• 2型糖尿病患者の消化器症状は不眠症と関連

     糖尿病患者には、上部消化器症状(胸やけ、胃痛、胃もたれなど)や下部消化器症状(便秘、下痢など)がしばしば見られる。日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究で、これらの消化器症状が患者の不眠症と強く関連していることが判明した。これは京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の南田慈氏、岡田博史氏、福井道明氏らによる研究結果であり、「Journal of Diabetes Investigation」に3月5日掲載された。

     消化器症状は、糖尿病患者におけるQOL低下の一因である。一方、夜間頻尿により睡眠が中断されることや、糖尿病神経障害による痛み、夜間の血糖値の急激な変化、抑うつなどを伴うことで、糖尿病患者には不眠症が生じ得ることも報告されている。しかし、糖尿病患者における消化器症状と不眠症の関係についてはこれまでにほとんど検討されていない。

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     そこで著者らは、「KAMOGAWA-DMコホート研究」に参加している2型糖尿病患者を2014年1月~2022年1月に登録し、横断研究を行った。消化器症状の評価には、胸やけ、胃痛、胃もたれ、便秘、下痢の5つの症状を評価する「出雲スケール」を用いた(各症状とも3つの質問項目から0~15点で評価され、スコアが高いほど症状が悪い)。また、睡眠は「アテネ不眠症尺度」で評価し、合計スコア6点以上または睡眠薬を使用している場合を不眠症と定義した。

     解析対象者は175人(男性100人、女性75人)、年齢中央値は66歳(四分位範囲57~73歳)で、そのうち68人が不眠症に該当した。不眠症の人はそうでない人と比べ、収縮期血圧および拡張期血圧が有意に高かった。

     出雲スケールの結果を比較すると、総スコアの中央値(四分位範囲)は、不眠症の人の方がそうでない人よりも有意に高く、それぞれ14点(5.25~20.75点)と5点(2~10点)だった。症状ごとの結果も同様で、胸やけは2点(0~4点)と0点(0~1点)、胃痛は0点(0~4点)と0点(0~0点)、胃もたれは2点(0~4点)と0点(0~2点)、便秘は4点(2~6点)と2点(0~4点)、下痢は3点(1~5点)と1点(0~3点)であり、全て不眠症の人の方が有意に高かった。

     次に、不眠症と関連する要因がロジスティック回帰分析により検討された。年齢、性別、BMI、収縮期血圧、HbA1c、糖尿病神経障害、インスリン療法、夜間頻尿の影響を調整した解析の結果、出雲スケール総スコアの1点上昇ごとのオッズ比(95%信頼区間)は1.10(1.06~1.16)であり、不眠症と有意に関連することが明らかとなった。同様に、症状ごとのスコアについても有意な関連が認められ、オッズ比は胸やけ1.32(1.13~1.55)、胃痛1.38(1.16~1.63)、胃もたれ1.33(1.13~1.56)、便秘1.21(1.08~1.36)、下痢1.29(1.12~1.47)だった。

     以上の結果から著者らは、「消化器症状は2型糖尿病患者の不眠症と強く関連している」と結論。また、糖尿病患者の睡眠障害は血糖コントロールやQOLに影響を及ぼす可能性があることから、「消化器症状の管理に注意を払う必要がある」と指摘している。

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    HealthDay News 2024年4月22日
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  • TG/HDL-C比は2型糖尿病発症の強力な予測因子――日本人12万人の縦断的研究

     中性脂肪(TG)と善玉コレステロール(HDL-C)の比が、将来の2型糖尿病の発症リスクの予測に利用できることが、12万人以上の日本人を長期間追跡した結果、明らかになった。京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の弓削大貴氏、岡田博史氏、福井道明氏、パナソニック健康管理センターの伊藤正人氏らの研究によるもので、詳細は「Cardiovascular Diabetology」に11月8日掲載された。2型糖尿病発症予測のための最適なカットオフ値は、2.1だという。

     TGをHDL-Cで除した値「TG/HDL-C比」は、インスリン抵抗性の簡便な指標であることが知られているほか、脂肪性肝疾患や動脈硬化性疾患、および2型糖尿病の発症リスクと相関することが報告されている。ただしそれらの報告の多くは横断的研究またはサンプルサイズが小さい研究であり、大規模な追跡研究からのエビデンスは存在せず、2型糖尿病発症予測のための最適なカットオフ値も明らかになっていない。弓削氏、岡田氏らは、国内の企業グループの従業員を対象とするコホート研究(Panasonic cohort study)のデータを用いた縦断的解析によって、この点を検討した。

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     2008~2017年に健診を受けた計23万6,603人から、ベースライン時点で既に糖尿病と診断されている患者、脂質異常症治療薬を服用している患者、およびデータ欠落者などを除外し、12万613人を解析対象とした。主な特徴は、平均年齢44.2±8.5歳、男性76.0%、BMI22.9±3.4kg/m2であり、TGは110.0±85.9mg/dL、HDL-Cは60.5±15.4mg/dLで、悪玉コレステロール(LDL-C)は123.4±31.5mg/dLだった。

