• 糖尿病診療の質を評価、網膜症と腎症の検査実施に課題 大規模レセプトデータを分析

    大規模レセプトデータの分析から、近年、定期的に医療機関を受診している糖尿病患者において、HbA1c検査や血中脂質検査を年1回以上受け、併存する高血圧や脂質異常症の治療を受けている患者の割合は高いことが、国立国際医療研究センター研究所糖尿病情報センター室長の杉山雄大氏と東京大学大学院公衆衛生学の田中宏和氏らの共同研究で明らかになった。一方、糖尿病網膜症検査(眼底検査)や尿アルブミン検査の実施率は依然として低く、課題があることも浮き彫りになった。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」3月号に掲載された。

     糖尿病の合併症を予防するには、早期発見、早期治療が肝要となる。そのためには、「行うべき治療や検査を実施する」診療のプロセスを改善することが必要となる。杉山氏らは今回、大規模なレセプト(診療報酬請求明細書)データベースを用いて、こうしたプロセスを評価した糖尿病診療の質の推移を分析した。

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     研究では、複数の健康保険組合から成るレセプトデータベースを用いて、2006年4月~2016年3月の加入者約370万人のうち、2006、2008、2010、2012、2014年度に、医療機関を3カ月に1回以上受診し、かつ糖尿病治療薬を処方されていた約4万6,000人のデータを抽出。それぞれ翌年度に、日本糖尿病学会が発行する「糖尿病治療ガイド」などで推奨されている検査や処方薬を受けている患者の割合を算出し、2007年度から2015年度にかけて推移を調べた。なお、入院した患者や定期的に受診しなかった患者は解析から除外した。

     その結果、3カ月に1回以上受診し、糖尿病治療薬の処方を受けていた患者では、翌年度に約95%がHbA1c検査を、約85%は血中脂質検査を1回以上受けていたことが分かった。また、高血圧、脂質異常症を併存した患者がそれぞれ「ACE阻害薬あるいはARBの処方」、「スタチンの処方」を受けている割合には上昇傾向が見られた。

     一方で、眼底検査を年1回以上受けている患者の割合は全体で40%程度にとどまり、実施率には上昇は見られなかった(2007年度42.0%、2011年度38.5%、2015年度38.7%)。また、尿中アルブミン検査の実施率(200床未満の施設に限る)は2007年度の14.0%から2011年度には21.5%と上昇傾向が見られたものの、2015年度でも24.2%にとどまっていた。

     さらに、年齢や性など関連する要因を統計学的に調整した分析の結果、インスリンを処方されている患者は、経口血糖降下薬だけを処方されている患者に比べて、適切な検査や薬剤を処方される割合が高かった。また、200床以上の中規模以上の病院や小規模病院で糖尿病治療薬の処方を受けている患者では、診療所の患者よりもこの割合が高いことも分かった。

     これらの結果を踏まえ、杉山氏らは「糖尿病診療の質を向上させるため、関連学会が推奨する適切な検査や薬剤処方をさらに普及させることが望まれる。今後は、地域や医療施設の特性による糖尿病診療の質の差などを分析しながら、診療の実態を把握し、質の向上を目指した研究を進めていきたい」と述べている。

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    HealthDay News 2019年4月1日
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  • 2型糖尿病患者の「血糖・血圧・脂質」値に季節変動 JDDM研究データを分析

    日本人の2型糖尿病患者を対象に調査した結果、HbA1c、血圧、脂質の管理目標達成率には季節変動がみられることが、東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授の坂本昌也氏らの研究グループの検討で分かった。いずれの指標も、達成率は冬季(12月~翌年2月)よりも夏季(6~8月)の方が高かったという。研究の詳細は「Diabetes Care」2月10日オンライン版に掲載された。

     2型糖尿病治療の目的は、主に心血管イベントの予防と糖尿病の進展抑制であるが、目標を達成するには血糖値だけでなく血圧や脂質のコントロールが不可欠である。しかし、これまで実施された大規模臨床試験では、これらの管理目標値を同じように達成しても、心血管イベントの抑制効果は一致した結果が得られていない。

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     坂本氏らは、その要因の一つとしてHbA1c、血圧、脂質の測定値に季節変動がみられる点に着目。日本全国の糖尿病専門病院およびクリニックが参加した糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)による多施設共同研究のデータを用いて、HbA1c、血圧、LDL-コレステロール(LDL-C)の管理目標達成率の季節変動に影響する要因を調査した。

