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8月 10 2023 白血球高値は高LDL-C血症の独立したリスク因子――国内の縦断的研究
白血球数が高いことが、悪玉コレステロール(LDL-C)が高いことの独立したリスク因子であることを示すデータが報告された。福岡大学医学部衛生・公衆衛生学教室の奥津翔太氏、有馬久富氏らの研究結果であり、詳細は「Scientific Reports」に5月22日掲載された。
高LDL-C血症は心血管疾患(CVD)の確立されたリスク因子であり、LDL-Cを下げることでCVDリスクが低下することも、確固たるエビデンスにより支持されている。LDL-C上昇につながる要因としては、加齢、肥満、運動不足、トランス脂肪酸の過剰摂取などが知られている。近年、これらに加えて白血球数が高いことも、LDL-C上昇と関連がある可能性が報告されているが、いまだ明確になっていない。奥津氏らは、一般住民の健診データを用いた縦断的研究により、この点について検討した。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。解析には、長崎県壱岐市で行われたアテローム性動脈硬化症と慢性腎臓病に関する疫学調査(ISSA-CKD研究)のデータを用いた。2008~2017年の間に健診を2回以上受けていて、縦断的な解析が可能な30歳以上の人のうち、ベースライン時(初回の健診時)に高LDL-C血症でなく、白血球数などのデータ欠落のない3,312人を解析対象とした。なお、高LDL-C血症はLDL-C140mg/dL以上または脂質低下薬の処方で定義した。
平均4.6年の追跡で698人が高LDL-C血症を新たに発症。1,000人年当たりの罹患率は46.8だった。ベースラインの白血球数の四分位数で4群に分けると、第1四分位群は1,000人年当たり38.5、第2四分位群は47.7、第3四分位群は47.3、第4四分位群は52.4であり、白血球数が高いほど高LDL-C血症の罹患率が高いという有意な関連が認められた(傾向性P=0.012)。
次に、解析結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、喫煙・飲酒・運動習慣、肥満、高血圧、糖尿病)の影響を調整後、第1四分位群を基準として他群の罹患率を比較。すると、第2四分位群は非有意ながら〔ハザード比(HR)1.24(95%信頼区間0.99~1.54)〕、第3四分位群〔HR1.29(同1.03~1.62)〕と第4四分位群〔HR1.39(同1.10~1.75)〕は有意にハイリスクであり、ベースラインの白血球数と高LDL-C血症罹患率との間に、粗解析と同様、有意な正の関連が認められた(傾向性P=0.006)。
続いて、年齢(65歳未満/以上)、性別、肥満の有無、喫煙・運動習慣の有無、糖尿病の有無で層別化して解析。その結果、いずれについても交互作用は非有意であり、白血球数と高LDL-C血症罹患率との正の関連は、一貫したものだった。
以上より論文の結論は、「日本人の一般成人において、白血球数が高いことと高LDL-C血症リスクの高さとの関連が認められた」とまとめられている。著者らによると、白血球数と高LDL-C血症との関連を示すエビデンスはこれまで主としてアジア人を対象とする研究から示されてきていて、その理由として「食習慣の違いなどによって、アジア人は欧米人より総じて炎症レベルが低いことが関与している可能性がある」としている。ただし、この点の確認のために多くの人種/民族での同様の研究が必要とされ、また、白血球数が高いことを根拠とする治療介入の強化がCVD転帰の改善に結びつくのかという点も、今後の研究課題として挙げている。
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1月 10 2023 家屋の断熱性が高いと冬の朝の交感神経活性化が抑制される可能性