     2018年までの追跡〔期間中央値6.0年(四分位範囲3~10年)〕で、6,080人が新たに2型糖尿病を発症した。2型糖尿病発症リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、空腹時血糖値、喫煙習慣、運動習慣、収縮期血圧)を調整後に、脂質関連検査値と2型糖尿病発症リスクとの間に、以下の有意な関連が認められた。

     まず、TGは10mg/dL上昇するごとのハザード比(HR)が1.008(95%信頼区間1.006~1.010)だった。同様の解析でHDL-CはHR0.88(同0.86~0.90)、LDL-CはHR1.02(1.02~1.03)であり、TG/HDL-C比は1上昇するごとにHR1.03(1.02~1.03)となった。

     次に、向こう10年間での2型糖尿病発症を予測するための最適なカットオフ値と予測能(AUC)を検討。すると、予測能が低い指標から順に、LDL-Cがカットオフ値124mg/dLでAUCは0.609、HDL-Cは54mg/dLでAUC0.638、TGは106mg/dLで0.672であり、最も高いAUCはTG/HDL-C比の0.679であって、そのカットオフ値は2.1と計算された。TG/HDL-C比の予測能は、他の3指標すべてに対して有意に優れていた(いずれもP<0.001)。

     続いて、性別およびBMI別のサブグループ解析を施行。すると、男性では全体解析と同様に、TG/HDL-C比が1上昇することによる2型糖尿病発症のHRは1.03(1.02~1.03)だったが、女性は1.05(1.02~1.08)であり、より強い関連が示された。ただし交互作用は非有意だった。

     BMI25kg/m2未満/以上で層別化した解析からは、25未満の群でTG/HDL-C比が1上昇するごとのHRは1.04(1.03~1.05)である一方、25以上の群ではHR1.02(1.02~1.03)であって、有意な交互作用が観察された(交互作用P=0.0001)。最適なカットオフ値は、BMI25未満では1.7、25以上では2.5だった。

     著者らは本研究の特徴として、日本人を対象とする縦断的研究でありサンプルサイズも大きいことを挙げる一方、女性が少ないこと、比較的若年者が多いことなどの限界点があるとしている。その上で「TG/HDL-C比は、LDL-C、HDL-C、TGよりも10年以内の2型糖尿病発症の強力な予測因子であることが示された。この結果は、2型糖尿病発症抑制のための今後の医療政策に有用な知見となり得る」と述べている。

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    HealthDay News 2023年12月18日
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  • 非インスリン療法患者のisCGMによるHbA1c改善には治療満足度が関与

     インスリン療法を行っていない2型糖尿病患者が間歇スキャン式持続血糖測定(isCGM)を使用すると、早ければ使用開始の翌週から血糖管理が有意に改善すること、HbA1c改善幅は治療継続に関する満足度の高さと相関することなどが明らかになった。名古屋大学大学院医学系研究科内分泌・糖尿病学の尾上剛史氏、有馬寛氏らによる論文が、「Primary Care Diabetes」に10月9日掲載された。

     現在、保険診療でisCGMを使用できるのはインスリン療法を行っている患者のみだが、有馬氏らはインスリン療法を行っていない2型糖尿病患者でもisCGM使用によって血糖コントロールが改善することを、多施設共同無作為化比較試験の結果として既に報告している。今回の論文は、そのデータを詳細に事後解析した結果の報告。

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     この研究では、インスリン療法を行っていない20~70歳未満でHbA1c7.5~8.5%未満の2型糖尿病患者100人を登録し無作為に2群に分け、1群をisCGM群、他の1群を血糖自己測定(SMBG)群とした。過去にisCGMまたはSMBGを行ったことのある患者や腎機能障害のある患者などは除外されている。12週間の介入でisCGM群はSMBG群に比較しHbA1cが有意に大きく低下し、介入終了から12週後にも有意な改善効果が持続していた。今回の検討では、isCGM群(48人)のみを解析対象として、血糖管理改善の推移や関連因子を解析した。

     まず血糖関連指標の推移を見るとisCGM開始後の翌週には、平均血糖値が有意に低下、血糖値が70~180mg/dL以内にあった時間が有意に増加、180mg/dLを超えていた時間が有意に減少していた。またGMI(glucose management indicator)やMAGE(mean amplitude of glycemic excursions)といったCGMを用いた血糖管理の評価指標も、それぞれ開始翌週、2週後に有意に改善していた。また、これらの有意な改善は、介入期間を通じて維持されていた。

     次にisCGMの使用状況に着目すると、isCGM装着時間が占める割合は第1週が中央値97.1%(四分位範囲87.1~99.1)と最も長く、最終週は同86.1%(31.8~96.9)と、介入期間中に徐々に減少していた。同様に、血糖値や血糖トレンドの確認(スキャン)回数は、第1週が9.2回/日(5.7~12.7)と最も多く、最終の12週目は6.4回/日(3.0~10.0)と徐々に減少していた。isCGMの装着時間が長いほど、12週間の介入期間中のHbA1c低下幅が大きいという、有意な相関も認められた(r=-0.39、P=0.009)。ただし、介入終了から12週後まで(計24週間)のHbA1cの低下幅との関連は非有意だった(r=−0.13、P=0.395)。また、スキャン回数は、12週後および24週後、いずれのHbA1c低下幅との関連も非有意だった。