     対象は、JDDMによる多施設共同研究に参加した日本全国の2型糖尿病患者10万4,601人のうち、2013~2014年の2年間にHbA1cおよび血圧、LDL-Cを12回以上測定した患者4,678人(平均年齢61.3歳)。管理目標値は、HbA1c値が7%未満、血圧値が130/80mmHg未満、LDL-C値が100mg/dL未満と定義した。

     その結果、3項目全て、あるいはHbA1c、血圧、LDL-Cそれぞれの目標達成率には季節変動がみられ、いずれも夏季に対し冬季の方が低いことが分かった〔3項目全て達成した割合は、夏季15.6%に対し冬季は9.6%、HbA1c値では各53.1%、48.9%、収縮期血圧(SBP)値では各56.6%、40.9%、LDL-C値では各50.8%、47.2%〕。夏季と冬季の目標達成率の差はSBP値が最も大きかった。

     多変量回帰分析により、目標達成率の低下に影響する因子を調べた結果、冬季には「BMI 25以上」および「糖尿病罹病期間10年以上」の人でHbA1cの目標達成率が低下し、「65歳以上」の人でSBP達成率が低下することが明らかになった。さらに、季節にかかわらず、インスリンおよびスルホニル尿素(SU)薬の使用は3項目全ての目標達成率の低下と関連していた。

     以上の結果から、坂本氏らは「2型糖尿病患者のHbA1c、血圧、脂質の管理目標達成率には季節変動がみられることが分かった。日常診療で2型糖尿病を管理する際には、これら3つの指標の季節変動を考慮する必要がある」と結論。その上で、「冬季にこれらの指標の管理を強化することは、心血管イベント予防につながる可能性がある」と述べている。

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    HealthDay News 2019年2月18日
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  • 夕食から就寝までの時間はHbA1c値に影響しない? 中高年の日本人男女で分析、岡山大

    中年期以降の日本人は、夕食から2時間以内に就寝してもHbA1c値に影響はみられないとする研究結果を、岡山大学大学院保健学研究科看護学分野准教授の芳我ちより氏らの研究グループが「BMJ Nutrition, Prevention & Health」1月21日オンライン版に発表した。HbA1c値の変化には、BMI高値やトリグリセライド値、血圧値、運動や喫煙、飲酒の習慣による影響の方が大きかったという。

     健康的な食事習慣として、一般的に就寝の2時間前には夕食を済ませておくことが推奨されている。しかし、夕食から就寝までの時間がHbA1c値に与える影響については明らかになっていなかった。そこで、芳我氏らは今回、中高年の日本人男女を対象に、夕食から就寝までの時間が2時間以内だった場合のHbA1c値への影響を調べるため、コホート研究を実施した。

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     この研究は、岡山県で2012年4月から2014年3月にかけて実施した特定健診データを用いたもの。対象は、2012年のベースライン時に、糖尿病前症および糖尿病ではなかった国保被保険者の40~74歳の男女1,573人(男性が597人、女性が994人、平均年齢は男性が65.0歳、女性が64.8歳)。質問票への回答に基づいて夕食から就寝までの時間を評価し、2014年まで追跡してHbA1c値の変化に対する影響を分析した。

     平均HbA1c値の推移をみると、2012年には5.2%だったが、2013年には5.58%へと上昇し、2014年には5.58%と維持されていた。また、ベースライン時には、男性の16.1%(83人)と女性の7.5%(70人)が、夕食から2時間以内に就寝する習慣があった。

     解析の結果、夕食から2時間以内に就寝する習慣があっても、男女ともにHbA1c値の上昇に対する影響はみられないことが分かった。一方で、HbA1c値の変化には、喫煙習慣(P=0.013)とアルコール摂取量(P=0.010)、BMI高値(P<0.001)が影響した可能性が示された。

     これらの結果を踏まえ、芳我氏らは「調査対象のサンプルバイアスによる限界はあるが、一般に考えられるのとは逆に、夕食から2時間以内に就寝してもHbA1c値の変化に影響をもたらさない可能性が示された」と結論。その上で、「ただでさえ睡眠時間が短い日本人にとって、夕食後の眠気を我慢してまでも就寝時刻を遅くする必要はないことが明らかになれば、有用な新常識となりうる。また、血糖値などの糖代謝を改善するには、食生活の改善や十分な睡眠、適度な運動、禁煙や適量の飲酒などを習慣づける方が重要な役割を担っている可能性がある」と述べている。

