• 肥満と腸内細菌の関係に新知見――ポイントは「食用油の代謝」

    近年、さまざまな疾患領域で腸内細菌の関与がトピックとなっているが、肥満との関連において新たな知見が発表された。ポイントは我々が摂取する食用油に含まれる多価不飽和脂肪酸。腸内細菌が多価不飽和脂肪酸を他の脂肪酸に変換する過程で、宿主のエネルギー代謝を調節しており、その能力次第で肥満が改善または悪化するという。東京農工大学大学院農学研究院応用生命化学代謝機能制御学の木村郁夫氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Communications」に9月5日オンライン掲載された。

     食生活の欧米化とともに、サラダ油などに含まれるオメガ6系多価不飽和脂肪酸の摂取量が増える一方で、魚類に含まれるオメガ3系多価不飽和脂肪酸の摂取量は減少している。また高脂肪食は、高脂肪であること自体が代謝性疾患のリスクであると同時に、腸内細菌叢のバランスを変化させて肥満や代謝性疾患を誘発する可能性がある。しかしこれまでの研究では、多価不飽和脂肪酸が腸内細菌によって代謝される過程で生じる新たな脂肪酸の影響は明らかでなかった。

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     木村氏らは、通常食で飼育したマウスと高脂肪食で飼育したマウスの腸内細菌叢を解析するとともに、多価不飽和脂肪酸の腸内細菌代謝物を定量的に解析した。その結果、高脂肪食飼育マウスの腸内では善玉とされる乳酸菌が有意に減少していること、および、リノール酸(オメガ6系多価不飽和脂肪酸の一種)の腸内細菌代謝産物である水酸化脂肪酸(HYA)が有意に減少していることを確認した。この結果は、高脂肪食によって腸内細菌叢のバランスが乱れるだけでなく、腸内細菌の代謝産物にまで影響が及ぶことを意味している。

     また、高脂肪食にリノール酸を添加して飼育したマウスは脂肪組織に炎症が誘発されたが、HYAを添加し飼育したマウスは炎症所見が少なく体重増加も有意に抑制された。さらに、腸内HYA濃度が通常食マウスと同等になるように調節して飼育したマウスでは、体重抑制作用のある腸管ホルモンGLP-1の分泌が亢進した。これらの結果、腸内細菌による多価不飽和脂肪酸の代謝産物であるHYAが、肥満および肥満に伴う組織の炎症を抑制することが示唆される。なお、HYA産生能のある乳酸菌を腸内に定着させたマウスでも同様の代謝改善効果が認められた。

     以上一連の結果から、腸内細菌叢は食事中に含まれている多価不飽和脂肪酸の代謝を制御しており、高脂肪食によって誘発される肥満や炎症に関与していることがわかった。著者らは、「肥満や代謝性疾患に対する新たな治療法につながる知見であり、今後の研究と応用が期待される」と述べている。

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    肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
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    HealthDay News 2019年9月24日
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  • 肥満があると聴力低下リスクが高まる? 約5万人の日本人会社員を調査

    肥満があると聴力が低下するリスクが高まる可能性があることが、国内12企業に勤める約5万人の会社員を最長8年間追跡した観察研究から明らかになった。研究の詳細は、国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学・予防研究部の胡歓歓氏らの研究グループが「Clinical Nutrition」3月27日オンライン版に発表した。

     肥満は聴力低下と関連する可能性が示唆されているが、これらの関連を聴力測定データに基づいて分析した大規模なコホート研究はほとんど行われていなかった。また、代謝異常を伴う「不健康な肥満」と代謝異常を伴わない「健康的な肥満」による聴力低下への影響の差についても明らかになっていなかった。そこで、研究グループは今回、12の企業で働く約10万人の会社員を対象に行われている職域多施設研究(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study;J-ECOHスタディ)のデータを用いて、肥満と聴力低下との関連を調べる観察研究を実施した。

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     対象は、ベースライン(2008~2011年度)の職域定期健診で聴力が正常であった20~64歳の会社員4万8,549人。肥満の程度によって対象者を3つのグループに分けた上で、追跡期間中に受けた純音聴覚検査によって判明した聴力低下との関連を調べた。その結果、肥満がある人では聴力低下のリスクが高まることが分かった。肥満のない人(BMI 25kg/m2未満)と比べた低音域(1,000Hz)の聴力低下リスクは、BMIが25 kg/m2以上30 kg/m2未満の肥満者では1.21倍、BMIが30kg/m2以上の肥満者では1.66倍であった。低音域ほど強い関連ではなかったものの、高音域(4,000Hz)でも同様の傾向がみられた。