     続いて、年齢や性別、罹病期間、BMI、介入時点のHbA1c、処方されている経口血糖降下薬(OHA)の数、および糖尿病治療満足度質問表(Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire;DTSQ)の回答と、HbA1c低下幅との関連を検討した。

     その結果、介入終了時点(12週後)までのHbA1c低下幅は、介入時のHbA1cと逆相関し〔HbA1cが高い患者ほどより大きく改善(r=-0.290、P=0.048)〕、DTSQの8番目の項目(現在の治療を継続することへの満足度)のスコアと正相関していた(r=0.390、P=0.009)。一方、介入終了から12週後(介入開始から24週後)までのHbA1c低下幅は、DTSQの8番目の項目のスコア(r=0.373、P=0.012)、および、5番目の項目(治療法の融通性に関する評価)のスコア(r=0.364、P=0.014)と正相関していた。年齢や性別、罹病期間、BMI、OHAの数、DTSQの他の項目(自分自身の糖尿病の理解度に関する満足度など)は、HbA1c低下幅と有意な関連がなかった。

     以上より著者らは、「非インスリン療法の2型糖尿病患者がisCGMを使用することにより、血糖コントロールが迅速かつ持続的に改善し、その改善の程度はisCGMの使用を含む治療の継続に対する満足度の高さと関連していた」と総括している。

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    HealthDay News 2023年11月20日
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  • 糖尿病教育入院後の血糖管理に性格特性の一部が独立して関連

     糖尿病教育入院患者を対象として、性格特性と退院後の血糖コントロール状況との関連を検討した結果が報告された。ビッグファイブ理論に基づく5因子のうち、神経症傾向のスコアと、退院3カ月後、6カ月後のHbA1c低下幅との間に、独立した負の相関が見られたという。宮崎大学医学部血液・糖尿病・内分泌内科の内田泰介氏、上野浩晶氏らの研究によるもので、詳細は「Metabolism Open」6月発行号に掲載された。

     糖尿病は患者の自己管理が治療(血糖管理)の良し悪しを大きく左右する疾患であり、その自己管理をどの程度徹底できるかは、個々の患者の性格特性によってある程度左右される可能性が考えられる。ただし、過去に行われたこのトピックに関する研究結果は一貫しておらず、議論の余地が残されている。また、それらの研究は主として外来患者を対象に実施されてきている。

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     一方、糖尿病と診断されてから間もない患者や、外来治療を継続しても血糖管理不良が続く患者に対して、短期間入院してもらい、糖尿病治療に必要な知識や方法を集中的に指導する「教育入院」が行われる。その教育入院の効果にも、性格特性が関係している可能性が想定されるが、これまでのところ明らかにされていない。内田氏らは本研究を、「糖尿病教育入院患者の性格特性と退院後の血糖管理状況との関連を検討した、初の縦断的研究」と位置付けている。

     研究対象は、2021年の1年間に同大学附属病院や古賀総合病院で糖尿病教育入院を受けたHbA1c7.5%以上の患者のうち、退院後6カ月間追跡可能だった117人。性格特性は、ビッグファイブ理論の5因子をそれぞれ1~7点のスコアで評価し、入院時のHbA1c、および退院1、3、6カ月後時点のHbA1c低下幅との関連を解析した。

     対象者の入院時点の主な特徴は、平均年齢60.4±14.5歳、男性59.0%、2型糖尿病82.9%、罹病期間11.4±10.5年、BMI24.9±5.1で、性格特性を表すスコアは、神経症傾向3.9±1.4、外向性4.0±1.4、開放性3.9±1.0、協調性5.3±1.0、勤勉性3.8±1.3。HbA1cは、入院時が10.2±2.1%であり、退院1カ月後は8.3±1.4%、3カ月後7.6±1.4%、6カ月後7.7±1.5%と、有意に改善していた。

     入院時のHbA1cや退院後のHbA1c低下幅を目的変数とし、年齢、性別、病型、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、治療内容(1日当たりの経口・注射薬の投与回数)、および性格特性を説明変数とする重回帰分析の結果、性格特性は入院時のHbA1c、および退院1カ月後時点のHbA1c低下幅との有意な関連は認められなかった。また、性格特性の各因子のスコアの中央値で高値群と低値群に二分した上で、退院1カ月後時点のHbA1c低下幅を比較した結果も、群間に有意差はなかった。

     それに対して、退院3、6カ月後時点のHbA1c低下幅は、神経症傾向のスコアと独立した負の関連がある(神経症傾向が強いほどHbA1cが大きく改善している)ことが明らかになった。具体的には、退院3カ月後時点のHbA1c低下幅との関連はβ=-0.192(P=0.025)、退院6カ月後時点はβ=-0.164(P=0.043)だった。また、神経症傾向のスコアの中央値で二分して比較すると、退院3カ月後時点のHbA1c低下幅はスコア高値群の方が有意に大きく(P=0.034)、退院6カ月後時点も境界域の有意差が認められた(P=0.050)。なお、神経症傾向以外の性格特性は、いずれの時点のHbA1c低下幅とも有意な関連がなかった。

