緑内障手術後、約3人に1人で眼瞼下垂――濾過手術でリスク高く

 緑内障手術後には眼瞼下垂(まぶたが下がる症状)が生じることがあるが、その経過は十分に分かっていなかった。今回、患者を1年間追跡した研究で、約3人に1人に眼瞼下垂がみられ、特に濾過手術では術後1年まで進行する可能性が示された。研究は、神戸大学医学部眼科学教室の奥住奈南美氏、盛崇太朗氏らによるもので、詳細は6月25日付の「Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology」に掲載された。

 緑内障手術は近年の進歩により広く行われるようになった一方で、術後の眼瞼下垂が課題となっている。眼瞼下垂は見た目だけでなく、視野や患者満足度にも影響を及ぼす可能性が指摘されているが、発生頻度や経過、術式による違いを長期間にわたって検討した研究は限られていた。そこで著者らは、複数の緑内障手術を対象に、術前から術後1年まで眼瞼下垂の発生や経過を前向きに評価した。

【緑内障の治験について相談したい方へ】
治験情報の探し方から参加検討まで、専門スタッフが一緒にサポートします

 著者らは、2023年10月~2024年12月に神戸大学医学部附属病院で初回の緑内障手術を受けた167人を対象に前向き研究を実施した。対象となった術式は、低侵襲緑内障手術であるマイクロフックを用いた眼内線維柱帯切開術、プリザーフロ・マイクロシャント留置術、線維柱帯切除術、アーメド緑内障バルブ留置術の4術式である。術前から術後1年まで定期的に撮影した写真を用いて上まぶたの位置を客観的に評価し、術前より1mm以上低下した場合を眼瞼下垂と定義して、術式ごとの発生状況や関連因子を解析した。

 解析の結果、術後1年時点で眼瞼下垂は54人(32.3%)に認められた。上まぶたの位置は術後1カ月から低下し、その低下傾向は1年後まで持続した。

 マイクロフックでは有意な変化はみられなかった一方、プリザーフロ、線維柱帯切除術、アーメドなどの濾過手術では、上まぶたの位置の有意な下垂が認められた。

 また、アーメド緑内障バルブ留置術と術前の瞼裂(目の開き)が大きいことが眼瞼下垂のリスク因子として特定された。

 著者らは、本研究は緑内障手術後の眼瞼下垂が術後6カ月を超えて1年まで進行する可能性を初めて示した研究だとしている。また、濾過手術で眼瞼下垂が生じやすい理由について、術中の機械的な刺激だけでは説明できず、インプラントやろ過胞とまぶたとの摩擦などが関与している可能性があると考察している。さらに、緑内障手術を行う医師は術後の眼瞼下垂を認識し、経過を注意深く観察する必要があるとしている。

 一方、本研究は単施設で日本人のみを対象とした研究であり、特にアーメド緑内障バルブ留置術は8例と症例数が少なかったことから、この術式に関する結果の解釈には注意が必要だとしている。

治験に関する詳しい解説はこちら

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

治験・臨床試験についての詳しい説明

参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年7月27日
Copyright c 2026 HealthDay. All rights reserved. Photo Credit: Adobe Stock
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。