断熱性の高い家に住むと、気温が最も低下する冬の朝方であっても、交感神経の活性化が起きにくい可能性を示唆するデータが報告された。研究参加者に断熱性の高いモデルハウスに宿泊してもらい、自宅環境との差を検討するという、大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座の中神啓徳氏らが行った研究の結果であり、詳細は「Hypertension Research」に10月13日掲載された。研究参加者の全員が、モデルハウス宿泊時に睡眠時間が長くなるという変化も認められたという。
寒い冬の朝には脳卒中などの心血管イベントが起こりやすいことが知られている。その理由として、低温に反応して交感神経が活性化され、血圧や心拍数などが上昇することが挙げられる。屋内の温度が低いことに加えて、暖房されている部屋とそうでないスペースとの温度の格差も、そのような交感神経活性の変化に関係していると考えられる。よって、屋内全体の暖かさを保つことが、寒い季節の心血管イベント抑制につながる可能性がある。中神氏らの研究では、この条件にマッチする家屋として、断熱性の高いモデルハウス(木造2階建て)が用いられた。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。研究参加者8人(男性と女性各4人)を2群に分け、1群はモデルハウスで2日間滞在した後、自宅で2日間過ごしてもらい、他の1群は逆の順序で試行するという、クロスオーバー法により検討。家屋内の居間と寝室、洗面所にサーモセンサーを設置して、温度の変化を経時的に計測した。また研究参加者には、心拍数、交感神経活性(LF/HF比)、身体活動状況なども把握できる携帯型心電計を身に着けて過ごしてもらった。
自宅滞在条件およびモデルハウス滞在条件のいずれについても、滞在2日目のデータを解析対象とした。その結果、まず室温については、モデルハウスではどのスペースでも20℃以上に保たれていた。それに対し自宅は全体的に低温であり、寝室で6.3℃を記録したケースも認められた。スペースによる室温の差も大きかった。
心拍数や心電図所見、交感神経活性については、8人全員の平均としては条件間に有意差は認められなかった。ただし、4人の参加者は自宅滞在条件での起床直後に、交感神経の急な活性化が生じたことが観察された。また、睡眠時間は全ての参加者が、自宅よりモデルハウス滞在時の方が長いという結果が得られた。これは、モデルハウスの室温が睡眠に適していたためと考えられた。これらの結果は、快適な室温が冬季に生じる交感神経の活性化を緩和する可能性があることを示唆している。
世界保健機関(WHO)は、風邪などの予防のために室内の温度を18℃以上に保つことを推奨している。それに対して日本の冬季の家屋内は、居間が平均16.8℃、寝室は12.8℃という報告があり、WHOの推奨よりも低い。一方、海外では、例えば英国は同順に19.3℃、18.3℃であり、米国ニューヨークは居間で23.3℃というデータがある。一般的に寒さの厳しい国ほど屋内を暖房する傾向がみられ、それによって冬季の超過死亡(何らかの原因により通常の予測を超える死亡者数の上昇)が抑制されることも報告されている。
著者らは、「本研究は探索的な研究であって、サンプル数が小さいことなどの限界点があり、明確な結論を導き出すことはできない」とした上で、「冬季の自宅内での心血管イベントを防ぐには、適切な室温を維持する工夫が必要ではないか」と述べている。
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12月 15 2022 BMIと心血管疾患による院内死亡率との関連――日本人150万人のデータ解析
心筋梗塞や心不全、脳卒中などの6種類の心血管疾患(CVD)による院内死亡率とBMIとの関連を、日本人150万人以上の医療データを用いて検討した結果が報告された。低体重は全種類のCVD、肥満は4種類のCVDによる院内死亡リスクの高さと、有意な関連が見られたという。神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科先端医学分野の山下智也氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に11月7日掲載された。