     これらの結果は、教育入院期間中に行われる集中的な療養指導が、患者の性格特性にかかわらず有意なHbA1c改善効果をもたらすこと、および、神経症傾向が強い性格特性の患者では、教育入院の効果が長期間持続しやすいことを意味している。著者らは、「患者の性格特性は容易には変えられないが、性格特性に応じて治療アプローチをアレンジすることは可能である。今後の研究により、そのようなアレンジの手法を確立することが期待される」と述べている。

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    HealthDay News 2023年9月25日
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  • 糖尿病予備群は食後高血糖是正により心血管転帰が改善――介入後10年間の観察研究

     食後高血糖への介入が転帰改善につながる可能性を示唆するデータが報告された。国内で実施された多施設共同研究「DIANA研究」終了後の追跡観察調査が行われ、国立循環器病研究センター心臓血管内科部門冠疾患科の片岡有氏らによる論文が、「Journal of Diabetes and its Complications」5月号に掲載された。

     糖尿病では食後のみでなく食前の血糖値も高くなるが、糖尿病予備群と言われる75gブドウ糖負荷試験にて診断可能な耐糖能異常(impaired glucose tolerance;IGT)や初期の糖尿病は、食前の血糖値は正常だが食後の高血糖を伴う。食後の高血糖は心血管疾患発症のリスク因子であることを示唆する多くの疫学研究結果が報告されている。しかしながら、食後高血糖への治療介入により、心血管疾患発症リスクが抑制されるかという点については、いまだ十分に明らかになっていない。

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     大阪府済生会富田林病院の宮崎俊一氏は、冠動脈疾患(CAD)を合併したIGTあるいは初期糖尿病患者を対象として、食後高血糖を改善させる薬剤による冠動脈硬化の進展抑制効果を食事・運動療法と比較する前向き無作為化試験「DIANA研究」を実施した。その研究では、食事・運動療法と比較して1年間の食後高血糖に対する薬物治療の冠動脈硬化進展抑制効果は認められなかった。しかしながら、薬物あるいは食事・運動療法いずれの治療下においても、治療開始から1年後に食後高血糖が改善していた症例は、冠動脈硬化進展が有意に抑制されていた。今回の報告は、DIANA研究終了後に実施された追跡観察調査の結果であり、1年間の食後高血糖への治療介入が、その後の約10年間の心血管疾患発症に及ぼす効果について検討された。

     DIANA研究では302人の患者を、α-グルコシダーゼ阻害薬(ボグリボース)群、グリニド薬(ナテグリニド)群、あるいは食事・運動療法群の3群に無作為に割り付け、1年間の介入終了後は主治医の裁量による治療が継続されていた。このうち、243人が追跡調査の解析対象とされ、その平均年齢は64.6±9.3歳、女性が13.6%であり、IGTが58.9%、初期の2型糖尿病は41.1%であった。主要評価項目は、観察期間中の全死亡、非致死性心筋梗塞、緊急冠動脈血行再建術を含めた主要心血管イベント(MACE)の発生率と定義された。

     中央値9.8年(範囲7.1~12.8)の観察期間におけるMACE発生件数は91件であった。DIANA研究において食後血糖改善を目指した薬物治療群のMACE発生率は、食事・運動療法群と有意差を認めなかった〔ボグリボース群はハザード比(HR)1.07(95%信頼区間0.69~1.66)、ナテグリニド群はHR0.99(同0.64~1.55)〕。MACEを構成する全死亡、非致死性心筋梗塞、血行再建術それぞれの発生率についても、薬物治療群と食事・運動療法群の間に有意差は見られなかった。IGT、初期糖尿病それぞれにおいても、薬物治療群のMACE発生率は食事・運動療法群と同等であった。

     本研究では、薬物あるいは食事・運動療法いずれの治療下においても、治療開始から1年後における糖代謝改善の有無(IGTから正常耐糖能への変化、糖尿病からIGTあるいは正常耐糖能への変化)により対象症例を2群に分類しMACEの発生率が比較された。対象症例の55.9%は糖代謝改善を認めたが、MACE発生率は非改善群と有意差を認めなかった〔HR0.78(0.51~1.18)〕。

     対象症例を、IGT、初期糖尿病に層別化して検討を行った。IGTの症例においては、IGTから正常耐糖能へ改善していた群は、非改善群に比して観察期間中のMACE発生率が有意に低率であった〔HR0.55(0.31~0.97)〕。年齢、性別、インスリン抵抗性(HOMA-IR)、血圧、スタチンやβ遮断薬使用を調整後も、結果は同様であった〔HR0.44(0.23~0.86)〕。
    一方、初期糖尿病症例では、IGTあるいは正常耐糖能へ改善していた群のMACE発生率は、非改善群と比較して有意差を認めなかった〔HR1.49(0.70~3.19)〕。