     さらに、対象者を肥満(BMI 25 kg/m2以上)と代謝異常の有無で4つのグループに分けて分析した。なお、(1)収縮期血圧130mmHg以上あるいは拡張期血圧85mmHg以上または高血圧治療中、(2)空腹時血糖値100mg/dL以上または糖尿病治療中、(3)トリグリセライド(中性脂肪)150mg/dL以上または脂質異常症治療中、(4)HDL-コレステロール(HDL-C)値が男性では40mg/dL未満、女性では50mg/dL未満-これらのうち2つ以上に該当する場合を「代謝異常あり」と判定した。

     その結果、代謝的に健康で肥満のない人と比べると、低音域聴力が低下するリスクは、代謝異常を伴う不健康な肥満者で1.48倍と最も高く、代謝異常を伴わない肥満者(1.27倍)、代謝異常を伴う肥満のない人(1.19倍)が続いた。

     これらの結果を踏まえ、胡氏らは「肥満は聴力低下のリスク上昇と関連し、また、肥満に加えて代謝異常があると聴力低下リスクはさらに高まることが分かった」と結論。同氏らは、肥満が聴力低下につながるメカニズムとして、「動脈硬化が進むと内耳動脈が狭窄や閉塞を起こし、内耳の聴覚器官である蝸牛の血流量が減少することのほか、肥満に伴う炎症や酸化ストレスにより聴覚細胞が損傷を受ける可能性が考えられる」とした上で、「聴覚の健康を保つためにも、肥満やメタボリックシンドロームを予防するための生活習慣が推奨される」と述べている。

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    HealthDay News 2019年7月22日
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  • 若年期のわずかなBMI上昇で中年期の糖尿病リスク増 順天堂大

    たとえ適正範囲内であっても、20歳頃に体格指数(BMI)がわずかでも高いと中年期に2型糖尿病になりやすい可能性があると、順天堂大学大学院スポートロジーセンターの染谷由希氏らの研究グループが「PLOS ONE」1月24日オンライン版に発表した。BMIが22~23kg/m2の適正範囲内であっても、21kg/m2未満の場合に比べて中年期に2型糖尿病を発症するリスクは2倍以上に高まることが分かったという。

     アジア圏の成人では、BMIが25kg/m2未満の適正体重であっても2型糖尿病の発症率が高いとされる。特に中年期のBMIのわずかな増加は、2型糖尿病のリスク因子であることが示されている。染谷氏らは今回、同大学の男子学生を長期にわたり追跡したコホートデータを用いて、若年期のわずかなBMIの増加と中年期以降の糖尿病発症との関連について調査を実施した。

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     対象は、同大学体育学部(現スポーツ健康科学部)の卒業生で、順天堂大学同窓生研究(Juntendo University Alumni Study)に参加した男性636人。1971~1991年に卒業し、2007~2017年に行った追跡調査に回答した者とした。対象者を在学中のBMIで4つの群(21kg/m2未満群、21kg/m2以上22kg/m2未満群、22kg/m2以上23kg/m2未満群、23kg/m2以上群)に分けて、追跡調査時の2型糖尿病の発症率との関連を調べた。

     追跡期間は中央値で32年であった(2万983人年)。対象とした学生の卒業時の年齢(中央値)は22歳で、追跡終了時には55歳であった。追跡期間中に56人が2型糖尿病を発症した。

     解析の結果、BMI区分(21kg/m2未満群、21kg/m2以上22kg/m2未満群、22kg/m2以上23kg/m2未満群、23kg/m2以上群)が高まるほど、2型糖尿病の発症率は上昇することが分かった(各群4.4%、7.6%、10.5%、11.3%)。また、BMI 21kg/m2未満群と比較した2型糖尿病リスクは、21kg/m2以上22kg/m2未満群では1.77倍、22kg/m2以上23kg/m2未満群では2.42倍、23kg/m2以上群では2.53倍と、適正体重の範囲内でもBMIがわずかに上昇するだけで、中年期の2型糖尿病リスクは約2倍に上ることが明らかになった(トレンド検定P=0.03)。