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    HealthDay News 2019年1月24日
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  • 手軽なウォーキングで高齢者の筋肉脂肪が減少 糖尿病予防に有用か、名古屋大学など

    自宅で手軽に行えるウォーキングやレジスタンストレーニングを10週間行うと、糖尿病のリスク因子とされる筋肉内に蓄積した脂肪を減らせる可能性があることが、日本人の高齢者を対象に行った研究で明らかになった。高齢者のレジスタンストレーニングはサルコペニア対策の一つとされるが、筋肉を増やすだけでなく、筋肉脂肪を減らし、筋肉の質を改善するメリットもあると考えられるという。研究は、名古屋大学総合保健体育科学センター教授の秋間広氏と中京大学、早稲田大学が共同で実施し、詳細は「European Review of Aging and Physical Activity」11月19日オンライン版に掲載された。

     筋肉内に蓄積した筋肉脂肪は“第三の脂肪”として知られ、インスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病の発症リスクを高める可能性が指摘されている。これまでの研究で、専用のトレーニングマシンを用いた高負荷のレジスタンストレーニングは筋肉脂肪の減少に有効と報告されている。しかし、こうした運動は自宅で手軽に行えないという課題があった。そこで、秋間氏らは今回、自宅で手軽に行えるウォーキングと自分の体重を負荷として用いる自重負荷レジスタンスレーニングに着目。高齢者を対象に、これらの運動が筋肉脂肪に及ぼす影響について検討した。

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     研究では、高齢者64人を対象に、ウォーキングを行う群(31人、平均年齢72±5歳)またはウォーキング+自重負荷レジスタンスレーニングを行う群(33人、同73±6歳)に分けて自宅で10週間行ってもらった。ウォーキングは1回30~60分を週2~3回、1日平均1万歩を目標とした。また、自重負荷レジスタンスレーニングは椅子座り立ちと太もも上げ、つま先立ち、脚の横上げ、腹筋運動を行い、各項目45回ずつの反復を1セットとして週2~3セットを目標とした。

     超音波装置で撮影した太ももの横断画像を用いて、筋肉脂肪と筋肉、皮下脂肪の量を定量化し、10週間後の変化を比較したところ、いずれの群も皮下脂肪量と筋量に変化はみられなかった。一方、筋肉脂肪はいずれの群でも有意に減少し、ウォーキング単独の群に比べてレジスタンスレーニングを併用した群でより顕著に減少していることが分かった。また、こうしたトレーニングを行うと、両群で腹筋力が、ウォーキング単独群では太もも前面部の筋力(椅子座り立ち運動)と歩行機能(5m最大速度歩行)が有意に改善した。

     さらに、筋肉脂肪を反映する指標の変化と運動機能および筋量の変化には有意な相関関係がみられた。これは、筋量が増えるほど筋肉脂肪が減少することを示しており、筋肉脂肪が減少するとサルコペニアも改善することが示唆されたという。

     以上の結果を踏まえ、秋間氏らは「自宅で簡単に行えるウォーキングとレジスタンストレーニングにより、2型糖尿病のリスク因子とされる筋肉脂肪の減少につながる可能性が示された。また、筋肉脂肪と筋肉量の変化は反比例の関係にあり、筋肉量を増やすレジスタンストレーニングが筋肉脂肪の減少にも有効なことも示された点で重要な結果だ」と結論づけている。

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    HealthDay News 2018年12月17日
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  • 日本人の糖尿病の有無に「所得」が関連か 東大など研究グループ

    日本人の高齢女性では、糖尿病の有無に所得による社会経済的状況が関連している可能性があることが、千葉大学予防医学センターの長嶺由衣子氏と東京大学大学院健康教育・社会学准教授の近藤尚己氏らの研究グループの検討で示唆された。一方、男性ではこれらの関連は認められなかったが、研究グループは「結果に性差がみられた理由や今後の対策についてはさらなる検討が待たれる」と述べている。詳細は「Journal of Epidemiology」11月17日オンライン版に掲載された。

     これまでの研究で、職業や所得、教育レベルといった社会経済的な状況と糖尿病の有病率、発症率との間には逆相関がみられることが報告されているが、高齢者の社会格差はほとんど検討されていない。近藤氏らは今回、大規模な高齢者の横断データを用いて、社会経済的状況と糖尿病との関連について検討した。

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     対象は、日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study;JAGES)の2010年調査に参加した31市町村の約10万人の住民のうち、愛知県に在住の65歳以上で介護保険を受けていない高齢者6,813人(男性3,457人)。参加者には所得や教育歴、職業などの社会経済的状況や習慣的な行動に関する質問紙調査を実施した。

