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7月 07 2025 産婦人科医が授業に、中学生の性知識が向上か
インターネットは、性に関する知識を求める若者にとって主要な情報源となっているが、オンライン上には誤情報や有害なコンテンツが存在することも否定できない。このような背景から、学校で行われる性教育の重要性が高まっている。今回、婦人科医による性教育が、日本の中学生の性に関する知識と意識の大幅な向上につながる、とする研究結果が報告された。ほとんどの学生が産婦人科医による講義を肯定的に評価していたという。研究は、日本医科大学付属病院女性診療科・産科の豊島将文氏らによるもので、詳細は「BMC Public Health」に5月28日掲載された。
インターネットへのアクセスが容易になり、子どもたちの性的な内容への露出に対する懸念が高まったことにより、多くの国々が国際的なガイドラインを導入し、包括的な性教育(CSE)プログラムを推進するようになった。2000年には、汎米保健機構(PAHO)と性の健康世界学会(WAS)は、世界保健機構(WHO)と共同で「セクシュアル・ヘルスの推進 行動のための提言」を作成し、全ての人にCSEを提供することを提案した。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。日本でも、この提言に呼応し、適切な性に関する知識を得るためのCSEプログラムが求められている。また、世界的に多くのCSEプログラムでは、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種が重要な要素として含まれている。これは、HPVと子宮頸がんとの関連が確立されており、子宮頸がんは「予防可能」であることに由来する。このような背景を踏まえ著者らは、専門医による性教育の講義が、日本の中学生の経口避妊薬(OC)、避妊、子宮頸がん、HPVワクチン接種に関する知識と意識に与える影響を評価することとした。授業の前後にアンケート調査を実施し、知識と意識の変化を調査した。
本研究では、日本国内の公立および私立の中学校37校に通う中学3年生の男女を対象とした。講義で取り上げたトピックは、文部科学省のCSEガイドラインに従い、1:男女の体の違い、2:月経の問題とその管理、3:避妊方法、4:LGBTQやデートDVに関する問題、5:性感染症、6:子宮頸がんとHPVワクチン、の6つとした。生徒は講義の前後にアンケートに回答し、講義内容に関する知識と意識を評価された。
事前アンケートには5,833名、事後アンケートには5,383名が回答し、男女比はほぼ均等だった。講義に先立ち実施した事前アンケートでは、性に関する情報源と現状の知識について回答を得た。情報源として「インターネットやYouTube」と回答した生徒の割合が最も多かったが、男女別に見ると男子学生の割合が有意に高かった。女子学生は「学校の先生や授業」や「両親・家族」を情報源として挙げる割合が高かったのに対し、男子学生では、「友人」や「この種の情報を得たことがない」と回答する割合が高かった。また、講義前はOC、子宮頸がん、HPVに関する知識が乏しく、多くの学生がHPVワクチンに対して不安を抱いていた。
講義後、OCに関する知識(使用可能年齢や副作用など)が向上し、生理痛の緩和など避妊以外のメリットを認識する学生が増えた。また、避妊方法の理解も著しく深まり、「避妊は男性が責任を持つべき」と考える学生の数は減少した。さらに、子宮頸がんやHPVに関する知識も大幅に向上し、HPVワクチンの接種を希望する学生の割合も増加した。
講義後に実施したアンケートでは、ほとんどの学生が今回の講義を肯定的に評価し、5段階評価で4または5を選択した。男子学生よりも女子学生の方が、わずかに高い評価をしていた。
本研究について著者らは「本研究は、国際機関や先行研究の提言を踏まえ、日本の若者にとって包括的でアクセスしやすい性教育の必要性を明確にした。婦人科医などの専門医が関与することで、性に関する幅広い健康トピックについて正確かつ最新の情報を提供でき、こうした介入の効果をさらに高めることができるだろう」と述べている。
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7月 07 2025 高齢の日本人男性で腸内細菌叢がサルコペニアと相関か