     染谷氏らは「大学時代にBMIが適正範囲内でも、その後の糖尿病リスクが増加した機序は明らかではないが、日本人はBMIが同じでも欧米人と比べて体脂肪や内臓脂肪量が多く、太っていなくてもわずかなBMIの増加でインスリン抵抗性になりやすいことが耐糖能異常につながっている可能性がある」と説明している。これらの結果を踏まえて、「20歳頃の若年期にBMIが22kg/m2を超えることは、将来2型糖尿病を発症する重要なリスク因子となり得ることが示唆された」と結論づけている。

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    HealthDay News 2019年2月12日
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  • 外食しやすい生活環境で肥満リスクが高まる? 宮城県在住の高齢者データを分析

    2011年3月の東日本大震災では、多くの被災者が家屋を失い、仮設住宅への転居を余儀なくされた。転居後には近隣の生活環境も大きく変化することが多いが、自宅と飲食店や食料品店との距離が縮まって外食しやすい環境になると、高齢者の肥満リスクが高まる可能性があることが、香港大学公衆衛生大学院の引地博之氏らが実施した調査で明らかになった。詳細は「Scientific Reports」1月23日オンライン版に掲載された。

     引地氏らは、仮設住宅などに転居した場合には、近隣の生活環境、特に飲食店や食料品店への交通の便が大きく変化する点に着目。震災後の食環境の変化が体重に及ぼす影響について検討するため、宮城県岩沼市の住民を対象に調査を実施した。

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     研究では、日本老年学的評価研究プロジェクト(JAGES)の一環で、同県岩沼市に在住する高齢者を対象に実施した社会調査から、東日本大震災の7カ月前(2010年8月)と震災発生から2年半後(2013年10月)のデータを分析した。震災前には適正体重(BMI 18.5~22.9)だったが、震災後にBMI 25以上の肥満となった人に注目し、いずれの調査にも回答した3,567人を対象に、BMIの変化と自宅から飲食店や食料品店までの最短距離の差(震災前後)との関連を調べた。

     その結果、自宅と居酒屋やファストフード店、食料品店との最短距離が1km縮まると、高齢者は適正体重から肥満になるリスクが高いことが分かった(オッズ比はそれぞれ、居酒屋では1.46、ファストフード店では1.44、食料品店では1.46)。

     こうした結果が得られた背景について、引地氏らは「岩沼市の仮設住宅は市の中心部に建設され、沿岸部から転居した住民は居酒屋やファストフード店などを使いやすくなった。そのため、外食の機会が増えたことで体重増加につながったのではないか」と考察している。

     引地氏らによれば、大震災で被災した高齢者の肥満度を食環境の変化に着目して検証した研究はこれまでなかった。この研究結果を踏まえれば、外食や買い物が不便な地域に仮設住宅を建設した自治体では、飲食店やスーパーマーケットへのアクセスが大幅に悪化したことが原因で、体重が減少した高齢者が増えている可能性が危惧されるという。同氏らは「大災害後に被災者の仮設住宅を準備する際には、住宅だけでなく、近隣の食環境も考慮することが住民の健康を維持する上で重要ではないか」との見方を示している。

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    HealthDay News 2019年1月28日
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  • 「アクチビンE」の脂肪燃焼効果を解明 マウス実験で、北里大や京都大など

    肥満の解消には、肝臓から分泌される「アクチビンE」というタンパク質が重要な役割を担っていることを、北里大学と京都大学、奈良先端科学技術大学院大学の共同研究グループが突き止めた。マウスを用いた実験で、アクチビンEがエネルギーを熱に変換する褐色脂肪細胞を活性化し、ベージュ脂肪細胞の増殖を促してエネルギー代謝を亢進させることが分かったという。研究の詳細は「Cell Reports」10月30日オンライン版に掲載された。

     この研究は、北里大学獣医学部准教授の橋本統氏と京都大学大学院農学研究科准教授の舟場正幸氏、奈良先端科学技術大学院大学教授の栗崎晃氏らが行ったもの。研究グループは今回、余分なエネルギーを脂肪としてためこむ「白色脂肪細胞」を、エネルギーを消費する「褐色脂肪細胞またはベージュ脂肪細胞」へと変化させる外的因子の候補として、肝臓で作られるタンパク質の一つであるアクチビンEに着目。マウスを用いた実験を行った。

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     研究グループはまず、肝臓でアクチビンEを過剰に分泌する遺伝子改変マウスを作製。対照マウスと比較したところ、アクチビンEの分泌量が多いマウスは血糖値が低く、インスリン感受性が向上したほか、体温が高くてエネルギー代謝が亢進していることが分かった。このマウスには高脂肪食を与えても体重の増加が抑えられていたという。

