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11月 13 2023 パンデミックで急性アルコール中毒による救急搬送が有意に減少――高知県のデータ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの最中に、急性アルコール中毒による救急搬送件数が有意に減少していたことが明らかになった。住民の飲酒量が多いことで知られる高知県のデータを解析した結果であり、高知大学医学部環境医学の南まりな氏、災害・救急医療学の宮内雅人氏らによる論文が、「Alcohol」に9月20日掲載された。
COVID-19パンデミックにより人々の生活が一変し、それにより救急搬送される患者の傾向にも変化が生じている。例えば交通事故による外傷が減り、ストレスが発症に関与しているたこつぼ心筋症が増えたことなどが報告されている。一方、飲酒行動に関しては、飲食店の時短営業や入店制限などによる飲酒機会の減少と、ストレス負荷による自宅での飲酒量の増大という相反する影響が考えられるが、南氏らが2020年春というパンデミック初期に高知県で行った研究では、急性アルコール中毒による救急搬送が減少していたことが明らかになっている。今回の研究では、パンデミックが長期化した以降もそのような傾向が継続しているのか否かを検証した。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。この研究には、高知県救急医療・広域災害情報システム「こうち医療ネット」のデータが用いられた。2019~2021年の救急搬送の記録12万49件のうち、データ欠落、および急性アルコール中毒患者が発生していない10歳未満と80歳以上を除外した6万2,138件を解析対象とした。このうち926件(1.5%)が急性アルコール中毒によるものだった。
年次推移を見ると、2019年は2万2,289件中412件(1.9%)が急性アルコール中毒によるもので、2020年は1万9,775件中268件(1.4%)、2021年は2万74件中246件(1.2%)だった。全体として、急性アルコール中毒による救急搬送は、性別で比較した場合は男性に多く(66.1%)、年齢層では20代が最も多くを占めていた(37.2%)。
ポアソン回帰モデルにて、2019年を基準とする急性アルコール中毒による救急搬送件数の発生率比(IRR)を検討すると、2020年はIRR0.78(95%信頼区間0.67~0.91)と有意に低く、2021年もIRR0.73(同0.63~0.86)であり有意に低値だった。つまり、パンデミック初期に認められた急性アルコール中毒による救急搬送件数の減少は、パンデミックが長期化した2年目にも継続していたことが明らかになった。
著者らは本研究について、救急搬送以外の手段で受診した急性アルコール中毒患者も存在する可能性があること、県民の酒量が多く飲酒に寛容な高知県での調査であり、解釈の一般化が制限されることなどの留意点を挙げている。ただし後者については、「研究の限界点であると同時に、特異な飲酒文化で得られた貴重なデータでもある」と述べている。また、「パンデミックによって急性アルコール中毒による救急搬送が減少したという事実は、換言すれば、パンデミック以前の人々の飲酒行動に問題があったことを示唆している」との考察を加えている。
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11月 13 2023 高額医療費患者の3割強はメタボ関連――協会けんぽの全国規模データの解析で明らかに
年間医療費が高額な上位10%の患者で、全医療費の約6割が使われていて、その患者の3割強が広義のメタボリックシンドローム(メタボ)に該当することが明らかになった。慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの勝川史憲氏らが、協会けんぽのデータを解析した結果であり、詳細は「PLOS ONE」に9月28日掲載された。著者らは、「メタボの重症化予防が、医療費増大の抑制という点からも重要であることが示唆される」と述べている。
日本では保険証さえあれば窓口での一部負担金のみで治療を受けられ、このような医療アクセスの良さは国際的にも高く評価されている。その一方で近年では多くの保険者の財政状況が悪化しており、医療費増大の抑制が喫緊の課題となっている。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。医療費が高額になる一因として、複数の慢性疾患を併せ持つ「マルチモビディティ」に該当する患者の存在が海外では注目されている。ただし国内でのマルチモビディティの実態と医療費の関連は、詳細が不明。これを背景として、慶應義塾大学、東京医科歯科大学、川崎医科大学の研究グループにより、協会けんぽのビッグデータを用いた解析が行われた。2020年度に開始された同協会による、外部有識者を活用した委託研究事業として初の報告。
今回の研究では、2015年度に同協会に加入していた18歳以上65歳未満の被保険者1698万9,029人のうち、高額な医療費が使われていた上位10%に当たる169万8,902人を抽出し、それらの患者がどのような疾患で医療を受けていたかを検討した。なお、人数では全体の1割を占めるこの患者群に使われていた医療費は、上記の1698万人の医療費の59.0%と約6割を占めていた。
解析の結果、医療費の上位10%を占めるこの集団では、95.6%がマルチモビディティに該当することが明らかになった。
次に、各患者の疾患の特徴に基づき全体をいくつかのパターンに分類する、潜在クラス分析という統計学的手法を用いて、マルチモビディティか否か、および、マルチモビディティの場合は併発している疾患の組み合わせによって、全体を30パターンに分類。すると、そのうち7パターンは広義のメタボ(腹囲やBMIの判定基準に該当するか否かにかかわらず、糖尿病、高血圧症、脂質異常症を併発している患者)に該当し、患者数としては31.8%を占めていた。また、この広義のメタボ該当者の医療費は28.6%と約3割を占めていた。なお、広義のメタボ以外で医療費が高額になりやすい疾患は、腎疾患と悪性腫瘍であり、特に腎疾患は1人当たりの医療費が最も高額だった。
続いて、30パターンの疾患群の分布を性別・年齢別に検討。その結果、男性では30代でメタボのパターンに分類される患者の割合が20%を超え、50代以降では半数以上に上った。一方、女性では40代までは周産期関連または月経前症候群といった女性特有の産科・婦人科系疾患のパターンに分類される患者が半数近くを占めていたが、50代以降ではメタボや運動器疾患のパターンに分類される患者が増加していた。
著者らは、「解析に用いたレセプト病名は、必ずしも実際の病態を反映しないケースもあるため、結果解釈に注意が必要」といった限界点を挙げた上で、「患者数・医療費ともに多いメタボの重症化予防の重要性が改めて示唆された。特に将来的な医療費を抑制するという観点では、就労世代からのマルチモビディティ予防がポイントとなると考えられる」と総括している。
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肥満という言葉を耳にして、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
今回は肥満が原因となる疾患『肥満症』の危険度をセルフチェックする方法と一般的な肥満との違いについて解説していきます。