疫学データ

軽度認知障害(MCI)の疫学データについて

認知症の前駆状態とも言われている軽度認知障害(MCI)ですが、日本では軽度認知障害(MCI)と診断され、治療を受けている人がどれくらいいるのでしょうか?
軽度認知障害(MCI)の疫学データから、軽度認知障害(MCI)の歴史、患者数の移り変わり、特徴について詳しくみていきましょう。
  1. 軽度認知障害(MCI)の歴史
  2. 軽度認知障害(MCI)における患者数や認知症発症の割合
  3. 軽度認知障害(MCI)の発症年齢と男女比
  4. 軽度認知障害(MCI)の身体合併症について
  5. まとめ
軽度認知症の治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
お近くの治験情報を全国から検索できます。

軽度認知障害(MCI)の歴史

軽度認知障害(MCI)は、認知症の前駆状態あるという考え方がある一方で、加齢に伴う経過でもみられる状態と考え方、また類似概念が多く存在しています。

類似概念である「進行速度が緩徐な正常老化としての『良性健忘』と急速に進行する病的な『悪性健忘』」自体は、1962年には提唱されていたものの、加齢、脳、精神面との分別がつきにくいため、認知症研究が進み、MCI診断基準が定義された2003年に、「認知機能が正常ではないものの、認知症とも言えない。日常生活に支障がない状態である」この概念を軽度認知障害(MCI)と提唱されました。

日本では高齢化社会の背景もあり認知症への理解が高まり、近年では軽度認知障害(MCI)も周知されはじめましたが、現状においては軽度認知障害(MCI)に対する認知症薬の場合、保険適応はないなど、医療の側面ではまだまだ準備段階。
しかし、認知症、軽度認知障害(MCI)は世界的に日夜研究されているので、徐々に軽度認知障害(MCI)における医療の側面にも変化があるのではないかと予想されています。

軽度認知障害(MCI)における患者数や認知症発症の割合

2012年時点に厚労省が行った推計によると、軽度認知障害(MCI)の患者数は認知症の患者数とほぼ同数とされ、約400万人が軽度認知障害(MCI)だと言われています。

また、軽度認知障害(MCI)と診断された場合、

  • 1年後に約12%の人が認知症を発症
  • 5年後に約半数の人が認知症を発症
  • アルツハイマー型認知症になるリスクが一般の人と比較して10倍高い

と、推測されています。
もちろん、全ての軽度認知障害(MCI)の人が当てはまる訳ではありませんし、
軽度認知障害(MCI)の段階で予防すれば、発症リスクを低下させることもできます。
しかし、高齢化社会のピークを迎える2025年には、認知症患者数は1.5倍である700万人に登ると推測されています。

現段階では軽度認知障害(MCI)の患者数は認知症の患者数とほぼ同数とされていますが、今後、認知機能に関する医療の発達、軽度認知障害(MCI)や認知症がより深く周知されれば、患者数の減少に繋がるのではないでしょうか?

軽度認知症の治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
お近くの治験情報を全国から検索できます。

軽度認知障害(MCI)の発症年齢と男女比

男女比
全国を対象とした認知症有病率の調査結果によると、
65歳以上の高齢者男女を比較した場合、男性よりも女性の方が有病率が高いという傾向にあります。しかしこれは認知症における話しで、
65歳以上の男女576名を対象として、「早期スクリーニングテスト」を用いた調査によれば、軽度認知障害(MCI)の段階では、女性よりも男性の方が軽度認知障害(MCI)の確率が1.78倍高いという結果になりました。
この結果から見ても、軽度認知障害(MCI)と診断されたからと言って、必ずしも認知症を発症するという訳ではないということが推測できます。
リンク4

発症年齢
軽度認知障害(MCI)と診断、または発症する年齢は50~60代に多いようです。
軽度認知障害(MCI)の進行形とも言われている認知症においては、年齢が上がるにつれて割合が増えていき、
65歳以上の5人に1人が認知症と言われていて、85歳を超えると2人に1人が認知症とされています。
また、64歳以下の人が発症する認知症については「若年性認知症」と呼ばれていて、
若年性認知症は40~50代の人でも発症すると言われています。

軽度認知障害(MCI)の身体合併症について

軽度認知障害(MCI)を発症する原因は、高血圧や糖尿病など身体的な部分に関わるものであったり、ストレスなど精神的な部分に関わるものであったりと、発症原因は人それぞれで、医学的にみても、ハッキリとした発症原因がわかっていませんが、軽度認知障害(MCI)で考えられる身体合併症としては下記のようなものがあります。

睡眠障害や精神不安定
軽度認知障害(MCI)では、自律神経の機能が低下しやすいため、睡眠障害や倦怠感、鬱など、精神的な面での身体合併症が現れやすくなります。
また、診断されたことにショックを受けて、精神不安定になる人もいるようです。

食欲不振や便秘
この症状も自律神経の機能が低下することによって引き起こされます。自律神経は精神的な部分だけでなく胃腸の動きなどにも関連しています。

軽度認知障(MCI)と診断された場合は脳のケアだけでなく心と体のケアも重要となってきます。もしも体調や精神的な部分で不調を感じたら、受診のときに主治医へ相談したり、診療科目がある病院で診察を受けましょう。

まとめ

軽度認知障害(MCI)、また認知症の疫学データから、軽度認知障害(MCI)、そして認知症の患者数は増加傾向にあり、今後も患者数が増えていくということがわかります。
この背景には社会の高齢化があったり、軽度認知障害(MCI)、認知症の治療法や予防で未解明な部分が多いことも関連しています。
しかし、軽度認知障害(MCI)も認知症も、日々研究が進み、わからなかったことが徐々に解明されつつあります。
また、軽度認知障害(MCI)については早期発見、早期治療が認知症を防ぐためにも重要なポイントとなってきます。
この事実をたくさんの人が知り、自分だけでなく周りの家族や知人を気にかけていけば、軽度認知症害(MCI)や認知症患者数の減少に繋がるのではないでしょうか?

軽度認知障害(MCI)に関連する情報はこちら

早期発見早期治療を行うことで、認知症への移行リスクを抑えれるとして、軽度認知障害(MCI)に関して日々、研究が進んでいます。ここでは軽度認知障害(MCI)を知り、上手に付き合っていくために役立つ情報をまとめました。

軽度認知障害(MCI)の関連情報、治験・新薬・患者会など

参考サイト:リンク1リンク2リンク3リンク4
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。