     参加者のうち男性の15.2%、女性の10.2%が糖尿病を有していた。参加者を男女別に所得で4つの群に分けて糖尿病の有病率を比較した結果、男性では所得が最も低い群では17.6%、最も高い群では15.1%と両群間に有意差はみられなかったが、女性ではそれぞれ11.7%、7.8%と両群間には有意な差が認められることが分かった(P=0.03)。

     年齢や他の社会経済的因子を調整した解析の結果、所得が最も高い群に対する最も低い群の糖尿病有病率の比は男性では1.16だったのに対し、女性では1.43であった。一方、教育レベルや職業といった因子は、今回のデータの分析では男女とも糖尿病であることとは関連しなかった。

     以上の結果を踏まえ、近藤氏らは「今回の調査からは、日本の高齢者で糖尿病にも所得による格差がある可能性が示唆されたが、今後、縦断研究などでさらに詳しく調べる必要がある。また、今回の結果に性差がみられた理由や、糖尿病の社会経済格差を解消する方策についても検討していきたい」と話している。

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    HealthDay News 2018年12月3日
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  • 「座位時間が長いほど糖尿病になりやすい」、客観的指標で検証 久山町研究

    福岡県久山町の一般住民を対象とした疫学調査(久山町研究)から、加速度計を用いて客観的に評価した座位時間が長いほど糖尿病になりやすい可能性があることが分かった。これらの関連は運動量とは独立したものであったことから、研究を実施した九州大学大学院衛生・公衆衛生学教授の二宮利治氏らは、糖尿病の予防戦略では座位時間をいかに減らすかが重要な課題になるとしている。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」11月2日オンライン版に掲載された。

     世界中で蔓延する2型糖尿病の主な原因は食生活と運動不足にあり、これまでの疫学研究では1日に座って過ごす時間が長いほど2型糖尿病になりやすいことが報告されている。しかし、これらの研究で検討されている座位時間は参加者の自己申告によるもので、客観的指標で評価した研究は限られていた。そこで、二宮氏らは今回、久山町研究のデータを用いて、加速度計で客観的に評価した座位時間と糖尿病有病率との関連を調べる横断研究を実施した。

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     対象は、2012年に健診を受け、加速度計を7日間以上装着して身体活動量を評価した40~79歳の地域住民1,758人(平均年齢61歳、女性59%)。食習慣や肥満、インスリン抵抗性といった因子が座位時間と2型糖尿病の関連に及ぼす影響についても検討した。なお、2型糖尿病の有無を75g経口糖負荷試験の結果から判定した結果、対象者の15.9%(279人)で糖尿病が確認された。

     解析の結果、高血圧や脂質異常症などの併存疾患や中強度から高強度運動、喫煙や飲酒の習慣といった生活習慣因子を考慮しても、座位時間が1日に6時間未満だった人に比べて、10時間以上だった人では糖尿病である確率が有意に高いことが分かった(オッズ比1.84、95%信頼区間1.02~3.31、P=0.04)。これらの有意な関連は、全身性や中心性の肥満で調整した解析でもみられたが、食事の摂取エネルギー量やインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)で調整すると関連性は減弱した。

     また、糖尿病のない人を対象にした解析から、肥満や摂取エネルギー量で調整しても座位時間が増えるほどHOMA-IRが増大することも明らかになった。

     以上の結果から、二宮氏らは「日本人の一般住民を対象とした研究で、客観的に評価した座位時間と2型糖尿病は、中強度から高強度の身体活動量などの生活習慣因子とは独立して関連することが明らかになった。また、これらの関連にはインスリン抵抗性が強く影響する可能性があり、こうした関連は糖尿病のない一般住民でも認められた」と結論づけている。

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    HealthDay News 2018年11月19日
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  • 一晩の睡眠不足で糖尿病リスクが上昇する機序を解明 肝臓の脂肪蓄積が要因か、東邦大

    たった一晩の睡眠不足でも血糖やインスリンの制御に関わる肝臓の機能が変化し、2型糖尿病の発症リスクが上昇する可能性があることを、東邦大学糖尿病・代謝・内分泌学准教授の熊代尚記氏らの研究グループがマウスを用いた実験で突き止めた。詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」7月10日オンライン版に掲載された。

