• 冠動脈疾患と末梢動脈疾患の患者像は、かなり異なる

    下肢の末梢動脈疾患(PAD)は心血管疾患(CVD)の1つの病型であるが、リスク因子に関するデータがまだ少ない。そのため、CVDの中で比較的研究が進んでいる冠動脈疾患(CAD)のエビデンスを援用し、それを根拠にリスク管理を行っているのが現状だ。しかし、PADとCADの患者像は、実際にはかなり異なることを示す日本人対象の研究結果が、「Cardiovascular Diabetology」11月15日オンライン版に掲載された。

     大阪大学大学院医学系研究科糖尿病病態医療学寄附講座の高原充佳氏、関西ろうさい病院循環器内科の飯田修氏らは、日本心血管インターベンション治療学会が行っている全国規模の多施設レジストリ(J-EVTおよびJ-PCI)のデータを基に、PADとCADの患者像やリスク因子の異同を検討した。解析対象は、2012~17年にJ- EVT、J- PCIに登録された患者145万813人。このうち11万7,697人がPADに対する血管内治療(EVT)施行症例、133万3,116人がCADに対する血管内治療(PCI)施行症例。

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     まず患者背景を見るとPAD群はCAD群に比較して有意に高齢(73.5±9.3歳対70.0±11.2歳)であるほか、糖尿病患者と透析患者の割合が有意に高いという特徴があった(PAD群の糖尿病はCAD群の1.96倍、透析は6.39倍)。糖尿病や透析患者が多いというこの特徴は、治療の緊急性が高い重症下肢虚血(CLI)と急性冠症候群(ACS)とを比較した場合により顕著になった(CLI群の糖尿病はACS群の3.12倍、透析は18.7倍)。CLIとST上昇型心筋梗塞(STEMI)との比較ではさらにこの差が明確になった(CLI群の糖尿病はSTEMI群の3.59倍、透析は40.1倍)。

     脂質異常症など、他のリスク因子についてもPAD群とCAD群では差異を認めた。PAD群の脂質異常症の割合はCAD群の0.60倍と、CAD群の方が割合が高かった。なお、脂質異常症によるPADへの影響は高コレステロール血症と高トリグリセライド血症で異なると考えられるが、これが区別されなかったことは著者らも本研究の限界点の1つに挙げている。

     次に、患者像の異質性をロジスティック回帰分析によるC統計量(ROC曲線下面積)で検討した。C統計量は比較する2群が全く異質の場合は1、全く同質の場合0.5になる。

     その結果、PADとCADのC統計量は0.725であり、かなりの異質性が示された。また前記と同様にCLIとACSを比較するとC統計量は0.833、CLIとSTEMIでは0.855と明確な異質性が見られた。なお、STEMIと膝下動脈病変によるCLI群を比較した場合のC統計量が0.886で最も高値だった。

     これらより、PCIに比較しEVTは、高齢で糖尿病があり透析を施行しているなど、よりリスクの高い患者をターゲットとして行われていることが明らかになった。研究グループは、「EVTが施行されたPAD患者とPCIが施行されたCAD患者は、年齢の分布と心血管リスク因子の保有状況がかなり異なることが確認された」と結論づけるとともに、「これらの相違は、今回の検討で評価されていない交絡因子によって説明できるかもしれない。各CVDの発症メカニズムを明らかにする今後の研究が必要」と付け加えている。

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    HealthDay News 2019年12月2日
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  • 一過性蛋白尿で心血管死リスクが上昇、一過性eGFR低下は関連せず

    一過性の蛋白尿が心血管疾患(CVD)による死亡リスクの上昇と関連する一方、一過性の腎機能(eGFR)低下は有意なリスクでないことが、30万人以上の特定健診データを追跡した結果から示された。筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科の永井恵氏、山縣邦弘氏らの研究によるもので、「PLOS ONE」10月2日オンライン版に掲載された。

     持続的な蛋白尿やeGFRの低下が確認された時に診断が確定する慢性腎臓病(CKD)は、腎不全のリスクであるだけでなく、CVDのリスクでもある。実際、CKD患者の死亡原因は、CVDとがんがそれぞれ3割以上を占めている。その一方、一時的に蛋白尿やeGFR低下が見られることも少なくない。しかしその意義は十分にわかっておらず、永井氏、山縣氏らはこの疑問を明らかにするため特定健診のビッグデータを用いて検討を行った。