     著者らは本研究の限界点として、post-hocの事後解析であること、無作為化割り付けによる介入期間が1年間と比較的短いこと、観察期間中の糖代謝の変化のデータは収集していないことなどを挙げている。α-グルコシダーゼ阻害薬のアカルボースによる心血管イベント発生率の減少を報告した先行研究「STOP-NIDDM」は介入期間が長く、IGTのみを対象としており、CADを有する症例は4.8%のみであった。一方、本研究はCADをすでに有しているIGTあるいは初期糖尿病症例を対象としていることから、著者らは、α-グルコシダーゼ阻害薬の心血管疾患発症に対する効果が異なった可能性を述べている。これらの考察の上で論文の結論は、「CADのあるIGT患者の長期予後改善においては、正常耐糖能への改善を目指した介入治療が必要と考えられる」と記されている。

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    HealthDay News 2023年7月24日
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  • 補完代替医療を利用している2型糖尿病患者は健康関連QOLが低い

     通院中の2型糖尿病患者の4割弱が何らかの補完代替医療を利用しており、利用者は非利用者に比べて健康関連QOLが有意に低いという調査結果が報告された。香川大学医学部衛生学教室の森喜郎氏らの研究によるもので、詳細は「Epidemiologia」に1月20日掲載された。

     補完代替医療(complementary and alternative medicine;CAM)は、標準的な現代医療と合わせて、または単独で実施される、非標準的な医療のこと。具体的には、健康食品やサプリメント、マッサージ、アロマセラピー、ヨガ、処方によらない漢方、鍼灸、温熱療法、音楽療法、森林療法などが該当し、一般的に医師の判断ではなく患者自身の意思によって利用される。

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     これらのCAMのうち漢方や鍼灸などの一部はエビデンスが存在するものの、総じて有効性の根拠が乏しい。それにもかかわらず、標準的な現代医療でも治癒が見込めない疾患や経過が長期に及ぶ慢性疾患の患者などは、CAM利用率が高いことが報告されている。ただし国内の2型糖尿病患者のCAM利用状況については不明点が多い。森氏らは、その実態の把握と、CAM利用と健康関連QOL(HRQOL)との関係性を探るため、以下の調査を行った。

     調査対象は、2021年7月12日~9月17日に坂出市立病院の外来を受診した2型糖尿病患者のうち、CAMおよびHRQOLに関する自記式アンケートに回答した421人。HRQOLは、国際的に用いられている「EQ-5D」という質問票の日本語版を用いて評価した。これは、痛み、不快感、不安、うつなどの程度、日常生活活動などを0~1点の範囲にスコア化して判定するもの。数値が高いほど健康であることを意味し、完全に健康な状態の場合は1となる。

     対象者の主な特徴は、平均年齢67.3±12.8歳、男性58.7%、BMI25.3±4.6、糖尿病罹病期間5,863.9±3,711.7日、HbA1c7.5±1.5%、eGFR61.3±19.6mL/分/1.73m2で、46.3%がインスリン療法を行っており、HRQOLは0.860±0.200だった。

     全体の38.2%の患者が、何らかのCAMを利用していた。最も利用率が高かったのは、サプリメントや健康食品であり、26.6%が利用していた。性別に見た場合、男性のCAM利用率は32.8%、女性は46.0%であり、女性の方が有意に高かった(P=0.006)。ただし、年齢、BMI、罹病期間、HbA1c、eGFRには、CAM利用の有無による有意な群間差は観察されなかった。

     次に、CAMの種類ごとに、利用している患者と利用していない患者のHRQOLを比較すると、漢方や磁気療法、カイロプラクティック、温熱療法、スパセラピーについては、それらを利用している患者群の方がHRQOLが有意に低かった。また、何らかのCAMを利用している患者群のHRQOLは0.829±0.221、利用していない患者群は0.881±0.189であり、前者の方が低値だった。HRQOLに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、罹病期間、HbA1c)を調整後の比較でも、有意な群間差が認められた(P=0.014)。

     喘息患者や炎症性腸疾患などの患者を対象に海外で実施された同様の調査では、CAM利用患者はHRQOLが低いことが報告されている。今回の国内2型糖尿病患者を対象とした研究も、それらの既報研究と同様の結果となった。この理由について論文中には、「CAMを利用したことでHRQOLが低下したのではなく、HRQOLを低下させるような併存疾患や症状がある患者が、標準的な治療に加えてCAMを必要としているという実態を反映しているのではないか」と記されている。

     これらの結果と考察に基づき、著者らは、「CAMを利用している2型糖尿病患者は、利用していない患者よりもHRQOLが有意に低かった。CAMの健康転帰への寄与に関するエビデンスは限られているため、CAMに関する適切な情報提供が重要と考えられる」と総括。また、本研究が単施設で実施された横断研究であるため、「因果関係の理解や他の地域・医療機関の患者群での実態を把握可能なデザインでの研究が必要」と付け加えている。

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    HealthDay News 2023年5月8日
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  • 糖尿病がある人の3人に1人は病気を‘恥’と感じた経験あり