     睡眠不足は過食や運動量の低下から体重増加を引き起こし、インスリン抵抗性や2型糖尿病リスクを高めると考えられている。熊代氏らは今回、睡眠不足に伴う生活習慣(食事や運動)の乱れの影響を排除し、睡眠不足そのものが生活習慣の乱れを介さずに耐糖能異常を引き起こす新たなメカニズムを探索するため、マウスを用いた実験を行った。

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     実験ではマウスを2つのグループに分け、一方のグループは夜行性のマウスが眠る日中の時間帯に優しく揺すって6時間覚醒させ続け、もう一方のグループは自由に睡眠を取らせる対照群とした。実験を始める前の2週間は、食生活が乱れた人と同じような食環境とするために、いずれのグループのマウスにも高脂肪食と砂糖水を制限なく与えた。また、実験中にはいずれの群のマウスも小さな固定器の中で動けない環境に置き、活動量を制限した。

     6時間の睡眠障害の直後にマウスの血糖値と肝臓の脂肪量を測定したところ、自由に睡眠を取った対照群に比べて、睡眠時間を制限した群では血糖値が有意に高く、肝臓中の中性脂肪含有量が有意に増加していることが分かった。また、睡眠時間を制限した群ではピルビン酸負荷後に有意な血糖値の上昇が認められ、脂肪肝によるインスリン抵抗性が引き起こされていることが示唆された。

     さらに、メタボローム解析を用いて肝臓内の代謝物を網羅的に調べた結果、睡眠時間を制限した群では対照群に比べてアシルカルニチンやアセチルCoA、ケトン体などが増加しており、肝臓での脂肪燃焼は亢進していることが明らかになった。一方、マイクロアレイを用いて肝臓の遺伝子発現を網羅的に調べた結果、肝臓での脂肪合成を促進する遺伝子の発現が増加しており、睡眠障害により過食や体重増加を伴わずに肝臓の脂肪蓄積が増加するメカニズムとして、睡眠不足による肝臓での脂肪合成の促進が示唆された。

     これらの結果を踏まえ、熊代氏らは「たった1日睡眠不足になるだけで、肝臓で脂肪合成が亢進して脂肪蓄積が増加する。そして、脂肪肝が肝臓のインスリン抵抗性を引き起こして耐糖能を悪化させる可能性がある」と推測している。また、「日常臨床において睡眠そのものへの介入には限界があることから、今後は睡眠障害により誘発される肝臓での脂肪合成の亢進を治療標的として、睡眠不足による耐糖能異常を回避できるか検討を進めていく」と展望している。

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  • 2型糖尿病の徴候は診断の10年以上前から現れる 日本人データを解析

    新たに糖尿病や前糖尿病と診断された人たちでは、診断の10年以上も前から空腹時血糖値(FPG)異常やインスリン抵抗性の増大といった糖尿病の徴候がみられることが、相澤病院(長野県)糖尿病センターの提坂浩之氏と同顧問の相澤徹氏、同病院健康センターの小池秀夫氏らの研究グループの検討で分かった。糖尿病の発症を防ぐには、これまで考えられていた以上に早期からの介入が必要であることが示唆された。研究の詳細は欧州糖尿病学会(EASD 2018、10月1~5日、ベルリン)で報告され、論文は「Journal of the Endocrine Society」5月号に掲載された。

     研究グループは今回、2005~2016年に健診でFPGやHbA1c値を測定した成人男女2万7,392人を対象に、後ろ向きに平均で5.3年間追跡した。この期間中に新たに糖尿病やいわゆる境界型を指す「前糖尿病」と診断された人たちについて、10年前までさかのぼってFPGやBMI、インスリン抵抗性指数を調べた。

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     追跡期間中に糖尿病を発症した人は1,061人、前糖尿病を発症した人は4,781人であった。解析の結果、糖尿病を発症した人では、発症しなかった人に比べて10年前の時点で平均FPG値とBMIが有意に高く(FPG:101.5mg/dL対94.5mg/dL、BMI:24.0対22.7、P<0.01)、インスリン抵抗性指数は有意に低い(7.32対8.34、P<0.01)ことが分かった。また、前糖尿病になった人でも、ならなかった人に比べて10年前の時点でFPGとBMIが有意に高く、インスリン抵抗性が増大していた。

     2型糖尿病を発症する人の多くは、徐々に血糖値が悪化して糖尿病の前段階というステップを踏むため、実際には糖尿病と診断される20年以上も前にその徴候が現れると考えられるという。これらの結果を踏まえ、研究グループは「糖尿病の発症を防ぐには、耐糖能障害になってからの生活習慣への介入では、長期間観察すると介入効果がかなり逓減すると報告された。真に効果的な糖尿病予防のためには、前糖尿病になる以前から、さらに早期の介入が必要かもしれない」と述べている。