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     解析対象は、2008~14年の特定健診受診者のうち、尿検査の判定とeGFRの値が2回以上記録されていた33万8,094人。それぞれの検査について、2回とも所見なしの(-/-)群、1回目だけ所見あり一過性の異常と考えられる(+/-)群、2回目に所見が見られた(-/+)群、および2回とも所見がありCKDに該当する(+/+)群の4群に分類。年齢や性別、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などで調整の上、CVDによる死亡、がんによる死亡、および全死亡のリスクを比較した。なお、尿蛋白は尿試験紙で「1+」以上、eGFRは60mL/分/1.73m2未満を所見ありとした。

     各群の該当者数の割合は、尿蛋白での分類では(-/-)群91.8%、(+/-)群2.9%、(-/+)群3.1%、CKD群2.2%。eGFR低下での分類では(-/-)群81.2%、(+/-)群4.3%、(-/+)群4.9%、CKD群9.6%。観察期間4.3年(中央値)中に、CVD死510人(20.6%)、がん死1,328人(53.5%)を含む2,481人の死亡が発生した。

     一過性蛋白尿は、CVD死の有意な増加と関連していた。具体的には、男性において、(-/-)群を基準とした場合、一過性蛋白尿に該当する(+/-)群の調整ハザード比(aHR)が1.94(P<0.01)であった。それに対し、観察期間中に新たに蛋白尿を認めた(-/+)群はaHR1.32で有意でなかった。また女性においても(+/-)群がaHR2.78(P<0.01)、(-/+)群はaHR2.04(P<0.05)で、一過性蛋白尿の方が高リスクだった。CKD群では男性・女性ともにCVDリスクが上昇していた。

     一方、全死亡との関連は、男性・女性ともに(-/+)群とCKD群とで有意なリスク増加が見られた。がん死との関連は、男性のCKD群と女性の(-/+)群で有意なリスク増加が見られた。

     他方、eGFRの低下と死亡リスクの関連で有意な関連が認められたのは女性のCKD群のみで、前記3つの死因と関連していた。男性はeGFRが持続的に45mL/分/1.73m2未満まで低下している場合に全死亡リスクが有意に増加していた。

     今回の研究について研究グループは「尿試験紙により判定した一過性蛋白尿と原因別死亡リスクとの関連を検討した初めての大規模調査だろう」と述べた上で、「一過性蛋白尿は特にCVD死の重要な危険因子と考えられるが、一時的なeGFRの低下と死亡リスクとの関連は弱い」と結論づけている。

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    HealthDay News 2019年11月11日
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  • 家屋が全壊した被災者は、長期にわたり心血管疾患リスクが上昇 東日本大震災の追跡研究

    東日本大震災のために津波で家屋が全壊した被災者は、2年半が経過した時点でもメタボリックシンドロームなどの心血管疾患リスクの悪化が続いていることが分かった。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院社会行動科学科の芝孝一郎氏らが行った震災後追跡研究によるもので、「American Journal of Epidemiology」6月号に掲載された。

     調査対象となったのは宮城県岩沼市の65歳以上の高齢者。同地区では、震災発生前の2010年8月に「日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study)」プロジェクトの一環として社会調査が実施されていた(回答者5,058人、回答率59.0%)。そして震災後の2013 年10月に追跡調査が行われ(3,594人、追跡率82.1%)、そのうち自治体の健康診断のデータを利用可能であった1,195人を解析対象とした。

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     被災状況を「家族・友人との死別体験の有無」と「津波による家屋被害状況」で把握し、健診データの変化との関係を分析した。家屋被害状況は、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」「家屋被害なし」の5段階に分け、自治体から派遣されたスタッフが客観的に判定した。健診データからは、心血管疾患のリスク指標として、血圧、BMI、腹囲、中性脂肪値、HDL・LDL-コレステロール値を解析に用いた。

     結果をみると、家族・友人との死別体験の有無別では、心血管疾患リスク因子に有意な違いはみられなかった。一方で、家屋が全壊した被災者は心血管疾患リスクが上昇しており、統計的に有意な差がみられた。