     糖尿病がある人の3人に1人は、糖尿病であることを恥ずかしく感じた経験があるというデータが報告された。神戸市立看護大学看護学部の稲垣聡氏、糖尿病内科まつだクリニックの松田友和氏らが行った横断研究の結果であり、詳細は「BMJ Open Diabetes Research & Care」に12月13日掲載された。恥ずかしさを感じた経験のある人は精神的苦痛を強く感じており、幸福感が低いことも明らかになったという。

     近年、糖尿病に関するスティグマが、糖尿病のある人の生活の質(QOL)を低下させることへの関心が高まっている。スティグマとは「汚名」や「不名誉」といった意味。誤った情報に基づくスティグマが存在すると、対象者が社会に受け入れられにくい状況が生じる。糖尿病のある人の場合、スティグマのために糖尿病であることを恥と捉え、病気を隠そうとしたり、食事の際に周囲の人に合わせて健康的でない食べ物を食べたり、人目を避けてインスリン注射や血糖測定をするといった行動につながる。

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     スティグマは、社会の認識が改善してそれが解消されることが最善であり、そのための働きかけも関係団体が中心となって行われている。ただし、糖尿病を持つ人が感じている可能性のある‘恥’をテーマとした研究は、これまでほとんど行われていない。稲垣氏らはこのような状況を背景として、糖尿病であることを恥ずかしく感じたことのある人の割合やその関連因子を明らかにするため、以下の研究を行った。

     この研究は、調査会社に登録されているパネルを対象とする、インターネット調査として実施された。質問内容は、「糖尿病であることを恥ずかしいと思うことはあるか」、「糖尿病であることを同僚や友人などに伝えているか」という2項目であり、それに加え、心理的幸福感(WHO-5)、糖尿病関連の精神的苦痛(PAID)、自己管理行動(J-SDSCA)、自己管理の効力感(SESD)などを評価。

     解析対象者は20歳以上で「2型糖尿病のために受診したことがある」と回答した510人。その主な特徴は、平均年齢63.7±8.7歳、男性67.1%、BMI24.8±4.4、大卒以上51.6%、糖尿病罹病歴13.2±8.5年、インスリン療法中16.9%、HbA1c7.0±1.1%、診断された合併症を有する人の割合11.8%など。

     「糖尿病を恥ずかしいと思うことはあるか」との質問には32.9%が「はい」と回答し、「糖尿病であることを同僚や友人などに伝えているか」には17.5%が「いいえ」と回答した。糖尿病を恥じたことのある群は、ない群に比べて心理的幸福感が低く、糖尿病関連の精神的苦痛は大きく、またBMIが高値だった(全てP<0.001)。ただし、実際の自己管理行動(P=0.797)やHbA1c(P=0.362)は有意差がなかった。

     糖尿病を恥じた経験のあることに関連する因子を二項ロジスティック回帰分析で検討した結果、女性〔オッズ比(OR)4.78(95%信頼区間2.90~7.89)〕、経済的負担感(OR1.55~3.79)が有意な正の関連因子として特定された。反対に、高齢〔OR0.94(95%信頼区間0.92~0.97)〕、教育歴〔大卒以上でOR0.60(同0.37~0.98)〕、自己効力感〔OR0.91(0.86~0.98)〕は、糖尿病を恥じることに対して保護的に働く可能性が示された。BMIやインスリン療法を行っているか否かは、有意な関連がなかった。

     著者らは本研究が、糖尿病のある人の恥ずかしさに焦点を当てた初の研究であったため参考となる文献が限られていたことから、アンケート内容が最適なものではなかった可能性があること、恥と感じた理由について調査していないことなど、いくつかの限界点があるとしている。その上で、「2型糖尿病のある人の約3分の1は、糖尿病関連の苦痛や心理的幸福感の低さを伴う恥の体験を有していた。糖尿病のある人のQOL改善には、恥に焦点を当てた研究およびケア方法の確立が必要である」と結論付けている。

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    HealthDay News 2023年2月20日
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  • 人には聞こえない音が食後の血糖上昇を抑える可能性

     人の耳には聞こえない超高周波が含まれている音が流れている環境では、ブドウ糖負荷後(日常生活では食後に相当)の血糖値の上昇が抑制される可能性が報告された。国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第七部の本田学氏、国際科学振興財団の河合徳枝氏らの研究によるものであり、結果の詳細は「Scientific Reports」に11月2日掲載された。

     メンタルヘルス関連の病気だけでなく、糖尿病や高血圧などの身体疾患の病状にもストレスが深く関与していることが知られている。そのため、ストレスを抑制する心理的なアプローチが試みられることもあるが、ストレスの原因や効果的な対処法は人それぞれ異なることから、実用性は限定的。一方、脳の情報処理メカニズムに着目し、音や光などの刺激を用いた新たな治療法の確立を目指す、「情報医学・情報医療」という研究が続けられている。

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     本田氏らは今回、人の耳には聞こえない20kHz以上の超高周波を含む音による糖代謝への影響を検討した。なお、同氏らは既に、そのような音が、脳内の報酬系神経回路の血流量を増やし、ストレスホルモンを低下させ、免疫能を高めることを報告している。また、超高周波は自然環境の音には含まれているものの、都市環境やデジタル音源にはほとんど含まれていないという。

