• 2型糖尿病患者の消化器症状は不眠症と関連

     糖尿病患者には、上部消化器症状(胸やけ、胃痛、胃もたれなど)や下部消化器症状(便秘、下痢など)がしばしば見られる。日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究で、これらの消化器症状が患者の不眠症と強く関連していることが判明した。これは京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の南田慈氏、岡田博史氏、福井道明氏らによる研究結果であり、「Journal of Diabetes Investigation」に3月5日掲載された。

     消化器症状は、糖尿病患者におけるQOL低下の一因である。一方、夜間頻尿により睡眠が中断されることや、糖尿病神経障害による痛み、夜間の血糖値の急激な変化、抑うつなどを伴うことで、糖尿病患者には不眠症が生じ得ることも報告されている。しかし、糖尿病患者における消化器症状と不眠症の関係についてはこれまでにほとんど検討されていない。

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     そこで著者らは、「KAMOGAWA-DMコホート研究」に参加している2型糖尿病患者を2014年1月~2022年1月に登録し、横断研究を行った。消化器症状の評価には、胸やけ、胃痛、胃もたれ、便秘、下痢の5つの症状を評価する「出雲スケール」を用いた(各症状とも3つの質問項目から0~15点で評価され、スコアが高いほど症状が悪い)。また、睡眠は「アテネ不眠症尺度」で評価し、合計スコア6点以上または睡眠薬を使用している場合を不眠症と定義した。

     解析対象者は175人(男性100人、女性75人)、年齢中央値は66歳(四分位範囲57~73歳)で、そのうち68人が不眠症に該当した。不眠症の人はそうでない人と比べ、収縮期血圧および拡張期血圧が有意に高かった。

     出雲スケールの結果を比較すると、総スコアの中央値(四分位範囲)は、不眠症の人の方がそうでない人よりも有意に高く、それぞれ14点(5.25~20.75点)と5点(2~10点)だった。症状ごとの結果も同様で、胸やけは2点(0~4点)と0点(0~1点)、胃痛は0点(0~4点)と0点(0~0点)、胃もたれは2点(0~4点)と0点(0~2点)、便秘は4点(2~6点)と2点(0~4点)、下痢は3点(1~5点)と1点(0~3点)であり、全て不眠症の人の方が有意に高かった。

     次に、不眠症と関連する要因がロジスティック回帰分析により検討された。年齢、性別、BMI、収縮期血圧、HbA1c、糖尿病神経障害、インスリン療法、夜間頻尿の影響を調整した解析の結果、出雲スケール総スコアの1点上昇ごとのオッズ比(95%信頼区間)は1.10(1.06~1.16)であり、不眠症と有意に関連することが明らかとなった。同様に、症状ごとのスコアについても有意な関連が認められ、オッズ比は胸やけ1.32(1.13~1.55)、胃痛1.38(1.16~1.63)、胃もたれ1.33(1.13~1.56)、便秘1.21(1.08~1.36)、下痢1.29(1.12~1.47)だった。

     以上の結果から著者らは、「消化器症状は2型糖尿病患者の不眠症と強く関連している」と結論。また、糖尿病患者の睡眠障害は血糖コントロールやQOLに影響を及ぼす可能性があることから、「消化器症状の管理に注意を払う必要がある」と指摘している。

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    HealthDay News 2024年4月22日
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  • TG/HDL-C比は2型糖尿病発症の強力な予測因子――日本人12万人の縦断的研究

     中性脂肪(TG)と善玉コレステロール(HDL-C)の比が、将来の2型糖尿病の発症リスクの予測に利用できることが、12万人以上の日本人を長期間追跡した結果、明らかになった。京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の弓削大貴氏、岡田博史氏、福井道明氏、パナソニック健康管理センターの伊藤正人氏らの研究によるもので、詳細は「Cardiovascular Diabetology」に11月8日掲載された。2型糖尿病発症予測のための最適なカットオフ値は、2.1だという。

     TGをHDL-Cで除した値「TG/HDL-C比」は、インスリン抵抗性の簡便な指標であることが知られているほか、脂肪性肝疾患や動脈硬化性疾患、および2型糖尿病の発症リスクと相関することが報告されている。ただしそれらの報告の多くは横断的研究またはサンプルサイズが小さい研究であり、大規模な追跡研究からのエビデンスは存在せず、2型糖尿病発症予測のための最適なカットオフ値も明らかになっていない。弓削氏、岡田氏らは、国内の企業グループの従業員を対象とするコホート研究(Panasonic cohort study)のデータを用いた縦断的解析によって、この点を検討した。

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     2008~2017年に健診を受けた計23万6,603人から、ベースライン時点で既に糖尿病と診断されている患者、脂質異常症治療薬を服用している患者、およびデータ欠落者などを除外し、12万613人を解析対象とした。主な特徴は、平均年齢44.2±8.5歳、男性76.0%、BMI22.9±3.4kg/m2であり、TGは110.0±85.9mg/dL、HDL-Cは60.5±15.4mg/dLで、悪玉コレステロール(LDL-C)は123.4±31.5mg/dLだった。

     2018年までの追跡〔期間中央値6.0年(四分位範囲3~10年)〕で、6,080人が新たに2型糖尿病を発症した。2型糖尿病発症リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、空腹時血糖値、喫煙習慣、運動習慣、収縮期血圧)を調整後に、脂質関連検査値と2型糖尿病発症リスクとの間に、以下の有意な関連が認められた。

     まず、TGは10mg/dL上昇するごとのハザード比(HR)が1.008(95%信頼区間1.006~1.010)だった。同様の解析でHDL-CはHR0.88(同0.86~0.90)、LDL-CはHR1.02(1.02~1.03)であり、TG/HDL-C比は1上昇するごとにHR1.03(1.02~1.03)となった。

     次に、向こう10年間での2型糖尿病発症を予測するための最適なカットオフ値と予測能(AUC)を検討。すると、予測能が低い指標から順に、LDL-Cがカットオフ値124mg/dLでAUCは0.609、HDL-Cは54mg/dLでAUC0.638、TGは106mg/dLで0.672であり、最も高いAUCはTG/HDL-C比の0.679であって、そのカットオフ値は2.1と計算された。TG/HDL-C比の予測能は、他の3指標すべてに対して有意に優れていた(いずれもP<0.001)。

     続いて、性別およびBMI別のサブグループ解析を施行。すると、男性では全体解析と同様に、TG/HDL-C比が1上昇することによる2型糖尿病発症のHRは1.03(1.02~1.03)だったが、女性は1.05(1.02~1.08)であり、より強い関連が示された。ただし交互作用は非有意だった。

     BMI25kg/m2未満/以上で層別化した解析からは、25未満の群でTG/HDL-C比が1上昇するごとのHRは1.04(1.03~1.05)である一方、25以上の群ではHR1.02(1.02~1.03)であって、有意な交互作用が観察された(交互作用P=0.0001)。最適なカットオフ値は、BMI25未満では1.7、25以上では2.5だった。

     著者らは本研究の特徴として、日本人を対象とする縦断的研究でありサンプルサイズも大きいことを挙げる一方、女性が少ないこと、比較的若年者が多いことなどの限界点があるとしている。その上で「TG/HDL-C比は、LDL-C、HDL-C、TGよりも10年以内の2型糖尿病発症の強力な予測因子であることが示された。この結果は、2型糖尿病発症抑制のための今後の医療政策に有用な知見となり得る」と述べている。

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    参考情報:リンク先
    HealthDay News 2023年12月18日
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