     具体的には、家屋が全壊した被災者は家屋に被害がなかった人より、BMIの増加が0.81kg/m2多く(95%信頼区間:0.24-1.38)、腹囲も4.26cm多く増加していた(95%CI:1.12-7.41)。またHDL-コレステロール(善玉コレステロール)の変動の差は-4.77 mg/dL(95%CI:-7.96--1.58)で、震災前からの減少幅が家屋全壊被災者でより大きかった。なお、家屋全壊ではなく、より軽度の家屋被害は、これらリスクの変化と統計的有意な関連はみられなかった。

     これまで、自然災害の直後(数日から数週間)、血圧上昇や脳卒中の増加が観察されたとする報告は複数なされているが、被災後の長期的な健康への影響はよく知られていなかった。本研究から、大災害ではその被災後 2 年半が経過した後にも心血管疾患リスク亢進状態が持続していることが明らかになり、自然災害被災者への長期的な健康支援が必要であることが示唆された。

     芝氏は論文中でも、「家を失った被災者の健康を維持するため、健康診断と支援の継続が考慮されるべき」と述べている。

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    HealthDay News 2019年7月22日
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  • よく笑うほど早期死亡リスク減? 山形大グループの前向き研究

    日本人の一般集団では、日常生活の中で笑う頻度が高いほど全死亡率や心血管疾患の発症率が低い可能性があることが、山形大学医学部看護学科教授の櫻田香氏らの検討で分かった。心筋梗塞や脳卒中を減らし、早期死亡リスクを低減するためには、日常生活でもっと笑う機会を持つことが鍵となる可能性があるという。詳細は「Journal of Epidemiology」4月6日オンライン版に掲載された。

     これまでの研究で、ポジティブな心理的要因は長寿と関連するのに対し、抑うつや不安、心理的苦痛といったネガティブな要因は心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症につながる可能性が示唆されている。櫻田氏らは、心理的要因のうち「笑い」に着目。山形県の一般住民を対象に、毎日の生活の中で笑う頻度と死亡率および心血管疾患の発症率との関連について前向き研究を実施した。

     対象は、山形県の一般住民を対象とした山形県コホート研究(Yamagata Study)に参加し、健康診断を受けた40歳以上の男女1万7,152人(男性40.8%)。参加者には、毎日どのくらい笑う機会があるかを尋ね、その頻度で3つの群「週1回以上」「週1回未満~月1回以上」「月1回未満」に分けて比較検討した。

     中央値で5.4年の追跡期間中に、257人(1.5%)が死亡し、138人(0.8%)が心血管疾患を発症した。解析の結果、日ごろほとんど笑わない人では、全死亡率と心血管疾患の発症率が有意に高いことが分かった(log-rank P<0.01)。

     また、年齢や性、高血圧、喫煙や飲酒の習慣で調整したCox比例ハザードモデル分析の結果、週1回以上笑う人と比べて、笑う頻度が月1回未満の人では死亡リスクが約2倍に高まることが分かった(ハザード比1.95、95%信頼区間1.16~3.09)。同様に、週1回以上笑う人と比べて、その頻度が週1回未満~月1回以上の人では心血管疾患の発症リスクは約1.6倍であった(同1.62、1.07~2.40)。

     櫻田氏らの検討では、特に男性や飲酒の習慣がある人、糖尿病患者、運動不足の人、配偶者がいない人で笑う頻度が低かったという。今回の結果を踏まえ、同氏らは「日本人の一般集団では、“笑い”は全死亡や心血管疾患発症の独立したリスク因子である可能性が示された。心血管疾患を減らし、長寿を目指すには、日常生活でもっと笑う機会を持つ工夫が必要かもしれない」と述べている。

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    HealthDay News 2019年4月22日
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  • 「降圧薬で正常血圧」でも循環器疾患死亡リスクは依然高い 筑波大の研究グループ

    日本人の一般集団では、降圧薬の服用により血圧が130/85mmHg未満にコントロールされていても、循環器疾患により死亡するリスクは依然として高いことが、筑波大学医学医療系教授の山岸良匡氏らの研究グループの検討で分かった。この原因として、同氏らは、降圧薬を服用する患者には糖尿病や脂質異常症などの他のリスク因子や、心房細動や動脈硬化などの併存疾患があることが多く、もともと心血管疾患リスクが高かったことが影響した可能性を指摘している。詳細は「Journal of Hypertension」3月14日オンライン版に掲載された。

    山岸氏らは今回、日本人の生活習慣とがんとの関連を調べる大規模なコホート研究(JACC研究)データを用いて、血圧と循環器疾患による死亡の関連と、降圧薬の服用の有無による影響について分析した。