     研究参加者は、糖尿病治療を受けていない健康な成人25人(平均年齢57.6±7.5歳、女性が12人、HbA1c5.52±0.41%)。設定した研究室内の環境音は、以下の3通り。超高周波が含まれている熱帯雨林の自然環境音、その自然環境音から超高周波を除去した音、および無音(研究室のファンの音などの雑音のみ)。血糖値への影響は、糖尿病の診断に用いられている経口ブドウ糖負荷試験(75gのブドウ糖溶液を飲んだ後、2時間にわたり血糖値の変化を見る検査)で評価した。なお、試行前日の夜からは絶食(水のみ摂取可)とし、3回の試行の時間帯は一致させ、全ての試行を10日以内に完了した。また、血糖値は静脈採血ではなく、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)で測定した。

     ブドウ糖負荷後の血糖値は、超高周波が含まれている音の環境では低値で推移していた。超高周波が除去された音の環境との比較では、血糖レベルが有意に低く(P=0.025)、ベースラインからの血糖値の上昇幅も有意に少なかった(P=0.000012)。無音条件との比較では、血糖レベルは有意差がないものの(P=0.16)、ベースラインからの血糖値の上昇幅は有意に少なかった(P=0.0018)。

     血糖上昇曲線下面積(AUC)の比較では、超高周波が含まれている音の環境はそれが含まれていない環境より有意に低値であり(P=0.039)、無音条件とは有意差がなかった(P=0.13)。また、超高周波の音が含まれていない環境と無音条件も有意差がなかった(P=0.66)。

     HbA1cの高低で二分して検討すると、超高周波が含まれている音による血糖上昇抑制効果はHbA1c5.5%以上の群でのみ認められた。また、年齢の高低で層別化した場合は、59歳以上の群でのみ、その効果が確認された。

     著者らは本研究の限界点として、血糖値を静脈血漿値で測定していないこと、主観的なストレスの変化との関連を検討していないことなどを挙げている。その上で、「高周波を含む音が耐糖能障害リスクのある人の糖代謝を改善し得る可能性が示された」と結論付け、「糖尿病患者の血糖管理や糖尿病発症予防への有用性を、大規模なサンプルで検証する必要がある」と、今後の展望を語っている。

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    HealthDay News 2022年12月26日
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  • 収入の低い糖尿病男性は食物繊維摂取量が少ない

     2型糖尿病患者の世帯収入と食習慣との関連を調査した研究から、収入の低い男性は食物繊維の摂取量が少なく、食事性酸負荷が高いという有意な関連が報告された。京都医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科の高橋芙由子氏、福井道明氏、松下記念病院糖尿病・内分泌科の橋本善隆氏、京都府立大学大学院生命環境科学研究科の小林ゆき子氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に8月7日掲載された。

     健康的な食習慣は2型糖尿病治療の根幹であり、食物繊維の摂取量と血糖コントロールや酸負荷の高い食事と腎機能低下などの関連が報告されている。一方、世帯収入がさまざまな疾患のリスクと関連しており、その一因として健康的とされる食品は高価なことが多く、収入が低い場合はそれらの食品の摂取が限られることの関連が考えられている。ただし、これまでのところ、2型糖尿病患者の世帯収入と食物繊維摂取量や食事性酸負荷レベルとの関連は明らかになっていない。高橋氏らは、京都府立医科大学などが外来糖尿病患者を対象に行っている前向きコホート研究「KAMOGAWA-DMコホート」のデータを横断的に解析し、この関連を検討した。

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     解析対象者は同コホート研究参加者のうち、食習慣や世帯収入に関するアンケートに回答し、データ欠落のない201人(平均年齢69.0±8.8歳、男性63.7%、BMI23.8±3.5kg/m2、HbA1c7.3±0.9%、糖尿病罹病期間17.7±11.0年)。食習慣・栄養素摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)で評価した。その結果、食物繊維摂取量は、男性12.1±5.0g/日、女性12.3±4.9g/日だった。また、食事性酸負荷の指標として評価したPRALスコア(潜在的腎臓酸負荷の指標)は、男性7.6±12.2mEq/日、女性3.7±13.1mEq/日、NEAPスコア(内因性酸産生量の指標)は同順に50.1±10.7mEq/日、47.0±10.6mEq/日だった。なお、PRALスコアやNEAPスコアは、肉や魚などの酸性食品の摂取が多いことや、野菜や果物などのアルカリ性食品の摂取が少ないことで上昇する。

     世帯収入については500万円をカットオフ値として二分した。男性の32.8%、女性の16.4%が高収入に該当した。高収入群は低収入群に比べて有意に若年で(65.3±10.4対70.4±7.7歳)、男性が多かった(77.8対58.5%)。なお、BMIやHbA1cには有意差がなかった。