肥満が心血管代謝疾患などのリスク因子であることは広く知られており、肥満是正のための公衆衛生対策が長年続けられている。その一方、高齢者では肥満が死亡リスクに対して保護的に働くことを示すデータもあり、この現象は「肥満パラドックス」と呼ばれている。ただし、肥満の健康への影響は人種/民族により大きく異なると考えられることから、わが国でのエビデンスが必要とされる。そこで山下氏らは、日本循環器学会の患者レジストリ「循環器疾患診療実態調査(JROAD)」を用いて、日本人のBMIと急性心血管疾患による院内死亡率との関連を検討した。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。JROADには、循環器専門医研修施設に認定されている全国1,086の病院から、2012~2019年度に合計502万464人の入院患者のデータが記録されていた。このうち、院内死亡率を算出するという目的のため、再入院の記録のある患者を除外。また、既往歴を含む患者情報が正確に記録されていない可能性があるため、入院期間が1日以下の患者も除外。その他、20歳未満の患者や、疾患別の症例数が10件以下の施設からの報告などを除外した。最終的な解析対象患者数は、急性心不全27万7,489人、急性心筋梗塞30万7,295人、急性大動脈解離9万6,114人、虚血性脳卒中58万8,382人、脳内出血20万1,243人、くも膜下出血6万2,420人だった。
低体重や肥満の判定は、世界保健機関(WHO)によるアジア人の基準に基づき、18.5未満を低体重、18.5~23未満を普通体重、23~25未満を過体重、25~30未満をI度肥満、30以上をII度肥満と分類した。なお、6種類のCVDの全てで、年齢とBMIの逆相関が認められた。また、全てのCVDで経年的に平均BMIが増加していたが、平均BMI値が22~24の範囲を超えることはなかった。
院内死亡率との関連の解析に際しては、年齢と性別を調整する「モデル1」、および、モデル1の調整因子に高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病、慢性呼吸器疾患、心房細動などを加えた「モデル2」の2パターンで検討した。普通体重を基準とする解析の結果、低体重はモデル1・2のいずれでも、6種類全てのCVDによる院内死亡リスクが有意に高いという関連が認められた。一方、過体重やI度肥満ではCVDの種類によっては、普通体重よりも低リスクのケースも見られた。モデル2の解析結果は以下の通り。
急性心不全は、低体重(OR1.41)で有意に高リスク、過体重(OR0.93)とI度肥満(OR0.91)では有意に低リスク、II度肥満は有意な関連がなかった。
急性心筋梗塞は、低体重(OR1.27)で有意に高リスク、過体重は有意な関連がなく、I度肥満(OR1.17)やII度肥満(OR1.65)は有意に高リスクだった。
急性大動脈解離は、低体重(OR1.23)、過体重(OR1.10)、I度肥満(OR1.34)、II度肥満(OR1.83)であり、普通体重に比べて全BMIカテゴリーが有意に高リスクだった。
虚血性脳卒中は、低体重(OR1.45)で有意に高リスク、過体重(OR0.86)とI度肥満(OR0.88)は有意に低リスクであり、II度肥満は有意な関連がなかった。
脳内出血は、低体重(OR1.18)で有意に高リスク、過体重(OR0.93)は有意に低リスク、I度肥満(OR1.05)やII度肥満(OR1.26)は有意に高リスクだった。
くも膜下出血は、低体重(OR1.17)で高リスク、過体重は有意な関連がなく、I度肥満(OR1.27)やII度肥満(OR1.44)は有意に高リスクだった。
著者らは、「全国規模の観察研究により、CVD患者の院内死亡率とBMIとの関連が明らかになり、低体重は全ての種類のCVD院内死亡リスクの高さと関連があって、肥満は心不全と虚血性脳卒中以外のCVD院内死亡リスクの高さと関連があった。この知見は、BMIに焦点を当てた公衆衛生対策の政策立案に寄与し得るのではないか」と総括している。
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肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。
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7月 23 2022 日本人男性では米飯が心血管死リスクを下げる?