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  • 11月12日からは「全国糖尿病週間」 世界糖尿病デーには各地でライトアップも

    今年も世界糖尿病デー(11月14日)を含む12日から18日までの一週間を『全国糖尿病週間』とし、糖尿病の発症や重症化予防、治療の重要性を啓発するため、全国各地でさまざまなイベントが開かれる。11月14日には日本だけでなく世界中で観光施設や著名な建造物をテーマカラーの青い光で包み込むブルーライトアップも予定されている。

     「世界糖尿病デー」は2006年12月に、国際糖尿病連合(IDF)の要請を受けて国際連合が「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」を総会決議で採択し定めたもの。IDFによると、世界の成人2型糖尿病患者数は2015年には4億1500万人に達し、2040年には6億4200万人にまで増加すると予測されている。日本国内でも糖尿病患者は増加し続けており、2016年国民健康・栄養調査から「糖尿病が強く疑われる人」は1000万人に上り、「糖尿病の可能性を否定できない人」も1000万人に達し、これらを合わせると総人口の15%を占めると推定されている。

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     第54回となる全国糖尿病週間の今年のテーマは「サルコペニア」。「筋肉量 保ってのばそう 健康寿命」を標語に、各都道府県の糖尿病協会や友の会が主体となって、各地で市民公開講座や保健指導、栄養指導などが開かれる。世界糖尿病デーには札幌テレビ塔や二条城、大阪城、海峡ゆめタワーなど全国各地の名所がブルーにライトアップされる予定だ。

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    糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

    糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

    HealthDay News 2018年10月29日
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  • 日本人男性ホームレス生活者の糖尿病有病率を調査 岐阜大の研究グループ

    日本人の男性ホームレス生活者における糖尿病の有病率は、一般集団と変わらない可能性があることが、岐阜大学保健管理センター准教授の西尾彰泰氏らの研究グループの検討で分かった。また、社会的支援を受けている人では、受けていない人に比べて耐糖能異常(いわゆる糖尿病予備群)の頻度が低いことも示された。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」9月28日オンライン版に掲載された

     ホームレス生活者の実態を現場で調査することは難しいため、その糖尿病有病率は明らかになっていない。また、ホームレス生活者は保険未加入者が多く、糖尿病は重症化するまで自覚症状が現れないため、たとえ糖尿病状態であっても医療管理下にある者は少ないと推察される。

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     そこで、ホームレス生活者の糖尿病ケア支援システムを構築するために、研究グループは、ホームレス生活者における糖尿病と耐糖能異常の有病率を調査し、それらの有病率と社会的背景、精神疾患および認知機能低下の有無との関連を検討した。なお、本調査は、名古屋市でホームレスを支援するNPO、ささしまサポートセンターが中心となって実施され、同センター長の山本眞由美氏(糖尿病専門医)が解析を担当した。

     研究では、名古屋市内の男性のホームレス生活者106人(平均年齢54.2歳)の社会的背景、精神疾患や認知機能低下の有無と血液検査によるHbA1c値の関係を詳細に解析した。HbA1c値で6.5%以上、6.0~6.4%、5.9%以下をそれぞれ糖尿病、耐糖能異常、正常と推定した。精神疾患は精神疾患簡易構造化面接法(Mini International Neuropsychiatric Interview)を、認知機能はウェクスラー成人知能検査を用いて評価した。

     その結果、7人(6.6%)が糖尿病、12人(11.3%)が耐糖能異常で、これらの有病率は国民健康・栄養調査による一般集団と同様の傾向であることが分かった。また、耐糖能異常の有病率は、社会的支援を受けている人では受けていない人に比べて有意に低かった(P<0.05)。一方、糖尿病および耐糖能異常の有病率は、精神疾患や認知機能低下の有無、ホームレス生活者であった期間や経験回数、喫煙や飲酒といった生活習慣、教育レベルで差はみられなかった。

     以上の結果を踏まえ、研究グループは「都会の日本人男性ホームレス生活者における糖尿病と耐糖能異常の有病率は、日本人の一般集団と同様の傾向であるため、ホームレス生活者においてもこれらの疾患の早期発見、早期治療が必要である。また、社会支援の提供は糖尿病予防に寄与するだろう」と結論づけている。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2018年10月22日
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