     次に、この遺伝子改変マウスの白色脂肪組織を調べたところ、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞でエネルギーを熱に変えるスイッチとして働くタンパク質の「Ucp1」が増加していた。ベージュ脂肪細胞自体も増えており、脂肪組織において熱産生が上がり、エネルギー代謝が上昇すると考えられた。

     一方、アクチビンE遺伝子を欠損させたマウスでは、ベージュ脂肪細胞が減少し、寒冷刺激への反応が鈍く、低体温の症状がみられた。さらに、培養した褐色脂肪細胞に、アクチビンEタンパク質をふりかけるとUcp1の量が増えたことからも、研究グループは「アクチビンEは脂肪細胞の熱産生を直接活性化させる働きを持つことが確認された」としている。

     肝臓から分泌され、インスリン感受性やエネルギー代謝を調節するホルモンはヘパトカインと呼ばれる。以上の結果を踏まえ、研究グループは「アクチビンEはこのヘパトカインとして働き、褐色脂肪細胞を活性化し、ベージュ脂肪細胞を増やすことで余分なエネルギーを熱に変換して消費させる働きがある」と結論。この結果は、糖尿病をはじめとする生活習慣病の原因となる肥満の予防や治療法の開発につながると期待を寄せている。

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    HealthDay News 2018年12月10日
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  • 「朝食抜くと太る」機序をラット実験で解明 体内時計の乱れが原因か、名古屋大など

    朝食を抜くと肝臓の脂質代謝や体温に関わる体内時計に乱れが生じ、エネルギーの消費が減って体重増加につながることを、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の小田裕昭氏らの研究グループが突き止めた。朝食を取ることはメタボリック症候群や肥満の予防につながるだけでなく、体内時計の正常化にも重要であるという。研究の詳細は「PLOS ONE」10月31日オンライン版に掲載された。

     厚生労働省の調査によれば、2015年には20歳代の4人に1人が朝食を食べてないという実態が報告されている。朝食を抜くと肥満やメタボリック症候群、2型糖尿病などになりやすいことが知られているが、これまでの研究は観察研究が多く、その機序は明らかになっていなかった。

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     小田氏らの研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役割を果たすという時間栄養学に着目した実験を重ねてきた。今回は、朝食の重要性に注目し、ラットを活動期に高脂肪食を与える群(対照群)と目を覚ましてから4時間後に高脂肪食を与え、ヒトが朝食を抜いた場合に相当する状態にした群(朝食を抜く群)に分けて2週間観察した。同氏によれば、こうした条件はヒトが朝8時に朝食を食べた場合と12時に最初の食事を食べた場合に相当するという。

     その結果、摂取する食事の量に両群間で差はみられなかったが、朝食を抜いた状態の群では、対照群に比べて体脂肪量や体重が大幅に増加していた。詳細に解析したところ、朝食を抜いた状態のラットでは肝臓の時計遺伝子や脂質の代謝に関与する遺伝子の発現リズムが乱れていることが分かった。さらに、朝食を抜いた状態のマウスでは体温は食べ始めるまで上昇せず、食べている間にも体温は低下してしまうことも明らかになった。

     以上の結果から、小田氏らは「朝食を抜くと肝臓時計や体温時計に異常が生じ、エネルギー消費量が減少して体重増加につながると考えられる」と結論づけている。また、この結果は、朝食を取ることを勧める際の科学的エビデンスになるとしている。

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    HealthDay News 2018年11月12日
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  • 高収入の米国人女性は肥満率が低い

    米国の成人を対象とした肥満の調査データを用いた研究から、女性は収入が高い人ほど肥満率が低いことが明らかになった。ただ、男性では同様の関係は認められなかったという。

    詳細は「Morbidity and Mortality Weekly Report」2017年12月22日号に掲載された。

    この研究を実施したのは米疾病対策センター(CDC)のCynthia Ogden氏ら。同氏らは今回、2011~2014年の米国国民健康栄養調査 (NHANES)のデータを用い、米国の成人における世帯収入別および学歴別の肥満率について検討した。

    その結果、成人全体では世帯収入が最も高い層(4人家族で約940万円以上)の肥満率が31%だったのに対し、それよりも低い層では肥満率は40%前後とより高かった。

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    また、男女別に見ると、女性では世帯収入が高くなるほど肥満率が低下し、世帯収入が最も低い層で45%、中間層では43%だったが、最も高い層では30%にとどまっていた。
    一方、男性の肥満率は中間層で39%と最も高く、世帯収入が最も高い層と低い層では32~33%だった。