日本人男性では、米の摂取量が多い方が心血管疾患による死亡リスクが低いという、有意な関連のあることが報告された。岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学の和田恵子氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に5月30日掲載された。なお、女性ではこの関連は認められないとのことだ。
日本人は欧米人より心血管疾患リスクが低いことが古くから知られている。日本人の主食は米であり、その消費量は欧米よりはるかに高い。これまで、米の摂取量と心血管死リスクとの関連を前向きに解析した研究の結果は一致しなかった。和田氏らは岐阜県高山市で行われている「高山スタディ」のデータを用いて、主食としての米の摂取量と心血管死リスクとの関連を、日本でよく食べられる他の主食であるパンや麺と比較しながら検討した。これら3つの主食と関連する食事パターンについても検討した。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。高山スタディは同市の住民対象コホート研究であり、1992年9月に35歳以上の住民(入院患者以外)、3万1,552人が参加した。今回の研究では、登録時に食事摂取頻度に関する質問票に回答し、心血管疾患の既往のなかった2万9,079人(男性45.9%)を解析対象とした。
ベースライン時の米摂取量の四分位で性別ごとに4群に分けると、男性は米の摂取量が少ない群で、糖尿病や高血圧の既往者が多く、身体活動量が少なく、飲酒量や食物繊維、塩分の摂取量が多い傾向があった。女性の米摂取量が少ない群は、教育歴が長く、飲酒やコーヒーの摂取量、および食物繊維と塩分の摂取量が多い傾向があった。
また、男性と女性の双方で、米摂取量は大豆製品と海藻の摂取量と正の相関があり、肉と卵の摂取量とは負の相関が見られた。一方、パンの摂取量は果物や乳製品の摂取量と正の相関があり、大豆製品の摂取量とは負の相関があった。麺の摂取量は、いも類、肉類、魚介類、卵の摂取量と正の相関があった。
2008年10月1日までの追跡(平均14.1年)で、1,685人(男性46.2%)の心血管死が発生。米摂取量の第1四分位群(米摂取量が最も少ない下位25%)を基準に、他群の年齢調整後の心血管死リスクを比較すると、第3四分位群はハザード比(HR)0.77(95%信頼区間0.62~0.96)、第4四分位群はHR0.81(同0.66~0.99)であり、米摂取量が多いほど心血管死リスクが低いという有意な関係が認められた(傾向性P=0.004)。
調整因子に、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、糖尿病・高血圧の既往、婚姻状況、教育歴、コーヒー・塩分摂取量を加えても、この関連は引き続き有意だった(傾向性P=0.013)。さらに、追跡開始から最初の2年以内の心血管死を除外した解析の結果も同様であり〔第4四分位群でHR0.77(同0.60~0.98)、傾向性P=0.012〕、ベースライン時点の健康状態が結果に影響を及ぼしている可能性は低いと考えられた。
一方、パンの摂取量は男性の心血管死リスクと有意な関連がなかった。麺の摂取量は調整因子が年齢のみの場合、摂取量が多いほど心血管死リスクが高いという関連が見られたが(傾向性P=0.034)、前記の全ての因子で調整後は有意性が消失した。
女性に関しては、米、パン、麺のいずれの摂取量も、心血管死リスクとの有意な関連が認められなかった。
以上より著者らは、「米の摂取量が多いことが日本人男性の心血管死リスクの低さと関連している」と結論付けている。この背景として、「米摂取量が、健康的な食品とされる大豆や海藻の摂取量と正相関していることの影響が考えられる」という。ただし、「それらの摂取量を調整後にもなお、心血管死リスクの低さとの有意な関連が維持されており、米に含まれている食物繊維やビタミンB6が男性の心血管リスクに対して保護的に働くのではないか」との考察が加えられている。
なお、女性ではこの関連が有意でないことに関しては、「男性は米摂取量と菓子摂取量が逆相関するのに対して女性では正相関することや、米や炭水化物の高摂取と糖尿病や脂質代謝異常との関連が女性は男性より大きく表れることなどの影響ではないか」と述べられている。
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4月 19 2022 Life’s Simple 7の理想項目を1つ増やすと蛋白尿リスクが1割低下
心血管疾患リスク因子の該当数が、蛋白尿の出現と有意に関連していることが分かった。東京大学医学部循環器内科の金子英弘氏らが全国規模の健診データを解析した結果、明らかになった。リスク因子を1年で1つ減らすと、蛋白尿出現リスクが1割低下するという。研究の詳細は「American Journal of Nephrology」に3月8日掲載された。
