿が正常でも推算糸球体濾過量(eGFR)値が60mL/分/1.73m2未満に低下しているCKD患者は約1割存在するとの報告もある(Clin Exp Nephrol 2009; 13: 621-630)。

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    飯盛氏らは、eGFRの低下と尿蛋白排泄量の増加は死亡リスクの上昇と腎アウトカムの悪化の指標とされているが、尿蛋白正常のCKD患者については一般健診ではCKDの進行が見過ごされている可能性に着目。
    こうしたCKD患者を尿蛋白が正常か異常で分けてCKDの進行や予後を比較検討する前向きコホート研究を行った。

    保存期CKD患者を対象とした治療法や予後に関する観察研究(Chronic Kidney Disease Research of Outcomes in Treatment and Epidemiology;CKD-ROUTE研究)に参加し、2010年10月~2011年12月に腎臓内科専門医の外来を初めて受診した病期G2~G5の20歳以上のCKD患者1,138人(eGFR 60mL/分/1.73m2未満で尿蛋白正常の患者は32.5%)のうち、6カ月間を超えて追跡し得た患者927人を解析対象とした。平均年齢は67歳、約7割が男性であった。
    対象患者を尿試験紙検査の結果が(-)または(±)の尿蛋白正常群(352人)と(1+以上)だった尿蛋白異常群(575人)に分けて、CKDの進行(eGFRが50%以上低下あるいは透析導入)や心血管イベントの発生、全死亡を比較検討した。

    中央値で35カ月の追跡期間中、全対象患者のうち223人にCKDの進行、110人に心血管イベントの発生、55人に全死亡が認められた。
    多変量Cox比例ハザード解析の結果、尿蛋白正常群と比べて異常群ではCKDの進行リスクは有意に低かった(ハザード比0.20、95%信頼区間0.10~0.38)。

    また、尿蛋白正常群ではCKDの原因として腎硬化症(59.7%)の頻度が最も高かった。
    中央値で36カ月の追跡期間中、尿蛋白正常群では10人にCKDの進行、28人に心血管イベントの発生、18人に全死亡が認められた。
    カプランマイヤー法を用いた解析の結果、CKDの病期でCKDの進行リスクや心血管イベントの発生リスクには有意な差は認められなかったが、全死亡リスクは病期が進行するほど高まった。
    しかし、多変量Cox比例ハザード解析によると、これら3つのエンドポイントの発生率にCKD病期で有意な差はみられなかった。

    以上の結果から、飯盛氏らは「尿試験紙検査で尿蛋白が正常だったCKD患者を約3年間追跡した結果、こうした患者ではCKD病期が進行した患者でも腎機能の低下速度は速まらず、CKD病期で心血管イベントの発生率や死亡率に有意な差は認められなかった」と説明している。
    さらに、「この結果は、一般健診では尿蛋白が正常でもCKDが進行した患者が見逃されやすいこと、また、腎臓内科専門医の外来を初めて受診した尿蛋白正常のCKD患者では、病期が進行していても腎障害は進行しにくい可能性があることを示唆している」と結論づけている。

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    HealthDay News 2018年2月5日
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  • 慢性腎臓病の治療に既存薬の可能性 マウス実験で多発性骨髄腫治療薬が腎線維化を抑制

    京医科歯科大学大学院腎臓内科学教授の内田信一氏と森崇寧氏らの研究グループは、これまで保存的治療しか手段がなかった慢性腎臓病(CKD)の治療に、多発性骨髄腫治療薬のボルテゾミブが有効な可能性があることをマウス実験で突き止めた。

    同薬はプロテアソーム阻害薬と呼ばれる分子標的薬の1つ。既に臨床で汎用され安全性も確認されているため、研究グループはCKD治療にも速やかに適用できる可能性があると期待を示している。
    詳細は「Scientific Reports」10月12日オンライン版に掲載された。

    CKDの患者数は日本国内で1300万人を上回り、成人の8人に1人がCKDとも推計されている。
    また、CKDが進行して末期腎不全となり透析治療を余儀なくされている患者も30万人を超えており、その予防と適切な管理は重大な課題とされている。

    CKDの治療では腎組織の線維化をいかに食い止めるかが重要とされてきた。
    研究グループは、これまで多発性骨髄腫に合併した腎機能障害の改善効果が報告されていたボルテゾミブに着目。

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    同薬の腎機能改善効果は骨髄腫の改善に伴うものと考えられてきた一方で、最近では肝臓や皮膚の組織の線維化を抑制するとの報告も相次いでいることから、腎臓での効果を検証するために腎不全モデルマウスを用いた実験を行った。

    実験では、まず腎臓の傷害を引き起こすアリストロキア酸を用いて腎線維化のモデルマウスを作製。
    その後、アリストロキア酸を10週間投与すると同時にボルテゾミブを週2回投与したところ、アリストロキア酸によって引き起こされた腎機能障害と蛋白尿が有意に改善することが分かった。

    また、同薬を投与すると腎障害マーカーとなる蛋白質の発現量が抑えられ、腎組織の線維化した領域が縮小していることも確認された。

    さらに、ボルテゾミブを投与したマウスでは、線維化を促進するサイトカインであるトランスフォーミング増殖因子(TGF)-β1と転写因子Smad3シグナルの活性が抑制され、アリストロキア酸によって引き起こされた腎組織内のアポトーシス(細胞死)も減弱したことから、これらが線維化の改善メカニズムの一端を担っていることも示された。

    以上の結果から、研究グループは「ボルテゾミブはTGF-β1/Smad3シグナル活性を抑制することで腎線維化を改善し、CKDの進行を抑えられる可能性がある」と結論。
    多発性骨髄腫の既存薬として広く用いられているボルテゾミブはCKD治療の新しい選択肢になる可能性があると述べている。

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