    人種別に見ると白人女性では世帯収入が高くなるほど肥満率は低下したが、黒人女性では収入が高い層と低い層の肥満率が同程度だった。
    さらに、黒人男性では世帯収入が高くなるほど肥満率が上昇し、最も低い層の34%に対して最も高い層では43%だった。

    このほか、学歴も肥満率に関係しており、肥満率は高卒以下では40%だったが、大卒では28%にとどまっていた。

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    HealthDay News 2017年12月21日
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  • 太っても食欲が止まらない・・・原因酵素を同定 肥満治療への応用に期待、基礎生物学研

    太っても食欲が止まらない原因となる酵素を突き止めたと、基礎生物学研究所(愛知県)統合神経生物学研究部門の野田昌晴氏らの研究グループが発表した。

    食欲は通常、脂肪細胞から分泌されるホルモン(レプチン)がコントロールしているが、肥満になると脳の摂食中枢で「RPTPJ」と呼ばれる酵素の発現量が増え、レプチンの作用を弱めていることがマウスを用いた実験で分かった。

    この酵素の働きの阻害は糖尿病や肥満の新しい治療標的となる可能性があるという。詳細は「Scientific Reports」9月14日オンライン版に掲載された。

    一般に、肥満がない人の食欲は、脂肪細胞から分泌されるレプチンというホルモンが脳の摂食中枢に働きかけることで抑えられている。

    しかし、肥満になると脂肪の増加に伴ってレプチンの分泌量が増えるにもかかわらず、この働きが弱まる「レプチン抵抗性」の状態になることが知られているが、どのようなメカニズムでレプチンが効きにくくなるのかは明らかにされていなかった。

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    野田氏らの研究グループは今回、これまでさまざまな生理機能の研究を進めてきたRPTP(受容体様タンパク質チロシン脱リン酸化酵素)と呼ばれる酵素群のうち、2015年にインスリン受容体を脱リン酸化し、その働きを抑えていることを見出した「RPTPJ」に着目。

    この酵素の遺伝子を欠損したマウスと正常なマウスに高脂肪食を12週間与えて観察したところ、RPTPJがないマウスは正常なマウスと比べて食べる量が少なく、体重も抑えられていたほか、全身の脂肪量が約4割少ないことも分かった。

    また、高脂肪食を2カ月間与えたマウスでは、レプチン抵抗性とともに、摂食中枢でRPTPJの発現量が増えていることも分かった。

    さらに、高脂肪食を14週間にわたり与えたマウスにレプチンを投与したところ、正常なマウスではレプチン抵抗性が引き起こされていて食べる量や体重は減らなかったが、RPTPJがないマウスではいずれも大きく減少し、レプチン抵抗性は生じていないことが明らかになった。

    以上の結果を踏まえて、野田氏らは「RPTPJの働きを阻害する薬剤の開発は、糖尿病だけでなく肥満の新しい治療につながる可能性がある」と期待を示している。

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    肥満症とは?肥満との違いなど病気に関する基本情報を掲載しています。一般的に肥満とは違い、病気として症状があるため治療を受けることができます。どういった違いがあるのか?詳しく解説しています。

    肥満症とは?肥満との違いなど病気に関する基本情報

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    HealthDay News 2017年10月2日
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  • 「オキシトシン」の肥満改善作用、肥満なほど効果高く マウスを用いた実験で検証、福島県立医大ら

    一般に「愛情ホルモン」などと呼ばれるオキシトシンには肥満改善効果があり、その効果は高脂肪食を摂取して肥満しているほど高い可能性があることを、福島県立医科大学薬理学准教授の前島裕子氏と教授の下村健寿氏らの研究グループがマウスを用いた実験で明らかにした。

    オキシトシンによる減量効果は、通常食を摂取した肥満していないマウスでは弱まることも分かった。詳細は「ScientificReports」8月17日オンライン版に掲載された。

    脳の下垂体後葉などから分泌されるホルモンの1つであるオキシトシンは、出産時の子宮収縮や母乳の分泌に関わるだけでなく、母性や人間関係の形成など社会的行動に関与するほか、抗ストレス作用や食欲を抑えて肥満を改善する作用なども報告されている。