蛋白尿は腎機能低下の指標であるだけでなく、心血管疾患(CVD)のリスクとも関連しており、CVDを防ぐには血糖や血圧などのコントロールに加えて、蛋白尿を陰性に保つことが重要と考えられている。他方、米国心臓協会(AHA)はCVDリスク抑制のために、7つの生活習慣関連因子をCardiovascular Health Metrics(Life’s Simple 7)としてまとめ、啓発活動を続けている。ただし、この7因子が日本人の蛋白尿リスクと関連するかは不明であった。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。金子氏らはこの点を明らかにするため、健診受診者データを用いた観察コホート研究を実施した。検討対象は、2005~2016年に健診を受け、4年以内に再度健診を受けていた成人86万5,087人〔年齢中央値46歳(四分位範囲40~54)、男性60.7%〕。初回健診時に尿蛋白が陽性(1+以上)だった人や透析既往者などは除外されている。
AHAが掲げる7因子に基づいて、以下のようにCardiovascular Health(CVH)Metricsをカウント。血圧120/80mmHg未満、総コレステロール200mg/dL未満、空腹時血糖値100mg/dL未満(いずれも未治療状態での測定値)、BMI25未満、非喫煙、習慣的運動(30分の運動を週に2回以上または1日あたり1時間以上の歩行)、健康的食習慣(朝食の欠食が週に3回未満)。これらをCVH metricsとして、その該当数と蛋白尿の出現リスクとの関連を検討した。
解析対象者のCVH該当数は、中央値5(四分位範囲3~6)だった。CVHの該当数が2個未満の群、3~4個の群、5個以上の群という3群に分けると、該当数が多い群ほど若年で女性が多いという有意差が見られた。
4年間の追跡で、4万1,474人(4.8%)に蛋白尿が出現した。年齢と性別の影響を調整後、前記のベースライン時のCVH該当数による3群で比較すると、該当数が多い群ほど、蛋白尿出現リスクが低かった。具体的には、2個未満の群を基準として3~4個の群はオッズ比(OR)0.61(95%信頼区間0.59~0.63)、5個以上の群はOR0.45(同0.43~0.46)だった(傾向性P<0.001)。
7つのCVH因子を個別に検討すると、以下に記すように、総コレステロールを除く全てが蛋白尿出現リスクの低さと有意に関連していた。BMI25未満でOR0.70、空腹時血糖100mg/dL未満でOR0.74、非喫煙でOR0.80、血圧120/80mmHg未満でOR0.81、健康的食習慣でOR0.82、習慣的運動でOR0.95(いずれもP<0.001)。
また、ベースライン時のCVH該当数が1つ多いごとに、蛋白尿出現リスクが2割低くなるという有意な関連の存在が明らかになった〔OR0.81(同0.80~0.82)〕。さらに、ベースライン時から1年間でCVH該当数が1つ増えると蛋白尿出現リスクが1割低下するという、生活習慣改善の有意な効果も認められた〔OR0.90(同0.89~0.92)〕。
著者らは本研究を、「CVH metricsと蛋白尿出現の関係を示した初の研究」と位置付けている。結論としては、「ベースラインでのCVH metricsの該当数が多いほど蛋白尿出現リスクが低く、また、追跡期間中にCVH metrics該当数が増えることが蛋白尿出現リスクの低下と関連していた。この結果は、修正可能な生活習慣関連因子の重要性を示唆しており、蛋白尿抑制における生活療法の可能性を示すものと言える」とまとめている。
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10月 23 2020 ナトリウム/カリウム比が脂質・糖代謝にも関連――国民健康・栄養調査の解析
食事中のナトリウムとカリウム摂取量の比が、血圧ばかりでなく糖代謝や脂質代謝の指標とも関連することが報告された。医薬基盤・健康・栄養研究所の岡田恵美子氏、瀧本秀美氏らが国民健康・栄養調査のデータを解析した結果で、詳細は「British Journal of Nutrition」7月17日オンライン版に掲載された。
ナトリウム(Na)は血圧を上昇させ、カリウム(K)は血圧を低下させるように作用するため、Na/K比は高血圧のリスクと相関することが知られている。ただし日本人での報告は少なく、また、高血圧以外の心血管疾患リスク因子(糖代謝や脂質代謝の指標)への影響は明らかになっていない。岡田氏らの研究はこの点を詳細に検討したもの。
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食事中のNa/K比の中央値は、男性1.85、女性1.70だった。2003~2017年にかけて、Na/K比は、男性で年率0.51%、女性は0.73%の有意な減少が観察された。
