• 禁煙のメリットは体重が増えても相殺されない――JPHC研究

     禁煙後に体重が増えたとしてもその増加幅が5kg以内なら、喫煙を続けた人よりも循環器疾患の発症リスクが有意に低下することを示唆するデータが報告された。国立がん研究センターなどによる多目的コホート研究(JPHC研究)によるもので、詳細は「Heart」に6月2日掲載された。なるべく若いうちに禁煙した方が、より大きなメリットを得られることを示すデータも得られた。

     禁煙が循環器疾患の予防にとって重要であることは、多くの研究から明らかになっている。一方で、禁煙によって体重が増えてしまうことがある。体重の増加は循環器疾患のリスク因子の一つであり、せっかくの禁煙の効果を相殺してしまうことも考えられる。しかし、禁煙後の体重増加が、実際に禁煙のメリットを弱めるのかどうかは、よく分かっていなかった。

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     今回発表された研究の対象は、1990年と1993年に、岩手県二戸、長野県佐久、茨城県水戸、高知県中央東、沖縄県宮古などの9保健所管内に居住していて、研究開始時と開始5年後の調査時にがんや循環器疾患の既往がなかった45~74歳の男女6万9,910人。中央値14.8年追跡し、喫煙状況と、体重増加、循環器疾患発症との関連を検討した。

     研究開始時と5年後のアンケートの回答結果から、対象者全体を喫煙状況により下記の4群に分類した。研究開始時と5年後ともに喫煙している「喫煙者」、過去に喫煙していたが研究開始時と5年後ともに喫煙していない「長期禁煙者」、過去から研究開始5年後にかけて喫煙したことがない「非喫煙者」、研究開始時に喫煙していて5年後には禁煙していた「新規禁煙者」。また、新規禁煙者についてはさらに、禁煙後の体重増加なし、0.1~5.0kg増加、5.1kg以上増加の3群に分類した。

     追跡期間中に、4,023人が循環器疾患(虚血性心疾患889人、脳卒中3,217人)を発症した。循環器疾患発症リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、BMI、飲酒・身体活動習慣、糖尿病既往、血糖降下薬・降圧薬・コレステロール低下薬の服用、摂取エネルギー量、大豆・野菜・果物・魚・肉類・乳製品の摂取量、ビタミンサプリメントの摂取、循環器疾患の家族歴、居住地域)を統計学的に調整し、それらの影響をできるだけ取り除いた上で、喫煙者を基準としてその他の群の循環器疾患発症リスクを解析した。

     その結果、長期禁煙者の循環器疾患発症ハザード比(HR)は0.56(95%信頼区間0.49~0.64)、非喫煙者はHR0.60(0.55~0.66)で、いずれも喫煙者よりリスクが有意に低かった。また新規禁煙者でも、禁煙後に体重が増加していない群はHR0.66(同0.52~0.83)、体重増加幅が0.1~5.0kgの群はHR0.71(同0.55~0.90)と、喫煙者よりリスクが有意に低かった。体重増加幅が5.1kg以上の群はHR0.70(0.44~1.10)であり喫煙者のリスクと有意差がなかったが、研究グループは、この条件の該当者数が少ないために統計学的有意差に至らなかったと説明している。

     このほかに年齢層別の解析からは、60歳未満の新規禁煙者は60歳以上の新規禁煙者よりも、循環器疾患のリスクがより低いことが分かった。これらの結果は、先行研究で示されたデータと一致するものだという。

     以上より著者らは、「喫煙を続けた場合に比べて禁煙することは、その後の循環器疾患発症リスクが低いことと関連していた。また、より若い時期での禁煙によるリスク軽減効果が大きいことが示された」とまとめている。

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    HealthDay News 2021年8月23日
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  • 3年の禁煙で認知症リスクが非喫煙者と同レベルになる――大崎コホート研究

    喫煙者は認知症のリスクが高いものの、禁煙して3年たつと非喫煙者と変わらない程度にリスクが低下する可能性が報告された。東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学の陸兪凱氏、辻一郎氏らが、宮城県大崎市で行われている「大崎コホート2006研究」のデータを解析し明らかになった。詳細は「European Journal of Epidemiology」2月15日オンライン版に掲載された。

    大崎コホート2006研究は、大崎市の地域住民を対象に2006年に開始された前向きコホート研究。ベースライン時に65歳以上だった地域在住高齢者3万1,694人にアンケート調査を実施し、有効回答の得られた2万3,091人について追跡調査が続けられている。今回の検討では、喫煙状況の情報が記録されていた人から、ベースライン時点で要介護認定を受けていた人などを除く1万2,489人のデータを解析した。

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    対象者の喫煙状況は、喫煙歴のない人(非喫煙者)が59.6%、現在も喫煙している人(現喫煙者)が13.8%、禁煙した人(過去喫煙者)が26.6%だった。現喫煙者や過去喫煙者は非喫煙者に比べ男性が多く、教育歴が短く、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、および飲酒習慣のある人の割合が高かった。また過去喫煙者は現喫煙者に比較して、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病の割合がさらに高かった。一方、非喫煙者は肥満者が多かった。歩行習慣や心理的ストレスは群間差がなかった。

