若年性アルツハイマー病、診断まで高齢発症より約9か月長く

 65歳未満で発症する若年性アルツハイマー病では、高齢発症例より診断までに時間を要することが指摘されている。今回、日本人患者を対象とした研究で、症状出現から診断までの期間が高齢発症例より平均約9か月長いことが明らかになった。その主な要因は、症状が現れてから初めて医療機関を受診するまでの期間が長いことだったという。研究は、国立長寿医療研究センター診断イノベーション研究部の春日健作氏(研究当時は新潟大学脳研究所所属)らによるもので、詳細は7月9日付の「BMC Neurology」に掲載された。

 65歳未満で発症する若年性アルツハイマー病(EOAD)は、働き盛りの世代に多く、就労や収入への影響が大きい。近年はアルツハイマー病の早期段階を対象とした抗アミロイドβ抗体薬が承認され、早期診断の重要性が高まっている。一方、EOADは失語や失行など物忘れ以外の症状で発症することもあり、診断が遅れたり他疾患と診断されたりする可能性がある。しかし、日本を含むアジアではアルツハイマー病の診断までの経過を検討した研究はほとんどなかった。このような背景から著者らは、日本人患者を対象に、EOADの診断までの経過を高齢発症アルツハイマー病(LOAD)と比較するとともに、診断までの期間に影響する要因を検討した。

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 著者らは、日本国内4施設で2011年4月~2023年3月にアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー型認知症(probable AD)と診断された18~79歳の患者を対象に、多施設共同の後ろ向き観察研究を実施した。対象は認知症専門医が診断した患者で、症状出現時の年齢に基づき65歳未満で発症した若年性アルツハイマー病(EOAD)群と65歳以上で発症した高齢発症アルツハイマー病(LOAD)群に分類し、症状出現から診断までの期間を比較した。また、診断までの期間に影響する要因についても検討した。

 解析対象は、EOAD群79人とLOAD群59人だった。EOAD群の平均発症年齢は55.8歳、LOAD群は72.0歳で、患者背景はかかりつけ医の有無や就労状況などを除き、おおむね同等だった。初発症状はいずれの群でも認知機能障害が最も多かったが、EOAD群では失語や視空間認知障害、遂行機能障害、不安・抑うつ、失行などの症状がLOAD群より多く認められた。

 症状出現からアルツハイマー病と診断されるまでの期間は、EOAD群で平均138.3週、LOAD群で99.6週と、EOAD群で有意に長かった(P=0.011)。また、症状出現から初めて医療機関を受診するまでの期間も、EOAD群で平均89.0週、LOAD群で57.6週とEOAD群で有意に長かった(P=0.024)。一方、初回受診から認知症専門医の初診まで、および認知症専門医の初診から診断までの期間には両群で有意差は認められなかった。

 著者らは、EOADでは診断の遅れが就労機会の損失や経済的負担につながるだけでなく、近年実用化が進む抗アミロイドβ抗体薬による治療を適切な時期に受ける機会を逃す可能性があると指摘。そのため、疾患に対する社会的認知の向上や早期受診の促進、診療体制の整備が重要だとしている。また、EOADでは認知機能障害に加えて非典型的な症状を呈することや若年で発症することが、診断の遅れに影響した可能性があると考察している。

 著者らは、電子カルテを用いた後ろ向き研究で症例数も限られていたことから、結果の解釈には一定の留意が必要だとしている。なお、本研究はエーザイ株式会社と新潟大学との共同契約に基づく支援を受けて実施された。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2026年8月17日
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