対象者をNa/K比で五分位に分け、年齢や生活習慣などとの関連を検討すると、Na/K比が高い人は年齢が若く、喫煙・飲酒習慣がある人の割合が高かった。またNa/K比が高い人は、穀類、アルコール飲料、調味料などの摂取量が多く、豆類、野菜、果物、きのこ類、牛乳・乳製品などの摂取量が少ない傾向が認められた。
続いて、年齢、BMI、喫煙習慣、飲酒量、身体活動量(歩数)、職業、タンパク質・飽和脂肪酸摂取量、調査年による影響を調整後、Na/K比と各検査値の結果との関連を検討。すると、Na/K比が高い人は、収縮期血圧や拡張期血圧が高いばかりでなく、糖代謝の指標であるHbA1cも高いという有意な関連が認められた。また、女性ではNa/K比が高いほどHDL-コレステロールが有意に低かった。
次に、ロジスティック回帰分析により、Na/K比の第1五分位群(Na/K比が最も低い群)を基準に第5五分位群(Na/K比が最も高い群)の疾患との関連を検討すると、高血圧(140/90mmHg以上)のオッズ比が男性1.27、女性1.12、HbA1c高値(6.5%以上)のオッズ比が男性1.56、低HDL-コレステロール血症(40mg/dL未満)のオッズ比が男性1.17、女性1.50であり、それぞれ有意な有病率の上昇が認められた。なお、高non-HDL-コレステロール血症(170mg/dL以上)については男性、女性ともに、Na/K比との有意な関連が認められなかった。
著者らは、本研究が横断研究であるため因果関係には言及できないと述べた上で、「食事中のNa/K比は、男性と女性の双方で高血圧、低HDL-コレステロール血症、および男性のHbA1c高値と関連していた。この結果は、カリウムを多く含む野菜や果物を意識して取るなどして、カリウム摂取量が少なくナトリウム摂取量が多い食生活を是正することが、日本人の心血管疾患リスク因子の予防に役立つ可能性があることを示唆している」とまとめている。
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1月 21 2020 冠動脈疾患と末梢動脈疾患の患者像は、かなり異なる
下肢の末梢動脈疾患(PAD)は心血管疾患(CVD)の1つの病型であるが、リスク因子に関するデータがまだ少ない。そのため、CVDの中で比較的研究が進んでいる冠動脈疾患(CAD)のエビデンスを援用し、それを根拠にリスク管理を行っているのが現状だ。しかし、PADとCADの患者像は、実際にはかなり異なることを示す日本人対象の研究結果が、「Cardiovascular Diabetology」11月15日オンライン版に掲載された。
大阪大学大学院医学系研究科糖尿病病態医療学寄附講座の高原充佳氏、関西ろうさい病院循環器内科の飯田修氏らは、日本心血管インターベンション治療学会が行っている全国規模の多施設レジストリ(J-EVTおよびJ-PCI)のデータを基に、PADとCADの患者像やリスク因子の異同を検討した。解析対象は、2012~17年にJ- EVT、J- PCIに登録された患者145万813人。このうち11万7,697人がPADに対する血管内治療(EVT)施行症例、133万3,116人がCADに対する血管内治療(PCI)施行症例。
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脂質異常症など、他のリスク因子についてもPAD群とCAD群では差異を認めた。PAD群の脂質異常症の割合はCAD群の0.60倍と、CAD群の方が割合が高かった。なお、脂質異常症によるPADへの影響は高コレステロール血症と高トリグリセライド血症で異なると考えられるが、これが区別されなかったことは著者らも本研究の限界点の1つに挙げている。
次に、患者像の異質性をロジスティック回帰分析によるC統計量(ROC曲線下面積)で検討した。C統計量は比較する2群が全く異質の場合は1、全く同質の場合0.5になる。
その結果、PADとCADのC統計量は0.725であり、かなりの異質性が示された。また前記と同様にCLIとACSを比較するとC統計量は0.833、CLIとSTEMIでは0.855と明確な異質性が見られた。なお、STEMIと膝下動脈病変によるCLI群を比較した場合のC統計量が0.886で最も高値だった。
これらより、PCIに比較しEVTは、高齢で糖尿病があり透析を施行しているなど、よりリスクの高い患者をターゲットとして行われていることが明らかになった。研究グループは、「EVTが施行されたPAD患者とPCIが施行されたCAD患者は、年齢の分布と心血管リスク因子の保有状況がかなり異なることが確認された」と結論づけるとともに、「これらの相違は、今回の検討で評価されていない交絡因子によって説明できるかもしれない。各CVDの発症メカニズムを明らかにする今後の研究が必要」と付け加えている。
