• 禁煙後の体重増加は将来の高血圧発症と関連する可能性

     禁煙後の体重増加は血圧の上昇につながり、将来の高血圧発症と関連する可能性があることが、鹿児島大学大学院心臓血管・高血圧内科学の二宮雄一氏らの研究グループによる研究から明らかになった。日本人の一般集団を対象に分析した結果、禁煙した群では、喫煙を継続した群と比べて体重がより増加し、血圧値も上昇することが分かったという。詳細は「Hypertension Research」に1月5日掲載された。

     禁煙は、慢性疾患リスクの低減や寿命の延伸、QOLの向上など健康面にさまざまなメリットをもたらす。一方で、禁煙後には体重や肥満度が増加することが知られており、禁煙意欲を低下させる要因の一つとなっている。また、禁煙後の体重増加が引き起こす健康への悪影響については、これまで心血管疾患や2型糖尿病に焦点を当てた研究が多く、高血圧との関連は明らかになっていない。そこで、二宮氏らは、禁煙後の体重増加とその後の高血圧発症の関連を検討するため、後ろ向き研究を実施した。

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     2005年から2019年の間に、鹿児島厚生連病院健康管理センターで年1回の健康診断を受診した成人男女23万4,596人のうち、禁煙6年後のデータを入手し得た856人を対象に分析した。禁煙後の体重増加と高血圧発症の関連以外にも、禁煙1年後および6年後の血圧値と降圧薬処方率の変化を評価。また、傾向スコアでマッチングした禁煙群(856人)と喫煙継続群(854人)の体重と血圧値を比較した。さらに、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)に影響を与える因子を特定するため、重回帰分析を行った。

     禁煙1年後の体重増加の中央値(1.8kg)を基に、体重増加が1.8kg以上だった群(high weight gain:HWG群、428人)と1.8kg未満だった群(low weight gain:LWG群、428人)に分けて分析した(平均年齢:HWG群46.5歳、LWG群45.2歳、男性の割合:それぞれ93%、90%)。その結果、HWG群とLWG群のベースライン時の体重は同程度だったが、LWG群に比べてHWG群では禁煙1年後および6年後の体重が有意に増加した(ベースライン→禁煙1年後→6年後の平均体重:HWG群64.9±10.5kg→68.9±10.6kg→69.2±10.9kg、LWG群66.3±10.7kg→66.1±10.5kg→66.8±10.9kg)。

     また、禁煙から6年後の降圧薬の処方率にはHWG群とLWG群で有意な差はなかったが、ベースラインから6年後のSBP値およびDBP値の変化には有意差が認められた(SBP:HWG群10.3±13.8mmHg、LWG群6.2±12.8mmHg、P<0.001、DBP:HWG群6.0±9.3mmHg、LWG群3.1±9.7mmHg、P<0.001)。重回帰分析の結果、SBP値の変化は年齢と大幅な体重増加の影響を受けたのに対し、DBP値の変化は大幅な体重増加の影響のみを受けていた。さらに、禁煙群と喫煙継続群の比較では、禁煙群の方が体重の増加幅が有意に大きく、6年間のSBP値とDBP値の変化も大きかった。

     以上から、同氏らは「禁煙後の体重増加は、その後の血圧上昇をもたらす可能性があり、禁煙を希望する人には減量指導を行うことが有効だ」と結論。その上で、「禁煙を勧める際には、禁煙による健康へのベネフィットは、禁煙後の体重増加による悪影響を上回ることを強調すべきだ。また、診療ガイドラインでは、禁煙後の体重管理療法の時期や期間について言及する必要があるだろう」と述べている。

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    HealthDay News 2024年2月26日
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