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    対象は、JACC研究に参加した日本全国45地域のうち、血圧測定データのある30地域の成人2万7,728人。欧州の高血圧ガイドライン基準に基づき、対象者を、健診時の血圧値で(1)至適血圧(120/80mmHg未満)、(2)正常血圧(120~129/80~84mmHg)、(3)正常高値(130~139/85~89mmHg)、(4)Ⅰ度高血圧(140~159/90~99mmHg)、(5)Ⅱ~Ⅲ度高血圧(160/100mmHg以上)の5つの群に分けて循環器疾患による死亡率を比較検討した。

    複数の因子で調整した解析の結果、「正常高値」群と比べた循環器疾患による死亡リスクは、至適血圧群では0.85倍、正常血圧群では0.96倍だったのに対し、Ⅰ度高血圧群では1.26倍、Ⅱ~Ⅲ度高血圧群では1.55倍と、血圧の上昇とともにそのリスクは高まることが分かった。

    また、こうした血圧と循環器疾患による死亡リスクとの関連は、降圧薬を服用していない人だけに認められることも明らかになった。降圧薬を服用している人では、「正常高値」群と比べた循環器疾患による死亡リスクは、至適血圧群では2.31倍、正常血圧群では1.68倍、Ⅰ度高血圧群では1.56倍、Ⅱ~Ⅲ度高血圧群では1.63倍であり、血圧が129/84mmHg以下にコントロールされていても死亡リスクは高いことが示された。なお、これらの結果に性差は認められなかったという。

    これらの結果について、山岸氏らは「降圧薬を服用する人で循環器疾患の死亡リスクが高値を示したのは、過度の降圧による影響を否定できないケースもあるが、一概に降圧薬の服用で血圧が下がったことが原因とは言えない。降圧薬を必要とする人の中には、もともと心血管疾患リスクが高く、強力に血圧を下げる治療を受けていたり、合併症が原因で血圧が下がっていることがあり、そのもともとの心血管リスクや合併症が原因で死亡リスクが高値を示した可能性が考えられる」と説明している。そのため、同氏らは「降圧薬の服用により血圧が129/84mmHg以下にコントロールされていても、併存するリスク因子や合併症の管理に注意する必要がある」と注意を促している。

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    HealthDay News 2019年4月15日
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  • 植物性たんぱく質の摂取量が多いと心血管疾患リスクは低い NIPPON DATA 90データを解析、慶應大

    日本人の成人では、植物性たんぱく質を多く摂取するほど心血管疾患(CVD)による死亡リスクが低く、特に高血圧のない人でこの傾向が強いことが、慶應義塾大学衛生学公衆衛生学の栗原綾子氏らの研究グループの検討で分かった。

    植物性たんぱく質の摂取量が多いと、循環器系の疾患の中でも脳内出血による死亡率が低かったという。
    詳細は「Journal of Atherosclerosis and Thrombosis」8月9日オンライン版に掲載された。

    これまでの疫学研究で植物性たんぱく質の摂取量は血圧と逆相関することが報告されている。
    しかし、植物性または動物性たんぱく質の摂取や総たんぱく質の摂取と血圧やCVDとの関連については一定の方向性は示されていなかった。
    そこで、研究グループは今回、30歳以上の一般住民のランダムサンプルを対象とした大規模な前向き疫学研究(NIPPON DATA 90)のデータを用いて、食事からの植物性たんぱく質の摂取とCVDによる死亡率との関連を調べる研究を実施した。

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    研究では、研究開始時点(1990年)でCVDの既往のない30歳以上の成人男女7,744人(男性3,224人)を対象に15年間追跡し、食事からの植物性たんぱく質の摂取とCVDによる死亡率との関連を調べた。
    研究開始時に実施した3日間の秤量法に基づく半定量式食事歴法により植物性たんぱく質からの摂取エネルギーが総摂取エネルギーに占める割合(エネルギー比率)を評価した。

    平均13.9年の追跡期間中に1,213人が死亡し、このうち29.2%(354人)はCVD死であった。
    植物性たんぱく質のエネルギー比率で四分位に分けてCVD死との関連を調べた結果、植物性たんぱく質の摂取比率が大きいほどCVD死亡率は低くなる傾向がみられた。
    また、植物性たんぱく質のエネルギー比率が1%増加するごとにCVDによる死亡リスクは14%低下し(ハザード比0.86、95%信頼区間0.75~0.99)、脳内出血による死亡リスクは42%低下した(同0.58、0.35~0.95)。