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12月 20 2019 一過性蛋白尿で心血管死リスクが上昇、一過性eGFR低下は関連せず
一過性の蛋白尿が心血管疾患(CVD)による死亡リスクの上昇と関連する一方、一過性の腎機能(eGFR)低下は有意なリスクでないことが、30万人以上の特定健診データを追跡した結果から示された。筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科の永井恵氏、山縣邦弘氏らの研究によるもので、「PLOS ONE」10月2日オンライン版に掲載された。
持続的な蛋白尿やeGFRの低下が確認された時に診断が確定する慢性腎臓病(CKD)は、腎不全のリスクであるだけでなく、CVDのリスクでもある。実際、CKD患者の死亡原因は、CVDとがんがそれぞれ3割以上を占めている。その一方、一時的に蛋白尿やeGFR低下が見られることも少なくない。しかしその意義は十分にわかっておらず、永井氏、山縣氏らはこの疑問を明らかにするため特定健診のビッグデータを用いて検討を行った。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。解析対象は、2008~14年の特定健診受診者のうち、尿検査の判定とeGFRの値が2回以上記録されていた33万8,094人。それぞれの検査について、2回とも所見なしの(-/-)群、1回目だけ所見あり一過性の異常と考えられる(+/-)群、2回目に所見が見られた(-/+)群、および2回とも所見がありCKDに該当する(+/+)群の4群に分類。年齢や性別、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などで調整の上、CVDによる死亡、がんによる死亡、および全死亡のリスクを比較した。なお、尿蛋白は尿試験紙で「1+」以上、eGFRは60mL/分/1.73m2未満を所見ありとした。
各群の該当者数の割合は、尿蛋白での分類では(-/-)群91.8%、(+/-)群2.9%、(-/+)群3.1%、CKD群2.2%。eGFR低下での分類では(-/-)群81.2%、(+/-)群4.3%、(-/+)群4.9%、CKD群9.6%。観察期間4.3年(中央値)中に、CVD死510人(20.6%)、がん死1,328人(53.5%)を含む2,481人の死亡が発生した。
一過性蛋白尿は、CVD死の有意な増加と関連していた。具体的には、男性において、(-/-)群を基準とした場合、一過性蛋白尿に該当する(+/-)群の調整ハザード比(aHR)が1.94(P<0.01)であった。それに対し、観察期間中に新たに蛋白尿を認めた(-/+)群はaHR1.32で有意でなかった。また女性においても(+/-)群がaHR2.78(P<0.01)、(-/+)群はaHR2.04(P<0.05)で、一過性蛋白尿の方が高リスクだった。CKD群では男性・女性ともにCVDリスクが上昇していた。
一方、全死亡との関連は、男性・女性ともに(-/+)群とCKD群とで有意なリスク増加が見られた。がん死との関連は、男性のCKD群と女性の(-/+)群で有意なリスク増加が見られた。
他方、eGFRの低下と死亡リスクの関連で有意な関連が認められたのは女性のCKD群のみで、前記3つの死因と関連していた。男性はeGFRが持続的に45mL/分/1.73m2未満まで低下している場合に全死亡リスクが有意に増加していた。
今回の研究について研究グループは「尿試験紙により判定した一過性蛋白尿と原因別死亡リスクとの関連を検討した初めての大規模調査だろう」と述べた上で、「一過性蛋白尿は特にCVD死の重要な危険因子と考えられるが、一時的なeGFRの低下と死亡リスクとの関連は弱い」と結論づけている。
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7月 28 2019 家屋が全壊した被災者は、長期にわたり心血管疾患リスクが上昇 東日本大震災の追跡研究
東日本大震災のために津波で家屋が全壊した被災者は、2年半が経過した時点でもメタボリックシンドロームなどの心血管疾患リスクの悪化が続いていることが分かった。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院社会行動科学科の芝孝一郎氏らが行った震災後追跡研究によるもので、「American Journal of Epidemiology」6月号に掲載された。