    5.7年の追跡期間中に転居などにより追跡不能となったのは155人で、追跡率は98.8%だった。対象者の8.9%に当たる1,110人が追跡期間中に認知症を発症した。認知症発症リスクを年齢と性別で調整の上、非喫煙者を基準に検討すると、現喫煙者のハザード比(HR)は1.53で有意に高リスクだった。調整因子に、学歴、肥満、歩行時間、飲酒習慣、既往歴、心理的ストレスを追加しても、現喫煙者はHR1.46で有意にリスクが高かった。

    過去喫煙者の認知症発症リスクについては、禁煙を始めてからの経過期間別に検討した。その結果、年齢と性別で調整した場合、非喫煙者と比較して、禁煙期間が2年以下ではHR1.50で有意なリスク上昇が見られたが、禁煙期間が3~5年ではHR1.14で有意差がなかった。

    なお、調整因子に学歴などの前記と同様の因子を追加した解析においては、禁煙期間2年以下ではHR1.39でリスクは上昇したものの、有意差はなかった。禁煙期間3年目以降のハザード比は以下のとおりで、すべて非有意だった。3~5年1.03、6~10年1.04、11~15年1.19、16年以上0.92。

    これまでの研究から、喫煙者が禁煙すると認知症発症リスクが低下することは知られていたが、その効果が禁煙開始から何年後に現れるのかは分かっていなかった。今回の結果をもとに研究グループでは、「禁煙開始後3年という比較的短い期間で、認知症のリスクが非喫煙者と同レベルに低下する可能性が示された。これは、認知症のリスクを抑制するために、禁煙のスタートが遅過ぎることはないことを意味する。喫煙者の禁煙の動機付けに、前向きなメッセージとなるだろう」と述べている。

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    軽度認知障害を予防し認知症への移行を防ぐためには早期発見、早期予防が重要なポイントとなります。そこで、今回は認知症や軽度認知障害(MCI)を早期発見できる認知度簡易セルフチェックをご紹介します。

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    HealthDay News 2020年3月16日
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  • 禁煙ポスターは若者には逆効果

    若者に喫煙を踏みとどまらせることが目的で掲示された、たばこの害を伝えるイメージ写真入りのポスターは、実は逆効果をもたらすかもしれない。

    米国の10歳代の男女約440人を対象とした研究から、コンビニエンスストアでこうしたポスターを目にした喫煙リスクの高い若者は、より喫煙したいという気持ちが高まることが分かったという。
    詳細は「Nicotine & Tobacco Research」12月13日オンライン版に掲載された。
    この研究は、米ランド研究所上級行動科学者のWilliam Shadel氏らが11~17歳の男女441人を対象に実施したもの。
    同氏によると、若者の利用率が高いコンビニエンスストアでのたばこ企業による公告宣伝活動が、若者の喫煙を促す可能性があるとして問題視されている。

    そこで同氏らは今回、実験室に疑似コンビニエンスストアを設置し、レジカウンターの背後に喫煙の害を伝えるポスターを掲示。
    来店した若者の喫煙に対する意識への影響について検討した。
    ポスターは「警告:たばこはがんの原因」というメッセージとともに喫煙によって不健康な外見になった口の写真が掲載されたものを使用した。

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    その結果、疑似コンビニエンスストアで買い物をした若者のうち、以前から喫煙に否定的であった者では、ポスターを見ても買い物後の喫煙に対する意識に変化はなかった。
    しかし、以前から喫煙に興味があり、喫煙を開始するリスクが高いと判定された若者では、ポスターを見ることでさらに喫煙を始めたいという気持ちが高まることが示された。

    この結果を踏まえ、Shadel氏は「もともと喫煙リスクの高い若者は、たばこの害を警告するポスターに対して身構えるために、ポスターが伝える健康リスクを信用しなかったり、軽視したりする可能性がある」と考察している。
    ただ、今回の研究で検討されたのは1種類のポスターのみであるため、今後は他の種類のポスターによる影響や、レジカウンターの壁面以外の位置にポスターを掲示した場合の効果についても検討する必要があるとしている。

    その上で、同氏は「禁煙教育の一環でたばこ製品の販売店に警告ポスターを掲示する場合には、慎重に検討すべきであることが今回の研究で示された」と話し、政策立案者に対して今回の研究結果を考慮した対策を求めている。

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    HealthDay News 2017年12月14日
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  • 米FDA、たばこのニコチン量の規制を検討

    米食品医薬品局(FDA)は、たばこのニコチン含有量を依存性の生じないレベルまで減らす方針を発表した。また、ニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチンを含有する禁煙補助薬の安全性を高める取り組みを進めていくことも明らかにした。一方で、昨年発表したシガー(葉巻)と電子たばこの規制についてはそれぞれ2021年、2022年まで施行を延期する。この延期についてFDA長官のScott Gottlieb氏は「十分な時間をかけて規制基準の妥当性を検証するためだ」と説明している。