    さらに、対象者を研究開始時の高血圧の有無で分けて解析したところ、特に高血圧のない群において、植物性たんぱく質の摂取比率とCVDおよび脳卒中による死亡率に有意な逆相関が認められた。

    以上の結果を踏まえて、栗原氏らは「日本人は植物性たんぱく質を多く摂取するほどCVDや脳内出血で死亡するリスクが低い可能性がある。
    こうした植物性たんぱく質の摂取による効果は脂肪や食塩摂取量、BMIとは関係なく、男女差もみられなかった」と結論。
    「特に高血圧のない人では植物性たんぱく質を多く摂取すると、将来CVDになりにくいことが示唆されたが、ベースライン調査以降に血圧上昇が抑えられた効果が反映されている可能性もある。
    こうした結果が得られた背景についてはさらなる研究で明らかにする必要がある」と述べている。

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    HealthDay News 2018年9月18日
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  • DXA法で判定したサルコペニア肥満は心血管リスクの予測に有用 日本人2型糖尿病患者で検討、東京医歯大ら

    2型糖尿病患者では、二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy X-ray absorptiometry;DXA法)による全身の体組成測定を用いて判定したサルコペニア肥満が併存すると将来、心血管疾患を発症するリスクが高まる可能性のあることが、東京医科歯科大学大学院分子内分泌代謝学の福田達也氏と国立国際医療研究センター糖尿病内分泌代謝科の坊内良太郎氏らの研究グループの検討で分かった。

    また、骨格筋指数(SMI)が低いことに加えて内臓脂肪と皮下脂肪の比率(A/G比)または内臓脂肪量に基づきサルコペニア肥満を判定することが、心血管イベントリスクの予測に適している可能性も示唆された。
    詳細は「Cardiovascular Diabetology」4月10日オンライン版に掲載された。

    これまでの横断研究で、主に加齢に伴って筋肉量が減少し、筋力が低下するサルコペニアに肥満を伴う「サルコペニア肥満」は心血管疾患リスクを上昇させることが報告されている。

    また、サルコペニア肥満の判定には全身の脂肪量と除脂肪量(内臓や筋肉)を計測できるDXA法が適すると考えられている。
    しかし、DXA法による全身の体組成測定で判定したサルコペニア肥満が将来の心血管疾患の発症リスクの予測に有用かどうかは明らかにされていない。

    研究グループは今回、サルコペニア肥満のリスクが高い2型糖尿病患者を対象に、DXA法による全身測定で判定したサルコペニア肥満と心血管疾患の発症リスクとの関連を調べ、またDXA法で評価した指標のうち、どの指標が心血管疾患の発症リスクの予測に有用なのかを調べる後ろ向き観察研究を行った。

    対象は、2008~2015年に東京医科歯科大学医学部附属病院に通院していた2型糖尿病患者716人(平均年齢65±13歳、女性47%)。
    追跡期間中にDXA法による全身の体組成測定を行い、内臓脂肪量に相当する腹部脂肪量(android fat mass)と臀部や太腿などの下半身の皮下脂肪量(gynoid fat mass)、骨格筋指数〔skeletal muscle mass index;SMI、四肢骨格筋量(kg)を身長(m)の二乗で除したもの〕を求めた。
    サルコペニア肥満はSMI低値(7.0kg/m2未満)に加えて、内臓脂肪と皮下脂肪のバランスの指標であるA/G比(android-gynoid比;内臓脂肪と皮下脂肪の比)、上半身の脂肪量、体脂肪率(%BF)が性特異的な中央値を超える場合、あるいはBMI 25kg/m2以上を伴う場合と定義した。

    A/G比を用いた場合、対象患者のうち83人(11.6%)にサルコペニア肥満が認められた。
    中央値で2.6年間の追跡期間中に、対象患者のうち53人が心血管疾患を発症した。
    交絡因子を調整した多変量解析の結果、サルコペニア肥満は心血管イベントの発症と有意に関連することが分かった。

