肺がんに良い食事で肺がんリスクを軽減
肺がんの原因は喫煙が最も高く、喫煙習慣によって肺がんを発症するリスクが約4~5倍も高くなるといわれています。さらに、喫煙習慣がなくても家族や職場など身近に喫煙習慣のある人がいるだけで発症リスクは高まります。そのため、肺がん予防に最も効果的なのは喫煙です。
肺がんに女性ホルモンが関係しているって本当?
肺がんは、がん組織の種類によって「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」の3つに分類されています。このうち、腺がんには女性ホルモンが関係しているという研究があります。女性ホルモンは、女性にとって必要不可欠なホルモンですが、研究では、初潮が早かったリ閉経が遅かったリなどでエストロゲン分泌量が多かった女性や、不妊治療などに使われるエストロゲン補充療法を受けていた女性の肺がん発症率が高かったという結果が出ているのです。
そのため、これらの女性では喫煙習慣がなくても発症リスクが高くなるといわれています。一方で、男性の場合はエストロゲンが肺がん発症に影響を与えているかどうかはまだ解明されていません。しかし、エストロゲン摂取で肺がん発症リスクが減ったという結果は出ています。
肺がんリスクを減らす大豆イソフラボン
女性ホルモンのエストロゲンと似た作用をもつ成分として大豆イソフラボンが有名です。大豆イソフラボンを含む食べ物を多く摂取すると、体はエストロゲンが補充されたと認識するため、体内のエストロゲン分泌量は少なくなります。そのため、肺がん予防効果があるといわれているのです。
また喫煙習慣のない人の場合は、大豆イソフラボンを多く摂取している人の方が肺がん発症リスクは少ないということも分かっています。特に、男性の方が大豆イソフラボンを摂取することで肺がんリスクを軽減できたという結果がでています。そのため、女性に限らず男性にも大豆イソフラボンの摂取は効果的です。
大豆イソフラボンを多く含む食べ物
- 豆腐(1/2丁):55.0㎎
- 納豆 1パック:65㎎
- 煮豆 50g:30mg
- 豆乳 125ml:69.0㎎
- きなこ 6g(おおさじ1):15.6mg
- みそ 18g(おおさじ1):7.2mg
野菜やくだもので肺がんリスクが軽減?
また、もうひとつの研究では野菜やくだものに肺がん発症リスクを抑える効果があるとの結果もでています。特にカロテノイドと呼ばれる成分に注目が集まっており、肺がんを予防するといわれています。ただ、サプリメントを使った方法では肺がん予防につながる結果が出なかったため、食事において摂取することが大切だといえます。
肺がん予防効果のあるカロテノイドとは?
カロテノイドとは緑黄色野菜やくだものに含まれている成分で、α-カロテン、β-カロテン、リコピン、ルテイン、キサンチン、クリプトキサンチンなどがあります。
カロテノイドを多く含む食べ物(100gあたり)
- にんじん(α‐カロテン):1.5~3㎎
- にんじん(β‐カロテン):4~7mg
- ほうれん草(β‐カロテン):3~5mg
- ほうれん草(ルテイン):5~10mg
- トマト(リコピン):3~9mg
- スイカ(リコピン):2~4mg
肺がんの食事療法
肺がん予防だけではなく、S肺がんの治療をしている時もバランスのいい食事をすることが基本です。しかし、抗がん剤治療や放射線治療などを受けている場合は副作用として食欲がなくなってしまうこともあります。その場合は、無理をせずに食べたいものを食べたい時に食べるということも概説です。
栄養ばかりを気にして食事がすすまないという場合は、まず体力回復を目指して、食べやすいものを摂取するようにしましょう。間食を増やしてエネルギー摂取量を増やすという方法もあります。食欲がない時は脱水にもなりやすくなるため、スポーツ飲料やゼリーなどの水分を補える食事もおすすめです。
まとめ
大豆イソフラボンやカロテノイドを含む緑黄色野菜・くだものは、肺がんを予防する効果があるといわれていますが、それだけを食べればいいという訳ではありません。
偏った食事では栄養が偏ってしまい、免疫力が低下してしまうことにもつながります。その結果、病気やがんを発症するリスクが高まってしまうため、ほかの栄養素もバランスよく取り入れることが大切です。副菜などを取り入れて、1回の食事でできるだけ多くの食品(栄養素)を食べられるように工夫していきましょう。
ただ、喫煙習慣のある人は第一に「禁煙」をすることが重要です。禁煙をしたうえで、肺がん予防につながる食事について考えていきましょう。
国内のがんにおいて死亡率トップの肺がんですが、治療は完治を目的とする以外にも予後を伸ばすという目的があります。肺がんの治療では、主に「外科手術」「放射線療法」「薬物療法(抗がん剤、化学療法)」の3つが行われています。