     FDAの新たな方針は、「若者の気を引く」フレーバーに対する規制も必要との見解を示している。米ノースウェル・ヘルスたばこ規制センターのPatricia Folan氏は、FDAがティーンの喫煙に注目したことを称賛し、「メントールなどのフレーバーがもたらす害に対処することは若者の喫煙を減らす重要な一歩だ」と述べている。FDAは「喫煙者の多くは10歳代で喫煙を始めていることが過去の研究で分かっており、その最初の段階で阻止したい」としている。

     一方、FDAが電子たばことシガーに関する規制措置の施行を延期したことについて、米国肺協会(ALA)のErika Sward氏は「若者に対し有害な影響をもたらす」と警鐘を鳴らしている。これに対しGottlieb氏は「FDAの方針で最も重要な点は、紙巻きたばこのニコチン量を減らす規制を進めることだ」と述べ、「たばこの依存性をなくせば、喫煙者を紙巻きたばこから害の少ない製品へと移行させるためにバランスのとれたアプローチを取ることができる」と説明している。

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     若者の喫煙阻止キャンペーン(Campaign for Tobacco-Free Kids)代表のMatt Myers氏は、FDAの方針は革新的だが、失速する可能性があると懸念する。「Gottlieb氏の構想は、喫煙による死亡や疾患を低減するためにこれまでFDAが取ってきたアプローチの中では最も包括的なものだ。しかし、実際にたばこ業界に低ニコチンたばこを作らせるまでには長い期間がかかるだろう。低ニコチンたばこに認められている問題(本数が増える、深く吸い込むようになるなど)も考慮しなくてはならない」と同氏は指摘する。

     FDAは、電子たばこやニコチンガムなどのニコチン含有製品の安全性を高める方法を明らかにしていきたいとの考えを示している。FDAたばこ製品センターのMitch Zeller氏は「新たな技術がもたらすベネフィットと潜在的なリスクを徹底的に追究する必要がある。その研究結果は、疾患や死亡の主原因となっている紙巻きたばこの対策にも反映されるだろう」と述べている。

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    HealthDay News 2017年7月28日
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  • 電子たばこの普及が禁煙率の上昇に寄与?

    米国での禁煙率の上昇には電子たばこの普及が寄与した可能性があるとの研究結果が「BMJ」7月26日オンライン版に掲載された。同国では2010年頃から電子たばこの使用が急速に拡大したが、米国民の喫煙調査データを調べた結果、同時期に禁煙率が上昇していることが分かったという。

     米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)家庭医学・公衆衛生学のShu-Hong Zhu氏らは今回の研究で、米国民を対象とした人口動態調査の一環で3~4年ごとに実施されている喫煙調査(CPS-TUS)のデータを使用し、禁煙率と電子たばこの使用との関連について検討した。

     2014~2015年に実施された同調査の回答者約16万人のうち喫煙経験が全くない人は約10万人、喫煙者は約2万2,500人、「最近(過去1年以内に)禁煙した」と回答した人は2,136人だった。このうち「最近禁煙した」と回答した人の49%に電子たばこの使用経験があったという。

     Zhu氏らが分析した結果、電子たばこ使用者は非使用者に比べ、禁煙を試みた経験がある割合が高く(65%対40%)、3カ月以上の禁煙に成功した割合も高かった(8%対5%)。なお、同氏によると1%の禁煙率増加は喫煙者約35万人が禁煙したことに相当するという。

     さらに、集団レベルでの全体的な禁煙率は、2010~2011年調査時の4.5%から2014~2015年調査時には5.6%に上昇していた。

     米国では電子たばこの使用は2010年から2014年までに急速に拡大したが、同時期に禁煙率が上昇していることになる。専門家の間では、電子たばこは「喫煙の入り口」となるとして否定的な見方がある一方で、禁煙のツールとして期待する声もあり、見解が一致していない。

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     今回の研究結果について、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の禁煙センター長であるSteven Schroeder氏は「電子たばこの使用者が増加し、同時に禁煙に成功する人も増え、成人の喫煙率が低下しているという状況を明らかにしたに過ぎないが、説得力はある」と評価。また、Zhu氏やSchroeder氏は「電子たばこは完全に安全とはいえないが、通常のたばこと比べれば害が少ない可能性がある」との見方を示しており、Schroeder氏は「もし米国の4000万人の喫煙者が電子たばこに切り替えれば、米国民の健康は向上する。推奨されている方法で禁煙できないなら、電子たばこの使用を考えてもよいのではないか」と話している。

     また、米ミシガン大学公衆衛生学教授のKenneth Warner氏も、今回の研究結果を歓迎している専門家の1人だ。同氏は「米国では電子たばこによる若者への影響や成人の健康被害ばかりが注目されている。しかし、他の方法で禁煙できなかった人に電子たばこの使用を積極的に勧めている英国のアプローチを、米国でも受け入れる必要がある」と主張している。

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    治験・臨床試験についての詳しい説明

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    HealthDay News 2017年7月26日
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