    また、肥満の判定に用いた指標のうちA/G比(ハザード比2.63、95%信頼区間1.10~6.28、P=0.030)またはandroid fat mass(同2.57、1.01~6.54)で判定したサルコペニア肥満は心血管イベントの発症リスクと有意に関連したが、%BFおよびBMIを用いた判定では有意な関連は認められなかった。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「今回の結果から、DXA法による全身の体組成測定はサルコペニア肥満の判定に有用な検査法であり、SMI低値+A/G比またはandroid fat massで判定したサルコペニア肥満は、2型糖尿病患者における心血管イベントリスクの判定に有用な可能性があることが分かった。

    一方で、体脂肪率やBMIによるサルコペニア肥満の判定は心血管イベントリスクの予測には適さない可能性も示された」と結論づけている。

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    糖尿病とは?血糖値や症状に関する基本情報。体内のインスリン作用が不十分であり、それが起因となり血糖値が高い状態が続いていきます。症状など分類別に解説しています。

    糖尿病とは?血糖値や症状に関する基本情報

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    HealthDay News 2018年5月1日
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  • 「電解水」を用いた血液透析システムで心血管合併症リスクが低減 臨床研究で効果と安全性を検証、東北大グループ

    東北大学大学院附属創成応用医学研究センター特任教授の中山昌明氏らの研究グループは、水の電気分解によって生成される「電解水」を用いた新しい血液透析システムにより、通常の血液透析療法と比べて血液透析患者の全死亡と心血管合併症の複合エンドポイントの発症リスクを低減できたとする臨床研究の結果を「Scientific Reports」1月10日オンライン版に発表した。

    新しい透析治療を利用することで血液透析患者の心血管合併症が抑制され、患者の生存期間の延長と社会復帰を後押しするほか、医療費の抑制にも寄与する可能性があるとしている。

    日本国内の慢性透析患者数は2015年末の時点で32万人に達し、今後も増加が見込まれている。
    一般の人と比べて透析患者の予後は不良で、特に心機能の低下による心不全や動脈硬化が進行して脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まるため、心血管合併症が死因のトップとなっている。
    研究グループによると、心血管合併症の原因には透析中に生じる生体内の酸化ストレスと炎症が関与する可能性が示唆されているが、これらを抑制する手段は現時点では見出されていないという。

    こうした現状を鑑み、研究グループは水の電気分解によって生成される「電解水」が生体内で酸化ストレスを抑える働きに着目。
    透析治療への電解水の応用を目指して2006年から株式会社日本トリムと共同研究を開始し、電解水を用いた血液透析システムを開発した。

    その仕組みは、水道水を活性炭濾過し、軟水化した後に電気分解装置を通して陰極側に生成された水素分子を含む水を逆浸透圧装置に導入して、溶存水素が豊富(30~100ppb含有)な血液透析液を作製する。
    この溶存水素は、人工腎臓を介してシャント血に移動して呼気中から排泄される(透析中の溶存水素の平均呼気中濃度は60ppm)というもの。
    2011年からはこの新しい透析システムを利用した5年間に及ぶ臨床研究を行った。

    臨床研究では、国内7施設の慢性血液透析患者309人を対象に、非盲検オープンデザインで電解水透析群(161人)と通常の血液透析群(148人)に割り付けて、全死亡と心血管合併症(うっ血性心不全、虚血性心疾患、脳卒中、虚血による下肢切断)の発症を5年間追跡した。

    平均で3.28年間の追跡期間中、透析自体の臨床的効果と安全性には両群間で違いはみられなかったが、電解水透析群では透析後の高血圧が改善し、降圧薬の服薬量も有意に減少した。

    追跡期間中に心血管合併症は91件観察された(電解水透析群が41件、通常の血液透析群が50件)。
    多変量コックス比例ハザードモデルで年齢や心血管疾患の既往歴など複数因子を調整した解析の結果、電解水透析は心血管合併症の発症に独立して有意な影響を及ぼす因子であり、通常の血液透析群と比べて心血管合併症リスクが41%低下することが分かった(ハザード比0.59、95%信頼区間0.38~0.92)。

    以上の結果を踏まえて、研究グループは「電解水を用いた新しい透析システムは、従来課題とされてきた血液透析患者の高い死亡率や心血管合併症リスクを低減させる解決手段になる可能性がある」と期待を示している。

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    HealthDay News 2018年1月15日
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  • 夫婦関係の変化が男性の健康に影響

    夫婦関係が良くなると夫の健康状態は良好に保たれるが、夫婦関係が悪くなると健康状態も悪化する可能性がある―こんな研究結果が「Epidemiology & Community Health」11月号に掲載された。