    研究グループは今回、これまでの臨床研究では結論が得られていないオキシトシンによる肥満改善効果に着目。オキシトシン投与後のマウスの体重減少効果を性別、体重、肥満分布といったメタボリック症候群に影響するさまざまな因子別に分析し、どのような条件下で体重減少がより効果的にもたらされるのかを検討した。

    研究では、高脂肪食を与えて太らせたマウスと通常食を与えた太っていないマウス(摂取期間はいずれも雄が8週間、雌は12週間)それぞれに、一定量のオキシトシンまたは対照とした生理食塩水を10日間投与し、10日後にコンピュータ断層撮影(CT)により体脂肪率や脂肪分布を測定。
    性別や体重、肥満分布ごとにオキシトシンによる体重減少効果を調べた。

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    その結果、高脂肪食を与えた肥満マウス(体脂肪率は約36%)では、雌雄ともにオキシトシン投与により体重が減少し、その減量率は対照群との間に有意差がみられたほか、初期の体重が重いほど体重減少効果が高まることが分かった。

    また、高脂肪食を与えた肥満マウスでは、オキシトシン投与により皮下脂肪だけでなく内臓脂肪の脂肪量も雌雄ともに15~20%減少した。

    一方で、通常食を与えた非肥満のマウス(体脂肪率は約10%)では、こうしたオキシトシンによる体重減少効果は、高脂肪食を与えた肥満マウスと比べて小さかった。

    研究グループは今回の研究データについて、将来、オキシトシンを肥満治療に応用する際の重要な基礎データになるものと期待を示している。

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    HealthDay News 2017年9月11日
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  • 肥満患者との接し方に注意―医療従事者による肥満差別で重大な影響

    医療従事者が「肥満は恥ずべきこと(fat shaming)」という考え方に基づいて差別的な態度で肥満患者に対応すると、患者の心身の健康が損なわれる可能性があるというレビュー結果が、米国心理学会(APA、8月3~6日、ワシントンD.C.)のシンポジウムで報告された。このレビューは、米コネチカット大学心理学教授のJoan Chrisler氏が最近の研究をまとめたもの。

     Chrisler氏は「たとえ肥満者を励ましたい、あるいは行動を変えさせたいという意図であっても、医療従事者が失礼な態度をとったり、医療の現場で肥満を理由に恥をかかせたりすることは患者にストレスを与え、受診の遅れや治療の中断につながる可能性もある」と話している。

     医療従事者の中に過体重や肥満に対するネガティブな感情があると、無自覚のうちに態度に表れ、患者は差別的な扱いを受けていると感じてしまう。「例えば、太っている患者に触れるのをためらったり、患者の体重を記録するときに首を振ったり舌打ちしたりすることだ。こうした経験が重なると、患者は偏見を持たれていると感じるようになる可能性がある」と同氏は説明している。

     過体重や肥満に対する考え方は、医師の治療決定にも影響するという。例えば、過去の複数の研究で、過体重の患者に投与される抗菌薬や化学療法薬の用量は不十分である場合が少なくないことが示されている。他の研究では、医師が平均的な体重の患者に対してはCT検査や血液検査、理学療法を勧めるのに対し、太っている患者には繰り返し減量を勧めがちだという実態も明らかにされている。同氏は「病態が同じであるにもかかわらず、体重によって異なる治療を勧めることは非倫理的であり、医療過誤の一種といえる」としている。

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     さらに、医師は時折、過体重や肥満の患者が訴える症状を深刻に受け止めず、体重が原因だと思い込むことがあり、それが慎重さを欠いた診断や検査の未実施につながることもあるという。300件超の検死報告をレビューした研究によると、肥満者では他の人に比べて重大な疾患(心内膜炎や虚血性腸疾患、肺がんなど)が未診断となっている可能性が1.65倍であることが分かっている。

     同シンポジウムで肥満差別に関する別の研究結果を発表した心理学者のMaureen McHugh氏によると、肥満差別は肥満の減少や健康の増進には有効でないというエビデンスがあるという。「肥満者に偏見を持つことは、むしろ彼らの精神衛生上のリスクを上昇させる。肥満への偏見は精神的ストレスにつながり、心身の健康を悪化させることが明らかにされている」と、同氏は話している。

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    肥満症とは?肥満との違いなど病気に関する基本情報を掲載しています。一般的に肥満とは違い、病気として症状があるため治療を受けることができます。どういった違いがあるのか?詳しく解説しています。

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    HealthDay News 2017年8月3日
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