調査対象となったのは宮城県岩沼市の65歳以上の高齢者。同地区では、震災発生前の2010年8月に「日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study)」プロジェクトの一環として社会調査が実施されていた(回答者5,058人、回答率59.0%)。そして震災後の2013 年10月に追跡調査が行われ(3,594人、追跡率82.1%)、そのうち自治体の健康診断のデータを利用可能であった1,195人を解析対象とした。
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お近くの治験情報を全国から検索できます。被災状況を「家族・友人との死別体験の有無」と「津波による家屋被害状況」で把握し、健診データの変化との関係を分析した。家屋被害状況は、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」「家屋被害なし」の5段階に分け、自治体から派遣されたスタッフが客観的に判定した。健診データからは、心血管疾患のリスク指標として、血圧、BMI、腹囲、中性脂肪値、HDL・LDL-コレステロール値を解析に用いた。
結果をみると、家族・友人との死別体験の有無別では、心血管疾患リスク因子に有意な違いはみられなかった。一方で、家屋が全壊した被災者は心血管疾患リスクが上昇しており、統計的に有意な差がみられた。
具体的には、家屋が全壊した被災者は家屋に被害がなかった人より、BMIの増加が0.81kg/m2多く(95%信頼区間:0.24-1.38)、腹囲も4.26cm多く増加していた(95%CI:1.12-7.41)。またHDL-コレステロール(善玉コレステロール)の変動の差は-4.77 mg/dL(95%CI:-7.96--1.58)で、震災前からの減少幅が家屋全壊被災者でより大きかった。なお、家屋全壊ではなく、より軽度の家屋被害は、これらリスクの変化と統計的有意な関連はみられなかった。
これまで、自然災害の直後(数日から数週間)、血圧上昇や脳卒中の増加が観察されたとする報告は複数なされているが、被災後の長期的な健康への影響はよく知られていなかった。本研究から、大災害ではその被災後 2 年半が経過した後にも心血管疾患リスク亢進状態が持続していることが明らかになり、自然災害被災者への長期的な健康支援が必要であることが示唆された。
芝氏は論文中でも、「家を失った被災者の健康を維持するため、健康診断と支援の継続が考慮されるべき」と述べている。
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5月 17 2019 よく笑うほど早期死亡リスク減? 山形大グループの前向き研究
日本人の一般集団では、日常生活の中で笑う頻度が高いほど全死亡率や心血管疾患の発症率が低い可能性があることが、山形大学医学部看護学科教授の櫻田香氏らの検討で分かった。心筋梗塞や脳卒中を減らし、早期死亡リスクを低減するためには、日常生活でもっと笑う機会を持つことが鍵となる可能性があるという。詳細は「Journal of Epidemiology」4月6日オンライン版に掲載された。
これまでの研究で、ポジティブな心理的要因は長寿と関連するのに対し、抑うつや不安、心理的苦痛といったネガティブな要因は心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症につながる可能性が示唆されている。櫻田氏らは、心理的要因のうち「笑い」に着目。山形県の一般住民を対象に、毎日の生活の中で笑う頻度と死亡率および心血管疾患の発症率との関連について前向き研究を実施した。
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中央値で5.4年の追跡期間中に、257人(1.5%)が死亡し、138人(0.8%)が心血管疾患を発症した。解析の結果、日ごろほとんど笑わない人では、全死亡率と心血管疾患の発症率が有意に高いことが分かった(log-rank P<0.01)。
また、年齢や性、高血圧、喫煙や飲酒の習慣で調整したCox比例ハザードモデル分析の結果、週1回以上笑う人と比べて、笑う頻度が月1回未満の人では死亡リスクが約2倍に高まることが分かった(ハザード比1.95、95%信頼区間1.16~3.09)。同様に、週1回以上笑う人と比べて、その頻度が週1回未満~月1回以上の人では心血管疾患の発症リスクは約1.6倍であった(同1.62、1.07~2.40)。
櫻田氏らの検討では、特に男性や飲酒の習慣がある人、糖尿病患者、運動不足の人、配偶者がいない人で笑う頻度が低かったという。今回の結果を踏まえ、同氏らは「日本人の一般集団では、“笑い”は全死亡や心血管疾患発症の独立したリスク因子である可能性が示された。心血管疾患を減らし、長寿を目指すには、日常生活でもっと笑う機会を持つ工夫が必要かもしれない」と述べている。
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