    この研究では、夫婦関係の変化が男性のBMI(体格指数)や脂質値などの心血管リスク因子の変化にわずかだが関連することが示されたという。

    英ブリストル大学のIan Bennett-Britton氏らは今回、子どもが生まれた既婚男性を19年間にわたり追跡した英国の研究データを用い、研究開始時から6年後の夫婦関係の変化と19年後の心血管リスク因子との関連について検討した。
    解析対象は研究開始時と6年後に夫婦関係に関する質問票に回答した男性620人とした。

    収入や年齢などのさまざまな因子で調整して解析した結果、研究開始時から6年後の調査時までに夫婦関係に変化はなく常に良好だった男性と比べ、夫婦関係が改善した男性では19年後のLDLコレステロール値が9.7mg/dL、BMIは1.07低かった。
    また、夫婦関係の改善は総コレステロール値と拡張期血圧値の改善との間にもより弱いながらも関連が認められた。

    一方、同期間に夫婦関係が悪化した男性では、常に関係が良好だった男性と比べて拡張期血圧値が2.74mmHg悪化していた。
    なお、一貫して「夫婦関係が悪い」と答えた男性では心血管リスク因子への悪影響はほとんどみられなかった。

    こうした心血管リスク因子にはさまざまな要因が影響しており、今回の研究は因果関係を証明するものではない。Bennett-Britton氏は「結婚と健康との間には明白な関係性があることが多くの研究で示されているが、単に健康で裕福な人の方が結婚しやすいためにこの現象が生じているのか、それとも結婚そのものが保護効果を持つのかは明らかでない」と説明。
    「いずれにしても、今回分かった夫婦関係の経時的な変化が及ぼす影響は、個人にとっては小さいものだが、社会全体でみればかなり大きなものと考えられるだろう」と述べている。

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    HealthDay News 2017年10月9日
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  • 空気清浄機で大気汚染による心臓へのダメージを低減できる可能性

    高レベルの大気汚染は心血管などの状態を悪化させることが指摘されているが、空気清浄機を使用することでそのダメージから身を守ることができる可能性が中国の小規模研究で示唆された。詳細は「Circulation」8月15日号に掲載された。

     この研究は、復旦大学(中国)のHaidong Kan氏らが健康な大学生55人を対象に実施したもの。学生が住んでいる学生寮の部屋に本物または偽物の空気清浄機を設置し、室内と屋外の微小粒子状物質(PM2.5)濃度を測定した。

     その結果、本物の空気清浄機を使用すると、偽物の空気清浄機を使用した場合と比べて室内でのPM2.5への平均曝露量は82%減少した。1日当たりのPM2.5への平均曝露量は、本物の空気清浄機を使用した場合で24.3μg/㎥、偽物の空気清浄機を使用した場合で53.1μg/㎥だった。

     さらに、本物または偽物の空気清浄機を設置してから9日後、学生に血液検査と尿検査を実施したところ、PM2.5への曝露量が増大するほどコルチゾールなどのストレスホルモン値が上昇していることが分かった。また、血糖やアミノ酸、脂肪酸、脂質の値も、使用した空気清浄機が本物か偽物かで差が生じていた他、PM2.5への曝露量が多かった学生では血圧値の上昇やインスリン抵抗性、酸化ストレスおよび炎症のマーカーの上昇が認められたという。

     このことから、Kan氏らは「PM2.5への曝露量の増加に伴うこうした代謝物やバイオマーカーの変化は、大気汚染が心血管に有害な作用をもたらしている一因である可能性がある」と指摘している。

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     米国心臓協会(AHA)のプレスリリースで、同氏らは、空気清浄機の使用によって(1)短期的なストレスホルモン値の低下が認められた(2)1日当たりのPM2.5への曝露量が世界保健機関(WHO)の定める基準範囲内に低下した―ことが今回の研究から得られた主な知見だと紹介。その上で「空気清浄機が健康に有益であることが明らかになったが、実際の生活環境下でも有効なのかどうかについては現時点でははっきりとしていない。また、中国は欧米に比べると大気汚染のレベルが高いため、今回の結果が他の国にも当てはまるのかどうかは不明」として、空気清浄機の長期的な効果や、大気汚染のレベルが低い地域に住む人への効果についてさらなる研究が必要だと述べている。

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    HealthDay News 2017年8月14日
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