我々の腸内には、約1,000種類・100兆個にも及ぶ細菌が存在している。これらの細菌は、それぞれ独自のテリトリーを維持しながら腸内細菌叢(GM)という集団を形成している。近年では、GMが全身疾患と関連していることが明らかになってきた。今回、日本の高齢者を対象とした研究において、男性サルコペニア(SA)患者では、非SA患者に比べてGMのα多様性が有意に低下しβ多様性にも有意な違いを認めることが報告された。研究は順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター消化器内科の浅岡大介氏らによるもので、詳細は「Nutrients」に5月21日掲載された。
SAは、加齢に伴い骨格筋量、筋力、身体機能が低下する病気だ。SAを患う患者は転倒、入院、死亡のリスクが高まるため、早期発見と適切な介入が不可欠となる。また、近年、SAの発症にはGMが関与することが示唆されている。GMの細菌構成が乱れた状態(ディスバイオシス)では、腸管透過性が亢進し、いわゆる「リーキーガット(腸管壁侵漏)」による炎症が引き起こされ、結果としてSAの進行につながっている可能性がある。日本人は独特な食習慣の影響で、他の集団とは著しく異なるGMプロファイルを持つことが知られている。しかし、特に高齢の日本人集団におけるGMとSAの関係については、まだ十分に解明されていない。このような背景から著者らは、アジアにおけるSA診断基準としては2019年に改訂された最新のアジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)2019基準で診断された高齢者のSAとGMプロファイルとの関係を検討した。
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郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。本研究では、2022年6月から2023年1月にかけて、順天堂東京江東高齢者医療センター消化器内科に外来通院していた65歳以上の患者から採取した便検体を用い、前向きの横断研究を実施した。SAはAWGS2019診断基準に基づき、握力、歩行速度、DXA法による骨格筋量指数(SMI)に基づき診断された。GMプロファイルは16S rRNA遺伝子シーケンス解析を用いて解析し、(1)SAに関するGMのα多様性(個体内のGMでどの種がどの位均等に存在しているか)・β多様性(個体間のGMでどれ位多様性が異なるか)・性差、(2)SAに関連する腸内細菌属の占有率や検出率、(3)SMI、握力、歩行速度と腸内細菌属との相関を調査した。
本研究の最終的な解析対象は356名(男性144名、女性212名)であり、このうちSAは50名(男性35名、女性15名)含まれた。β多様性は男女間で有意に異なっていたため、性別によるサブグループ解析を実施した。その結果、男性のSA群ではα多様性のいくつかの指標が低かった(ディスバイオシスの状態)。男性のGMのβ多様性は、SA群と非SA群で有意な違いが認められた。一方で女性の場合は、α多様性およびβ多様性のいずれにも有意な違いは認められなかった。
次に、SAに関連する腸内細菌属の占有率を調べたところ、6種の細菌属(Eubacterium I、Fusicatenibacter、Holdemanella、Unclassified Lachnospira、Enterococcus H、Bariatricus)の腸内占有率が男性のSA群で低いことが明らかになった。一方で、女性のSA群と非SA群の細菌構成比に明らかな違いは認められなかった。スピアマンの順位相関係数を用いて、これらの細菌属と筋力に関連する指標との相関を調べたところ、男性の検体において、Unclassified Lachnospira は握力と、FusicatenibacterおよびEnterococcus Hは握力および歩行速度との間に有意な正の相関を示した。HoldemanellaはSMIと正の相関を示していた。しかし、女性の検体ではこれらの菌属とSMI、握力または歩行速度との間に有意な相関は認められなかった。
本研究について著者らは、「本研究は、日本で初めて臨床において高齢者集団のGM組成とAWGS2019診断基準で診断されたSAとの関連を調査した研究である。今回の結果から、高齢の日本人男性において、GMの組成がSAと関連することが示された。これは、日本の高齢男性におけるSA予防のために、腸内細菌をターゲットとした戦略が有効である可能性を示唆している」と述べている。
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