     一方で、食物繊維摂取量は高収入群の方が多かった(13.5±5.9対11.7±4.7g/日)。ただし男女別に解析すると、男性では全体解析と同様に高収入群の食物繊維摂取量が有意に多かったが、女性では世帯収入の多寡による有意差は見られなかった。一方、食事性酸負荷の指標(PRALスコアとNEAPスコア)は、いずれも全体解析では有意差がなく、性別の解析では男性のみ、高収入群の方が低いという有意差が認められた。

     次に、これらの関係に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、糖尿病罹病期間、HbA1c、中性脂肪、高血圧、摂取エネルギー量)を調整し、世帯収入の多寡と食物繊維摂取量、NEAPスコアとの関連を検討。すると、女性では世帯収入と食物繊維摂取量およびNEAPスコアとの間に有意な関連が示されなかったが、男性では、高収入群は食物繊維摂取量が多く(P=0.010)、NEAPスコアは低い(P<0.001)という関連が認められた。

     以上より著者らは、「世帯収入は、男性の食物繊維摂取量と食事性酸負荷に関連していた。糖尿病診療を行う臨床医や栄養士は、世帯収入の低い男性の食事の質に注意を払う必要がある」と結論付けている。

     なお、女性でこの関連が有意でなかったことの理由については、「女性は男性よりも食事に関するセルフケアの意識が高く、収入に関わらず野菜や果物を男性より多く取る傾向があるためではないか」と考察している。また、既報研究で示されていた世帯収入とHbA1cとの関連が本研究では有意でなかったことに関しては、「本研究では参加者の大半が長期間外来受診を継続しており、血糖管理が一定水準以上に達していたためと考えられる」と述べている。

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    HealthDay News 2022年11月28日
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  • 自転車通勤で糖尿病を防げる――J-ECOHサブスタディ

     自転車通勤をしている人は糖尿病発症リスクが2割以上低いことが報告された。職域多施設研究(J-ECOHスタディ)の運動疫学サブスタディのデータを、帝京大学大学院公衆衛生学研究科の桑原恵介氏らが前向きに解析した結果であり、「Diabetes Care」にレターとして10月17日掲載された。

     近年、環境保護や健康増進の観点から、自転車を利用した通勤への関心が高まっており、海外からは自転車通勤が糖尿病リスクを抑制する可能性を示す研究結果も報告されている。ただしアジア人での研究は行われていないことから、桑原氏らはJ-ECOHスタディのデータを用いてこの点を検討した。

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     J-ECOHスタディは、国立国際医療研究センターが主体となり、国内十数社の企業と共同で行っている疫学研究で、今回の研究は身体活動の詳細なデータがある1社での運動疫学サブスタディとして実施。2006年度に企業内健診を受診し、以後2017年度まで健診を受けていて、糖尿病発症の有無を把握し得た労働者3万1,678人(平均年齢44.0±9.8歳、男性84.9%)を解析対象とした。ベースライン時点で、糖尿病、心血管疾患、脳卒中、がんの既往のある人や、解析に必要なデータが欠落している人は除外されている。

     健診時に主な通勤手段を質問し、自転車、徒歩、電車またはバス、車またはバイクの四者択一で回答を得て、自転車通勤だった群とその他の群に二分した上で、2017年度までの糖尿病発症リスクを比較した。解析に際しては、年齢や性別の影響を調整し、それら以外に、喫煙・飲酒習慣、睡眠時間、婚姻状況、役職、交代勤務の有無、高血圧、糖尿病の家族歴で調整した「モデル1」、余暇時間の身体活動、仕事中の身体活動、通勤中の歩行時間も調整因子に加えた「モデル2」、さらにBMIでも調整した「モデル3」という計4通りで検討。また、性別の解析、および年齢が30~64歳の2万9,121人でのサブグループ解析も行った。

     自転車通勤をしていた群での糖尿病発症率は2万6,602人年中219人、その他の群では23万939人年中2,812人だった。年齢と性別のみの調整では、自転車通勤群の糖尿病発症ハザード比(HR)が0.77(95%信頼区間0.68~0.88)であり、その他の群に比べてリスクが有意に低く、全ての交絡因子を調整したモデル3でもHR0.78(同0.63~0.96)と、22%有意に低リスクであることが示された。

     性別の解析では、男性はモデル2でHR0.78(0.62~0.98)と有意なリスク低下が示されたが、BMIを調整因子に加えたモデル3ではHR0.81(0.65~1.02)で非有意となった。女性に関しては、調整因子が年齢のみでもHR0.77(0.54~1.09)で非有意だった。一方、年齢30~64歳の群では、モデル3でHR0.78(0.63~0.97)と、全体解析と同様に22%のリスク低下が観察された。

     著者らは、糖尿病発症リスクに影響を及ぼす食事摂取状況が調整されていないこと、解析対象が特定の業種の労働者に限られていることなどを本研究の限界点として挙げた上で、「自転車通勤が糖尿病リスクの低下と有意に関連していることが分かった。この研究結果は、アジア人の糖尿病予防における自転車通勤の重要性を示している」と述べている。なお、女性のみでの解析結果が非有意であった点に関しては、「サンプル数が少なかったことの影響ではないか」としている。

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